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:2011:01/04/14:27 ++ 国を開き道を拓く(3)技術の囲い込み排し世界市場を目指せ(社説)
情報通信技術の進展や二酸化炭素の排出削減の必要性から、電力や交通などのインフラ分野で技術革新が起きている。自動車や環境など日本が得意とする分野で優位に立つには、世界市場をにらんだ技術の標準化や普及活動が欠かせない。
電気自動車の普及では、道路沿いに設備を設けて短時間で充電する技術が重要になる。充電プラグや電圧などの規格を統一し、異なる車種でも電池の残量に合わせて安全に充電する技術が必要だ。
国際標準の獲得が重要
この分野でトヨタ自動車や東京電力などが組み、国際標準の獲得を目指す活動が始まった。推進組織には中国や韓国など外国企業も30社以上加わり、日本の規格に強い関心を示す。自動車や電機の技術だけでなく電力を安全に効率よく供給する技術力も日本にあるからだ。
電気自動車の標準化に向け世界的な競争が始まった。米国やドイツなど自動車大国のほか、電力から攻める国もある。自動車メーカーがないアイルランドは車体の供給をルノー・日産自動車や三菱自動車に要請、国内に1社しかない電力会社を通じ国を挙げての実証実験を始めた。日本もこうした国と組むことで、海外での実験や技術の標準化に突破口を開くことができるかもしれない。
日本には苦い経験がある。米国の軍事衛星を用いたカーナビの開発で日本勢は先行したが、各社が独自技術を競い、仕様を囲い込むことで、閉鎖的な市場をつくってしまった。この結果、高機能だが値段も高くなった。一方、海外では安価な簡易端末が主流になり、日本は外国企業の後じんを拝すようになった。
モノづくりの技術を過信し、デジタル技術への転換に乗り遅れたことも、日本が標準化で後れを取った理由だ。ガソリン車や家電製品のような商品は、機能と品質がよければ外国で売れる。だが携帯電話のように通信インフラと一体化した商品は、規格が合わなければ使えない。
「エジソンの夢を日本で実現したい」。こんな掛け声のもと国内の電機メーカーや通信会社約40社が新たな標準化活動を始めている。家庭や事務所で使う電気をすべて直流でまかなう直流給電の規格づくりだ。
19世紀末、エジソンは直流方式の送電網を唱えたが、ライバルの発明家テスラが推す交流方式に敗れ、世界の送電網は交流が標準となった。交流は電圧を高めて遠くに送りやすいという理由だ。ところが太陽光発電や照明用の発光ダイオード(LED)の登場で、常識は覆る。
太陽光発電は直流で電気を起こし、LEDは直流で光る。交流で送配電するのはかえってロスが大きく、合理的とはいえなくなった。
パソコンなどの電子機器も直流で動く。今は端末ごとに電源アダプターで交流から直流に変換している。参加企業は直流のまま使える電子機器の規格をまとめ、国際的な標準機関に働き掛けた。日本発の提案が世界から試されようとしている。
日本発の技術を世界に広めるには国際標準として認めてもらう努力が必要だ。標準化は国際電気通信連合(ITU)など国際機関を中心に進んできた。だが、世界の特定の有力企業の技術者などが集まる会合で事実上の方向性が決まるのが現実だ。
官民の連携が不可欠に
日本が技術標準の採用を求めるには、こうした会合に加わって影響力を発揮できる人材の育成や官民一体での活動が欠かせない。米国では国立標準技術研究所が規格づくりの先頭に立ち、企業派遣を含め約4000人が品質や安全性などの標準化に携わる。日本は経済産業省や総務省などの研究組織がバラバラで、一元的な技術戦略を描けていない。
標準化が重要な分野は多い。次世代送電網(スマートグリッド)でも米政府は送電網の制御技術や通信方式など80件もの規格を2年前に提案したが、日本の対応は遅れた。
政府は新成長戦略の中に標準化戦略の重要性を明記し、ようやく取り組みを始めようとするところだ。
交通渋滞の緩和などを促す高度道路交通システム(ITS)や様々なソフトをネットで提供するクラウドコンピューティングも、日本の存在感を示せる分野だ。そのためには省庁の縦割りを排し、企業間の戦略的連携を進める必要がある。企業も自社の技術を海外に売り込む提案や交渉ができる人材の育成が急務だ。
