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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2008:10/06/10:23  ++  価格対応力が問われる小売業(景気指標)

物価上昇と消費支出の低下という「上げ」と「下げ」のダブルパンチに小売業が直面している。
 八月の全国消費者物価指数は、総合指数が前年同月比二・四%上昇し、十一カ月連続のプラスとなった。目立つのは食料品で、同三三・二%の上昇率となったスパゲティや、同二〇%増の食パンなど小麦製品が高止まりした。
 一方、八月の家計調査によると、二人以上の世帯の消費支出は一世帯あたり実質ベースで前年同月比四・〇%減。六カ月連続の前年割れだが、〇・五%減だった七月に比べ大幅減少となった。
 景気が減速するなかで、消費者が“緊縮家計”を敷いているのが浮き彫りになる。消費者の縮み志向に上手に対応しているのが食品スーパー、オーケーだ。EDLP(エブリデーロープライス=毎日安売り)を掲げて急成長している。
 もっとも価格上昇局面ではEDLPの実現は難しい。オーケーは、(1)仕入れ条件が良くない商品はトップシェアのブランドでも品ぞろえしない(2)飲料は冷蔵せず常温で販売する(3)ホームページは持たず、チラシも週一回に限定する――など、仕入れや経費削減に知恵を絞って低価格路線を貫く。
 価格訴求力を打ち出すためには、同時に販売効率を高めるなど、コスト吸収力を磨くことが求められていることがわかる。大手スーパーは販管費が高くEDLPを実現できなかったが、ここへきて低価格を売り物にした新店をイトーヨーカ堂やイオンも出し始めた。
 八月末に開店したヨーカ堂の「ザ・プライス」は、ナショナルブランドをほかのヨーカ堂の店より一〇―三〇%安く売る。社員を減らし、パート比率を高めるなど販管費を削減した結果だ。九月末にできたイオンのディスカウントストア「アコレ」は、商品数を通常の三割程度まで絞り込むなどの工夫で低価格を実現している。
 八月の完全失業率は四・二%と、二年二カ月ぶりの高水準となった。景気減速が雇用情勢にも波及し始めており、消費者心理は悪化する一方だ。小売業はさらなる価格対応力が試されることになるだろう。(編集委員 下原口徹)
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:2008:10/06/10:18  ++  石井氏、公明は「ばい菌」。

民主党の石井一副代表は五日のテレビ朝日番組で、公明党に関し「ばい菌みたいなものだ。『票をやる』と言ってきたら(民主党に)もらえると思う人がいるかもしれないが、公明党の票を四もらえば、浮動票が六逃げる」と述べた。公明党との連携の可能性を質問された際に答えた。
 これに対し公明党の太田昭宏代表は同日夜、千葉県松戸市での街頭演説で「公党の副代表が公党に対して不見識極まりない言葉を使うのはとんでもない話だ。即刻、石井氏に撤回と謝罪を求めたい」と非難した。

:2008:10/06/10:16  ++  「景気悪化」94%に急増、米危機響く(社長100人&地域500社アンケート)

 日本経済新聞社が五日まとめた「社長百人アンケート」によると、国内景気が「悪化している」との回答が九割を超え、前回調査(六月)の三倍に急増した。株価急落を受け三日に実施した緊急質問では、米金融危機で自社の経営に「すでに悪影響が出ている」との回答が六割近かった。同時に実施した「地域経済五〇〇調査」でも回答者の八割が景気は「悪化」していると答えた。(関連記事3、9面、社長百人アンケートの回答者一覧9面、詳細を6日付日経産業新聞に)
 社長百人アンケートは国内主要企業の社長(会長、頭取などを含む)を対象に九月下旬までに実施、百三十九社から回答を得た。緊急質問は百十四社から、地域五〇〇は地元有力企業や事業所、団体のトップ四百八人から回答を得た。
 社長百人では国内景気の現状認識として「悪化に転じた」「緩やかながら悪化している」「急速に悪化している」のいずれかを選んだ経営者が九三・五%に達した。「拡大している」は二〇〇四年の調査開始以来、初めてゼロになった。前回は一〇・六%だった。
 景気の現状に関するDI(半年前に比べて「よくなった」「改善の兆し」と答えた割合から「悪化の兆し」「悪くなった」と答えた割合を引いた値)はマイナス九五・七。過去最低だった前回調査のマイナス八四・一から、さらに低下した。
 緊急質問で米金融危機が経営に与える影響を聞いたところ、「実体経済に波及し、すでに悪影響が出ている」(三八・六%)、「株価・為替・資金調達などですでに間接的な悪影響が出ている」(一九・三%)と、すでに影響を受けている企業が六割近かった。
 金融危機の推移については「一年近く、危機的な状況が続く」が四一・二%で最も多く、「修正金融安定化法の施行で沈静化する」の九・六%を大きく上回った。
 国内景気回復の時期については「〇九年四―六月」(一六・五%)、「同七―九月」(三三・一%)と五割近くが一年以内の回復を予想した。
 経営規模の小さな企業のトップが多い地域経済五〇〇調査でも、足元の景気が「悪化に転じた」「緩やかながら悪化している」「急速に悪化している」のいずれかを選んだ人が八〇・二%と、今年二月の前回調査の三二・二%から急増している。
 半年前に比べた景気の現状に関するDIはマイナス八四・六。前回(マイナス四八・二)から大幅に落ち込んだ。原油・原材料高の地元景気に対する影響が「マイナス」「どちらかといえばマイナス」と答えた人が九九・〇%にのぼった。
 ▼DI 景況や業況判断の方向感を示すのに使う数値。日銀の企業短期経済観測調査(短観)のDIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いている。社長百人アンケートと日銀短観のDIの動きには類似性がある。

:2008:09/22/13:10  ++  金融不安はロシアを変えるか(社説)

グルジア紛争を機に米欧との対決色を鮮明にしていたロシアの強硬姿勢に変化の兆しがみえてきた。きっかけは、にわかに広がってきた国内の金融不安である。
 メドベージェフ大統領は先週開いた国内経済界代表らとの会合で、グルジアとの武力衝突後も「我々の経済政策の原則は何も変わっていない」と表明した。エネルギーなど戦略部門への外国投資を歓迎する意向を示し、ロシアの世界貿易機関(WTO)への加盟交渉も従来通り進めたいと述べたという。
 グルジア侵攻直後、ロシアは「新冷戦も恐れない」(メドベージェフ大統領)とし、北大西洋条約機構(NATO)との関係断絶やWTO加盟交渉凍結すらちらつかせていた。微妙に立場を修正しているのは、最近の経済変調と無関係ではない。
 ロシア金融市場では通貨ルーブルが下落し、株式市場でも先週は主要株式指数のRTSが終値ベースでほぼ三年ぶりの安値を付けた。今年五月の年初来高値と比べると六割近くも急落した。
 慌てた金融当局は十七日午後から一日半、証券取引所の取引を停止する異例の措置に出た。政府は公的資金を使った株式買い支えや金融機関への貸出枠拡大を柱とする緊急市場安定化策を発表した。これを受けて株式相場は週末には急反発したものの、一九九八年のロシア金融危機をほうふつさせる混乱ぶりだ。
 主因は米国発の金融危機の影響だが、他の新興市場と比べても最近の株式相場の下げはきつい。主要輸出品である原油や天然ガス市況の頭打ちに加え、グルジア紛争に伴う政治的リスクが投資家の嫌気を誘っているのは明白である。紛争後にロシアから流出した投資資金は二百億ドル前後に上るとの試算もある。
 ロシアは現在、五千億ドルを超える豊富な外貨準備高を抱える。現時点で金融危機が再燃するとの見方はほとんどないが、市場の動揺は米ソ冷戦時代と異なり、ロシアが世界経済に組み込まれている現実を浮き彫りにしたともいえる。
 金融不安を教訓に、米欧もロシアもグルジア紛争でむやみに対立をあおらず、早期収拾への協調を優先すべきではないか。

:2008:09/22/13:07  ++  小沢代表は説得力ある政権公約を示せ(社説)

民主党の臨時党大会で小沢一郎代表の三選が正式に承認された。小沢氏は所信表明演説を行い、政治生命を懸けて政権交代を実現する決意を強調するとともに、月内に次期衆院選のマニフェスト(政権公約)を取りまとめる考えを示した。
 小沢氏はすでに年金制度の一元化などを盛り込んだ基本政策案を発表している。これに基づいて政権公約を肉付けするが、民主党の政権担当能力を示すには、説得力のある財源を盛ることなどが不可欠だ。
 小沢氏は、政権公約では(1)来年度予算で直ちに実施する(2)来年の通常国会で関連法案を成立させた後、二年以内に実施する(3)次の衆院議員の任期内の四年後までに実施する――という三段階に分けて、重点政策の実現時期を明確にすると説明した。
 この後の記者会見では、高速道路の無料化は来年度から実現し、月額二万六千円の子ども手当も来年度からの段階的な実施を検討する方針を示した。農業の戸別所得補償制度は二段階目の時期から着手するなど、構想の一端を明らかにした。
 財源に関しては「一般会計と特別会計を合わせた国の純支出二百十二兆円の約一割の二十二兆円を主要政策の実行財源にする」とし、その具体策を提示する考えも示した。
 民主党は昨年の参院選の政権公約に、新規施策に必要な十五兆三千億円の大半を、補助金の一括交付金化による無駄の排除などで捻出(ねんしゅつ)する方針を盛り込んでいた。私たちはかねて参院選の政権公約は財源の裏づけが不明確だと指摘してきた。民主党内からも財源の帳尻が合わないとの批判が出ている。
 小沢氏は早ければ十月二十六日にも次期衆院選の投票が行われるとの見通しを示した。選挙後に民主党を中心とする政権ができれば、来年度の予算編成は待ったなしである。財源をあいまいにしたままでは、新政権はたちまち混乱に陥るだろう。
 小沢氏が演説で、外交・安全保障政策に言及しなかったのは残念である。政権を担っても、インド洋上での給油活動に反対を続けるつもりなのだろうか。日米関係への影響が懸念されるが、反対を貫くなら、それに代わる国際貢献の対案をきちんと示してもらわなければ困る。
 菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長ら党執行部は続投させる一方で、「次の内閣」の主要メンバーについては実際に政権をとった時の顔触れを近く発表する意向も表明した。話題づくりの側面もあろうが、その人選は重要だ。適材適所の布陣となることを期待したい。

