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:2010:11/10/09:54 ++ 環太平洋協定TPP日本の選択(下)攻める農業に転換を―開放テコに経営者育成。
環太平洋経済連携協定(TPP)を巡り、政府は交渉への参加を決めることができず、「関係国と協議」する方針を9日にかろうじて閣議決定した。迷走の原因は農業問題にある。
「10年もたない」
「夜も眠れないほど心配している」。全国町村会の代表が4日、東京・霞が関の農林水産省でこう訴えた。筒井信隆副大臣は「気持ちは一緒だ」。日本の農業はそんなに弱いのか。
石川県小松市の農家、長田竜太氏(46)は「TPPに賛成」と話す。「参加しなくても日本の農業は10年もたない。自ら変われないなら、貿易自由化を利用するしかない」と言う。
6ヘクタールの水田で化学肥料は使わず、農薬使用も抑えた稲作に取り組んでいる。ほぼ全量を個人に口コミで売り、価格は相場より3倍近く高い。「TPPへの参加が決まれば大規模化する好機かもしれない」と長田氏。作付けをやめる農家が増え、農地が安く手に入るかもしれないからだ。
農水省はコメなど主要19品目ですべての国と関税を撤廃すれば毎年4・1兆円の生産額が減り、自給率は40%から14%に下がると試算した。こうした極端な数字をはじいて農業を守ろうとする姿勢に国民は賛同するだろうか。守りから攻めに転じるという視点にも欠ける。
市場開放には確かに困難が伴う。中国・北京のあるスーパーで売られている最も安いコメは5キログラムで300円弱。ただ有機栽培米などで同2400円の銘柄もある。国際的にも高品質とされる日本のコメだが、スーパーでは普通、同2000円以下。攻め込むチャンスはある。
法人を含む日本の農業者数は今年までの5年間で16%減り、耕地面積も1・5%減った。だがその中で法人の数は16%増え、しかも規模が大きい農業者ほど数が増えるという傾向が出た。ここに農業が苦境を脱するカギがある。
「経営者を育成する以外に手がない」。宮城大学の大泉一貫副学長はこう強調する。イトーヨーカ堂は千葉や茨城県などで農場を展開しているが、実際に農作業をしているのは地元の有力な農業者。「生産はプロに任せる。こちらは販売が専門だ」という戦略だ。
広い農場を効率的に管理し高品質の作物を栽培できる農業者と組んで初めて、企業の資本力やマーケティング力を生かせる。問題はこうした「プロの農業者」が足りない点だ。
例えば、全国の農業者のうち法人数は1・3%にすぎない。農業就業者の平均年齢は65・8歳。平均年齢はこれからどんどん上がっていく。彼らが退場した後、耕地と技術を引き継ぐ経営者を育てることが急務だ。
国民挙げ議論を
自由化に備える政策も補助金も、まずここに集中する必要がある。モザイク状に分散した農地を集約する仕組みをつくり、農地の転用を今より厳しく規制した上で新規参入組にもっと農地を開放する。ばらまきとの批判が多い戸別所得補償制度もこの線に沿って見直す。何より6兆円余りをつぎ込みながら、農業を強くできなかったウルグアイ・ラウンド対策費のてつを踏むことは許されない。
「海外の大規模農業に勝てるわけがない」。農協は繰り返すが、例えばコメの取扱数量の農協のシェアは推計で約5割しかない。農協だけが農家の声を代弁しているわけではない。
政府は来年6月をメドに農業改革の基本方針を示す。今度こそ、選挙対策でも農業団体のためでもない農業再生の青写真を描く必要がある。これまでの農政が招いた“衰退”に歯止めをかけるため、国民挙げての議論が求められている。
日本の国際化を阻んでいる――。農業への変わらぬ批判を返上するときだ。その期待に応えられる農業者は全国に誕生しつつある。
「10年もたない」
「夜も眠れないほど心配している」。全国町村会の代表が4日、東京・霞が関の農林水産省でこう訴えた。筒井信隆副大臣は「気持ちは一緒だ」。日本の農業はそんなに弱いのか。
石川県小松市の農家、長田竜太氏(46)は「TPPに賛成」と話す。「参加しなくても日本の農業は10年もたない。自ら変われないなら、貿易自由化を利用するしかない」と言う。
6ヘクタールの水田で化学肥料は使わず、農薬使用も抑えた稲作に取り組んでいる。ほぼ全量を個人に口コミで売り、価格は相場より3倍近く高い。「TPPへの参加が決まれば大規模化する好機かもしれない」と長田氏。作付けをやめる農家が増え、農地が安く手に入るかもしれないからだ。
農水省はコメなど主要19品目ですべての国と関税を撤廃すれば毎年4・1兆円の生産額が減り、自給率は40%から14%に下がると試算した。こうした極端な数字をはじいて農業を守ろうとする姿勢に国民は賛同するだろうか。守りから攻めに転じるという視点にも欠ける。
市場開放には確かに困難が伴う。中国・北京のあるスーパーで売られている最も安いコメは5キログラムで300円弱。ただ有機栽培米などで同2400円の銘柄もある。国際的にも高品質とされる日本のコメだが、スーパーでは普通、同2000円以下。攻め込むチャンスはある。
法人を含む日本の農業者数は今年までの5年間で16%減り、耕地面積も1・5%減った。だがその中で法人の数は16%増え、しかも規模が大きい農業者ほど数が増えるという傾向が出た。ここに農業が苦境を脱するカギがある。
「経営者を育成する以外に手がない」。宮城大学の大泉一貫副学長はこう強調する。イトーヨーカ堂は千葉や茨城県などで農場を展開しているが、実際に農作業をしているのは地元の有力な農業者。「生産はプロに任せる。こちらは販売が専門だ」という戦略だ。
広い農場を効率的に管理し高品質の作物を栽培できる農業者と組んで初めて、企業の資本力やマーケティング力を生かせる。問題はこうした「プロの農業者」が足りない点だ。
例えば、全国の農業者のうち法人数は1・3%にすぎない。農業就業者の平均年齢は65・8歳。平均年齢はこれからどんどん上がっていく。彼らが退場した後、耕地と技術を引き継ぐ経営者を育てることが急務だ。
国民挙げ議論を
自由化に備える政策も補助金も、まずここに集中する必要がある。モザイク状に分散した農地を集約する仕組みをつくり、農地の転用を今より厳しく規制した上で新規参入組にもっと農地を開放する。ばらまきとの批判が多い戸別所得補償制度もこの線に沿って見直す。何より6兆円余りをつぎ込みながら、農業を強くできなかったウルグアイ・ラウンド対策費のてつを踏むことは許されない。
「海外の大規模農業に勝てるわけがない」。農協は繰り返すが、例えばコメの取扱数量の農協のシェアは推計で約5割しかない。農協だけが農家の声を代弁しているわけではない。
政府は来年6月をメドに農業改革の基本方針を示す。今度こそ、選挙対策でも農業団体のためでもない農業再生の青写真を描く必要がある。これまでの農政が招いた“衰退”に歯止めをかけるため、国民挙げての議論が求められている。
日本の国際化を阻んでいる――。農業への変わらぬ批判を返上するときだ。その期待に応えられる農業者は全国に誕生しつつある。
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