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:2010:11/22/09:00 ++ 企業収益試される回復力(下)円高、つめ跡深く―車7社、利益の3分の1失う。
冬用タイヤに強い横浜ゴムはロシアで人気だ。2010年4~9月期(上期)も現地通貨ルーブルベースで販売を伸ばした。ところが円高・ルーブル安で円換算の手取り額が減り、十数億円もの為替差損を被った。
計画4割下回る
芝浦メカトロニクスはウォン安に苦しんだ。価格競争力を強めたライバルの韓国メーカーに押され、上期の受注が期初計画を4割下回った。
上期は幅広い通貨に対して急激に円高が進み、企業収益に広く、深いつめ跡を残した。足元で円高は一服しているものの、前期の平均レート1ドル=約93円に比べれば、まだ10円近い円高だ。
海外生産、割安な海外部品の使用、外貨建て債権と債務の両建てでの保有――企業は円高への対抗策を必死に繰り出している。日立建機は海外生産比率を高めるために欧州で建設機械を増産し、川崎汽船は新造船の代金を一部ドル建てで調達する検討に入った。
さらに進んでいるところもある。NECは輸出主体の半導体事業を分離した今期、対ドルで為替変動の影響額がゼロになり、東芝は円高がプラス要因に転じた。薄型テレビの海外委託生産拡大などが効いている。
雇用との板挟み
だが、こうした例はまだごく少数。例えば自動車大手7社は今期、1ドル=85円前後の各社の想定レートに従うと、円高による営業利益の目減り額が計8160億円に達する。為替変動がなければ稼げたはずの利益の3分の1を失う計算だ。
大和総研の試算によれば、製造業全体が営業赤字となる円ドル相場は1ドル=65円。ただ現状の為替水準でも、収益と雇用の板挟みに多くの企業が苦しんでいる。
新光電気工業は1ドル=80円の前提で、下期の純利益がほぼゼロになる。主力のMPU(超小型演算処理装置)向けICパッケージは少量多品種の高付加価値品。生産の海外移転は容易でない。「4000人の国内雇用を守りたい」(黒岩護社長)との思いも強い。
トヨタ自動車は国内生産の約3分の1に当たる100万台の生産を海外に移すと、社内外で計12万人の国内雇用が消失すると試算する。トヨタ単体の従業員数の約1・7倍だ。小沢哲副社長は5日の決算会見で「今の為替水準は日本経済、少なくともトヨタの競争力を超えている」と訴えた。
技術の流出を避けるため国内生産を貫いてきた東京エレクトロンは10月、ついに海外へかじをきった。コスト削減と中国需要の取り込みを狙い、中国江蘇省に液晶パネル製造装置の生産拠点を建設する。アジアは生産基地とともに一大消費地として台頭。投資環境も改善し、企業の決断ひとつで移転へのハードルは格段に低くなった。
日本企業が国内に持つ資産、国内で稼ぐ利益の割合はともに長期の低下傾向にある。これらデータを開示している企業では、資産の海外比率(集計対象660社)が3分の1を突破、日本で稼ぐ利益の比率(同420社)は10年前の8割から、5割台まで下がった。
「将来の投資先を国内にするか海外にするかは為替が大きく左右する」(富士重工業の高橋充最高財務責任者)。長期的に円高は避けられないと企業が判断すれば、国内産業の空洞化懸念は一段と増す。円高一服とはいえ、今なお、日本経済はその瀬戸際にある。
計画4割下回る
芝浦メカトロニクスはウォン安に苦しんだ。価格競争力を強めたライバルの韓国メーカーに押され、上期の受注が期初計画を4割下回った。
上期は幅広い通貨に対して急激に円高が進み、企業収益に広く、深いつめ跡を残した。足元で円高は一服しているものの、前期の平均レート1ドル=約93円に比べれば、まだ10円近い円高だ。
海外生産、割安な海外部品の使用、外貨建て債権と債務の両建てでの保有――企業は円高への対抗策を必死に繰り出している。日立建機は海外生産比率を高めるために欧州で建設機械を増産し、川崎汽船は新造船の代金を一部ドル建てで調達する検討に入った。
さらに進んでいるところもある。NECは輸出主体の半導体事業を分離した今期、対ドルで為替変動の影響額がゼロになり、東芝は円高がプラス要因に転じた。薄型テレビの海外委託生産拡大などが効いている。
雇用との板挟み
だが、こうした例はまだごく少数。例えば自動車大手7社は今期、1ドル=85円前後の各社の想定レートに従うと、円高による営業利益の目減り額が計8160億円に達する。為替変動がなければ稼げたはずの利益の3分の1を失う計算だ。
大和総研の試算によれば、製造業全体が営業赤字となる円ドル相場は1ドル=65円。ただ現状の為替水準でも、収益と雇用の板挟みに多くの企業が苦しんでいる。
新光電気工業は1ドル=80円の前提で、下期の純利益がほぼゼロになる。主力のMPU(超小型演算処理装置)向けICパッケージは少量多品種の高付加価値品。生産の海外移転は容易でない。「4000人の国内雇用を守りたい」(黒岩護社長)との思いも強い。
トヨタ自動車は国内生産の約3分の1に当たる100万台の生産を海外に移すと、社内外で計12万人の国内雇用が消失すると試算する。トヨタ単体の従業員数の約1・7倍だ。小沢哲副社長は5日の決算会見で「今の為替水準は日本経済、少なくともトヨタの競争力を超えている」と訴えた。
技術の流出を避けるため国内生産を貫いてきた東京エレクトロンは10月、ついに海外へかじをきった。コスト削減と中国需要の取り込みを狙い、中国江蘇省に液晶パネル製造装置の生産拠点を建設する。アジアは生産基地とともに一大消費地として台頭。投資環境も改善し、企業の決断ひとつで移転へのハードルは格段に低くなった。
日本企業が国内に持つ資産、国内で稼ぐ利益の割合はともに長期の低下傾向にある。これらデータを開示している企業では、資産の海外比率(集計対象660社)が3分の1を突破、日本で稼ぐ利益の比率(同420社)は10年前の8割から、5割台まで下がった。
「将来の投資先を国内にするか海外にするかは為替が大きく左右する」(富士重工業の高橋充最高財務責任者)。長期的に円高は避けられないと企業が判断すれば、国内産業の空洞化懸念は一段と増す。円高一服とはいえ、今なお、日本経済はその瀬戸際にある。
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