:2008:09/19/10:45  ++  日立と松下、薄型テレビ事業の協業を拡充

日立製作所(日立)と松下電器産業(松下)は9月18日、テレビ用ディスプレイ事業と薄型テレビ事業において、協業を拡充することで基本合意に達したと発表した。2008年10月末をめどに最終契約を締結する。

 日立と松下は2005年2月に、プラズマディスプレイ事業にて包括的協業に合意。すでに開発、生産、マーケティング分野で協業を進めている。

 今回の拡充は、プラズマディスプレイにとどまらず、パネル開発、液晶テレビなど薄型テレビ事業全般で協業していくものとなる。

 今回の協業により、日立では従来日立プラズマディスプレイで製造していたプラズマテレビ用のガラスパネル部材を松下から調達する。松下供給によるパネル搭載モデルは、2009年度より発売されるとのこと。一方で液晶テレビに関しては、液晶パネル製造会社IPSアルファテクノロジを中心とした協業を一層強化するとともに、軽量化、薄型化、省電力化、高画質化などの取り組みを推進していくとした。

 なお、日立ではガラスパネル部材を松下から調達するが、日立プラズマディスプレイは今後も存続する。

 両社では今回の協業拡充に関して「両社ではこれまでも家電分野を中心にした広範な提携関係を構築し、製品の共同開発や生産面での連携など、多くの実績を上げてきている。今回の合意に基づき、これまでの協力関係をさらに発展、強化させ、お客様により魅力のあるプラズマテレビを提供することで、豊かな社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

:2008:09/17/08:57  ++  リーマン・ブラザーズ証券が民事再生法の適用申請、戦後2番目の大型倒産に

大手証券会社のリーマン・ブラザーズ証券、ならびに持株会社のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが9月16日、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請した。親会社の米Lehman Brothersが連邦破産法11条(チャプター11)の適用申請をしたことにもとづくもの。

 帝国データバンクによれば、リーマン・ブラザーズ証券の負債規模は8月末時点で約3兆4000億円といい、戦後2番目の大型倒産になるという。また、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの負債は2007年11月末時点で5159億7300万円にのぼるとのことだ。

:2008:09/12/09:01  ++  開発者が語る、「モバゲータウンができるまで」

無料ゲームとソーシャルネットワークサービス(SNS)を組み合わせ、一躍人気となったモバイルサービス「モバゲータウン」。このシステムはどうやって生まれたのか。9月5日に東京都内で開催された開発者向けのイベント「ITPro Challenge! 2008」において、ディー・エヌ・エー(DeNA)取締役の川崎修平氏が、自身の経歴を振り返りながら、開発時のエピソードを明かした。

 川崎氏は1975年生まれ。小学生の頃からPC関連のイベントに通っていたという「パソコンオタク」だ。当時の夢はゲームの開発者になること。その夢は、モバゲータウンでのゲームアプリ開発で叶っている。

 DeNAに入社したきっかけは、大学生のころに運営していたオークションサイトに関するまとめサイトだ。1日100万ページビューを稼ぐ人気サイトで、「自分のサイトをユーザーが何度も使ってくれるのが嬉しい。ユーザーを喜ばせようと新機能を提供し、思いついたものをどんどん入れていくのが気持ちよかった」という。

 当時、サーバは自宅に置き、4台ほどで運営していた。「家のアンペア数が足りなくて、サーバを増やせなかった。貧乏仕様でやりくりすることを覚えた」

 そのまとめサイトが、DeNAの社員の目にとまり、同社に入社することに。その後、携帯電話向けのオークションサイト「モバオク」やモバイルアフィリエイトサービス「ポケットアフィリエイト」、そしてモバゲータウンという、DeNAの中核サービスを主に1人で開発していく。

障害に寛大だったモバイルユーザー

川崎修平氏 モバゲータウンの開発者、川崎修平氏

 たとえばモバオクの場合、2カ月程度で開発した。「(現DeNA取締役の)守安さんが、『ケータイオークションをやりたいんだけど1人で(開発)できる?』と聞かれた。ゼロから好きに作っていいと言われたので、理想のオークションサイトが作れると思った」

 当時はパケット定額制サービスが始まったばかり。「使っていたユーザーがヤフーオークションに『卒業』されないように、新しい世代のサービスを安上がりで作ろうと考えた」。あえて携帯電話にサービスを限定してPCユーザーが入ってこないようにし、さらにユーザー間で細かいやりとりをするようなインターフェースを導入することで、独自の文化を作り上げていった。

 当初はアクセス数が伸び悩んだというが、ユーザーがほかの人を紹介するとインセンティブがもらえるようにすることで口コミを起こし、サービス開始から2カ月ほどでアクセス数を伸ばすことに成功した。

 ただ、システムの設計に関しては手探りだったようだ。携帯電話の場合、PCと異なり1回のパケット送信数は少ないものの、セッション数は多い。携帯電話特有のトラフィックに苦労しながらも、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を導入することで対応した。

 「週末にトラフィックの山が来るので、毎週『このままいくと週末越えられないな』と言いながら、平日にシステムを修正するというのをずっとやっていた」

 ただし、携帯電話のユーザーは「障害や不具合に寛大だった」ことで、救われたとも語る。「携帯電話のユーザーはコミュニケーションの仕方が全然違う。企業が運営しているサイトでも個人サイトに近い感覚で接してくるので、管理人がいると思って問い合わせをしてくる人もいる。レスポンスも早かったので、不具合があれば1分以内にすぐ直すというようなことをして、テストを省いたりもしていました(笑)」

 開発作業は基本的に1人。自宅で深夜作業をしていることが多かったという。「現物が仕様でドキュメントもない。その代わりに、ソースを見れば仕様が分かるようにしていた」。ときどき出社し、企画やデザインを担当する人たちと飲み屋で話しながら細部の詰めをしていった。

 1人で開発をしていたため、負荷対策は簡単にできる仕組みを取り入れた。具体的には、1週間分程度の余裕を持たせたリミッターを仕掛けておき、限界が来るのを早めに察知して対応できるようにしていた。

自分の作りたいものとユーザーが使いたいものを一致させる

 モバゲータウンも、開発期間は3カ月だった。オークションサービスはそれまで描いていた理想のサービスを作れば良かったが、コミュニティやSNSの場合は川崎氏自身、あまり使っていなかった。しかし、「人と絡むのが得意じゃないから、そういう自分でも使えるものを作ろう」と発想を切り替えた。それが結果として、アバターを核に、見知らぬ人とのコミュニケーションが楽しめるサービスへとつながった。

 サービスを開発する上で川崎氏が気をつけていることがいくつかある。まず、自分で作りたいものを作るということ。ただし、自分が作りたいものと、ユーザーが使いたいものが一致するような訓練は必要とも話す。「こう使われるだろうという仮説があって、それが思った通り使われたかどうかを確認するというフィードバックを繰り返すことで、ユーザーとの感覚が合ってくる。そうなれば、自分が面白いと思うものを作って受け入れられるという、幸せな構造ができる」

 また、開発する上でのモチベーションを維持するために、「こんなサービスが突然出てきたら、わくわくして人に伝えるよね」というものを作ること、「これができたら自分はすごい」という多少無理に見える課題設定をすることがポイントだとした。

 個人で開発することが多い関係上、「有能な編集者みたいな人がいるのがありがたい」とも語る。「あらぬ方向に行っちゃったときに、適切なインプットをしてくれる人がいるといい。自分は集客力があるサービスを作るのに専念し、ビジネスチャンスの発見や、トラフィックの活用方法、サポートや営業などを専門家に任せられる状態が幸せだ」とした。

 モバゲータウンの文化作りについては「理想的なコミュニケーションができるモバオクのユーザーを選んでサイトを利用してもらい、そこを核に基本文化を作った。優しい文化になっていたので、後からサイトに参加した人もそれに合わせた」という。ただ、急激に人気が出た理由については、「よくわからない」と苦笑していた。

