:2024:11/01/07:53 ++ [PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
:2011:05/13/08:49 ++ 視界不良の日本経済(下)「新しい普通」――不安で広がる堅実消費。
東日本大震災から2カ月。震災直後の自粛ムードはやや薄らいできたが、売れ筋には消費者のココロが浮かび上がる。
大手スーパーのイトーヨーカ堂。首都圏を中心に子供用の水筒が売れている。売り上げは震災前の2割増。「子供に生水を飲ませたくない親が買っている」(売り場担当者)。ブラジャーカップのついた薄手のキャミソールなどは4割増。「夜中の急な避難に備えて着る女性が多い」(同)。地震など「有事」への備えは日常になった。
節電や暑さへの意識も高まる。家電量販店では、エアコンの売れ筋が省エネ性能の高い大型の機種に変わった。ネット通販大手のケンコーコムによると、肌に貼る冷たいシートや氷枕など猛暑に備えた商品の売り上げは「すでに例年の数十倍」という。
高額品不振続く
水、電気、安全な食品――。そこにあるのが当たり前という生活の常識は崩れた。コメや水などのまとめ買いは一巡して「ほぼ平常に戻った」(日本チェーンストア協会)。だが暮らしの前提が変わり、家計が快適さや安心を得るには新たなコスト負担がかかる。消費者は身構えざるを得ない。
百貨店大手、三越の日本橋本店(東京・中央)。ゴールデンウイーク商戦では前年並みの売上高を確保したが、高額品は不振が続く。4月の海外ブランド品の売り上げは前年同月に比べ17%減。高島屋でも宝飾品の売り上げが7%減と沈んだ。原因は高額消費の主役である高齢者層の「巣ごもり」だ。
「余震で交通機関が止まることへの心配が高齢者では根強い」(高島屋)。家やモノが一瞬にしてがれきとなり、人生が突然、暗転する現実を目の当たりにした日本人。浪費をやめ、生活スタイルの「新しい普通」を探す気分が広がる。
会員制で自動車を共同で使うカーシェアリング。駐車場大手、パーク24傘下のタイムズ24が運営する「タイムズプラス」では震災後、利用件数が1割程度増えた。3月末の会員数は約4万人。コストをかけず、気軽にクルマを楽しめるサービスが受け、1年で6倍に膨らんだ。
「ひとりで持つ」から「みんなで使う」へ。若者や女性の間で震災前から芽生えていた「持たない消費」への共感が広がれば、新車や住宅など大型消費の回復は勢いを欠く可能性がある。物価や所得環境も向かい風だ。
日本経済新聞社が消費関連企業に聞いた「日経消費DI」によると、消費者の支出意欲を示す指数は震災後の4月、マイナス66と前回1月調査から一気に50ポイント悪化した。震災が主因とみられるが「家計はガソリンなど物価高による実質所得の目減りを震災前から警戒していた」(内閣府)。
ボーナスに影
「震災後の景気停滞で今冬のボーナスの減少は避けられない」(第一生命経済研究所)。所得不安が垂れ込める一方、電気料金の引き上げは避けられそうにない。政府・民主党内では復興財源として、歳出の抜本見直しより先に、所得税や消費税の増税など復興税の導入論が浮上している。
震災で壊れた家電の買い替えなど、東日本を中心に潜在需要はある。外国人客の減少で稼働率が下がった都内のホテルも値下げなどで客足が戻りつつある。だが「むしろ西日本の方が自粛ムードが強い」(セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長)。
堅実志向を強める家計。内需の柱である消費の喚起には、政府が復興への道筋を示し、将来不安を和らげる必要がある。
(景気動向研究班)
大手スーパーのイトーヨーカ堂。首都圏を中心に子供用の水筒が売れている。売り上げは震災前の2割増。「子供に生水を飲ませたくない親が買っている」(売り場担当者)。ブラジャーカップのついた薄手のキャミソールなどは4割増。「夜中の急な避難に備えて着る女性が多い」(同)。地震など「有事」への備えは日常になった。
節電や暑さへの意識も高まる。家電量販店では、エアコンの売れ筋が省エネ性能の高い大型の機種に変わった。ネット通販大手のケンコーコムによると、肌に貼る冷たいシートや氷枕など猛暑に備えた商品の売り上げは「すでに例年の数十倍」という。
高額品不振続く
水、電気、安全な食品――。そこにあるのが当たり前という生活の常識は崩れた。コメや水などのまとめ買いは一巡して「ほぼ平常に戻った」(日本チェーンストア協会)。だが暮らしの前提が変わり、家計が快適さや安心を得るには新たなコスト負担がかかる。消費者は身構えざるを得ない。
百貨店大手、三越の日本橋本店(東京・中央)。ゴールデンウイーク商戦では前年並みの売上高を確保したが、高額品は不振が続く。4月の海外ブランド品の売り上げは前年同月に比べ17%減。高島屋でも宝飾品の売り上げが7%減と沈んだ。原因は高額消費の主役である高齢者層の「巣ごもり」だ。
「余震で交通機関が止まることへの心配が高齢者では根強い」(高島屋)。家やモノが一瞬にしてがれきとなり、人生が突然、暗転する現実を目の当たりにした日本人。浪費をやめ、生活スタイルの「新しい普通」を探す気分が広がる。
会員制で自動車を共同で使うカーシェアリング。駐車場大手、パーク24傘下のタイムズ24が運営する「タイムズプラス」では震災後、利用件数が1割程度増えた。3月末の会員数は約4万人。コストをかけず、気軽にクルマを楽しめるサービスが受け、1年で6倍に膨らんだ。
「ひとりで持つ」から「みんなで使う」へ。若者や女性の間で震災前から芽生えていた「持たない消費」への共感が広がれば、新車や住宅など大型消費の回復は勢いを欠く可能性がある。物価や所得環境も向かい風だ。
日本経済新聞社が消費関連企業に聞いた「日経消費DI」によると、消費者の支出意欲を示す指数は震災後の4月、マイナス66と前回1月調査から一気に50ポイント悪化した。震災が主因とみられるが「家計はガソリンなど物価高による実質所得の目減りを震災前から警戒していた」(内閣府)。
ボーナスに影
「震災後の景気停滞で今冬のボーナスの減少は避けられない」(第一生命経済研究所)。所得不安が垂れ込める一方、電気料金の引き上げは避けられそうにない。政府・民主党内では復興財源として、歳出の抜本見直しより先に、所得税や消費税の増税など復興税の導入論が浮上している。
震災で壊れた家電の買い替えなど、東日本を中心に潜在需要はある。外国人客の減少で稼働率が下がった都内のホテルも値下げなどで客足が戻りつつある。だが「むしろ西日本の方が自粛ムードが強い」(セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長)。
堅実志向を強める家計。内需の柱である消費の喚起には、政府が復興への道筋を示し、将来不安を和らげる必要がある。
(景気動向研究班)
PR
- +TRACKBACK URL+