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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2010:09/21/08:46  ++  米景気後退、昨年6月に終了、米研究所認定、回復の継続焦点。

【ワシントン=御調昌邦】米民間団体の全米経済研究所(NBER)は20日、2007年12月から始まった米景気後退が2009年6月に終了したと認定した。景気後退の期間は第2次世界大戦後で最長の18カ月となった。ただ米景気は現在、減速感が強まっており、市場関係者の間ではその後の景気回復の継続性が焦点になっている。
 米国では景気回復・後退の時期をNBERが過去の経済指標などを分析して決める。NBERは19日、景気循環の日付を認定する委員会が電話会議を開催。「8月下旬に米国内総生産(GDP)などの改定値が公表されるまで待った」としており、景気後退の終了時期を確定したという。09年6月より後に経済活動が落ち込んだ場合には、別の景気後退と認定される。
 米GDPは09年7~9月期からプラスに転換しており、景気後退の終了時期は市場などの見方とほぼ一致している。その後については、当初は在庫復元や米政府の景気対策によって力強く回復していたが、現在は踊り場的な状況に陥っている。
 これまでの戦後最長の景気後退は1973~75年と81~82年の16カ月だった。
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:2010:09/17/11:11  ++  中国漁船衝突 米、尖閣は日米安保の対象 組織的な事件と警戒

【ワシントン=佐々木類】東シナ海の日本固有の領土、沖縄・尖閣諸島近海で起きた中国漁船衝突事件について、米政府は事件は偶発的なものではなく、中国政府黙認の下で起きた「組織的な事件」との見方を強め、中国の動向を警戒している。尖閣諸島は日本の施政下にあり、日米安全保障条約の適用対象との明確な見解をとり、「有事」の際は米軍が対処することを示唆して、強気の姿勢を崩さない中国を牽制(けんせい)している。

 米政府の認識と立場は、クローリー国務次官補(広報担当)によって端的に表明された。同氏は8月16日の記者会見で(1)尖閣諸島は日本の施政下にある(2)日米安保条約5条は、日本の施政下にある領域に適用される-との見解を表明。そのうえで「条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ」と明言した。

 今月14日の記者会見でも、衝突事件に関し「対話による平和的解決を求める」と述べると同時に、「日米同盟はアジアの平和と安定にとって要石だ」と強調した。

 米政府は、中国政府部内で尖閣諸島の実効支配が機関決定された可能性があり、「漁船を隠れみのに軍と一体となって、この方針を行動に移している」(日米関係筋)との見方を強めている。衝突事件が「組織的な事件」との認識はこうした見方に基づいている。

 同筋は、衝突事件で中国が強気の姿勢をとっている理由について、「中国国内の(日本を批判する)世論への対策ということを超えた行動であり、尖閣諸島の領有化という明確な政府の意思を示したものだ」と警鐘を鳴らす。
また、「民主党代表選という日本の政治空白と、沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐり日米関係全般が停滞する中、中国は日米の出方を試した」とみる。

 中国が「核心的利益」と呼び、自国の内海化を進める南シナ海に目を転じると、インドネシア近海で6月、中国の漁業監視船がインドネシア海軍の艦船に「拿捕(だほ)した中国漁船を解放しなければ砲撃する」と警告し、交戦の一歩手前までいき緊張が高まった。

 この事件は、中国が南シナ海や東シナ海で、海軍の退役艦艇を改造した漁業監視船を派遣しつつ、漁船を“先兵”として使っていることを裏付けている。

 米軍は昨年3月、米調査船が中国海軍に妨害を受け、護衛のため南シナ海にイージス艦を派遣した。今回の衝突事件における今後の中国側の動向次第では、米政府が「艦船派遣という目に見える形で対中圧力をかける」(元米海軍将校)という可能性も指摘されている。


