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:2010:12/27/10:39 ++ 政策と経営で韓国への巻き返しを急げ(社説)
韓国企業が世界市場で存在感を一段と強めている。日韓は電機や自動車など産業構造が似通う。最大のライバルだけに、韓国の台頭は無視できない。政策と経営の両面で、韓国への巻き返しを急ぐ必要がある。
今年初めて、日韓企業の世界シェアが入れ替わるとみられる製品がある。パソコンや携帯電話などに欠かせないリチウムイオン電池だ。
部品や素材でも攻勢
独走してきた三洋電機が2位に後退し、韓国サムスン系のサムスンSDIが首位、韓国のLG化学が3位に入る見込みだ。日本勢は国別のシェアではトップを維持するが、来年は日韓の逆転が濃厚ともいわれる。
リチウムイオン電池は電気自動車が普及すると、需要が急増する。LG化学は、米ゼネラル・モーターズ(GM)や仏ルノーなどへの供給契約を次々と獲得している。
リチウムイオン電池だけでない。テレビなどの液晶画面に貼る偏光フィルムは、日東電工が数年前まで5割強のシェアを誇っていたが、LG化学が肩を並べるようになった。
信越化学工業など日本勢がほぼ独占してきた半導体用のシリコンウエハーも、LGグループのLGシルトロンが市場の1割を握る。「4~5年以内に韓国勢が首位に躍り出る可能性もある」と野村証券はいう。
日韓の貿易構造は、韓国の対日赤字が恒常的に続いている。赤字額は昨年も約280億ドルに上った。いまや薄型テレビ、半導体などで世界市場を席巻する韓国だが、部品や素材の多くは、高い技術力を持つ日本に頼らざるを得なかったからだ。
ところが日本が得意としてきた先端分野にも、韓国勢がどんどん進出してきているのが現実である。
足元の日本市場でも、LG電子が高級薄型テレビの販売を始めた。NTTドコモが10月末に売り出したサムスン電子製のスマートフォン(高機能携帯電話)は品薄状態が続く。若者層を中心に日本の消費者は今や韓国との技術力の差を意識しない。
韓国勢の攻勢には通貨のウォン安の恩恵もある。だが迅速な経営判断、成長分野への投資、選択と集中、徹底したグローバル展開は、日本企業との勢いの差につながっている。韓国の経済規模は日本のおよそ5分の1だ。国内の市場が小さく、海外に成長の糧を求めるしか生き残れないという危機意識は徹底している。
政府の後押しも見逃せない。1997年のアジア通貨危機をバネに、輸出主導の成長戦略に腰を据えて取り組み、主要産業の再編、法人税の引き下げ、自由貿易協定(FTA)などを戦略的に進めてきた。FTAでは、巨大市場の欧州連合(EU)や米国との交渉も妥結させた。このままでは日本企業が不利な競争条件に立たされてしまう。
日本は真剣に韓国に学ぶべきだ。そのうえで国際競争力を取り戻す方策をとっていく必要がある。
原子力、太陽光パネルなど、日本が誇る最先端分野はまだ多い。重要なのは、成長分野で世界の最強企業をつくっていく見取り図であろう。そのための業界再編は、真正面から検討していくべきではないか。
日本国内には電機大手が9社、自動車は12社がひしめく。韓国は政府主導の業界再編で、主要業種ごとの企業を2社前後に絞った。日本も国内の競争に消耗せず、海外進出できる環境をつくるべきだ。
大規模な再編には時間がかかるというなら、各社は事業の選択を急ぐべきだ。日立製作所は三菱重工業と水力発電機で提携した。東芝も原子力発電に投資を集中し、半導体は不採算のシステムLSI(大規模集積回路)をサムスン電子に生産委託して得意のメモリー事業に特化する。
TPP参加に走れ
韓国との差別化で、収益源を探る道もある。パナソニックは今年、テレビや白物家電では単品ごとのシェアにとらわれない経営にかじを切った。代わりに家やオフィスビルの内部を一括して引き受ける事業を柱に据え、組織を変えた。設計や施工、保守をまとめて売ろうという戦略だ。こうした発想は、海外でのインフラビジネスにも欠かせない。
政府はもっとスピード感をもって事に臨むべきである。
菅政権は来年度の税制改正で、法人税の実効税率を現行の40・69%から約5%下げることを決めた。だが約24%の韓国との差はなお大きい。FTAでは、米国や豪州などが交渉を進める環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を、いわば最後のチャンスとして取り組むべきだ。
業界再編を促すため、独占禁止法の弾力的な運用も検討課題だろう。国内の消費者に不利益となる事態は避けるべきだが、世界市場をにらむ企業に対しては、規模の追求を後押しすることも考えたい。
