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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2010:12/02/12:02  ++  揺らぐ「欧州のドイツ」(地球回覧)

 「我々はドイツの欧州ではなく、欧州のドイツを求める」。戦時中ナチスを批判して亡命生活を送った作家トーマス・マンは、祖国の進むべき道として欧州をドイツ化するのではなく、ドイツが欧州にとけこんでいくことを説いた。
 この考え方は戦後のドイツ外交の基本になり、欧州連合(EU)や通貨統合にも生かされた。冷戦終結後の東西統一でドイツの強大化を警戒する隣国に対し、自国通貨マルクを捨ててユーロに加わることで欧州との協調路線を明確にした。
 ところがベルリンの壁崩壊から20年、ユーロ創設から10年がたった昨年あたりから様子が変わってきた。
 昨年末に表面化したギリシャ財政危機。メルケル独首相は、国内世論や憲法上の制約を理由に当初は支援に慎重姿勢をとり、最終決着は5月までずれ込んだ。
 そして今回のアイルランドなどの危機でも、混乱の一因はドイツが提案した「国債投資家への負担要請」だ。ドイツは欧州の新たな財政監視の枠組みでも、財政再建目標を達成できない国に厳しい制裁措置を求める。
 こうしたドイツの強気の姿勢は、他の欧州諸国、特に財政危機に苦しむ国からみれば「皆がドイツ人のようになれ」と言われているように映る。
 金融危機後、ドイツ経済は欧州では一人勝ちとも言える状況だ。不動産バブルで高成長していたスペインや「ケルトの虎」と呼ばれたアイルランドが次々と失速するのをよそに、中国など新興国向け輸出で稼ぎまくる。11月の独景況感指数は1990年の東西ドイツ統合以来で最高水準を記録した。
 「ドイツは新興国向け輸出の好調で自国経済に自信満々。今、ユーロ圏内の不均衡是正のためにドイツに内需拡大を求めても聞く耳をもたない」。最近パリを訪れた英研究者に仏政府当局者はこうもらした。
 財政危機国への金融支援も、最大の資金貢献国のドイツが首を縦に振らなければ何も決まらない。金融危機後、ユーロ圏内でドイツの相対的な経済力と発言力は一段と強まった。
 「放漫財政で勤労意欲も低く生産性も低い」。ドイツが南欧などに向ける批判は正論に聞こえる。だが、南欧側には「ドイツは、貿易面でユーロ導入による通貨安定の恩恵を受けている。経済危機でも我々は対独で通貨切り下げはできず、財政緊縮策で低成長を甘受するしかない」という不満がくすぶる。
 「ドイツはギリシャ支援の際はユーロ圏で指導力を発揮しないと批判され、最近は指導力を発揮しすぎると批判される」。最近のロンドンでの会合でドイツ政府当局者が皮肉まじりに語った。
 ドイツとしてはユーロ圏の統合強化を主導しようとするのを批判されるのは納得がいかないということだろう。だが問題はその指導力の発揮の仕方だ。国内事情だけで自説を他国に押しつければ「再び欧州をドイツ化しようというのか」という警戒感が広がる。
 「首相はまず国内的に利益を得られるかどうかという観点で外交を考える」。世界を揺るがした「ウィキリークス」を通じた米外交公電の暴露。独シュピーゲル誌は、米外交官のみたメルケル首相の外交観をこう伝えた。強くなったドイツのパワーの使い方が問われている
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