:2010:09/17/10:45  ++  米、尖閣問題を憂慮、中国封じ込めに影響、日本の姿勢にいらだちも。

米オバマ政権が沖縄県の尖閣諸島付近で起きた海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件の行方を憂慮している。日米関係の悪化が中国側の大胆な行動を誘発しており、膨張主義を封じ込めるには日米同盟の早急な再構築が必要との判断だ。米政府は尖閣の領有権は「関係国の問題」との立場。領土問題への深入りは米国の国益にならないため、下手に日本の後押しもできず、日中双方の動きをじりじりしながら見守っている。
 米国では今回の中国漁船の行動を巡り「北京政府の指示によるものではなく、あくまでも偶発的な事件」(ヘリテージ財団のクリンガー上級研究員)との見方がもっぱらだ。尖閣周辺はこの時期、多数の中国漁船が操業しており、船同士の衝突はさほど珍しいことではないからだ。
 とはいえ、事件の背景に南シナ海などで島々の実効支配を急ぐ中国の意図的な海外進出があることは米側も否定しない。「日本が何もせずにいれば、必ず同じ事件が起きる」。米国防総省日本部長などを歴任したバンダービルト大日米研究協力センターのアワー所長は警告する。
 オバマ政権が発足時に算段した中国封じ込め策は(1)日米連携を深め、中国艦船が沖縄列島の東側に出ないように哨戒機P3Cなどで徹底監視する(2)米軍はステルス戦闘機F22などを適宜、沖縄に派遣して中国をけん制する――というものだ。
 ところが沖縄の普天間基地の移設問題がこじれ、逆に抑止力低下を内外に印象付ける状況になっている。アーミテージ元国務副長官は「中国は日本を試している」と読む。
 南沙諸島などの領有を中国と争うフィリピンは島しょ地域に軍事施設を増設するとともに、1990年代に撤収した米軍の呼び戻しも模索する。米軍関係者の多くは「なぜ日本の民主党政権は同じ判断をしないのか」と安全保障への感度の鈍さにいらだっている。
 クローリー国務次官補は14日の記者会見で事件に関して「日中間の対話を通じた平和的解決を望んでいる」と明言した。オバマ政権も短期的には日本が中国と事を荒立てることを望んでいない。
 米側は日中の国境問題に介入しない姿勢をとっている。11日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「我々は尖閣が日本領であることに同意していないにもかかわらず、日本が尖閣防衛のため戦う場合には安保条約に基づき関与せざるを得ない奇妙な立場に置かれる」と指摘した。
 中国が尖閣を占拠した場合、在日米軍は出動するのか――。米軍関係者の答えは「我々は安保条約は順守する。日本が戦うならば手助けする。だが日本はそもそも戦う気がないのではないか」というものだった。

:2010:09/17/10:38  ++  EUと韓国、FTA来年7月発効

【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)加盟27カ国は16日の臨時外相理事会で、韓国との自由貿易協定(FTA)を2011年7月1日に発効することで合意した。韓国製自動車の大量流入を懸念していたイタリアが、当初予定していた年内の発効時期を遅らせることを条件にFTAに同意した。
 EUと韓国は10月6日にブリュッセルで開く首脳会議で、FTAに正式署名する。発効から3年以内に工業製品の9割以上で関税を撤廃するのが柱で、EU市場での韓国製自動車や家電製品の競争力が高まり、日本メーカーにも影響を与えるのは必至。記者会見したEU議長国ベルギーのファンアケレ外相は「最も野心的なFTAで、アジア主要国とEUをつなぐ大きなステップとなる」と強調した。EUと韓国のFTA交渉はすでに妥結し、昨年10月に双方による仮署名を終えていた

