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:2010:12/28/09:32 ++ 政治がなすべき3つの政策(下)開国で成長できる国に。
太平洋を横切るテレビ会議の通信回線に、米政府が毎日のように予約を入れている。ワシントン、シンガポール、キャンベラなど、各国の担当者を直接結ぶ政府間の協議。話し合われているのは、自由貿易圏をつくる環太平洋経済連携協定(TPP)の中身である。
日本抜きで交渉
協定文の原案は部外者が想像する以上の速さで固まりつつある。参加国は米国、シンガポール、豪州、ベトナムなど9カ国。各国の代表が実際に集まる次回2月のチリでの会合で、最初の草案が出そろう見通しだ。
TPPは親しい仲間どうしで障壁を取り払い、貿易や投資、人材の移動などを自由にする構想だ。日本が加われば、最大の輸出相手国の米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶのと等しい効果がある。低迷する日本経済に活力を吹き込むのは間違いない。
だが今のところ日本は蚊帳の外。今月6日からニュージーランドで開いた会合に「傍聴人」として出席を希望したが、返事はつれなかった。米通商代表部(USTR)から外務省に届いた連絡は「日本が参加するのは不適切だ」と簡潔だった。
TPPの是非をめぐり、日本では百家争鳴の議論が続く。国内の意思統一ができない以上、交渉には加われない。日本が声を反映できないまま、新しい東アジアの通商秩序を決める協定づくりが駆け足で進む。
菅直人首相は今月、貿易自由化の大前提となる農政改革に着手した。歴代政権が逃げ続けた難題に挑む構えだが、改革案をまとめるのは来年6月がメド。交渉に参加するかどうかを決めるのは、その後だとしている。
これでは間に合うはずもない。米オバマ政権が目指す決着期限は、来年11月だ。来春の統一地方選を気にした政治的な判断で結論を先送りにする余裕など日本にはない。
自由貿易を目指すのか。国を開く意志があるのか。世界の問いに、日本の政治は答える必要がある。米国や欧州連合(EU)、豪州などとの2国間のFTAを動かすためにも、菅政権が取り組むべき課題は明らかだ。
11月半ば、霞が関はTPP反対を叫ぶ3千人のデモ隊に包まれた。千葉から来た農家は「外国ネギが入ってきたら暮らしていけない」と憤る。
だが、現実にはネギの関税は3%と世界でも最低水準で、すでに輸入品が大量に国内に流入している。高品質でしっかり需要をつかむ国産の野菜や果実の例は多い。その実力を、農家自身が自覚していない場合もある。
問題の根は「守り」の農政にある。高い関税で国内農業を鎖国状態に置く一方、補助金で減反を進め、コメの生産を抑え込む。その負担は高い食品価格という形で、消費者が払ってきた。
生産意欲もなく、将来の転売を期待して農地を手放さない名ばかりの農家も増えた。日本全体の耕作放棄地は、埼玉県ほどの広さに達している。
規模の大小や専業か兼業かの区別なく大くくりに「農業問題」として扱えば、旧態依然の保護論争にはまり込むだけだ。意味ある政策論から離れ、票田にらみの政治ゲームに陥る危険がある。
資本集められず
政治が取り組むべき課題は、生産性を高め、生き残れる農業を育てる「攻め」の農政への転換だ。土地利用や税制、農協改革を含め農政を根幹から見直す大仕事には、政治の意志が要る。市場開放後に必要な生産を守るためには、財政負担の議論も避けられない。
日本への海外からの直接投資残高は約2千億ドル。国内総生産(GDP)の約4%と、主要国で最も低い。成長に必要な資本を、世界から集められなくなっている。
人の流れも同様。学生の留学先として日本の大学の人気は陰り、研究開発や医療、デザインなど高度分野で日本で働く夢を抱くアジアの若者は減り続けている。
国として輝きを失ったのは、内側を向いて閉じた日本の姿勢の結果だろう。高まるTPP論議は国を開く好機にもなる。企業や農業、そして日本人が、元気に活躍できる舞台に戻る道をつくるのが、政治の責務だ。
日本抜きで交渉
協定文の原案は部外者が想像する以上の速さで固まりつつある。参加国は米国、シンガポール、豪州、ベトナムなど9カ国。各国の代表が実際に集まる次回2月のチリでの会合で、最初の草案が出そろう見通しだ。
TPPは親しい仲間どうしで障壁を取り払い、貿易や投資、人材の移動などを自由にする構想だ。日本が加われば、最大の輸出相手国の米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶのと等しい効果がある。低迷する日本経済に活力を吹き込むのは間違いない。
だが今のところ日本は蚊帳の外。今月6日からニュージーランドで開いた会合に「傍聴人」として出席を希望したが、返事はつれなかった。米通商代表部(USTR)から外務省に届いた連絡は「日本が参加するのは不適切だ」と簡潔だった。
TPPの是非をめぐり、日本では百家争鳴の議論が続く。国内の意思統一ができない以上、交渉には加われない。日本が声を反映できないまま、新しい東アジアの通商秩序を決める協定づくりが駆け足で進む。
菅直人首相は今月、貿易自由化の大前提となる農政改革に着手した。歴代政権が逃げ続けた難題に挑む構えだが、改革案をまとめるのは来年6月がメド。交渉に参加するかどうかを決めるのは、その後だとしている。
これでは間に合うはずもない。米オバマ政権が目指す決着期限は、来年11月だ。来春の統一地方選を気にした政治的な判断で結論を先送りにする余裕など日本にはない。
自由貿易を目指すのか。国を開く意志があるのか。世界の問いに、日本の政治は答える必要がある。米国や欧州連合(EU)、豪州などとの2国間のFTAを動かすためにも、菅政権が取り組むべき課題は明らかだ。
11月半ば、霞が関はTPP反対を叫ぶ3千人のデモ隊に包まれた。千葉から来た農家は「外国ネギが入ってきたら暮らしていけない」と憤る。
だが、現実にはネギの関税は3%と世界でも最低水準で、すでに輸入品が大量に国内に流入している。高品質でしっかり需要をつかむ国産の野菜や果実の例は多い。その実力を、農家自身が自覚していない場合もある。
問題の根は「守り」の農政にある。高い関税で国内農業を鎖国状態に置く一方、補助金で減反を進め、コメの生産を抑え込む。その負担は高い食品価格という形で、消費者が払ってきた。
生産意欲もなく、将来の転売を期待して農地を手放さない名ばかりの農家も増えた。日本全体の耕作放棄地は、埼玉県ほどの広さに達している。
規模の大小や専業か兼業かの区別なく大くくりに「農業問題」として扱えば、旧態依然の保護論争にはまり込むだけだ。意味ある政策論から離れ、票田にらみの政治ゲームに陥る危険がある。
資本集められず
政治が取り組むべき課題は、生産性を高め、生き残れる農業を育てる「攻め」の農政への転換だ。土地利用や税制、農協改革を含め農政を根幹から見直す大仕事には、政治の意志が要る。市場開放後に必要な生産を守るためには、財政負担の議論も避けられない。
日本への海外からの直接投資残高は約2千億ドル。国内総生産(GDP)の約4%と、主要国で最も低い。成長に必要な資本を、世界から集められなくなっている。
人の流れも同様。学生の留学先として日本の大学の人気は陰り、研究開発や医療、デザインなど高度分野で日本で働く夢を抱くアジアの若者は減り続けている。
国として輝きを失ったのは、内側を向いて閉じた日本の姿勢の結果だろう。高まるTPP論議は国を開く好機にもなる。企業や農業、そして日本人が、元気に活躍できる舞台に戻る道をつくるのが、政治の責務だ。
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