日本の技術戦略はこれまで守ることに主眼があった。これからは技術を海外に広め、新興国などの新しい需要を取り込む必要がある。2011年がそうした技術開国の幕開けの年となることを期待したい。
電気自動車の普及では、道路沿いに設備を設けて短時間で充電する技術が重要になる。充電プラグや電圧などの規格を統一し、異なる車種でも電池の残量に合わせて安全に充電する技術が必要だ。
国際標準の獲得が重要
この分野でトヨタ自動車や東京電力などが組み、国際標準の獲得を目指す活動が始まった。推進組織には中国や韓国など外国企業も30社以上加わり、日本の規格に強い関心を示す。自動車や電機の技術だけでなく電力を安全に効率よく供給する技術力も日本にあるからだ。
電気自動車の標準化に向け世界的な競争が始まった。米国やドイツなど自動車大国のほか、電力から攻める国もある。自動車メーカーがないアイルランドは車体の供給をルノー・日産自動車や三菱自動車に要請、国内に1社しかない電力会社を通じ国を挙げての実証実験を始めた。日本もこうした国と組むことで、海外での実験や技術の標準化に突破口を開くことができるかもしれない。
日本には苦い経験がある。米国の軍事衛星を用いたカーナビの開発で日本勢は先行したが、各社が独自技術を競い、仕様を囲い込むことで、閉鎖的な市場をつくってしまった。この結果、高機能だが値段も高くなった。一方、海外では安価な簡易端末が主流になり、日本は外国企業の後じんを拝すようになった。
モノづくりの技術を過信し、デジタル技術への転換に乗り遅れたことも、日本が標準化で後れを取った理由だ。ガソリン車や家電製品のような商品は、機能と品質がよければ外国で売れる。だが携帯電話のように通信インフラと一体化した商品は、規格が合わなければ使えない。
「エジソンの夢を日本で実現したい」。こんな掛け声のもと国内の電機メーカーや通信会社約40社が新たな標準化活動を始めている。家庭や事務所で使う電気をすべて直流でまかなう直流給電の規格づくりだ。
19世紀末、エジソンは直流方式の送電網を唱えたが、ライバルの発明家テスラが推す交流方式に敗れ、世界の送電網は交流が標準となった。交流は電圧を高めて遠くに送りやすいという理由だ。ところが太陽光発電や照明用の発光ダイオード(LED)の登場で、常識は覆る。
太陽光発電は直流で電気を起こし、LEDは直流で光る。交流で送配電するのはかえってロスが大きく、合理的とはいえなくなった。
パソコンなどの電子機器も直流で動く。今は端末ごとに電源アダプターで交流から直流に変換している。参加企業は直流のまま使える電子機器の規格をまとめ、国際的な標準機関に働き掛けた。日本発の提案が世界から試されようとしている。
日本発の技術を世界に広めるには国際標準として認めてもらう努力が必要だ。標準化は国際電気通信連合(ITU)など国際機関を中心に進んできた。だが、世界の特定の有力企業の技術者などが集まる会合で事実上の方向性が決まるのが現実だ。
官民の連携が不可欠に
日本が技術標準の採用を求めるには、こうした会合に加わって影響力を発揮できる人材の育成や官民一体での活動が欠かせない。米国では国立標準技術研究所が規格づくりの先頭に立ち、企業派遣を含め約4000人が品質や安全性などの標準化に携わる。日本は経済産業省や総務省などの研究組織がバラバラで、一元的な技術戦略を描けていない。
標準化が重要な分野は多い。次世代送電網(スマートグリッド)でも米政府は送電網の制御技術や通信方式など80件もの規格を2年前に提案したが、日本の対応は遅れた。
政府は新成長戦略の中に標準化戦略の重要性を明記し、ようやく取り組みを始めようとするところだ。
交通渋滞の緩和などを促す高度道路交通システム(ITS)や様々なソフトをネットで提供するクラウドコンピューティングも、日本の存在感を示せる分野だ。そのためには省庁の縦割りを排し、企業間の戦略的連携を進める必要がある。企業も自社の技術を海外に売り込む提案や交渉ができる人材の育成が急務だ。
日本の技術戦略はこれまで守ることに主眼があった。これからは技術を海外に広め、新興国などの新しい需要を取り込む必要がある。2011年がそうした技術開国の幕開けの年となることを期待したい。
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