忍者ブログ

ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
忍者ブログ [PR]
(10/31)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/22)
(08/08)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/03)
04 2024/05 1 2 3 45 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 1819 20 21 22 23 24 2526 27 28 29 30 31 06

:2024:05/21/04:36  ++  [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

:2007:12/11/09:56  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(6)

■戦闘美少女に「日本」凝縮

 イタリアの大手紙「ラ・レパブリカ」が発行するカルチャー雑誌「XL」に、大阪出身のアートディレクター、Julie(ジュリ)さんの写真集「SAMURAI GIRL(サムライ・ガール)」が4ページにわたって取り上げられたのは、昨年4月だった。

 メード、ロリータファッション、セミヌードなど、さまざまなコスプレ(仮装)をした女の子と、秋葉原の街並みを合成した写真について、XLの記事はこう解説していた。

 「マンガやアニメの登場人物になりきる若者たちは、特異な存在ではない。実生活に幻想が溶け込んだ今の東京が表現されている」

 ファッション誌「VOGUE」や香港誌「MONDAY」も相次いで掲載し、写真集は世界的な注目を集めた。

 あどけない笑顔は10代の少女のようにもみえるジュリさん。年齢をたずねると「それは秘密に…」。本名もふせて、という。ミステリアスな雰囲気も魅力の一つなのだ。

 写真集を出すきっかけになったのは、1枚のコスプレ写真だった。「リボンの騎士」や「風の谷のナウシカ」「セーラームーン」など日本のマンガやアニメ、ゲームのキャラクターに欠かせない戦うヒロイン「戦闘美少女」たちをイメージした写真であった。

 ビキニのセクシーな衣装、首や腕に巻きつけた透明なチューブ、青白い光を放つ日本刀が、SFをほうふつさせる。

 「遊び半分で撮った1枚が評価されて、海外で写真集を出すことになるなんて…。夢にも思いませんでした」。ジュリさんはそう振り返る。

 子供のころからマンガが好きで、中学生のころはマンガ家になるのが夢だった。

 「クラスでは、地味な存在。放課後は図書館にこもって、マンガばかり描いていました」

 「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」など、ゲームの登場人物を題材にしたパロディーを描いては、同人誌に発表した。同人誌を売買するコミックマーケットには、必ず大好きなキャラクターのコスプレをして出かけたという。

 「写真を始めたのも、そのころから。マンガ家になるには実力が足りなかったけど、ダサいイメージのオタク文化をかっこよく撮りたいなぁと思うようになったんです」

 芸術系の大学に進学したものの、思っていた勉強ができず、1年で中退した。タレントなどを経験した後、本格的に写真の世界へ。

 転機が訪れたのは、フリーカメラマンとして下積み生活を送っていた4年前。作品が知人に紹介されたイタリア人編集者の目にとまり、こう誘われた。

 「あなたの作品に今の日本が詰まっている。イタリアで日本の写真集を作ってみないか」

 与えられたテーマは「日本らしさ」。漠然とした指示にとまどい、客観的に考えてみようと、イタリアに住むことにした。地元の若者と交流するなかで見えてきたのは、日本のマンガやアニメの浸透ぶりだ。

 「日本のアニメがほぼリアルタイムで放送されていることに驚きました。会話して盛り上がるのは『NARUTO(ナルト)』や『ONE PIECE(ワンピース)』といったマンガのことばかり。日本らしさって、歌舞伎とか芸者とか、伝統的なものかと思っていたけど、それだけじゃない。マンガ文化なんです」

 それが、ジュリさんの見つけた「答え」だった。

 ■「漢字と八百万の神々」パワー

 なぜ、日本のマンガがこれほど世界の若者を魅了するのか。

 京都精華大学マンガ学部長の牧野圭一氏は「『漢字』と『八百万(やおよろず)の神々』という日本固有の文化の帰結」と説明する。

 例えば、「重」という漢字がある。日本人なら文脈から「かさねる」「おもい」「え」「ジュウ」「チョウ」…と、瞬時に意味や読み方を判別できる。

 「マンガも漢字と同じ。読者は1コマの絵をみて、パッとその意味を読み取り、自由なイメージをふくらませる。そういう文化が背景にあるから、日本のマンガ家は1コマに必要以上の背景などを描き込まない。伝えたい内容だけを描く。結果的に外国人でも子供でもひと目で分かる伝達力のある作品になる」

 もう一つ。牧野氏は日本マンガの豊かなストーリー性について「森羅万象に神が宿るという日本固有の精神性が下地になっている」と指摘する。

 「偶像崇拝を禁止する一神教と異なり、日本は神様や神獣も自在に造形、擬人化する国。そんな寛容な風土がストーリーやキャラクターの自由な表現を可能にしているのではないか」

 例えば、欧米の悪魔といえば、人間にとって恐ろしい存在だが、日本の鬼や天狗(てんぐ)や閻魔(えんま)大王は、どことなく人間くさい存在として描かれる。「怖いものも決して排除しない。愛嬌(あいきょう)のあるキャラクターにしてしまう」。それは共生の思想といえるかもしれない。

 八百万の神々を崇(あが)めるように、外来のあらゆるものを許容し受け入れるのが日本文化の特性だ。そこから多様なストーリーが生まれる。「マンガを通して、世界の人々は知らず知らずのうち、日本の精神文化のとりこになっている」

 毎年夏、名古屋で開催される「世界コスプレサミット」は、日本のマンガ、アニメの世界的な人気ぶりを如実に表すイベントだ。

 5回目の今年は、独、伊、仏、スペイン、デンマーク、中国、韓国、タイ、シンガポール、メキシコ、ブラジル、日本の計12カ国が参加。予選を勝ち抜いた各国代表が2人1組で、衣装やパフォーマンスを競い合った。

 「各国の演技を見て驚かされるのは、マンガに関する豊富な知識と、流暢(りゅうちょう)な日本語」と、サミットを主催するテレビ愛知の加藤万理さん。

 今年優勝した仏代表は珠黎(しゅれい)こうゆさんのマンガ「ALICHINO(アリキーノ)」のコスプレで、「ガンダム」「ドラゴンボール」「デスノート」など日本の名作のパロディーを披露。約1万人の日本人ファンを沸かせた。

 日本語を学ぶ外国人も急増している。独立行政法人・国際交流基金の調査によると、平成18年の日本語学習者数は133カ国・地域で297万9820人。3年前(235万6745人)に比べて26%も増加した。

 同基金の日本語事業部長、嘉数勝美さんは「マンガやアニメが直接的な原因とはいえないが、海外の子供たちが日本語を学ぶ動機づけに役立っているのは間違いない」と指摘する。

 日本の魅力に気付いていないのは案外、日本人かもしれない。(大衡那美)
SFをほうふつさせる「戦闘美少女」のコスプレをしたジュリさん(左)

PR

+コメントの投稿+

+NAME+
+TITLE+
+FONT+
+MAIL+
+URL+
+COMMENT+
+PASS+
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

+TRACK BACK+

+TRACKBACK URL+