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:2010:12/20/09:15 ++ 政権漂流の15ヵ月―消費増税・TPPに針路を(核心)
南太平洋で先月、ボートで漂流する3人の少年が、50日ぶりに漁船に救助された。子どものころ繰り返し読んだ「15少年漂流記」を思い出した。ジュール・ヴェルヌの冒険小説で、読むたびにワクワクした。
鳩山由紀夫政権9カ月と菅直人政権6カ月。民主党政権「15カ月漂流記」はワクワクどころか、ハラハラ、イライラの連続だった。
自身の食言で普天間問題に振り回された鳩山首相。退陣後に作家の塩野七生さんが、月刊文芸春秋の巻頭随筆に鳩山政権の9カ月を「悪い夢だった、と思って忘れるほうがよほど生産的である」と書いていた。
同感の人も多いだろう。だが、忘れてはならない教訓もある。日米同盟にすきま風が入ると、中国やロシアに足もとを見られるということ。尖閣諸島をめぐる中国とのあつれきや、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問は、鳩山政権がまいた種ともいえる。
菅政権の発足直後の内閣支持率は7割ほど。多くの人が、まだ民主党政権の立て直しに、期待を抱いていたのだ。今や調査によっては政党支持率で、自民党に逆転されている。
首相が短期間にくるくる代わるのは国益に反する。だが、英誌エコノミストの日本特集も指摘するように世界に例のない人口の高齢化、膨大な国債などの重荷を背負い、大変革なしに立ち行かないのが日本の実情だ。何もできない首相に居座られても、貴重な時間の浪費で、国益を損なう。
菅首相が来年も政権を担うつもりなら、待ったなしの課題に、体当たりしてもらうしかない。候補を2つあげれば、消費税の増税と環太平洋経済連携協定(TPP)への参加。いずれも首相が言い出した。
予算編成の大詰めで、唐突に所得税と相続税の増税が飛び出した。民主党が政権をとった総選挙の政権公約(マニフェスト)では政策経費の大半を予算のムダを削ってまかなうはずだった。一般会計と特別会計の見直しで10兆円規模の財源が出る触れ込みだった。
だが、財源を掘り出す装置としての「事業仕分け」は回を重ねるごとに回収額が減り、マニフェストの皮算用には、ケタが一つ二つ足りない。財源案が「絵に描いたモチ」だったのは隠しようがない。菅首相が消費税引き上げを言い出したのは、不都合な真実を認めたからだが、参院選の惨敗後は口にしなくなった。
しかし、年金、医療、介護などの社会保障制度を持続可能にする改革も、消費税を封印したままでは前に進まない。安全網があてにならず、国の借金が膨張する一方では、人々の財布のヒモがゆるむはずがない。日本経済にとって、もはや消費税を上げるリスクより、上げないリスクの方が大きいのではないか。
民主党政権の経済政策の軸は「内需」だった。税金を直接家計に投入して消費主導の内需拡大を目指す。「子ども手当」が代表だ。しかし、厚生労働省の調査では子ども手当の4割強が貯蓄に回っている。政治が何もかも将来世代につけ回しする現状を見かねた「親心」だろうが、これでは内需振興にならない。
成長著しいアジアなどの「外需」を取り込まない手はないと政権も気づいたようだ。国際競争力に目を向け、世界で最高水準の法人税の減税に踏み切った。
だが、5%の引き下げでは、国内企業を引き留め、海外企業を誘い込むには力不足だ。お隣の韓国は欧州連合(EU)、米国と相次いで自由貿易協定を結んだ。出遅れた日本にとって、TPPへの参加は挽回のチャンスだ。
菅首相は、臨時国会の所信表明演説で、TPPへの参加を検討し「アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と明言した。
ところが農業団体などの強い反対に遭うとトーンダウン。交渉へのオブザーバー参加も拒まれた。「開国」に備えた農業対策を来秋打ち出す手はずだが、そのころには日本抜きの交渉が煮詰まり、参加の好機を失っているかもしれない。
菅首相の言動で気になるのは「言い訳がましい」ことだ。消費税も「自民党が10%と言っているから」と10%への引き上げ案を唱えた。信念の裏打ちがない言葉は、説得力がない。
第2次大戦の末期、ルーズベルト米大統領の急死で副大統領から昇格したハリー・トルーマン大統領は、執務机に座右の銘「The BUCK STOPS here」と書かれた木製プレートを置いていた。
「BUCK」は俗語でポーカーの親。「pass the buck」は責任を転嫁する、という意味だ。プレートの言うところは、「責任はここでとる」。トルーマンが下した決定の是非は別として、指導者としての心構えは買える。
