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:2009:06/25/13:15 ++ 電気自動車のバッテリをスマートグリッドの一部に--自動車と電力の新たな関係
ワシントン発--われわれには電気自動車に見えるものが、電力会社には車輪の付いたバッテリに見えるようだ。
先進的な電力会社は、スマートグリッドテクノロジを使用して、プラグイン電気自動車から得られる貯蔵電力を利用する準備を始めつつある、と業界の幹部たちは先週、コンサルティング会社KEMAがワシントンで開催したカンファレンスUtility of the Futureで語った。
自動車のバッテリは、ピーク時間帯に電力網の負荷を軽減するバッファとして利用することが可能で、また自宅所有者がバックアップ電源としても利用できる可能性がある。将来は、古いプラグインハイブリッド型電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)のバッテリを電力貯蔵装置としてリサイクルすることもできるかもしれない、と同幹部たちは述べた。
Duke Energyの最高技術責任者(CTO)であるDavid Mohler氏は「PHEVはスマートグリッドのキラーアプリケーションになると思う。PHEVは、他のどのデバイスにもできない方法で、エネルギーの消費と供給の両方を行うことができ、電力貯蔵を劇的に変える可能性がある」と述べる。
今後2年で、主流購買層を対象とした多数のプラグイン電気自動車が販売されるようになるだろう。標準の電力貯蔵能力というものはないが、プラグイン電気自動車が4台あれば家1軒に必要な電力を、少なくとも短期間であればまかなうことができるだろう、とMohler氏は見積もっている。
近い将来、電力網と自動車バッテリを最も前途有望な方法で融合させることによって、電力業界で「周波数調整」と呼ばれているものが提供されようとしている。周波数調整とは、その提唱者によると、電力会社のコストを削減し、環境汚染を軽減するもので、コンシューマーのコストまで削減できる可能性もあるという。
電力会社は周波数調整サービスに対して定期的に料金を支払って、電力の供給と需要の一致を確保する。供給と需要のバランスが崩れて信号周波数に変動が生じると、発電機が始動して電力の流れを調整する。
しかし、プラグイン電気自動車のネットワークがあれば、バッテリの充電をたとえ数分でも一時休止することにより、実質的にこれと同じ機能を果たすことができる。ドライバーが自動車を必要としたときには満量まで充電された状態にできるようにしつつ、休止をはさんで断続的に充電する。これを膨大な数の自動車について行うことができる、とGoogleの再生可能エネルギーエンジニアであるAlec Brooks氏は語った。
Googleは、電力供給を監視し自動車が充電されるタイミングを正確に管理するアルゴリズムを使用した「スマート充電」の概念実証ソフトウェアを開発した、とBrooks氏はプレゼンテーション中にシミュレーションデータを見せながら説明した。「自動車から満タンにする必要があることを伝達されると、どの車に配電して満タンにする必要があるかが分かる」(Brooks氏)
周波数調整(すでに莫大な金額が動く市場となっている)に自動車のバッテリを使用すると、コストパフォーマンスが高まり、変動の大きい風力や太陽光を電力会社がより効果的に活用できるようになる可能性がある、とBrooks氏は述べた。Googleは開発したソフトウェアを、プラグインハイブリッド車に転換された8台の「プリウス」でテスト中であるという。
「1日の中でも大きく変動することがある再生可能エネルギーに合わせて、負荷を調整することができる。つまり、発電するのではなく負荷を移動させるシステムということだ」(Brooks氏)
Chevrolet Voltでコスト削減
PHEVと周波数調整に関するツール開発に取り組んでいるのは、Googleのソフトウェアエンジニアだけではない。2010年末に発売予定の「Chevrolet Volt」には、「OnStar」サービスを使用したスマート充電機能が組み込まれる予定だ。
General Motors(GM)は、米エネルギー省の研究プロジェクトにおいて、50の電力会社と協力し、Chevrolet Voltを電力会社と連携させる可能性を探る取り組みを行っている。周波数調整のようなグリッドサービスを提供することにより、Chevrolet Voltの所有コストが下がるだろう、とGMの先進自動車戦略および法務担当ディレクターであるKeith Cole氏は述べた。