:2008:09/03/11:18  ++  システム・テクノロジー・アイ、eラーニング教材簡単に、作製ソフト。

教育ソフト制作やシステム構築を手がける東証マザーズ上場のシステム・テクノロジー・アイ(東京・中央)は、ビデオ映像とテキスト中心のプレゼン資料を連携させた研修用教材を簡単に作れるソフトを開発した。約一時間の動画付き教材の作製には最大二―三時間程度かかるとされるが、作業時間を半分から三分の一程度にできるとしている。大手から中堅まで幅広い業種に販売し、今後一年で五十ライセンスの販売を目指す。
 新ソフトは「アイスタディー プレゼンター」で、九月二十六日から発売する。米マイクロソフトのプレゼン作製ソフト「パワーポイント」で作った資料と、講師などが解説する姿を録画した画像を同時に表示し、受講者が理解しやすいeラーニング(インターネットを使った遠隔教育)教材を簡単に作れる。
 デジタルビデオカメラやUSBカメラをパソコンに接続し、同ソフトを起動してパソコン内のプレゼン資料に合わせて講師がカメラに向かって解説する姿を録画すると、動画とプレゼン資料が一画面に表示される研修教材ができあがる。
 これまでの製品では動画を別途撮影し、その後の編集作業で映像の進行状況と、プレゼン資料のスライドのページを合わせる作業が必要だった。一時間程度の動画付き教材を作る場合には最大三時間程度かかっていたという。同ソフトでは、リアルタイムでの作製を可能にするため作業時間を最短で三分の一程度に短縮できる。
 同ソフトの標準価格は二十五万円(税抜き)。システム・テクノロジー・アイが販売する、社員によるeラーニングの進ちょく状況などを把握できる学習管理ソフトと組み合わせて利用する。
 矢野経済研究所の調べでは、二〇〇七年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比七・八%増の千三百四十一億円で堅調に推移している。〇八年度も前年度比一〇・四%増の成長が予測されており、市場規模は千四百八十一億円となる見通し。

:2008:09/03/11:12  ++  効果に疑念?IT投資細る(ビジネスPlus)他

日本企業のIT(情報技術)投資が停滞している。経済産業省の調査によると情報処理関係諸経費の1社平均は2006年度で7億円強と前年度から24.3%減少。対事業収入の比率は0.9%で、1990年代半ば以降で初めて1%を割った。減額は特に中堅中小企業に目立つ。景気が堅調だった当時でこの状態では、今年度以降の投資意欲は相当冷え込む可能性がある。
 原因の一つは、費用対効果の感覚にある。同じ調査では「業務の革新」「ITインフラの強化」などで投資の効果があったとする企業がほとんどなのに対し、「収益改善」など具体的な成果があったとする答えは減っている。システム化が一巡、利益に直結する新しい使い方もなくなってきたと考えているようだが、現実にはIT化は米国などにまだ遅れている。システムを作る側、導入する側とも、知恵を絞る余地はあるはずだが。

:2008:09/03/10:37  ++  切り札「内閣改造・経済対策」不発、首相辞任、孤独な決断――禅譲、最後まで否定。

与党内からも驚きの声が上がった一日夜の福田康夫首相の電撃的な辞任表明。首相は内閣改造と経済対策という二つの切り札を使って難局打開を試みたものの、政権浮揚のシナリオは功を奏さなかった。一人で熟慮を重ねた末にたどり着いたのが、臨時国会の召集を待たず「首相の座」を降りるという孤独な決断だった。
 「麻生さんへの禅譲なんてあるわけないでしょ」。八月半ば、首相は長い付き合いがある民間人に意気軒高に語った。
 首相は八月一日の内閣改造と自民党役員人事で麻生太郎幹事長ら政権に距離を置いてきた勢力の取り込みに成功。このころ首相は強気で、衆院解散・総選挙について「急ぐ必要なんてない。三百議席をとれるわけもないし、ねじれも解消するわけがない」と周囲に漏らした。官邸関係者は「首相の本心は来年度予算が成立した来年春以降」との見方を強めていた。
 誤算があったとすれば「早期解散戦略」に大きくカジを切った公明党の動きだった。臨時国会の召集日や会期さえ決められず、首相が麻生氏に「公明党の言う通りやってるだけじゃ駄目だ」としかりつける場面もあった。
【図・写真】自民党総務会に臨む福田首相(中)(2日、自民党本部)
 首相は知人に「自分の意向が内部でなかなか通らない」と不満を漏らす一方、ぎくしゃくし始めた公明党との関係については「そんなことは些事(さじ)だ」と楽観的な見方を示していた。
 公明党の太田昭宏代表とは個人的な信頼関係を築いてきた。首相は八月十九日、臨時国会の召集を九月十二日と内々に決めながら「九月中旬」と表明した。「決められない首相」と批判を浴びるリスクを冒してまで、あえて「中旬」という表現を選んだのも太田氏への配慮からだった。
 この直後から首相がカレンダーに目を向ける機会が多くなったという。関係者は「今思えばそのころから辞意表明のタイミングを思案していたのではないか」と振り返る。
 政権浮揚への最後の切り札となった総合経済対策。「財政規律」という政治信条を辛うじて守った格好で最大限のメニューをそろえ、政府・与党決定にこぎ着けた。にもかかわらず八月末の本社世論調査での内閣支持率は二九%に下落した。
 九月一日の夕方。大阪府での防災訓練を終えて首相公邸に戻った首相は麻生氏らとの会談を前に秘書官を呼び、「これから記者会見をやる」と明かした。「万一」を想定した原稿を前日ひそかに準備させていたが、事情を知るごく限られたスタッフも翌日すぐ使うとは予期していなかった。
 当日まで家族にも知らせず、たった一人で辞任を決めた首相。夜の緊急会見を控え、麻生氏と町村信孝官房長官を執務室に招いて伝えた辞意はむしろ「通告」に近い雰囲気だった。「総裁選をちゃんとやってください」。付け加えたその言葉には、麻生氏への禅譲否定の意味も込められていた。

:2008:09/02/10:07  ++  福田首相、辞任を表明 「ねじれ」で政策停滞

福田康夫首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、退陣する考えを表明した。8月の内閣改造後も求心力は回復せず、政権運営の継続は難しいと判断した。首相は自民党総裁選の実施を指示。今月中旬に新総裁が決まり次第、正式に内閣総辞職する。首相が二代続けて1年足らずで辞任する事態となり、野党は「無責任きわまりない」などと批判。与党内では新首相が今秋に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まっている。

 首相は記者会見で辞任理由について「国民生活を考えた場合、態勢を整えた上で国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣で政策実現を図っていかなければいけない」と強調した。

 参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」を念頭に「私が首相を続けて国会が順調にいけばいいが、私の場合には内閣支持率の問題もある」などと言及。辞任を決めた経緯に関しては8月29日の総合経済対策の取りまとめを踏まえ、「先週末に最終的に決断した」と明かした。 (01:05)

(9/2)福田首相、辞任を表明 「ねじれ」で政策停滞

 福田康夫首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、退陣する考えを表明した。8月の内閣改造後も求心力は回復せず、政権運営の継続は難しいと判断した。首相は自民党総裁選の実施を指示。今月中旬に新総裁が決まり次第、正式に内閣総辞職する。首相が二代続けて1年足らずで辞任する事態となり、野党は「無責任きわまりない」などと批判。与党内では新首相が今秋に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まっている。

 首相は記者会見で辞任理由について「国民生活を考えた場合、態勢を整えた上で国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣で政策実現を図っていかなければいけない」と強調した。

 参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」を念頭に「私が首相を続けて国会が順調にいけばいいが、私の場合には内閣支持率の問題もある」などと言及。辞任を決めた経緯に関しては8月29日の総合経済対策の取りまとめを踏まえ、「先週末に最終的に決断した」と明かした。

(9/2)「またか」列島あきれる 二代続けて投げ出し

 「なぜ今、辞めるのか」「またも、無責任だ」。1日夜、福田康夫首相の突然の辞任表明は列島に衝撃を与えた。「国民のことを第一に考えた結果」と強調したが、難題山積のなか、二代続けての「政権放棄」に国民はあきれかえった。人ごとのように淡々と辞任の弁を語る二世首相は「私は自分を客観視できる」と不可解な“捨てぜりふ”を残して退場した。

 仕事帰りの会社員らでにぎわう東京都港区のJR新橋駅前。「え、辞めるんですか」と驚いたのは横浜市青葉区の女性会社員(60)。首相辞任の一報を聞き、次第に怒りがわいてきたといい、「だらだらとした政治を続けてきた。辞任は当然だとも思うが、やはり無責任」と吐き捨てた。

 文京区の女性会社員(30)は「またかと思ってしまう。本当にがっかり」と不満をあらわに。「辞めるにしても別のやり方があったのではないか」とあきれた後、「次の首相は一つでもいいので確実に結果を残してほしい」と注文を付けた。

(9/2)小沢民主、解散へ攻勢 対決路線強める構え

 野党は1日夜の福田康夫首相の辞任表明を踏まえ、自公連立政権の政権担当能力の欠如を強調し、新政権が発足すれば早期に衆院解散するよう求める構えだ。同じ日、民主党の小沢一郎代表が代表選出馬を正式表明して無投票3選が確実になった。「小沢民主党」は臨時国会で対決姿勢を強めるとともに選挙準備を急ぐ。