世界では今、官民挙げての国家戦略がぶつかり合っている。手をこまぬけば、日本は埋没してしまう。
今年初めて、日韓企業の世界シェアが入れ替わるとみられる製品がある。パソコンや携帯電話などに欠かせないリチウムイオン電池だ。
部品や素材でも攻勢
独走してきた三洋電機が2位に後退し、韓国サムスン系のサムスンSDIが首位、韓国のLG化学が3位に入る見込みだ。日本勢は国別のシェアではトップを維持するが、来年は日韓の逆転が濃厚ともいわれる。
リチウムイオン電池は電気自動車が普及すると、需要が急増する。LG化学は、米ゼネラル・モーターズ(GM)や仏ルノーなどへの供給契約を次々と獲得している。
リチウムイオン電池だけでない。テレビなどの液晶画面に貼る偏光フィルムは、日東電工が数年前まで5割強のシェアを誇っていたが、LG化学が肩を並べるようになった。
信越化学工業など日本勢がほぼ独占してきた半導体用のシリコンウエハーも、LGグループのLGシルトロンが市場の1割を握る。「4~5年以内に韓国勢が首位に躍り出る可能性もある」と野村証券はいう。
日韓の貿易構造は、韓国の対日赤字が恒常的に続いている。赤字額は昨年も約280億ドルに上った。いまや薄型テレビ、半導体などで世界市場を席巻する韓国だが、部品や素材の多くは、高い技術力を持つ日本に頼らざるを得なかったからだ。
ところが日本が得意としてきた先端分野にも、韓国勢がどんどん進出してきているのが現実である。
足元の日本市場でも、LG電子が高級薄型テレビの販売を始めた。NTTドコモが10月末に売り出したサムスン電子製のスマートフォン(高機能携帯電話)は品薄状態が続く。若者層を中心に日本の消費者は今や韓国との技術力の差を意識しない。
韓国勢の攻勢には通貨のウォン安の恩恵もある。だが迅速な経営判断、成長分野への投資、選択と集中、徹底したグローバル展開は、日本企業との勢いの差につながっている。韓国の経済規模は日本のおよそ5分の1だ。国内の市場が小さく、海外に成長の糧を求めるしか生き残れないという危機意識は徹底している。
政府の後押しも見逃せない。1997年のアジア通貨危機をバネに、輸出主導の成長戦略に腰を据えて取り組み、主要産業の再編、法人税の引き下げ、自由貿易協定(FTA)などを戦略的に進めてきた。FTAでは、巨大市場の欧州連合(EU)や米国との交渉も妥結させた。このままでは日本企業が不利な競争条件に立たされてしまう。
日本は真剣に韓国に学ぶべきだ。そのうえで国際競争力を取り戻す方策をとっていく必要がある。
原子力、太陽光パネルなど、日本が誇る最先端分野はまだ多い。重要なのは、成長分野で世界の最強企業をつくっていく見取り図であろう。そのための業界再編は、真正面から検討していくべきではないか。
日本国内には電機大手が9社、自動車は12社がひしめく。韓国は政府主導の業界再編で、主要業種ごとの企業を2社前後に絞った。日本も国内の競争に消耗せず、海外進出できる環境をつくるべきだ。
大規模な再編には時間がかかるというなら、各社は事業の選択を急ぐべきだ。日立製作所は三菱重工業と水力発電機で提携した。東芝も原子力発電に投資を集中し、半導体は不採算のシステムLSI(大規模集積回路)をサムスン電子に生産委託して得意のメモリー事業に特化する。
TPP参加に走れ
韓国との差別化で、収益源を探る道もある。パナソニックは今年、テレビや白物家電では単品ごとのシェアにとらわれない経営にかじを切った。代わりに家やオフィスビルの内部を一括して引き受ける事業を柱に据え、組織を変えた。設計や施工、保守をまとめて売ろうという戦略だ。こうした発想は、海外でのインフラビジネスにも欠かせない。
政府はもっとスピード感をもって事に臨むべきである。
菅政権は来年度の税制改正で、法人税の実効税率を現行の40・69%から約5%下げることを決めた。だが約24%の韓国との差はなお大きい。FTAでは、米国や豪州などが交渉を進める環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を、いわば最後のチャンスとして取り組むべきだ。
業界再編を促すため、独占禁止法の弾力的な運用も検討課題だろう。国内の消費者に不利益となる事態は避けるべきだが、世界市場をにらむ企業に対しては、規模の追求を後押しすることも考えたい。
世界では今、官民挙げての国家戦略がぶつかり合っている。手をこまぬけば、日本は埋没してしまう。
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