:2010:09/17/10:34  ++  韓・台企業との競争厳しく―技術・資本蓄積、差が縮小、法人税、日本は重く。

過去20年でアジア各国・地域は技術や資本蓄積などで競争力を高めた。輸出で稼ぐモデルでアジアの先頭を走ってきた日本の優位は揺らいでいるのが現実だ。アジアとの競争条件を意識した法人税制や事業コストなどの見直しが不可欠とされる理由もここにある。
 各国の製造業が生み出す総付加価値の世界シェアを見ると、日本は1990年代後半から低下傾向。97年から2007年までの10年間でシェアは8ポイント低下した一方、アジア各国のシェアは上昇した。
 とりわけ中国は90年代後半から上昇を続け、06年に日本に肩を並べ、07年には4ポイントの差を付けて日本を逆転した。
 部品など中間財の貿易黒字額が輸出入総額に対してどの程度かを示す「貿易特化指数」をみると、90年は日本がプラスだったのに対し、中国と韓国は大幅なマイナスだった。00年になると韓国がプラスに転じ、08年には中国も続いた。中国や韓国で作られた製品の競争力が高まり、他国の市場で稼げるようになったことを示す。
 アジア各国は“頭脳”でも急速に存在感を増している。経済協力開発機構(OECD)のまとめによると、08年に中国で研究開発に携わる人の数は約160万人。5年前に比べて1・8倍に増え、米国を07年に抜いた。国全体の研究開発投資でみると、規模こそ米国が圧倒的だが、伸び率でみるとここ4年で中国がほぼ2倍に増やしている。
 日本からの直接投資がアジアの資本や技術の蓄積につながっている面もある。日本貿易振興機構によると、日本からアジアへの直接投資は09年に206億ドルに達し、この5年でほぼ倍増した。
 アジア諸国は政府も民間部門を後押しする政策にも熱心だ。韓国は新しい輸出産業として有望視される原子力発電所や高速鉄道、リチウムイオン電池などで官民一体で海外への売り込みを強化。台湾の馬英九政権は産業空洞化対策として、今年から法人税を従来の25%から17%に引き下げた。

:2010:09/17/10:32  ++  韓・台企業との競争厳しく、介入でも円高・アジア通貨安、輸出産業の力そぐ。

政府・日銀が6年半ぶりに外国為替市場での円売り介入に踏み切った日本。ただ、円とドルに目配りすれば済む時代は過ぎ去り、韓国や台湾、中国などアジア通貨との関係が対ドル以上に重要になっている。韓台企業などと日本企業の輸出競争がより激しくなっているためで、対ドルで15年前と同じような水準の円高であっても、日本の置かれた環境は一段と厳しい。
 政府・日銀が外国為替市場で円売り介入に踏み切った15日。円は対ドルだけではなく、主要アジア通貨に対しても下落した。だが、その効果はほぼ1日。円の対アジア通貨相場は16日はほぼ横ばいにとどまった。「アジア諸国が日本に対抗して自国通貨売り介入を増やす」との思惑からだ。
ウォン46%安
 アジアとの競争条件は大きく変化した。1997年夏からのアジア通貨危機時、資金流出に見舞われたアジア通貨は円に対して総じて大幅に下落。その後横ばい圏で推移した韓国ウォンなどは、08年9月のリーマン・ショック以降、再び対円で下落傾向をたどった。リーマン・ショック前の高値と16日時点で比較すると、韓国ウォンは46%、台湾ドルは29%、人民元は22%それぞれ対円で安くなった。
 日本の輸出産業の主要な競争相手は今や韓国、台湾などのアジア企業だ。日本の産業界が円高に悲鳴を上げる理由は「ドル安」もさることながら、「アジア通貨安」にあるとの見方は多い。
 アジア諸国は自国通貨売り介入で通貨上昇を抑えている。韓国の外貨準備残高は今年6月末で2742億ドル(23兆4000億円強)と金融危機前から1割増。韓国の金融通貨当局は「ウォン相場の急激な変動は為替介入によってなだらかにする」(中央銀行幹部)のが基本スタンスだ。
 通貨安メリットは業績や株価にも反映している。自動車では韓国・現代自動車の2010年4~6月期の純利益が金融危機前の08年4~6月期の2・5倍に拡大した。トヨタ自動車など国内大手3社合計が13%減るなか、ウォン安メリットを生かして輸出競争力を高めた。現代自は低価格なだけでなく「品質向上にも目を見張るものがある」(ホンダ幹部)という。
株価にも反映
 半導体も同様の構図で、サムスン電子の10年4~6月期の半導体部門の営業利益は前年同期の8・6倍となり、エルピーダメモリや東芝の同部門の利益を大きく上回った。株価も相対的にアジア企業の方が高かったり、下げ率が小さかったりする動きになっている。
 野村証券の木内登英チーフエコノミストは、日本政府の円売り介入について「国内経済の柱である輸出企業に配慮しているというメッセージを発した」と評価する。ただ、アジアの通貨安競争に拍車をかけるとの見方もある。一部の政府関係者や学識経験者の間には、より極端な“円安誘導策”を求める声もある。
 似たような場面は過去にもあった。「日銀は金融政策の一環として外国債券を買えないか」。日本が深刻な不況とデフレに直面していた01年ごろにも盛り上がった議論で、当時の中原伸之審議委員は金融政策決定会合で外債購入を準備するよう提案、否決され続けた。
 代表選に勝利したとはいえ、菅直人首相には衆参両院で多数派が異なる国会の運営が待ち受ける。手詰まりになった政府が日銀に追加政策の矛先を向ける可能性もある。

