:2025:01/16/14:57 ++ [PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
:2011:06/01/11:02 ++ 第3部世界が見つめる(2)「トモダチ作戦」日米に絆(新しい日本へ)
「内向き」の誘惑を断て
「日本の未来」。5月24日、政治家らが集まり、こう題した公聴会を開いた。東日本大震災後の日本の針路を議論するためだ。主催したのは米国の下院議員。場所も東京ではなくワシントンだ。
そこで聞かれたのは、日本が内向きにならないか、心配する声だった。「日本が世界で指導力を発揮することが、米国の利益になる」。元国務副次官補ランディー・シュライバー(44)はこう発言。元ホワイトハウス高官のマイケル・グリーン(49)も「太平洋地域で何かしようとすれば、同盟国の日本抜きに何も進められない」と訴えた。
日本では復興の道筋すら定まらないのに、米国が「日本の未来」を熱心に研究するのには理由がある。中国の影響力が強まるなか、日本が引きこもったら、アジアのパワーバランスが揺らぐからだ。震災直後は遠慮もあったが、最近はそうした懸念を日本に直言するようになった。
対中戦略に役割
「日本は復興に集中し、内向きになっているのではないかと見られている。そんな誤った印象をぬぐい去ることが大切だ」。国務副次官補のジョセフ・ドノバンは5月20日、訪米した前外相の前原誠司(49)にこう語った。
さらに念押ししたのが、大統領のバラク・オバマ(49)だった。「強い日本であることが重要だ」。26日に仏ドービルで開いた日米首脳会談で首相の菅直人(64)に覚悟を迫った。
中国の急速な軍拡には、他のアジア諸国も懸念を深めている。朝鮮半島の行方は不透明なままだ。これらに対処できるのは日本との同盟強化しかない――。米国の戦略は明解だ。
こうした問題意識を抱いているのは米国だけではない。オーストラリアは震災直後、保有する4機のうち3機の大型輸送機C17を日本に派遣。4月には首相のジュリア・ギラード(49)が他の首脳に先がけ、被災地入りした。中国をにらみ、日米同盟と連携を強めたいという明確なメッセージを日本に送った。
こうした動きをにらみ、中国首脳は対日改善の歯車を回す。
アジア安定左右
「私がお見舞いに来たのは、中国人民の思い、支持を十分に伝えたかったからです」。中国首相の温家宝(68)は5月21日、原発事故に見舞われた福島県でこう語った。
日本が福島訪問を打診した当初は、安全面などから中国の事務方に慎重論が強く、色よい反応は返ってこなかった。だが、この話を聞いた温が押し切り、日中韓首脳の福島入りが実現した。
背景には、国内安定のため、反日感情を鎮めたい思惑もある。だが、視線の先にあるのは、震災で求心力を取り戻している日米同盟の姿だ。日本との対立を和らげなければ、同盟の矛先は中国に向かう。日中外交筋は「中国首脳にはこんな心理が働いている」とみる。
とはいえ、国益が激しくぶつかる外交の現実が簡単に変わるわけではない。先月22日の日中外相会談では、尖閣諸島をめぐる中国側の姿勢に変化はなかった。
ロシアも副首相のセルゲイ・イワノフ(58)が北方領土を訪れた。日本からの反対には「3、4度来ているが、文句を言われたのは初めてだ」などと気にとめない。「震災への同情と領土問題は別。そんな立場を日本に知らせる狙いだ」。日ロ関係筋はこう解説する。
米軍は自衛隊との被災地支援をトモダチ作戦と名づけた。震災下で芽生えた「友情」を育て、同盟の立て直しにつなげられるか。その成否は日本の対中、対ロ外交の行方だけでなく、アジアの安定も左右する。
「日本の未来」。5月24日、政治家らが集まり、こう題した公聴会を開いた。東日本大震災後の日本の針路を議論するためだ。主催したのは米国の下院議員。場所も東京ではなくワシントンだ。
そこで聞かれたのは、日本が内向きにならないか、心配する声だった。「日本が世界で指導力を発揮することが、米国の利益になる」。元国務副次官補ランディー・シュライバー(44)はこう発言。元ホワイトハウス高官のマイケル・グリーン(49)も「太平洋地域で何かしようとすれば、同盟国の日本抜きに何も進められない」と訴えた。
日本では復興の道筋すら定まらないのに、米国が「日本の未来」を熱心に研究するのには理由がある。中国の影響力が強まるなか、日本が引きこもったら、アジアのパワーバランスが揺らぐからだ。震災直後は遠慮もあったが、最近はそうした懸念を日本に直言するようになった。
対中戦略に役割
「日本は復興に集中し、内向きになっているのではないかと見られている。そんな誤った印象をぬぐい去ることが大切だ」。国務副次官補のジョセフ・ドノバンは5月20日、訪米した前外相の前原誠司(49)にこう語った。
さらに念押ししたのが、大統領のバラク・オバマ(49)だった。「強い日本であることが重要だ」。26日に仏ドービルで開いた日米首脳会談で首相の菅直人(64)に覚悟を迫った。
中国の急速な軍拡には、他のアジア諸国も懸念を深めている。朝鮮半島の行方は不透明なままだ。これらに対処できるのは日本との同盟強化しかない――。米国の戦略は明解だ。
こうした問題意識を抱いているのは米国だけではない。オーストラリアは震災直後、保有する4機のうち3機の大型輸送機C17を日本に派遣。4月には首相のジュリア・ギラード(49)が他の首脳に先がけ、被災地入りした。中国をにらみ、日米同盟と連携を強めたいという明確なメッセージを日本に送った。
こうした動きをにらみ、中国首脳は対日改善の歯車を回す。
アジア安定左右
「私がお見舞いに来たのは、中国人民の思い、支持を十分に伝えたかったからです」。中国首相の温家宝(68)は5月21日、原発事故に見舞われた福島県でこう語った。
日本が福島訪問を打診した当初は、安全面などから中国の事務方に慎重論が強く、色よい反応は返ってこなかった。だが、この話を聞いた温が押し切り、日中韓首脳の福島入りが実現した。
背景には、国内安定のため、反日感情を鎮めたい思惑もある。だが、視線の先にあるのは、震災で求心力を取り戻している日米同盟の姿だ。日本との対立を和らげなければ、同盟の矛先は中国に向かう。日中外交筋は「中国首脳にはこんな心理が働いている」とみる。
とはいえ、国益が激しくぶつかる外交の現実が簡単に変わるわけではない。先月22日の日中外相会談では、尖閣諸島をめぐる中国側の姿勢に変化はなかった。
ロシアも副首相のセルゲイ・イワノフ(58)が北方領土を訪れた。日本からの反対には「3、4度来ているが、文句を言われたのは初めてだ」などと気にとめない。「震災への同情と領土問題は別。そんな立場を日本に知らせる狙いだ」。日ロ関係筋はこう解説する。
米軍は自衛隊との被災地支援をトモダチ作戦と名づけた。震災下で芽生えた「友情」を育て、同盟の立て直しにつなげられるか。その成否は日本の対中、対ロ外交の行方だけでなく、アジアの安定も左右する。
PR
- +TRACKBACK URL+