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:2009:04/03/10:56 ++ 金融サミット、大規模金融機関、監督・規制を強化、他。
【ロンドン=吉田ありさ】二十カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)は金融システムの再構築に向け、金融監督・規制を抜本改革する方向性を打ち出した。金融システムに影響する大規模な金融機関をすべて監督対象に置き、報酬体系に規制を導入する。共通のルールで監視するため、各国金融当局でつくる金融安定化フォーラム(FSF)の機能を強化し、G20すべてが参加する金融安定化理事会(FSB)に改組する。タックスヘイブン(租税回避地)の国・地域への監視も強める。(1面参照)
議長のブラウン英首相は会合後の記者会見で、銀行が高リスク取引の隠れみのにした証券化市場や銀行傘下ファンドなど「影の銀行(シャドーバンキング)を初めてグローバルな金融監督・規制の対象にする」と表明。金融危機の再発を防ぐため、一定規模以上の金融機関をすべて監督する枠組みとしてFSB創設の意義を強調した。
共同声明は「FSBが国際通貨基金(IMF)と協力して金融市場のリスクを把握し、早期に対応策を協議する」と明記し、金融監督強化を打ち出した。ただ具体策は今後の検討に委ねており、実効性は不透明だ。
金融規制については、メルケル独首相とサルコジ仏大統領が二日に共同記者会見を開き「規制強化の原則は昨年十一月に合意しており、今回は具体策を決めなくてはいけない」と主張。新興国も独仏に同調したため、規制強化に消極的だった米英が折り合う形で、金融システム強化に向けた規制改革に取り組む方針を確認した。
タックスヘイブンになっている国・地域の問題では、税情報の交換協定に協力的でない国に「制裁措置を講じる用意がある」と共同声明に明記した。
FSFは新たな金融規制の具体案として、G20に合わせ、健全な報酬慣行、危機管理、景気循環を抑える可変的な自己資本規制の三つを柱とする報告書を公表した。
金融危機の一因はトレーダーが長期リスクを軽視し、高リスク取引を拡大した点にあるとして報酬体系に規制を導入。報酬の支払期間を取引期間全体に合わせ、全体の収益と連動させるように求める方向だ。
銀行の自己資本規制では、常に一定の自己資本を積むように義務づけるバーゼル銀行監督委員会のルールを見直す。現行ルールでは、銀行が好況時に高リスク取引に傾斜してバブルの芽を生む一方、不況時には過度に取引を抑えて信用収縮を招く恐れがある。景気循環の波を増幅させないように、好況時に自己資本を引き上げ、景気・金融の悪化局面で取り崩せる新ルールを導入する。
【ロンドン=岐部秀光】ブラウン英首相は二日、二十カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)閉幕後の記者会見で「前例のない規模の経済刺激策と協調で合意した」と述べ、会合の成果を強調した。
同首相は景気後退を短縮して雇用を守るため、六つの宣言をまとめたと発言。(1)グローバルな金融規制の整備(2)銀行システムの健全化(3)総額五兆ドル規模の経済刺激策(4)国際金融機関の改革(5)貿易促進(6)貧困対策――の六項目を説明した。金融規制を巡ってはヘッジファンドや格付け会社も含めた「包括的な規制の整備に初めて着手することになる」と意義を強調した。
経済刺激策では各国による財政出動に加え、国際通貨基金(IMF)の融資枠増額により「世界経済は成長力の回復に向けた自信を取り戻すことができる」と述べた。
国際金融機関の改革では、新興国や途上国の発言力を反映させることで「より透明で、より効率的な運用が可能になる」との見方を示した。
貿易については貿易金融支援を巡り、今後二年間で二千五百億ドルと会議前に調整を進めていた金額の二・五倍の規模で合意したと述べた。首相は「貿易は成長にとって重要なエンジン」と指摘、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)合意を急ぐことが重要だと強調した。
貧困対策では国連のミレニアム開発目標の達成や各国が過去に表明した支援の約束を守ることが重要との認識を強調し、公正で持続可能な成長を求める必要があると訴えた。IMF保有の金の売却益を低所得国の支援に充てるなど、五百億ドルの最貧国支援で合意したことを明らかにした。
ブラウン首相は「(各国の協力によって)新しい世界秩序が出現しつつある」と指摘。「責任ある形で公正なグローバル化を進めることで、持続可能で開放的なグローバル社会を築くことができる」と述べた。
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト 各国の意見に隔たりのあった金融規制の議論に注目していた。投資銀行など新しい金融システムの暴走が今回の危機を招いた面は否めないが、規制を強めすぎることには賛成できない。今後、規制強化で成長を停滞させることがないかを見守りたい。
危機回避に向けて財政出動で協調するとした点は正しいが、財政政策は各国の状況に応じて実施すべきものだ。日本に必要なことは単なる金額の積み上げでなく、国内の成長産業を育てること。積極的な規制緩和で民間活力を引き出す方策を考えるべきだ。
木内登英・野村証券金融経済研究所経済調査部長 新興国向け支援と金融機関監視で一定の成果が出た点は評価できる。国際通貨基金(IMF)の緊急融資枠の拡大などでも前進したようだ。金融と財政の政策を協調させる点でもそれなりに足並みはそろったと言える。
