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:2011:07/22/10:07 ++ 第1部危機脱出の針路(3)まだ絞れるぞうきん(エネルギーを問う)
省エネという「電源」
6年前は770万円したものが、今は200万円台に値下がりし、数年後には50万円に――。かつてコンピューターの世界で起きた急速な機器の低廉化、小型化が電源の分野で進んでいる。これはJX日鉱日石エネルギーの手掛ける定置型燃料電池の価格の変遷だ。
天然ガスに脚光
天然ガスから水素を取り出して発電する燃料電池はエネルギーの利用効率が高い。住宅会社の試算では、5人家族で年間の光熱費が10万円安くなり50万円時代には5年で元が取れる。JX幹部は「低廉化で普及に弾みをつける」と意気込む。
電力の未来を考えるとき、見過ごせないのが「省エネ」という電源だ。日本は節電が徹底し、これ以上は「乾いたぞうきんを絞るようなもの」という見方があるが、実際はまだまだ余地がある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構の特別顧問、石井彰(60)は「その代表が火力発電所。従来の方式は資源の持つエネルギーの半分以上を廃熱として捨てていた」と指摘する。高効率化の進む電源は燃料電池だけではない。工場の自家発電に適したガスタービンは過去10年でエネルギー効率が5ポイント以上向上した。
発電所向け巨大プラントではガスタービン・コンバインドサイクルと呼ばれる技術が注目の的。最初は爆発で、次に残りの熱でタービンを回転させ、天然ガスの内蔵するエネルギーを利用し尽くす。「既存設備を新技術で代替すれば、エネルギー効率は1・5倍以上良くなる」(同)
近年岩盤層に広く薄く分布するシェールガスの採掘が可能になり、国際エネルギー機関(IEA)は今年6月「天然ガスの黄金時代」というリポートを出した。今後10年程度は天然ガスがエネルギーの「現実解」になる公算が大きい。
日本企業の生産現場のエネルギー効率は世界最高水準を誇る。一方で省エネや節電の余地が大きいのは川上の発電分野に加えて、川下の一般家庭だ。それも「我慢の節電」ではなく「賢い節電」を後押しする工夫や技術が生まれ始めた。
「明日は電力が逼迫します。節電にご協力下さい」。新規電力会社のエネットは14日、契約世帯に一斉にメールを送った。単なる節電のお願いでも、政府による強制でもない。契約世帯が節電すれば、その分ポイントを発行し、翌月以降の料金の支払いに使える。併せて昼間は高く、夜は安い「時間差料金」も導入。ピーク時の使用量を2割ほど削減できたという。
電力ピーク抑制
日本の電力消費はピーク時とそれ以外の差が大きい。東京電力の場合、夏場の2カ月だけのために大型火力10基超にあたる1千万キロワットもの発電設備を抱え、それが高コスト構造の一因だった。
電力使用量を時間帯ごとに集計できるスマートメーターの普及や、ピークをなだらかにする可変的料金体系で「使用量が平準化すれば、電力供給のコストも下がる」とエネット経営企画部長の谷口直行(44)はいう。
IEAの予測によると、2050年までに二酸化炭素を削減する手法として、家庭や工場の省エネが最も寄与度が大きく、自然エネルギー導入の2倍以上の効果が見込める。省エネだけで解決するわけではないが、電力消費を「減らす」取り組みは、実力が未知数の再生可能エネルギーを「増やす」よりも確実な方策だ。
エネルギー戦略は安定確保とともに、経済を強くするという視点が欠かせない。日本経済は石油危機を克服する過程で省エネ技術や低燃費エンジンを生み出し、多くの企業が世界に飛躍した。
首相の菅直人(64)は再生可能エネルギーが万能であるかのように訴えるが、その他の技術開発支援や競争環境の整備など複眼的な目配りが必要だ。ピンチをチャンスに変えるために官民が歩調を合わせエネルギーのベストミックスを考える時が来た。(敬称略)
6年前は770万円したものが、今は200万円台に値下がりし、数年後には50万円に――。かつてコンピューターの世界で起きた急速な機器の低廉化、小型化が電源の分野で進んでいる。これはJX日鉱日石エネルギーの手掛ける定置型燃料電池の価格の変遷だ。
天然ガスに脚光
天然ガスから水素を取り出して発電する燃料電池はエネルギーの利用効率が高い。住宅会社の試算では、5人家族で年間の光熱費が10万円安くなり50万円時代には5年で元が取れる。JX幹部は「低廉化で普及に弾みをつける」と意気込む。
電力の未来を考えるとき、見過ごせないのが「省エネ」という電源だ。日本は節電が徹底し、これ以上は「乾いたぞうきんを絞るようなもの」という見方があるが、実際はまだまだ余地がある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構の特別顧問、石井彰(60)は「その代表が火力発電所。従来の方式は資源の持つエネルギーの半分以上を廃熱として捨てていた」と指摘する。高効率化の進む電源は燃料電池だけではない。工場の自家発電に適したガスタービンは過去10年でエネルギー効率が5ポイント以上向上した。
発電所向け巨大プラントではガスタービン・コンバインドサイクルと呼ばれる技術が注目の的。最初は爆発で、次に残りの熱でタービンを回転させ、天然ガスの内蔵するエネルギーを利用し尽くす。「既存設備を新技術で代替すれば、エネルギー効率は1・5倍以上良くなる」(同)
近年岩盤層に広く薄く分布するシェールガスの採掘が可能になり、国際エネルギー機関(IEA)は今年6月「天然ガスの黄金時代」というリポートを出した。今後10年程度は天然ガスがエネルギーの「現実解」になる公算が大きい。
日本企業の生産現場のエネルギー効率は世界最高水準を誇る。一方で省エネや節電の余地が大きいのは川上の発電分野に加えて、川下の一般家庭だ。それも「我慢の節電」ではなく「賢い節電」を後押しする工夫や技術が生まれ始めた。
「明日は電力が逼迫します。節電にご協力下さい」。新規電力会社のエネットは14日、契約世帯に一斉にメールを送った。単なる節電のお願いでも、政府による強制でもない。契約世帯が節電すれば、その分ポイントを発行し、翌月以降の料金の支払いに使える。併せて昼間は高く、夜は安い「時間差料金」も導入。ピーク時の使用量を2割ほど削減できたという。
電力ピーク抑制
日本の電力消費はピーク時とそれ以外の差が大きい。東京電力の場合、夏場の2カ月だけのために大型火力10基超にあたる1千万キロワットもの発電設備を抱え、それが高コスト構造の一因だった。
電力使用量を時間帯ごとに集計できるスマートメーターの普及や、ピークをなだらかにする可変的料金体系で「使用量が平準化すれば、電力供給のコストも下がる」とエネット経営企画部長の谷口直行(44)はいう。
IEAの予測によると、2050年までに二酸化炭素を削減する手法として、家庭や工場の省エネが最も寄与度が大きく、自然エネルギー導入の2倍以上の効果が見込める。省エネだけで解決するわけではないが、電力消費を「減らす」取り組みは、実力が未知数の再生可能エネルギーを「増やす」よりも確実な方策だ。
エネルギー戦略は安定確保とともに、経済を強くするという視点が欠かせない。日本経済は石油危機を克服する過程で省エネ技術や低燃費エンジンを生み出し、多くの企業が世界に飛躍した。
首相の菅直人(64)は再生可能エネルギーが万能であるかのように訴えるが、その他の技術開発支援や競争環境の整備など複眼的な目配りが必要だ。ピンチをチャンスに変えるために官民が歩調を合わせエネルギーのベストミックスを考える時が来た。(敬称略)
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