 「(安倍晋三首相に続く)2代続いての政権放り出しだ。自公政権が国民に責任を持てないことを自ら証明した」。菅直人代表代行は1日夜、記者団にこう力説した。

 小沢氏は1日午前、党本部で記者会見に臨み「生活感も無く対応力に欠けている自公政権を1日も早く終わらせないといけない」と代表選出馬を正式表明したばかり。

(9/2)ねじれが壁、公明と溝 首相辞任表明

 福田康夫首相の突然の辞任表明は、首相の前に立ちはだかった2つの「ねじれ」に屈服せざるを得なくなったからだ。1つは参院で野党が過半数を握る国会情勢のねじれ、もう1つは首相の統制が利かなくなった連立与党内部のねじれだ。2008年度補正予算案、インド洋給油法、消費者庁設置法案……。次期臨時国会に重要課題を抱え、万策尽きた首相には政権放棄の選択肢しか残されていなかった。

 「福田と小沢では同じ構図になる。人が代われば変わるかもしれない」。首相は1日夕、大阪府での総合防災訓練から官邸に戻ると自民党の麻生太郎幹事長を呼び出し、こう切り出した。「辞任するので自民党総裁選の手続きをお願いする」


:2008:09/02/09:14  ++  グーグル、人工衛星「GeoEye-1」の画像を購入へ--「Google Maps」が高解像度化

Googleは、GeoEyeが米国時間9月4日に打ち上げ予定の人工衛星が撮影する画像の供給を受ける契約を結んだことを発表した。

 この契約により、GoogleはGeoEyeの画像の使用を許可された唯一のオンラインマッピングサイトになると、Googleで企業コミュニケーションおよびマーケティング担当バイスプレジデントを務めるMark Brender氏は語った。Googleは、この衛星画像を「Google Maps」と「Google Earth」に使用する。

 重量4310ポンド(1955kg)の人工衛星を打ち上げるためにカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地に設置されたロケットの側面には、Googleのロゴがケーキの上の小さなお菓子のように張られている。契約の詳細は明かされなかった。

 Brender氏によれば、この衛星「GeoEye-1」は、423マイル(681km)上空の軌道上にいながら41cmの解像度で画像を撮影できるようになるという。ただし、GeoEyeの米国政府とのライセンス条項により、Googleは50cmの解像度のデータしか使用を認められない。

 Googleによれば、この人工衛星は、1日でニューメキシコ州とほぼ同じ広さの地域を高解像度の「パンシャープン」画像で撮影できるようになるという。

 「人工衛星GeoEye-1は、民間利用できる中では最高の解像度を持つカラー地上画像を撮影し、きわめて正確な地理情報が付加された非常に高品質の画像を作成できる」と、Googleの広報担当、Kate Hurowitz氏は説明した。同氏によれば、現在利用できる商用衛星画像の大半は60cmの解像度だという。さらに同氏は、「われわれの目標は、世界中のできるだけ多くの場所の高解像画像を表示することで、GeoEye-1はこの目標に向けた取り組みに役立つだろう」と語った。

 Brender氏によれば、撮影サブシステムはITTが、衛星本体はGeneral Dynamicsが組み立てたものだという。また、2011年か2012年に打ち上げ予定の人工衛星「GeoEye-2」の撮影システムについても、GeoEyeはITTと契約したと、Brender氏は述べた。ITTによれば、GeoEye-2では画像の解像度が9.75インチ(25cm)になるという。

 GoogleがGoogle Earthで現在提供している画像の解像度は、最も粗い部分で1ピクセルあたり15平方mで、比較的広い地域を表示するのにしか適していない。

:2008:08/25/15:43  ++  もはや「融合」は時代遅れ・下り坂のテレビ局が取り組むべきこと

もはや「融合」は時代遅れ・下り坂のテレビ局が取り組むべきこと

 

 メディア業界のこの夏一番の出来事は何だろうかと問えば、多くの人は日本でのiPhone発売を挙げるだろう。しかし私は、メディアの構造変革の予兆を示したという点で、やはり民放テレビ局の収益の急速な悪化を最も重要な出来事ととらえている。(岸博幸の「メディア業界」改造計画)

 

■民放の急速な収益悪化

 民放5局の収益の悪化のペースは予想以上に早い。2008年3月期の決算を見ると、売上高は前期比で微減にとどまっているが、純利益は4局で前期比30―50%程度の減少となっている。加えて、今年の第1四半期の決算では、3局で経常利益が前年同期比40%以上の減少となっている。

 収益の悪化が続くなか、既に4局が2009年3月期の業績予想の下方修正を発表。そのうち3局では経常利益、純利益ともに予想を30%程度も下げている。また、5局すべてで役員報酬・賞与を一部カットするという、前代未聞の事態も起きた。

北京五輪への取り組みをPRする民放5局のアナウンサー=7月23日〔共同〕

 注目すべきは、民放局の本業である放送事業の営業利益が特に悪化していることである。08年3月期の数字で5局とも前期比約20―50%という大幅な減少となっており、今年の第1四半期ではさらに悪化している。本業の柱である広告収入のうち、特にスポット広告の落ち込みが大きく影響していると考えられるが、それにしても悪化のペースが早過ぎると言わざるを得ない。

 もちろん、こうした収益悪化は民放5局に限った話ではないであろう。新聞も同じような状況だろうし、ローカル局や地方新聞に至ってはもっと悲惨な状況に陥っているところもあると聞いている。

 

 

■収益悪化の3つの要因

 それでは、こうした収益悪化の原因は何であろうか。よく言われるのは、景気悪化による企業の広告費の削減と、インターネットへの広告費のシフトの2つだが、それだけが原因と受け止めると対応を間違える可能性がある。個人的には、以下の3つの構造的要因が影響しているのではないかと考えている。

 第1は、日本の国内市場の構造変化である。自動車市場を例にとれば、国内新車販売台数は3年連続減少し、ついに自動車保有台数も戦後初めて減少に転じた。つまり、国内の自動車市場は縮小しているのである。今後は、人口減少や少子高齢化により、自動車のみならず様々な商品・サービスで、広告宣伝の対象である国内市場が縮小するであろう。企業の広告費は、景気変動に関係なく構造的に減少トレンドに入った可能性があるのではないだろうか。

 第2は、マスメディアとユーザーの関係の変化である。YouTubeなどに違法に投稿された番組も含めれば、ネット上ではユーザーは見たいときに見たい映像を見ることができる。ハードディスクレコーダーの普及も「見たいときに見る」というユーザー主導の習性を後押しする。その影響が、マスメディアとユーザーの関係にも及んでいるのではないか。放送局が設定した時間にユーザーをテレビの前に座らせて“見させる”いまのビジネスモデルが危機を迎えているといえる。

 第3は、番組の質の低下である。本当に面白くて世間が注目する番組ならば、誰でも見たがるはずだし、その際はパソコンや携帯よりもテレビの大画面の方が好まれる。例えば、ネット配信(=テレビ離れ)が急速に進む米国でも、今年2月のスーパーボウルはテレビの歴史上2位の視聴者数を記録した。番組自体がつまらないから、ユーザーはテレビから離れ、広告費も離れて行くのではないだろうか。

 

 

■通信と放送の融合だけでは儲からない

 このように考えると、民放局の収益の急速な悪化は、景気変動などによる一時的なものではなく、構造的なものと捉えるべきであろう。その場合、民放局はいかに対処すべきであろうか。個人的には3つの基本方針が必要と思う。

 第1に、以前の私も含めて多くの専門家は「だからこそ通信と放送の融合を進めるべき」と言うだろうが、いまの私の考えは異なる。反省を込めて言えば「融合」に惑わされるべきではない。

 融合を日本で最初に喧伝した者として自信を持って言うが、未だに融合を叫ぶのは時代遅れである(政策としては必要であるが)。米国で広告モデルを採用するビデオサイトの大半が赤字であることからも明らかなように、ネットの収益への貢献は大きくないからである。テレビ広告収入の落ち込みは、ネット収入では補えないのである。

 だからこそ、放送局は融合を超えたビジネスモデルの確立を目指して、取り組みを早急に始めるべきである(私なりのビジネスモデルのイメージはあるが、紙幅の関係もありここでは省略する)。今のビジネスモデルに永続性がないことは急速な収益悪化から明らかであり、かつ融合だけでは問題は解決しないのである。

 第2に、放送事業もビジネスである以上、苦境に陥りつつもまだ余裕がある今のうちに、事業再生の基本に立ち返るべきではないだろうか。事業再生の基本は、(1)徹底した無駄の削減をする、(2)コアコンピタンスのある事業に資源を集中するとともに、その成長戦略を確立する、(3)不採算事業は切り離す、という当たり前のことである。無駄の削減の余地は大きいと思うので、民放局は最悪(1)だけでも数年はしのげるであろう。問題は、その間に(2)と(3)をしっかりと実行できるかである。

 第3は、第2点目の延長となるが、本業の強化を優先すべきという点だ。報道によると、多くの民放局が番組制作費の削減を始めたようだ。それが無駄な経費の削減なら正しいが、その場しのぎの帳尻あわせだったら、誤った対応と言わざるを得ない。

 民放局のコアコンピタンスは何か。異論はあるだろうが、私は番組制作力とブランド力だと思っている(かつては番組送信能力が最大のコアコンピタンスだったが、それはネットの普及とともに価値を失った)。それでなくとも番組の質が低下しているなかで、過度の番組制作費の削減はコアコンピタンスの喪失につながりかねない。今のNHKがその典型例である。本業以外の収入を増やす努力はもちろん必要であるが、本業にまだコアコンピタンスがあるうちに、その再強化をすべきではないだろうか。