記者会見で菅首相が指導力を発揮した具体例を聞かれた仙谷由人官房長官が、即座に答えられなかった。責任の所在がはっきりせず内輪もめが絶えない。政権漂流に菅首相らの責任は重い。国会での説明責任から逃げ回る一兵卒もまた。
鳩山由紀夫政権9カ月と菅直人政権6カ月。民主党政権「15カ月漂流記」はワクワクどころか、ハラハラ、イライラの連続だった。
自身の食言で普天間問題に振り回された鳩山首相。退陣後に作家の塩野七生さんが、月刊文芸春秋の巻頭随筆に鳩山政権の9カ月を「悪い夢だった、と思って忘れるほうがよほど生産的である」と書いていた。
同感の人も多いだろう。だが、忘れてはならない教訓もある。日米同盟にすきま風が入ると、中国やロシアに足もとを見られるということ。尖閣諸島をめぐる中国とのあつれきや、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問は、鳩山政権がまいた種ともいえる。
菅政権の発足直後の内閣支持率は7割ほど。多くの人が、まだ民主党政権の立て直しに、期待を抱いていたのだ。今や調査によっては政党支持率で、自民党に逆転されている。
首相が短期間にくるくる代わるのは国益に反する。だが、英誌エコノミストの日本特集も指摘するように世界に例のない人口の高齢化、膨大な国債などの重荷を背負い、大変革なしに立ち行かないのが日本の実情だ。何もできない首相に居座られても、貴重な時間の浪費で、国益を損なう。
菅首相が来年も政権を担うつもりなら、待ったなしの課題に、体当たりしてもらうしかない。候補を2つあげれば、消費税の増税と環太平洋経済連携協定(TPP)への参加。いずれも首相が言い出した。
予算編成の大詰めで、唐突に所得税と相続税の増税が飛び出した。民主党が政権をとった総選挙の政権公約(マニフェスト)では政策経費の大半を予算のムダを削ってまかなうはずだった。一般会計と特別会計の見直しで10兆円規模の財源が出る触れ込みだった。
だが、財源を掘り出す装置としての「事業仕分け」は回を重ねるごとに回収額が減り、マニフェストの皮算用には、ケタが一つ二つ足りない。財源案が「絵に描いたモチ」だったのは隠しようがない。菅首相が消費税引き上げを言い出したのは、不都合な真実を認めたからだが、参院選の惨敗後は口にしなくなった。
しかし、年金、医療、介護などの社会保障制度を持続可能にする改革も、消費税を封印したままでは前に進まない。安全網があてにならず、国の借金が膨張する一方では、人々の財布のヒモがゆるむはずがない。日本経済にとって、もはや消費税を上げるリスクより、上げないリスクの方が大きいのではないか。
民主党政権の経済政策の軸は「内需」だった。税金を直接家計に投入して消費主導の内需拡大を目指す。「子ども手当」が代表だ。しかし、厚生労働省の調査では子ども手当の4割強が貯蓄に回っている。政治が何もかも将来世代につけ回しする現状を見かねた「親心」だろうが、これでは内需振興にならない。
成長著しいアジアなどの「外需」を取り込まない手はないと政権も気づいたようだ。国際競争力に目を向け、世界で最高水準の法人税の減税に踏み切った。
だが、5%の引き下げでは、国内企業を引き留め、海外企業を誘い込むには力不足だ。お隣の韓国は欧州連合(EU)、米国と相次いで自由貿易協定を結んだ。出遅れた日本にとって、TPPへの参加は挽回のチャンスだ。
菅首相は、臨時国会の所信表明演説で、TPPへの参加を検討し「アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と明言した。
ところが農業団体などの強い反対に遭うとトーンダウン。交渉へのオブザーバー参加も拒まれた。「開国」に備えた農業対策を来秋打ち出す手はずだが、そのころには日本抜きの交渉が煮詰まり、参加の好機を失っているかもしれない。
菅首相の言動で気になるのは「言い訳がましい」ことだ。消費税も「自民党が10%と言っているから」と10%への引き上げ案を唱えた。信念の裏打ちがない言葉は、説得力がない。
第2次大戦の末期、ルーズベルト米大統領の急死で副大統領から昇格したハリー・トルーマン大統領は、執務机に座右の銘「The BUCK STOPS here」と書かれた木製プレートを置いていた。
「BUCK」は俗語でポーカーの親。「pass the buck」は責任を転嫁する、という意味だ。プレートの言うところは、「責任はここでとる」。トルーマンが下した決定の是非は別として、指導者としての心構えは買える。
記者会見で菅首相が指導力を発揮した具体例を聞かれた仙谷由人官房長官が、即座に答えられなかった。責任の所在がはっきりせず内輪もめが絶えない。政権漂流に菅首相らの責任は重い。国会での説明責任から逃げ回る一兵卒もまた。
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