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:2009:03/09/13:46 ++ 【2030年】第1部 働く場所はありますか(5)30代社員の憂鬱 「企業は老化する一方だ」
「もう慣れましたが、腹が立つのは僕より給料が高い40歳以上のバブル入社の連中です。数は多いのに優秀な人は少ない。彼らの使い走りばかりで責任ある仕事も回ってこない。僕らは少子高齢化って呼んでんですけどね」
8年入社で、大手食品メーカーの自販機営業を担当する三浦雅之さん(38)=仮名=も同じ部署の後輩は2人だけ。自身の同期は18人だが、40代以上は各年次に100人ずつほどいるという。「バブル世代もポスト不足でだぶついてるが、うちの社の50代はさらにボリュームがある。彼らが退職すれば重しはとれるけど、雇用延長とかでなかなか出て行かない。ものすごい閉塞感ですよ」
実際、三浦さんらが入社した当時の大卒者の求人倍率は過去20年でも最低水準で、バブル世代に比べれば半分以下の年もあった。その下の世代にしても、多くの企業で採用が抑制され、社員のいびつな年齢構成が続いている。
「氷河期世代」もすでに30代半ば。妻子を持ち、住宅ローンを抱えるようにもなった。ただ、会社内での“世代間闘争”はいつの時代にも付きものであり、彼らにしてもいつかは部下を従え、給料も上がる日がくるのではないか。
「残念ながら、一握りの幹部候補生を除けばその可能性は低い。下手をすれば彼らは一生下働きになってしまう」。そんな指摘をするのは「若者はなぜ3年で辞めるのか?」などの著書がある人事コンサルタントの城繁幸さん(35)だ。「なぜなら、日本企業の代名詞だった定期昇給と年功序列という2つの賃金モデルがすでに破綻しているからです」
「ポスト」足りず
大手コンピューターメーカーに「平成9年組」として就職した城さんが、その「事実」に気づいたのは人事部にいた入社3年目のころだった。社内の人員構成をみれば、どう考えても将来のポストは足りない。生涯賃金を計算しても現在の60歳に比べ3割は減る。理由は根本的な問題だった。
「つまり勤続年数に応じて賃金が上がるというシステムは、組織も同様に成長を続けていかねば維持できないわけです。昭和の時代ならそれも通用したが、経済全体が縮小しつつある今、そんな企業は数えるほどしかない」
実際、定期昇給はすでに多くの企業が見送っており、年功序列型の給与体系は崩壊しつつある。現在の不況下では賃下げすら現実味を帯びている。一方で、「ポスト」だけは、多くの企業で年功序列型が絶対的なものになっている。しかも「上」にはポストを待つ大量のバブル世代たちが長蛇の列をつくっている。
「年功序列型組織で定期昇給がなく、序列も上がらないのなら、基本的に報酬も上がらない。能力給などの制度も同年代と比べているだけでたいした差はつかない。つまり30代の会社人生のレールは非常に微妙なところを走っているのに、会社側はそれをはっきり言わないわけです」
永遠に続くと思われていたシステムが実はすでに破綻している。このカラクリは、年金問題ともよく似ている。ただ「20年後」を今の賃金のまま迎えかねないのは決して30代だけではない。40代にしても数が多いだけ、より少ないパイの奪い合いとなる。そんな先輩たちの姿を追う20代は、会社や自身にどんな未来を描けばいいのだろうか。
新卒主義脱却を
「日本企業は、不況になれば新規採用を抑制して人件費を抑えてきた。それはすでにいる正社員の雇用を守るためです。そのツケがいま、派遣社員も含め若い人たちの未来を直撃している」。城さんはそう指摘し、彼らの閉塞感を取り除く方法を述べた。
「本来なら、正社員であっても解雇しやすい社会にするしかありません。雇用の流動化と言ってもいい。残酷に聞こえるかもしれないが、今のまま進めば企業は老化する一方だ。それこそ今の40代が定年を迎える2030年までの20年間、若い世代は上の世代の既得権と終身雇用を守るためだけに働かされてしまう」
法政大学大学院の小峰隆夫教授(61)=日本経済論=は「少なくとも採用面での新卒主義は改めるべきだ。たまたま卒業時に景気が悪ければ就職できないという不平等があり、その時点ではじき出された年齢層がそのまま社会で滞留してしまう」と指摘する。
これは裏を返せば、好景気のバブル採用も同様である。当時手当たり次第に採用した22歳の若者たちに、その後何億円もの生涯賃金を払っていかねばならないことに、企業側はどこまで覚悟を決めていただろうか。
20年後を50代半ばで迎える冒頭の平野さんに「あなたの2030年」を問うと、「上の世代が持っていくから退職金も足りなくなるかも。小会社への出向ポストもないと思う」と話し、こう付け加えた。
「解雇しやすい社会には大賛成。明日からでもやってもらいたい。ただ、いずれ自分にも降りかかってくるのなら、今のままで我慢するしかない。僕らだって正社員という既得権は手放したくないですから…」
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