 

■危機をチャンスに変えよ

 いろいろと言ってきたが、民放局にはぜひ頑張って今の苦境を乗り切り、新たな収益モデルの確立に向けて頑張ってもらいたい。かつての小泉政権における改革と同じで、危機は変革のチャンスである。

 単なる融合だけでは儲からないなか、本業以外で収入を増やすのも結構だが、コアコンピタンスのある本業の新たな形での再生こそが日本のために必要であり、そのビジネスモデルを自ら追求しなくてはならない。そうしないと、また資本の論理だけに基づくネットベンチャーの攻勢にさらされるだけである。

-筆者紹介-

岸 博幸(きし ひろゆき)

慶応大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授、エイベックス取締役

略歴

 1962年、東京都生まれ。一橋大学経済卒、コロンビア大学ビジネススクール卒
業(MBA)。86年、通商産業省(現・経済産業省)入省。朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)、資源エネルギー庁、内閣官房IT担当室などを経て、当時の竹中平蔵大臣の秘書官に就任。同大臣の側近として、不良債権処理、郵政民営化など構造改革の立案・実行に携わる。98~00年に坂本龍一氏らとともに設立したメディアアーティスト協会(MAA)の事務局長を兼職するなど、ボランティアで音楽、アニメ等のコンテンツビジネスのプロデュースに関与。2004年から慶応大学助教授を兼任。06年、小泉内閣の終焉とともに経産省を退職し、慶応大学助教授(デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構)に就任。07年から現職。

:2008:08/19/09:05  ++  フリービジネスの原資を確保せよ

コンテンツ市場の多くを占めるのはパッケージ系産業だが、これらは縮小傾向が止まらない。しかし、先進他国ではパッケージ系産業の衰退傾向を上回る勢いで広告などのフリービジネスの原資となる金が流入している。

コンテンツ市場成長率は高原状態

 最新のデータが掲載された『デジタルコンテンツ白書』の発刊が、発行元のデジタルコンテンツ協会(DCAJ)から発表になる予定と聞く。正確な最新数値についてはその発表を待つべきだろうが、経済産業省のメディアコンテンツ課課長の村上敬亮さんがブログ・エントリで言及されているとおり、日本のコンテンツ市場規模は約14兆円であり、その全体の成長は微増にとどまることには違いはない。

 ただ、この統計は、直接・間接的に消費者の手元に届く商品、サービスに対する経済価値の総計である。

 企業広報、IR(投資家への情報提供)やCSR(企業の社会的貢献)など費用で広告掲載料を伴わないもの(典型的には企業ウェブ、あるいはケータイのスタートページなどの開発費用)、製品などの開発などに投下された費用(デザインやプログラム)、そして組織内でのコミュニケーション(読者の皆さんが悩んでいるプレゼン資料)や特定の利用者に向けた(教科書やパンフレット、取扱説明書、あるいはアフターサービスなどのための資料など)の広義のコンテンツやクリエイティブは、直接にはカウントされていない(これら、非エンタメ領域のコンテンツという外部のバリューチェーンに組み込まれた領域と既存のコンテンツ産業をどうやって融合させていくかは、課題であると同時に、大きな飛躍のきっかけとなる可能性が高い。このイシューについては別の機会に論じてみたい)。

 加えて、同統計は「コンテンツ市場規模」とは言っているものの、この中には各種サービスの数値も含まれている。PCやケータイで広告によって生命線をつないでいるITベースの多様なサービスもその一部であるといってよい。

 先月のコラム「今こそ求められるフリービジネスのデザイン・スキル」で紹介したフリービジネスの1つである広告は、広く直接消費者から対価を徴収しない民放テレビなどの成立基盤となっており、その規模は5兆円にまで達しようとしている。

 逆に考えれば、コンテンツ市場規模の3分の2近くを占めるのはパッケージ販売やアミューズメント施設などの「物財」としての性格を前提としたものである。また、情報財としてのコンテンツそのものの価値とは異なる点でその対価を得てきたとも言えるだろう。

 その圧倒的な比率を占めるパッケージ型コンテンツ市場は、デジタル・ネットワーク化の進展に伴いその提供価値が代替されるため、縮小傾向に歯止めが効かない状態が続いている。今後もその傾向は止まりそうもない(ややもすると海賊版の議論に話題は向きがちだが、それだけでは論理的に説明できないのは明らかだ)。

 そうなると、パッケージ型と同じ規模を維持することは困難であっても、全体の縮小傾向を止めるためには現在3分の1を占める広告などフリービジネスをエンジンとした産業構造への転換や、広告の更なる発展モデルを真剣に考える必要が出てくるだろう。

広告:フリービジネスの原資

 では、その広告自体の伸び具合はどうなのだろうか。まず、それ以前に世界の動向を見てみよう。

全世界・米・アジア日本のメディアエンタテイメント市場と成長率 全世界・米・アジア日本のメディアエンタテイメント市場と成長率
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 PriceWater Coopersが発表するメディア・エンタテイメント産業の調査結果を見ると、世界平均で市場成長見込みは6.4%。全市場の中で圧倒的な存在感を示す米国が、5.3%と依然として力強い伸びを示している。

 一方、日本を含むアジア市場の伸びは9.6%と、3.3%の日本を除けば、明らかに10%以上を示すことは明らかで、これら新興市場の影響が全世界市場全体を牽引していることが推定できよう。このデータは、DCAJの『デジタルコンテンツ白書』同様、広告に加えてパッケージ購入額やサービス利用料を含んだ数字となっている。

 では、広告の出稿額のランキングを見てみると、以下のようになる。

広告額別ランキングトップ10と10年前の比較 広告額別ランキングトップ10と10年前の比較
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 これは、前述資料とは異なり、World Advertising Research Centerが発表しているもの。日本は、圧倒的な市場規模を有する米国に最近までは準じていたが、現在は3位に転落している。代わって2位を占めるようになったのは中国で、前資料の日本を除くアジア市場の成長の原動力であることがわかる。

 今回は敢えて資料を掲げないが、広告代理店最大手の電通が毎年発表している「日本の広告費」の2007年度の情報を見ると、ここ数年は微増程度ということがわかる。

 広告は国内総生産(GDP)に比例するといわれる。確かに、日本を現状を考えればそんなところだろうという想像は難くない。だが、日本を含む多くの先進国は経済成長が鈍化していたものの、広告額の成長を見ると、米国の52.8%(10年間のGDP成長は39.1%)や、英国の61.9%、フランスやイタリアなど、そのGDP成長率以上に大きな成長を示している。これらはいかにして説明できるだろうか。

先進国広告産業、成長の理由

 まず、先進国の媒体別の広告出稿額とその人口当たりの金額を見てみよう。

先進国の2007年媒体別広告出稿比と一人当たりの広告額 先進国の2007年媒体別広告出稿比と一人当たりの広告額
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 これを見ると、国ごとに構成媒体比率が大きくと異なること、1人当たりの金額が大きく異なっていることがわかる。そのため、直接の比較は難しいということになろう。

 しかしながら、その内容はどうであれ、1人当たりの広告投下額を見ると、日本よりも英国、さらには米国の方が、広告費を前提としたビジネスを行えば、広告単価の違いから成功確率が違ってくる可能性が高いことがわかるだろう。

 実際、WARCの別の調査とTHINKの独自調査によれば、テレビの広告単価は全米全テレビ局の平均を100とした場合、日本は58。また全米ネットワーク局のみとの比較で行くと、日本は24という結果が出ている(井上「グラ男」景介さん@THINK、ご苦労様でした!)。

 また、成長目覚しいネット広告でも、違いは大きい。日本では依然としてバナー広告が主流だが、欧米では映像を用いた“ブランデット・エンタテイメント”がキャンペーンでは多用されており、その制作費用は桁違いだ。

 加えて、高額なポータル・サイトへの広告掲載よりも、CGMなどソーシャルメディアを活用し、掲載料を節約するなどしているため、そもそもその基準は大きく異なってきている。

 また、検索テキスト広告でも、もっとも高価なワード(たとえば「自動車保険」)を選んで日米で比較してみると、ほぼ3~4倍の開きがあり、同じ広告収益型のネット・ビジネスをするなら「市場規模第2位」の日本よりも、米国や英国(すでにテレビ広告をインターネット広告が凌駕しつつある!)でスタートした方がより成功しやすいということになる(これが「日本のネットベンチャーがうまく行かない理由」の大きなポイントなのかもしれない……)。

 なにはともあれ、これらの数値はある現実の一側面を示しているだけであり、国そのもの発展(中国など新興国)、あるいは先進国におけるGDPの成長以上に広告などフリービジネスの原資が成長した根拠を示しているわけではない。

 また、その答えを直接示す統計はあまり見当たりそうもない。そこで、ここから先はあくまで僕の仮説ではある。

 1つには、先進国においてIT導入などにより積極的に産業構造が変化した。比較的単純なものとなった結果、中間的な存在にリベートといった形で費やされてきたマーケティング費用が製造業など川上では広告費として、大規模小売など川下では販売促進費へと転換されてきたと考えられる。

