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:2011:05/16/10:09 ++ 電力効率化へ抜本改革ぜひ―産業競争力そぐ値上げ(核心)
アルミニウムの精錬には大量の電気を使う。石油危機で電気代が上がったため国内で一貫生産を手掛ける企業の大半は消えた。静岡県内に自前の水力発電施設を持つ日本軽金属が細々と続けている程度だ。
福島の原子力発電所事故や浜岡原発の停止で、夏場の電力不足が心配されている。今後は電気の値上がりによる産業競争力への影響も大いに懸念される。
第二、第三のアルミ産業が出ては困る。電力供給の効率を高め、電源の分散をも促すような抜本改革が
賠償支援策の次の課題だ。
とにかく電気代の値上げ要因は目白押しだ。
原発賠償の枠組みでは、東京電力による賠償金の支払いを国や電力各社の資金で後押しする。「電気料金への転嫁は極力、抑える」と海江田万里経産相はいうが、東電の負担に上限がないうえ、国の財政も厳しく、結局は値上げで賄う部分も多いとみられる。
東電は原発から火力発電への切り替えで燃料費が年1兆円増えるため、1割以上値上げする見通し。原発の廃炉でも1兆円超の費用がかかる。さらに温暖化対策で高コストの風力・太陽光発電の活用を迫られる。
日本の電気料金は韓国や中国の2倍以上(図)と高い。企業は国境を越えて生産拠点を選べる時代。アタマが痛いのはそこだ。
東レは今年初め、韓国に炭素繊維の量産工場を作ると発表した。炭素繊維の製造では多くの電気を使う。その電気代の安さは、韓国内の需要の増加などに加えて大きな魅力だという。
中国は6月に14基目の原発を稼働させる。2020年までに8600万キロワット(100万キロワット級で86基分)に増やす予定。政府の力が強いから実現しやすく、電気代はさらに下がる。
「日本は資源多消費の産業に頼らず、産業を高度化すべし」という野口悠紀雄氏らの議論は長期的には正しい。だが、大勢の人が働く工場などをいま手放してよいはずはない。電気の値上げ幅を抑える手立てが何としても必要だ。
金融機関の貸し手責任を問うだけでなく、社債保有者や株主も応分の負担を分かち合うべきだという声がある。もし金融市場を混乱させずに済む方法があるなら検討課題だろう。
ただし賠償などは長期に及ぶ。それだけに電力供給を効率化して、コストの増加をなるべく吸収するための構造改革が欠かせない。
日本の電力業界はいまだに地域独占で「競争を通じた効率化」という市場経済の原理が働かない。
これまでの電力自由化で発電事業への新規参入、工場や商店への小売り解禁などが実現し、電力会社の送配電網を使い小売りなどを手掛ける特定規模電気事業者(PPS)といった新規事業者が誕生した。
ところが、仏造って魂入れずで、10電力の支配はほとんど変わらない。電力の全販売量のうち新規事業者が担うのは3%弱。送配電網の使用料(託送料)が高く、新規事業者の販売価格の2割を占めるという。
「電力会社と同じ条件で電気を仕入れ、送配電も使いやすくなれば、販管費が低い我々は電気を確実に安く販売できる」と新規参入組のエネット(東京・港)の武井務社長は語る。
大手電力会社間の競争もないに等しい。小欄で2年前、広島のジャスコ宇品店が2005年から地元の中国電力ではなく九州電力の電気を買っている事実を紹介した。こうした域外供給は全国で1例だけだったが今でも同じ。驚くべき“相互不可侵”の実態だ。
競争を促すカギは送配電網を多くの事業者が使いやすくすること。切り札は電力会社の発電部門と送配電部門を分ける発送電分離。 経産省は10年ほど前、これを目指したが、電力会社の猛反対で断念した。
英国はサッチャー政権が1990年に、イングランド・ウェールズ地域の国営電力を3つの発電会社と1つの送電会社に分割・民営化し発電を自由化した。小売りでは12の配電局を民営にし新規参入も認めた。
「サッチャー回顧録」には同首相が閣僚を使い、国営電力を追い詰めていく、迫力に満ちた改革劇が描かれている。
日本で発送電を分離すれば、東電などの収益減につながり、損害賠償にも支障を来すという見方がある。そうだろうか?
