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:2009:06/08/17:17 ++ 第3部揺らぐCEO神話(4)グーグル創業者の覚悟(大転換)終
「全員満足」より理念貫徹
5月7日、ネット検索最大手の米グーグルがカリフォルニア州の本社で開いた株主総会に、2人の創業者社長の姿がなかった。今年から「技術や製品開発に集中することにした」という。
市場との間合い
ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏。2人の創業者は四半期ごとの決算発表にも時々しか出席しない。株主や市場との対話はエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)が一手に引き受ける。上場企業のトップにあるまじき態度にも見えるが、2人の天才は常に用心深く市場との間合いを保ってきた。
会社設立3年目には外部から招いたシュミット氏にCEOを任せ、2004年に株式を公開したときは特殊な株式を使って上場後もシュミット氏を含む3人が経営権を握れるようにした。
このとき2人は株主への手紙にこう書いている。「多くの企業はアナリストの意に沿うよう利益を出し続けるプレッシャーにさらされ、目先の利益にとらわれる。これは有害だ」
「世界中の情報を整理する」という壮大な目標を実現するには巨額の資金が必要だが、市場に翻弄(ほんろう)されたくはない。2人は市場からの批判を覚悟の上で、自分たちが技術革新に全力投球する環境を守ってきた。
過去1年間でグーグルが検索に加えた改良は359件。ほぼ1日1件のハイペースで進むカイゼンを支えるのは、世界から集まる優秀な人材。彼らは伝説のエンジニアである2人の創業者とともに「ネットで世界を変える」ことに熱中する。
グーグルの技術発表会で部外者が「その技術でどう稼ぐのか」と質問すると、ときどきエンジニアは「まだ考えていない」と平気な顔で答える。創業者と同様、社員も株価には無頓着。彼らを動機づけるのはストックオプション(株式購入権)ではなく、天才とともに「革新に参加する権利」だ。
グーグルが上場した04年、当時の日本で最も有名だったIT(情報技術)ベンチャーは、プロ野球チームの買収に名乗りを上げた。堀江貴文元社長率いるライブドア(現LDH)である。
00年の上場後、株式交換でM&A(合併・買収)を繰り返し、ニッポン放送に買収を仕掛けた。ライブドア事件の渦中で同社の代表取締役を務めた山崎徳之氏は、世間を騒がせていた時期の堀江元社長らが「とにかく(世の中や市場に)ウケることをやりたがっていた」と言う。
今振り返れば堀江元社長らは、できないことまで「できる」と言い、市場を使って身の丈を超えた経営に踏み込もうとした。再び起業し、上場を目指す山崎氏は「できることと、できないことを投資家にきちんと伝えていきたい」と言う。
「鉄鋼業界の暴れん坊」と呼ばれる電炉大手の東京製鉄。高炉が独占する自動車や家電用の薄板市場への参入を狙い、今秋にも愛知県田原市に新工場を造る。
東鉄は02年3月期まで9期連続で最終赤字(単独)を続けた。市場の評価は低かったが、目先の黒字化のために設備投資を削ることはしなかった。一方で機を見て大胆に投資する「東鉄流」(西本利一社長)を貫くために、無借金経営にはこだわった。今回の1620億円の設備投資も手元資金で賄う。
同志呼ぶ求心力
CEOは株主、社員、退職者など多くの利害関係者を満足させる責務を負う。だが、今回の経済危機では、CEOが1人ですべてを抱え込み「何でもできる」と見せる経営が、破綻に向かうリスクをはらむことが明らかになった。「できないことはできない」と伝え、それでも賛同してくれる投資家や社員を集めた企業は強い。
鉄鋼王アンドリュー・カーネギー。慈善活動に私財を投じ1919年に没した偉大な経営者は、自らの墓碑にこう記している。「ここに自分より優れた人々を集めるすべを知っていた男が眠る」=関連記事9面に
(第3部おわり)
5月7日、ネット検索最大手の米グーグルがカリフォルニア州の本社で開いた株主総会に、2人の創業者社長の姿がなかった。今年から「技術や製品開発に集中することにした」という。
市場との間合い
ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏。2人の創業者は四半期ごとの決算発表にも時々しか出席しない。株主や市場との対話はエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)が一手に引き受ける。上場企業のトップにあるまじき態度にも見えるが、2人の天才は常に用心深く市場との間合いを保ってきた。
会社設立3年目には外部から招いたシュミット氏にCEOを任せ、2004年に株式を公開したときは特殊な株式を使って上場後もシュミット氏を含む3人が経営権を握れるようにした。
このとき2人は株主への手紙にこう書いている。「多くの企業はアナリストの意に沿うよう利益を出し続けるプレッシャーにさらされ、目先の利益にとらわれる。これは有害だ」
「世界中の情報を整理する」という壮大な目標を実現するには巨額の資金が必要だが、市場に翻弄(ほんろう)されたくはない。2人は市場からの批判を覚悟の上で、自分たちが技術革新に全力投球する環境を守ってきた。
過去1年間でグーグルが検索に加えた改良は359件。ほぼ1日1件のハイペースで進むカイゼンを支えるのは、世界から集まる優秀な人材。彼らは伝説のエンジニアである2人の創業者とともに「ネットで世界を変える」ことに熱中する。
グーグルの技術発表会で部外者が「その技術でどう稼ぐのか」と質問すると、ときどきエンジニアは「まだ考えていない」と平気な顔で答える。創業者と同様、社員も株価には無頓着。彼らを動機づけるのはストックオプション(株式購入権)ではなく、天才とともに「革新に参加する権利」だ。
グーグルが上場した04年、当時の日本で最も有名だったIT(情報技術)ベンチャーは、プロ野球チームの買収に名乗りを上げた。堀江貴文元社長率いるライブドア(現LDH)である。
00年の上場後、株式交換でM&A(合併・買収)を繰り返し、ニッポン放送に買収を仕掛けた。ライブドア事件の渦中で同社の代表取締役を務めた山崎徳之氏は、世間を騒がせていた時期の堀江元社長らが「とにかく(世の中や市場に)ウケることをやりたがっていた」と言う。
今振り返れば堀江元社長らは、できないことまで「できる」と言い、市場を使って身の丈を超えた経営に踏み込もうとした。再び起業し、上場を目指す山崎氏は「できることと、できないことを投資家にきちんと伝えていきたい」と言う。
「鉄鋼業界の暴れん坊」と呼ばれる電炉大手の東京製鉄。高炉が独占する自動車や家電用の薄板市場への参入を狙い、今秋にも愛知県田原市に新工場を造る。
東鉄は02年3月期まで9期連続で最終赤字(単独)を続けた。市場の評価は低かったが、目先の黒字化のために設備投資を削ることはしなかった。一方で機を見て大胆に投資する「東鉄流」(西本利一社長)を貫くために、無借金経営にはこだわった。今回の1620億円の設備投資も手元資金で賄う。
同志呼ぶ求心力
CEOは株主、社員、退職者など多くの利害関係者を満足させる責務を負う。だが、今回の経済危機では、CEOが1人ですべてを抱え込み「何でもできる」と見せる経営が、破綻に向かうリスクをはらむことが明らかになった。「できないことはできない」と伝え、それでも賛同してくれる投資家や社員を集めた企業は強い。
鉄鋼王アンドリュー・カーネギー。慈善活動に私財を投じ1919年に没した偉大な経営者は、自らの墓碑にこう記している。「ここに自分より優れた人々を集めるすべを知っていた男が眠る」=関連記事9面に
(第3部おわり)
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