 これについては、THINKではメディア関連事業領域で一部実証を行っているものの、完全な検証は終わっていない。が、昨今、大手流通チェーンが積極的に導入している「プライベートレーベル」商品が1~3割もの価格圧縮を可能にしていること、McKinsey & Companyのシンクタンク部門であるMGI(McKinsey Global Institute)が行った世界競争力調査で、日本の小売を含む流通構造が非常に複雑で非効率的な状態にあることを示していることが、その傍証と言えるのではないだろうか。

 その後、流通において大規模店舗への急速な転換が図られ、結果的に産業構造は単純化されてきているものの、いまだ全体としては他先進国にはほど遠いままなのかもしれない。

 さまざまなメディア、特にパーソナルが発展した環境において、小売がマーケティング費用を費やせるようになると、ローカル広告市場が成立してくる。

 そもそも米国や欧州では、全国と地域(米国では中間に複数州をまとめた階層もある)といったように、メディアが複層化しており、それぞれごとに異なるメディアが異なる広告を取り扱ってきた。

 特に、広告だけではなく、直接的な販売促進効果を狙うサービスがネットなどで可能になってくると、それら新興メディアへ流入するローカルの費用は、媒体間の乗り換え以上のスピードで増大しつつある。

ローカル広告市場:低迷しつつあるTVと急成長するネット ローカル広告市場:低迷しつつあるTVと急成長するネット
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 日本でも、新聞チラシなどが郊外では効かなくなってきているという声をよく聞く。

 新聞の購読世帯数が減ってきているなどの理由があるに違いないが、それに対してコンビニやホームセンター、専門小売チェーン、そして大規模小売といったさまざまな小売事業者が代替となるメディア・ソリューションを求めてきているものの、まだ決定打は存在していない(一方で、米国のネットワークテレビ局はその平均視聴率は下がっても、特定セグメントへのコンテンツの魅力を高めることで広告効果を高め、結果売上を増大するという現実もある)。

 このように先進国では、産業構造の変化が広告費というドライバとなって、エンタメばかりではないメディアやコンテンツ市場の変化を促し、結果的にローカル広告のエコシステムを構築しつつある。それらが積み重なって、GDP成長以上のコンテンツ、あるいは広告市場の成長を可能にしたのではないかと思う。

 「じゃあ、産業構造全体の変換ができないと日本は沈む一方じゃないか」、という声も聞こえてこよう。そう、先進国の変化は、M&Aなどこれまでにはなかった金融・経営手法の発展で微細・断片化が恒常状態だったさまざまな産業が、単純で大規模な少数の企業へと統合する過程で生じた結果であろう。

 だが、それが絶対の筋道とは思わない。むしろ、気がつけば光ブロードバンドが全国に張り巡らされ、ほとんどのケータイユーザーが3G端末を所有する日本では、違った道があってもいいのではないか、と思う。ローカルの商品が、ネットで購入され、宅配便で全国津々浦々まで配送されるという日常があれば、先進国で起こった変化とは逆のプロセスが生まれるのではないかと、期待している。

:2008:08/13/10:03  ++  企業・家計部門とも弱含み、景気けん引役みえず、企業物価7月、27年半ぶり上昇率。

原油高・食料高を起点にした物価上昇を背景に、日本経済は企業部門と家計部門がそろって弱含んできた。七月の国内企業物価指数は二十七年六カ月ぶりの高い伸び。価格転嫁が進まなければ、コスト増が収益を圧迫する。六月の鉱工業生産の確報値は速報値から下方修正され、在庫の積み上がりが鮮明だ。七月の消費動向調査でみた消費者心理も悪化が続き、景気後退入りが濃厚な日本経済はけん引役不在の試練を迎えつつある。
 日銀が十二日発表した企業物価指数は前年同月比で七・一%上昇した。第二次石油ショックが尾を引いた一九八一年以来の高い伸び率となったのは、直近の原油高ばかりでなく、昨年からの原燃料価格の上昇が時間差を経て価格転嫁されてきたためだ。「年内の企業物価は前年同月比で五―六%で高止まりする公算が大きい」(モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミスト)との見方が増えている。
 七月に企業物価が七・〇%上昇した電力。上昇の背景は今年一―三月のコスト増が反映したことだ。価格転嫁の浸透にかかるのは約半年。今後は四―六月の燃料費増が上昇圧力になる。
 政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格は十月に二割前後の引き上げとなる公算。昨年十二月から今年七月までの輸入価格の平均を基に決めるためだ。小麦の国際価格はここにきて下落に転じたが、二月末までは上昇が続き、この分がようやく反映される。最終製品への転嫁にはさらに時間がかかる。
 足元の原油価格は、代表的な指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が一バレル一一〇ドル台前半まで下落。ただ中長期的にはなお高値圏にあり、価格転嫁の時間差を考慮すると、引き続き物価の押し上げ要因といえる。
 鋼材価格の上昇を背景に、七月に自動車など輸送用機械の物価指数が十年ぶりの伸び率となったように、最終価格への転嫁は今後も広がりそう。ただスーパーの店頭で加工食品の売り上げが落ち込むなど、消費者の生活防衛姿勢は鮮明。コスト高に見合う販売価格引き上げに二の足を踏む企業も多く、これは企業業績の下押し圧力として景気にはマイナスに働く。

:2008:08/13/09:54  ++  第2部イノベーション再び(2)「情熱」も資本(価値を創る停滞を越えて)

販売や利益率など厳しい「必達目標(コミットメント)」を社員に課してきた日産自動車。今年度中に人事評価で最低ランク「D」の社員を対象にした新たな教育制度を本格導入する。
「D」社員を再生
 社員全体の能力を底上げする狙いを込めた同制度は、名付けて「ローパフォーマー改善プログラム」。業務成績が伸び悩む人に手を差し伸べ、仕事の効率向上を指導する。原材料高や北米市場の失速など「成長の壁を破るための人材投資」(社長のカルロス・ゴーン、54)だが、実は切羽詰まった事情がある。
 優秀な若手育成と成果主義で一定の果実を得た半面、「短期志向のスタンドプレーでしらけた空気が広がっていた」(幹部)。一体感と熱意を取り戻して組織の分裂を防ぐことが競争を勝ち抜く原動力になると考えた。
 「情的資本(エモーショナル・キャピタル)」。ヒト、モノ、カネのほか、社員の「情熱」や「感情」を経営資源とみる概念がある。組織や労働者の活力を鼓舞して価値を生む大事な要素だ。
 この十数年、企業は資本効率を追求し筋肉質になったが、働く人の満足度は低下ぎみ。景気後退で環境は一段と厳しさを増す。利益と社員の充実感、創造力の均衡をどう求めるのか――。
 惑う経営者らが参考にする非上場企業が長野県伊那市にある。
 寒天最大手の伊那食品工業。今年に入り帝人、村田製作所、トヨタ自動車グループの首脳が相次ぎ訪れた。「皆さん悩んでおられるようで」と会長の塚越寛(70)。
 社是は「いい会社をつくりましょう」。賃金は完全年功で営業ノルマはない。海外旅行手当なども支給する。古い家族主義にも映るが研究開発型の高収益企業だ。医薬品原料など寒天の新市場を開拓し、四十八年間、増収増益だった。
 塚越の持論は明快だ。「人を重んじる姿勢を貫けば皆が安心して創造力を発揮する」。年功制が悪平等とモラル低下を招くのでは、との疑問には「全社員を熟知しているから大丈夫」と言う。
 成果主義は個人の能力活用に効果があったが、「自分のことで精いっぱい」の人が増え目標や価値観を共有できない副作用が広がる。やる気、興奮、喜び――。企業は再び組織に感情の灯をともし、行き過ぎた振り子を戻そうとするが、解を探すのは容易でない。
 高収益企業の代表格、韓国サムスンも悩む。半導体や液晶パネルなどで日本企業を追随する手法から脱するため、前会長の李健熙(イ・ゴンヒ、66)は「創造経営」を提唱。グループ各社に新事業発掘の号令がかかる。
 だが社内では「短期の業績回復と長期改革の両立は無理」と悲鳴も上がる。前会長の有罪判決など求心力の低下が危惧される中、サムスン電子常務の趙洪植(52)は「(創造経営は)容易ではないが、実現しなければ生き残れない」と漏らす。
都会派家電熱く
 巨大組織の変身は待てない。熊本浩志(32)は東芝を〇二年に退社し、デザイン家電のリアル・フリート(東京・渋谷)を創業。その後、東芝出身者七人が合流した。
 東芝で若者向け家電事業を立ち上げたが、販売戦略を巡って会社と意見が食い違って頓挫。今は都会的な外観の「アマダナ」ブランドの製品を企画、販売する。
 工場を持たず、量販店では売らない、値引きはしないなど逆張りの戦略で成長する。デザイン担当の鈴木健(34)は「給料は東芝時代の三割減だがアイデア勝負の面白さは最高」。毎週水曜日の製品会議では夜中まで本音を熱くぶつけ合う。
 「知識と情熱の融合こそが次の成長を生む」(伊藤邦雄・一橋大大学院教授、56)。新しい経営のカタチは組織の大小に関係ない。トヨタが社内に網の目のような人のつながりを持つように、理念を共有する仕掛けは各社が編み出すしかない。
 日本の労働力人口は今後二十年で約二割減る。人の潜在力を引き出さなければ企業や国は衰える。イノベーションは技術革新だけを指すのではない。豊かな価値を創(つく)る組織を築く知恵が問われている。