「契約した顧客が、充電が140秒ずつ中断されることに同意した場合、電力会社は電気料金から差し引く形でその対価を支払う。これにより、Chevrolet Voltの充電コストを削減できる。1kW時につき7~10セントのコストが、このサービスによって5セントか3セントに下がる可能性がある」(Cole氏)
このような契約は、技術的にはChevrolet Voltの発売当初から可能であるが、すぐに利用できるようになるとは期待できない。この種のサービスのビジネスモデルはまだ、さらなる検討が必要な段階だ。
それでも、波数調整のために電力会社が購入する電力は比較的高価なため、電力需要を削減して周波数調整に役立てることは、電力会社にとって十分意味のあることだ、とCole氏は指摘している。また、電力会社は、多数の自動車を管理できる場合にのみ、そのような契約に関心を持つだろう、と付け加えている。
さらに、電力会社は、ピーク時にコストが高く環境を汚染する予備発電所を始動させるのではなく、自動車バッテリの貯蔵電力を利用して電力網の負荷を軽減することができるかもしれない。しかし、「ビークルツーグリッド(vehicle-to-grid:V2G)」と呼ばれる、電力を双方向に流すシステムは、技術的な課題を抱えており、バッテリにさらなる負荷をもたらす。
自動車と電力のマッシュアップ
自動車業界と電力業界がどのように手を結ぼうとしているのかを示している例がある。Chryslerが1年間に生み出す電力容量を2015年ごろまでに1gW超とすることを見込んでいる、とChryslerのENVI電気自動車部門のポートフォリオエグゼクティブTom Sacoman氏が述べたことだ。この数字は、原子力または石炭火力の発電所1基が発電できる容量と同程度だ。
顧客は、電気自動車を購入する際に、携帯電話の料金プランのように多様なオプションを提示されることになる、とSacoman氏は予測している。電力会社がバッテリ充電速度を管理することを許可する代わりに割引を受けるケースもあれば、管理権を一切譲り渡さずに料金表どおりの全額を支払う料金プランもある、というようになるだろう。
実現は数年先のことになるが、電力会社はすでに、使用済みのプラグイン電気自動車の貯蔵装置(大半がリチウムイオンバッテリとなる見込み)に関する構想を持っている。例えば、Chevrolet Voltのバッテリ寿命は、10年間、15万マイル(約24万km)まで保証されるという。
しかし、グリッドエネルギー貯蔵装置業界の幹部の中には、顧客は自動車のバッテリの性能が低下してきたら、保証期間が切れる前に、より高性能の新しいものと交換するだろう、と考える人もいる。この古い方のバッテリをリサイクルして、例えば太陽光パネルを取り付けた家庭用のバックアップ電源とするか、あるいは相互に接続して電力会社用の大容量貯蔵装置として利用することも考えられる。
「バッテリを自動車から取り出して、家庭で据え付け型の電力貯蔵装置に転用し、その後何年も使用できる可能性がある。しかしバッテリを誰が所有するかという問題がある。PHEVを本格的に普及させるには、コンシューマーが自動車を購入しバッテリをリースするようにする必要がある」とEnergy Storage Associationの会長Brad Roberts氏は述べた。
バッテリのリースは、もともとBetter Placeが開発したビジネスモデルだ。Better Placeは自動車のバッテリを所有して自宅や公共の場所に充電ステーションを設置している会社だ。自動車ができるだけ長い時間コンセントに接続されているようにすれば、周波数調整のようなグリッドサービスの実現可能性が大いに高まる、と言う幹部もいる。
自分の電気自動車でグリッドサービスを提供するコンシューマーが割引を受けるのと同じように、古い電気自動車バッテリをリサイクルして貯蔵装置とするには、実現可能なビジネスモデルが必要だ。誰かがバッテリを回収して電力会社用に再パッケージ化する必要があるだろう、と電力会社American Electric Power(AEP)の分散エネルギーリソース担当マネージャーAli Nourai氏は述べた。
「自動車業界がバッテリの価格を下げることは分かっている」とNourai氏は語った。同氏は、そのような自動車バッテリが提供されるようになるまでには、およそ10年かかるだろうと予測している。「真新しいバッテリは必要ない」(Nourai氏)
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