例えば、発電は切り離して自由化するが、送電網は分割すると非効率だから、英国と同様、政府の監視を前提に独占的企業とする。そこに賠償義務を引き継がせることができれば、賠償は進むのではないか。
これは一案で、ほかにもやりようはあろう。電気代の半分を占める発電部門で競争が進めば、コスト削減の効果は大きい。
また政府監視の下で送配電網の利用を促し、小売りも完全に自由化して、新規事業者が伸びれば、電気の値上げをさらに抑えやすい。発電に参入する企業が増えれば、大手が事故の時にも停電を避けられる。
風力・太陽光発電も、送配電網を安く使えるようになれば利用しやすくなる。 だが政府は「発送電分離は将来の課題」(海江田氏)と先送りする構えだ。
菅直人首相は「東電に効率化の努力を促す」と強調する。内閣の力を過信してはいないか。競争原理の働く市場を作るほうが、はるかに確実に効率化は進む。
福島の原子力発電所事故や浜岡原発の停止で、夏場の電力不足が心配されている。今後は電気の値上がりによる産業競争力への影響も大いに懸念される。
第二、第三のアルミ産業が出ては困る。電力供給の効率を高め、電源の分散をも促すような抜本改革が
賠償支援策の次の課題だ。
とにかく電気代の値上げ要因は目白押しだ。
原発賠償の枠組みでは、東京電力による賠償金の支払いを国や電力各社の資金で後押しする。「電気料金への転嫁は極力、抑える」と海江田万里経産相はいうが、東電の負担に上限がないうえ、国の財政も厳しく、結局は値上げで賄う部分も多いとみられる。
東電は原発から火力発電への切り替えで燃料費が年1兆円増えるため、1割以上値上げする見通し。原発の廃炉でも1兆円超の費用がかかる。さらに温暖化対策で高コストの風力・太陽光発電の活用を迫られる。
日本の電気料金は韓国や中国の2倍以上(図)と高い。企業は国境を越えて生産拠点を選べる時代。アタマが痛いのはそこだ。
東レは今年初め、韓国に炭素繊維の量産工場を作ると発表した。炭素繊維の製造では多くの電気を使う。その電気代の安さは、韓国内の需要の増加などに加えて大きな魅力だという。
中国は6月に14基目の原発を稼働させる。2020年までに8600万キロワット(100万キロワット級で86基分)に増やす予定。政府の力が強いから実現しやすく、電気代はさらに下がる。
「日本は資源多消費の産業に頼らず、産業を高度化すべし」という野口悠紀雄氏らの議論は長期的には正しい。だが、大勢の人が働く工場などをいま手放してよいはずはない。電気の値上げ幅を抑える手立てが何としても必要だ。
金融機関の貸し手責任を問うだけでなく、社債保有者や株主も応分の負担を分かち合うべきだという声がある。もし金融市場を混乱させずに済む方法があるなら検討課題だろう。
ただし賠償などは長期に及ぶ。それだけに電力供給を効率化して、コストの増加をなるべく吸収するための構造改革が欠かせない。
日本の電力業界はいまだに地域独占で「競争を通じた効率化」という市場経済の原理が働かない。
これまでの電力自由化で発電事業への新規参入、工場や商店への小売り解禁などが実現し、電力会社の送配電網を使い小売りなどを手掛ける特定規模電気事業者(PPS)といった新規事業者が誕生した。
ところが、仏造って魂入れずで、10電力の支配はほとんど変わらない。電力の全販売量のうち新規事業者が担うのは3%弱。送配電網の使用料(託送料)が高く、新規事業者の販売価格の2割を占めるという。
「電力会社と同じ条件で電気を仕入れ、送配電も使いやすくなれば、販管費が低い我々は電気を確実に安く販売できる」と新規参入組のエネット(東京・港)の武井務社長は語る。
大手電力会社間の競争もないに等しい。小欄で2年前、広島のジャスコ宇品店が2005年から地元の中国電力ではなく九州電力の電気を買っている事実を紹介した。こうした域外供給は全国で1例だけだったが今でも同じ。驚くべき“相互不可侵”の実態だ。
競争を促すカギは送配電網を多くの事業者が使いやすくすること。切り札は電力会社の発電部門と送配電部門を分ける発送電分離。 経産省は10年ほど前、これを目指したが、電力会社の猛反対で断念した。
英国はサッチャー政権が1990年に、イングランド・ウェールズ地域の国営電力を3つの発電会社と1つの送電会社に分割・民営化し発電を自由化した。小売りでは12の配電局を民営にし新規参入も認めた。
「サッチャー回顧録」には同首相が閣僚を使い、国営電力を追い詰めていく、迫力に満ちた改革劇が描かれている。
日本で発送電を分離すれば、東電などの収益減につながり、損害賠償にも支障を来すという見方がある。そうだろうか?
例えば、発電は切り離して自由化するが、送電網は分割すると非効率だから、英国と同様、政府の監視を前提に独占的企業とする。そこに賠償義務を引き継がせることができれば、賠償は進むのではないか。
これは一案で、ほかにもやりようはあろう。電気代の半分を占める発電部門で競争が進めば、コスト削減の効果は大きい。
また政府監視の下で送配電網の利用を促し、小売りも完全に自由化して、新規事業者が伸びれば、電気の値上げをさらに抑えやすい。発電に参入する企業が増えれば、大手が事故の時にも停電を避けられる。
風力・太陽光発電も、送配電網を安く使えるようになれば利用しやすくなる。 だが政府は「発送電分離は将来の課題」(海江田氏)と先送りする構えだ。
菅直人首相は「東電に効率化の努力を促す」と強調する。内閣の力を過信してはいないか。競争原理の働く市場を作るほうが、はるかに確実に効率化は進む。
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