:2008:08/12/15:38  ++  花菖蒲さんお見舞い

昨日、会社を休んで高尾君のお見舞いに安芸高田市の農協病院にお見舞い行った。
一昨日の夜、久保君からの電話で脳梗塞(小脳)で倒れたことを知ったので。
田舎に引き上げてから、行くよ行くよと言いながら結局行かずじまいだったが、
昨日の再会は辛いものとなった。
完治しても植物人間となる可能性が大だ。
奥さんも大変だろう。これまでも、脳内出血の後遺症に耐えてきたので、延命治療は彼のためにも、しないという。

:2008:08/12/10:38  ++  スーパーやホームセンター、大衆薬販売に本格参入、競争激化で値下がりへ。

ヨーカ堂 全店で扱い カインズ 新資格に力
 スーパー大手が来年四月以降、風邪薬など大衆薬の販売に本格参入する。イトーヨーカ堂とマルエツは全店で販売、ライフコーポレーションは新規店に売り場を併設する。ホームセンター大手のカインズなどを含め各社は、新しい販売資格を大量に取得して人員を整える。来春の薬事法改正の目玉である販売参入が進むことで、値下がりするのは確実。ドラッグストアでの定価販売が中心だった大衆薬が、幅広い店で安く手に入ることになりそうだ。(大衆薬は3面「きょうのことば」参照)=関連記事10面に
 鎮痛薬・目薬など大衆薬の二〇〇七年度市場は一兆一千八百億円(店頭売価ベース)と前年度比二・三%増えた。うち約七割を占めるドラッグストアは日用・食料品を安売りする一方、大衆薬は薬事法で薬剤師の常駐が義務付けられている競争制限を背景に原則、定価販売を維持してきた。
 来年四月の改正薬事法の施行に伴い、薬剤師に比べて取得が容易な新資格「登録販売者」を置けば大半の大衆薬を扱える。スーパーなどは一部店舗の販売にとどまっていたが、最大の参入障壁がなくなることで対応が注目されていた。自治体が今月十二日から順次実施する新資格試験に大量の社員を受験させ、これをてこに本格参入する。
 セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は約二百八十人、イオンは約二百五十人が受験する。うちヨーカ堂は原則、約百七十の全店で大衆薬を扱っていく。イオンは約三百六十品目を展開する割安なプライベートブランド(自主企画=PB)を増やす。食品スーパー大手のマルエツも扱いを全二百三十九店(現在四十九店)に拡大。全二百店のうち二割強の販売にとどまっている食品スーパー最大手のライフコーポレーションは、一〇年度以降の新店に売り場を設ける。
 家電量販も最大手のヤマダ電機が七月から群馬県で大衆薬販売に参入し、主な商品を近隣のドラッグストアより五%程度安く販売している。大手スーパーも本格参入に合わせ、価格を抑え集客の目玉に育てる考え。現在、主要なスーパー網は全国に約八千七百店。仮に全店が扱えば、ドラッグストア(約一万五千店)の半分強に匹敵する勢力となる。大衆薬を扱う店のすそ野が広がり、安売りも進むことで消費者の利便性が高まる見通し。
 ホームセンターでも北関東を地盤とする二位のカインズがまず社員百人に新資格を受験させ、店舗に配置。ファミリーマートは年内から売り場を設け、将来は三百店規模に広げる計画だ。

:2008:08/12/10:34  ++  第2部イノベーション再び(1)トップ企業の決断(価値を創る停滞を越えて)

安住捨て モデル自ら
 原油高に揺れる石油元売り最大手、新日本石油が総合エネルギー企業に変身する――。壮大な試みが福岡県前原市で十月から始まる。第一弾としてLPガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電する燃料電池を百五十家庭に設置、電力を供給する。
需要先細り直視
 将来は太陽光発電などに蓄電池を組み合わせて必要な電力を確保する構想。地域全体を「ミニ発電所」とすることで、巨額の費用がかかる大規模な発電所や送変電設備を持たないのが特徴だ。
 この実証実験に技術を提供するのが新日本石油だ。一万弱の系列ガソリンスタンドを抱えるが、自動車の燃費効率の向上などでガソリン需要は三年連続で減った。今後は電気自動車の普及も見込まれる。もはや「ガソリン販売が減ることは前提」と社長の西尾進路(67)。先細りする需要には社員も不安感を募らせていたが、トップが危機を直視する姿勢を示すことで創業百二十年の老舗の転身に弾みがつく。
 四月に三洋電機から家庭用燃料電池事業を事実上買収するなど、要素技術の確保には布石を打った。エネルギー事業が軌道に乗れば、顧客は十億世帯以上とされる世界中の家庭に広がる。システムを売ってほしい――。早くもインドなどからラブコールがかかる。
 アナログからデジタルへの転換や資源高など、企業の競争環境は従来の延長線上にはない。これまでリストラや海外市場の開拓で利益を伸ばしてきたが、収益環境も厳しさを増す。自ら事業モデルを作り、競争力を高めることが、今こそ日本企業に問われる。
 インターネットの日本語検索サービスの先駆者「goo(グー)」には苦い経験がある。
 ネット普及期の一九九八年、米社の検索システムにNTT研究所の日本語解析技術を組み合わせたグーの技術は画期的な検索効率を誇った。日本における検索サービスのデファクトスタンダード(事実上の標準)の獲得に迫っていた。
 ただ、当時はネット広告ビジネスの夜明け前。事業主体のNTTは電話事業など、規制に守られた通信が本業だ。赤字覚悟で先行投資する意欲も、検索技術でネット事業の覇権を握ろうという気概もなかった。通信市場をほぼ独占していた強さが逆に弱みになった。
 ネット界の激流の中でグーだけが足を止め、間げきを縫ったヤフーが日本の五割弱の検索シェアを確保。さらに後発のグーグルは米国でシェア六割超の巨大企業に成長した。今やグーグルの株式時価総額は日本円換算で約十六兆円と、NTTのほぼ二倍に達する。
成熟市場を席巻
 筆記具で国内最大手のパイロットコーポレーション。背中のラバー部分でこすると、書いた文字が消えるボールペン「フリクションボール」を成熟市場の欧州、日本で大ヒットさせた。さらに今春からは最大市場の米国でも販売を始めた。
 中心となって開発した常務の中筋憲一(65)は「摩擦による温度でインクの色を透明に変える」と謎解きをする。インクは色が変わらないほど高品質という業界の常識を覆して製品化したことがヒットの秘訣だ。
 さらに「他社も類似商品を出してくるはず」と見て「消せる」技術をプリンターのトナーなどに転用し「消せる印刷物」の開発を始めた。印字関連に事業を広げ、付加価値の高いインク製品の販売事業を確立する狙い。
 経済のグローバル化が進み、ネット経由で瞬く間に世界に情報が伝わる現在、強力なモデルにも新しい挑戦者がすぐに現れる。「デファクトは簡単に取って代わられる時代」(日本総合研究所主任研究員の藤田哲雄=42)になった。小さな成功体験に安住せず「破壊と創造」を繰り返すことが一段と重要になる。

 資源・原料高にあおられ、世界で景気後退の不安感が高まりつつある。いかに価値を創(つく)り、成長を実現するか。伝統、常識、成功体験など革新を阻む壁を乗り越えて、イノベーションの力を取り戻そうとする企業の姿を追った。=敬称略
(「価値を創る」取材班)
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:2008:08/08/09:27  ++  発進次世代エコカー(4)「伏兵」出番うかがう―「空気カー」仏社59万円で

 「次は空気カー!有害ガスの排出量はゼロだが電池の搭載は必要無し」
 三月に開催された「ニューヨーク・モーターショー2008」。イベント会場でナレーターが声高らかに紹介すると、集まった観衆らは空気カーを見ようと一斉に首を伸ばした。空気カーとは圧縮空気を動力源とする独創的なエコカー。フランスのニース市に本社を置くMDI社が開発。インドのタタ自動車の協力で実用化が間近に迫る。
 主力モデル「ワンキャット」の排気量は八〇〇cc。九十立方メートルのタンクに詰め込まれた圧縮空気で四気筒エンジンのピストンを動かす。車体は小型で重さは三百二十キログラムと軽量。空気を満タンにすれば最大百キロメートルの走行が可能だ。空気充てんスタンドといったインフラはないため、企業や個人が空気圧縮設備を所有することを念頭に置く。
 MDIはF1のレースカーの設計などを手掛けていたギー・ネグルが一九九一年に設立した。ネグルは航空関連の技術者で空気カーの実用化が長年の夢だったが、資金不足などで実現は難航していた。そこに現れた救世主がタタだ。タタはインドでの販売権を獲得するとともにMDIに開発資金を提供。MDIは〇九年初めにもワンキャットの量産を始める計画。車体価格は三千五百ユーロ(約五十九万円)。
 タタも早ければ来年に空気カーをインドに投入する。超低価格車「ナノ」同様に安く、燃料代も低コストの同車は「庶民向けエコカー」として一気に新興国に普及する可能性はある。
 原油価格の高騰を受け、にわかに実現への期待が高まった技術もある。環境負荷の少ないジメチルエーテル(DME)を燃料にする車だ。
 「DMEは天然ガスや石炭、バイオマス(生物資源)など多様な資源から生産でき、次世代の燃料として期待は大きい」。DME車の開発を手掛けるいすゞ自動車上席執行役員の小田嶋勝はDMEに期待を示す。燃焼しても粒子状物質(PM)が発生せず、CO2や窒素酸化物(NOx)の発生量も少ないからだ。
 しばらく前までは「生産コストが高く、安い軽油に代替する可能性は低い」(業界関係者)と実現を疑問視する声も出ていたが、最近では安さが売り物だった軽油価格が高騰。改めてDMEへの期待が高まっており、「DME車の商品化に向けた開発を継続する」(いすゞ自動車)という。
 エタノール先進国のブラジルでも新型のエコカーが生まれようとしている。同国の自動車ベンチャー、オブヴィオ(リオデジャネイロ市)が開発した“トライブリッド(三燃料対応)車”「OBVIO!(オブヴィオ)」だ。
 同車はガソリンとエタノール、電気の三種類の燃料を使用できるスポーツカータイプの小型車。「走行距離や燃料の調達状況、価格動向によって柔軟に動力源を選べるのが特徴」と同社の最高経営責任者、リカルド・マカドは説明する。電気は家庭で充電できる。
 現在、英自動車会社、ロータスと技術提携し、具体的な商品化を進めている。「米国の大手自動車輸入会社の出資も受け、一〇年には米国で年五万台を販売する」(マカド)。現在、日本の貿易会社とも輸出契約の交渉中という。
 現行の環境車から本命の燃料電池車へ――。大半の自動車メーカーはこんなシナリオを描くが、エコカーの新技術は多彩。突然の伏兵が登場する可能性はゼロでは無い。