ただ世界経済の回復を巡っては、めぼしい具体策が見当たらない。二〇一〇年末の回復という目標も、どのような回復軌道を描くのかは各国・地域の取り組み次第だ。金融危機の発生から時間がたち、各国・地域の事情はかなり異なっており、合意の難しさが浮き彫りになったとも言える。
議長のブラウン英首相は会合後の記者会見で、銀行が高リスク取引の隠れみのにした証券化市場や銀行傘下ファンドなど「影の銀行(シャドーバンキング)を初めてグローバルな金融監督・規制の対象にする」と表明。金融危機の再発を防ぐため、一定規模以上の金融機関をすべて監督する枠組みとしてFSB創設の意義を強調した。
共同声明は「FSBが国際通貨基金(IMF)と協力して金融市場のリスクを把握し、早期に対応策を協議する」と明記し、金融監督強化を打ち出した。ただ具体策は今後の検討に委ねており、実効性は不透明だ。
金融規制については、メルケル独首相とサルコジ仏大統領が二日に共同記者会見を開き「規制強化の原則は昨年十一月に合意しており、今回は具体策を決めなくてはいけない」と主張。新興国も独仏に同調したため、規制強化に消極的だった米英が折り合う形で、金融システム強化に向けた規制改革に取り組む方針を確認した。
タックスヘイブンになっている国・地域の問題では、税情報の交換協定に協力的でない国に「制裁措置を講じる用意がある」と共同声明に明記した。
FSFは新たな金融規制の具体案として、G20に合わせ、健全な報酬慣行、危機管理、景気循環を抑える可変的な自己資本規制の三つを柱とする報告書を公表した。
金融危機の一因はトレーダーが長期リスクを軽視し、高リスク取引を拡大した点にあるとして報酬体系に規制を導入。報酬の支払期間を取引期間全体に合わせ、全体の収益と連動させるように求める方向だ。
銀行の自己資本規制では、常に一定の自己資本を積むように義務づけるバーゼル銀行監督委員会のルールを見直す。現行ルールでは、銀行が好況時に高リスク取引に傾斜してバブルの芽を生む一方、不況時には過度に取引を抑えて信用収縮を招く恐れがある。景気循環の波を増幅させないように、好況時に自己資本を引き上げ、景気・金融の悪化局面で取り崩せる新ルールを導入する。
【ロンドン=岐部秀光】ブラウン英首相は二日、二十カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)閉幕後の記者会見で「前例のない規模の経済刺激策と協調で合意した」と述べ、会合の成果を強調した。
同首相は景気後退を短縮して雇用を守るため、六つの宣言をまとめたと発言。(1)グローバルな金融規制の整備(2)銀行システムの健全化(3)総額五兆ドル規模の経済刺激策(4)国際金融機関の改革(5)貿易促進(6)貧困対策――の六項目を説明した。金融規制を巡ってはヘッジファンドや格付け会社も含めた「包括的な規制の整備に初めて着手することになる」と意義を強調した。
経済刺激策では各国による財政出動に加え、国際通貨基金(IMF)の融資枠増額により「世界経済は成長力の回復に向けた自信を取り戻すことができる」と述べた。
国際金融機関の改革では、新興国や途上国の発言力を反映させることで「より透明で、より効率的な運用が可能になる」との見方を示した。
貿易については貿易金融支援を巡り、今後二年間で二千五百億ドルと会議前に調整を進めていた金額の二・五倍の規模で合意したと述べた。首相は「貿易は成長にとって重要なエンジン」と指摘、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)合意を急ぐことが重要だと強調した。
貧困対策では国連のミレニアム開発目標の達成や各国が過去に表明した支援の約束を守ることが重要との認識を強調し、公正で持続可能な成長を求める必要があると訴えた。IMF保有の金の売却益を低所得国の支援に充てるなど、五百億ドルの最貧国支援で合意したことを明らかにした。
ブラウン首相は「(各国の協力によって)新しい世界秩序が出現しつつある」と指摘。「責任ある形で公正なグローバル化を進めることで、持続可能で開放的なグローバル社会を築くことができる」と述べた。
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト 各国の意見に隔たりのあった金融規制の議論に注目していた。投資銀行など新しい金融システムの暴走が今回の危機を招いた面は否めないが、規制を強めすぎることには賛成できない。今後、規制強化で成長を停滞させることがないかを見守りたい。
危機回避に向けて財政出動で協調するとした点は正しいが、財政政策は各国の状況に応じて実施すべきものだ。日本に必要なことは単なる金額の積み上げでなく、国内の成長産業を育てること。積極的な規制緩和で民間活力を引き出す方策を考えるべきだ。
木内登英・野村証券金融経済研究所経済調査部長 新興国向け支援と金融機関監視で一定の成果が出た点は評価できる。国際通貨基金(IMF)の緊急融資枠の拡大などでも前進したようだ。金融と財政の政策を協調させる点でもそれなりに足並みはそろったと言える。
ただ世界経済の回復を巡っては、めぼしい具体策が見当たらない。二〇一〇年末の回復という目標も、どのような回復軌道を描くのかは各国・地域の取り組み次第だ。金融危機の発生から時間がたち、各国・地域の事情はかなり異なっており、合意の難しさが浮き彫りになったとも言える。
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