:2008:08/08/09:09  ++  戦後最長景気終わる、輸出頼み限界、新戦略描け。

二〇〇二年二月に始まった戦後最長の景気回復局面が終わり、昨年末から今年初めにかけて景気後退局面に転じていた可能性が大きくなった。米経済の減速や資源・食料価格の高騰といった外的ショックが主因だ。設備や雇用の過剰感がないだけに、今度は浅くて短い景気後退で済むとの見方も多い。ただ輸出頼みの景気回復には限界があり、経済成長戦略の再構築を迫られる。
回復の勢い弱く
 ホンダ、ソニー、ヤマハ発動機……。輸出競争力が強いといわれた有力企業が、今期の利益見通しを相次ぎ下方修正している。日本リサーチ総合研究所の六月調査では、消費者の生活不安度指数が一五七となり、過去最悪だった〇三年四月の一五九に迫った。
 神奈川県豆腐油揚商工組合が最後の総代会を開いたのは五月。大豆や灯油の値上がりで豆腐店が次々と廃業し、法律で定める二百人以上の組合員数を確保できない。輸出、生産、個人消費を含む最近の経済指標が軒並み悪化し、政府も景気後退の可能性を認めざるを得なくなった。
 約七十カ月に及んだとみられる今回の景気回復局面は戦後十三回の中でも異例の展開を見せた。約六年間の実質経済成長率は年率平均二・二%。大型景気の代表である「いざなぎ景気」の一一・五%や「バブル(平成)景気」の五・四%よりもはるかに低い成長だ。
 しかも輸出の貢献が圧倒的に大きい。期間中の輸出の伸びは年率平均一一・四%増で、設備投資の四・四%増や個人消費の一・五%増を大幅に上回る。〇八年度の経済財政白書によると、実質成長率への輸出の寄与は約六割。戦後の景気回復局面では最高だった。
 思い切ったリストラで一九九〇年代以降の「失われた十年」をくぐり抜けた企業は、経済のグローバル化の恩恵を享受した。米国や中国などへの輸出拡大が生産や収益を押し上げ、設備、雇用、債務の「三つの過剰」の処理を促した。
 割を食ったのは家計である。厳しい国際競争にさらされる企業は業績が好転しても、その果実を容易には賃金に還元できなかった。息は長いが勢いが弱く、実感に乏しい今回の景気回復局面は、多くの意味でバランスを欠いていたといえる。
 その弱点をついたのが米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題と、世界的な資源高・食料高だ。輸出を柱とする企業部門の力に頼った日本の景気回復は、海外発のショックにもろかった。
構造問題はらむ
 戦後の景気後退局面の平均期間は約十六カ月。エコノミストの間では「三つの過剰の処理が終わっているので、深くて長い景気後退は避けられる」(三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミスト)との見方が大勢を占める。
 だが今回の景気回復局面では内需が盛り上がりを欠いただけに、日本経済を自力で巻き戻すバネが見当たらない。与謝野馨経済財政担当相は「海外が回復してくれれば日本経済は回復する。単純な方程式だ」というが、外需頼みの経済運営には危うさが残る。
 福田康夫首相は景気情勢の悪化を踏まえ、総合的な経済対策の策定を指示した。政府・与党はその一部を盛り込んだ〇八年度補正予算案を次期臨時国会に提出することも視野に入れる。住宅ローン減税の延長・拡充や高速道路料金の引き下げ、中小企業の信用保証拡大などが浮上している。
 景気後退の起点のひとつとなった資源高・食料高は一過性ではなく構造的な要因をはらんでいる。公共事業で需要を追加したり、補助金で関係業界の苦境を救ったりするような対症療法では抜本的な解決にならない。法人税率の引き下げや一段の規制緩和なども念頭に置き、確固たる成長基盤を築く戦略を練り直す必要がある。

:2008:08/08/09:04  ++  景気後退事実上認める、経財相「経済、楽観できない」、8月月例報告「回復」消える。

政府は七日、景気の基調判断を「このところ弱含んでいる」とした八月の月例経済報告を関係閣僚会議で決定した。日本経済をけん引してきた生産や輸出が減少しているのを受け、四年八カ月ぶりに「回復」の表現をなくした。記者会見した与謝野馨経済財政担当相は「(月例報告では)後退という言葉は使わないが、弱含みとは日本経済は楽観できない状況に入りつつあることを表現したものだ」と述べ、事実上景気が後退局面入りしたと認めた。(関連記事3面に)
 月例報告で景気を「弱含み」と判断したのは、景気が後退局面にあった二〇〇一年五月以来。米国発の信用不安を背景とする世界的な景気減速を受け、外需に依存する成長を続けてきた日本経済は曲がり角を迎えた。
 景気判断に使う主要な項目では、輸出と生産、雇用の判断を下方修正した。輸出は米国や欧州連合(EU)向けが減少基調にある。輸出減速を受け企業の生産も抑制に入った。緩やかに改善してきた雇用も厳しい情勢。
 景気の先行きは「当面、弱い動きが続く」とした。ただ、与謝野経財相は世界経済の回復に伴い「日本の経済も戻ってくると確信している」と、深い調整局面は避けられるとの見方も示した。
 景気の減速を受けて、政府は新たな経済対策の骨格を週明けにもまとめる方針。与謝野経財相は、いわゆる「バラマキ」の対策にはしないと強調した。福田康夫首相は七日、経済対策の取りまとめを急ぐ考えを示した。

:2008:07/29/09:37  ++  ネット誘導広告、TVに陰り(ビジネスPlus)

CMの最後に商品名が書かれた小窓が現れ、カーソルで検索ボタンをカチリ――。テレビCMの4割を超えるとされる「ネット誘導型広告」の中で、最近目立つのがこのタイプ。Webマーケティングガイドの調べでも「○○と検索してください」といった「指定検索キーワード」広告の認知度は、他の媒体に比べテレビが圧倒的に高い。
 ただし広告の効果については事情が異なる。母数は異なるが2年前の調査に比べ、広告を見て実際に検索した人の比率はテレビが21ポイント下落。一方、新聞、フリーペーパーは大幅に伸びた。「受け身」の媒体であるテレビと目的意識をもって接する媒体との違いが顕在化したことに加え、同種のCMの増殖に伴う視聴者の慣れが一因との見方もできる。誘導型広告にも「ひとひねり」が必要なようだ。

:2008:07/29/09:32  ++  物価先行き「緩やかな上昇」――賃金の伸び悩み、背景に(経財白書から)

二〇〇八年度の経済財政白書は、前年同月比の上昇率が二%に迫った消費者物価の先行きの展望を取り上げた。エネルギーや食料品の値上げが相次いでいるが、「一般物価の急上昇を招く可能性は低い」としてインフレ懸念は少ないと結論付けた。賃金が伸び悩んでいることが背景にある。
 白書は資源高が企業収益を圧迫しており、当面は給料やボーナスの増加が期待しにくいと指摘。所得が伸び悩む結果、需要も増えず、「原油・原材料価格の高騰の物価全体への影響は限定的」になるとして、消費者物価も「緩やかな上昇」にとどまると展望した。
 〇二年から続く戦後最長の景気回復でも、生産活動が生んだ付加価値(国民所得)に占める人件費の割合である「労働分配率」は伸び悩んでいる。これは企業業績が好調でも賃上げなどの形で家計に恩恵が及びにくいことを示す。白書はグローバルな企業の競争が激しいため、技術革新などで労働生産性が上昇しているにもかかわらず、「賃金が増えにくくなっており、こうした構造はすぐには変わらない」とみる。
 白書はインフレと景気停滞が同時進行する「スタグフレーション」に陥る可能性も「小さい」と断じた。逆に言うと、物価が持続的に下落する「デフレ」からの脱却も見通せないことになる。企業にとっては、需給が引き締まって値上げできるような状況が期待できず、労働コストを抑えても厳しい経営環境に置かれそうだ。(随時掲載)