:2010:09/17/10:23  ++  政治は再生するか(中)「脱公約」で世界に目を。

本社コラムニスト 岡部直明
 リーマン・ショック後のグローバル経済の大きなうねりの中では、まるで「井の中の権力闘争」に見えた。民主党代表選で菅直人首相が圧勝し「四半期首相」を見ずにすんだ。財政ばらまきによる長期金利上昇や日米関係の冷却化という最悪の事態も避けられた。しかし、この3カ月の政治空白で菅政権が抱え込んだ課題はあまりに重い。
 代表選終了を待っていたかのように、政府、日銀は大規模なドル買い介入に動いた。円急騰に手をこまぬいたあげくの追い込まれた介入だった。政治主導にこだわるあまり、財務官僚ら「通貨マフィア」の判断を生かせなかった面もある。菅首相は「今後も断固たる措置をとる」というが、介入にはスマートさも必要だ。多極時代の通貨協調を模索するしかない。
 グローバル経済はいま冷戦終結を上回る歴史的な大転換期にある。米欧先進国から中国、インドなど新興国へのパワーシフトは鮮明だ。代表選のさなかに世界の視線が集まったのは、温家宝中国首相の「中国は今後も世界経済のけん引役を果たす」という夏季ダボス会議での演説だった。
介入は時間稼ぎ
 世界経済危機の震源地、米国の経済は二番底の懸念がある。マーチン・フェルドスタイン教授は「中小企業は低迷し家計が萎縮し失業が増加する」と米景気の先行きに悲観的だ。カギを握るのはオバマ大統領の輸出倍増戦略だろう。それは米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和と相まってドル安戦略に結びつく。
 ギリシャ危機で揺らぐユーロ圏は危機打開をユーロ安による輸出増に求めている。タカ派のウェーバー独連銀総裁も金融緩和の継続を主張しユーロ安を後押しする。
 世界中が輸出に活路を見いだそうとするから通貨安競争が起きる。そんななかで、小沢一郎氏が「輸出から内需へ」と主張したのには驚かされた。グローバル経済のうねりの中で選択すべきは、むしろ輸出依存度を高める戦略だ。内向きから脱して、世界を向いた経済戦略こそ求められる。
 為替介入はあくまで時間稼ぎである。政府の新成長戦略実現会議に参加する伊藤元重東大教授は「直球を真ん中に投げ込むときだ」と指摘する。
 第1球は法人税率引き下げだ。世界最高水準の法人税率は企業の国際競争力を奪い外資誘致を阻害し雇用を減らす。ほぼ各党が賛成だから来年度から実施できるはずだ。
 第2球は小沢氏も主張する自由貿易協定(FTA)である。それは農業改革を伴う。日中韓を中心にした東アジア自由貿易圏を実現し、それを日米FTAに結合するのが大きな目標である。政局より政策軸
 第3球は規制改革による成長力底上げだ。自民党やみんなの党と連携しやすい分野だろう。
 重要なのは、消費税率引き上げと社会保障制度改革のための超党派協議である。「増税の前にやることがある」という主張は増税先送りにつながる。先進国最悪の財政状況にある日本にそんな余裕はない。菅首相の要請に自民党もたちあがれ日本も応じられるはずだ。その大前提は財源の裏付けを欠くマニフェスト(政権公約)至上主義を見直すことだ。
 デフレ脱却に日銀との連携はますます重要になる。しかし日銀法改正やインフレ目標を振りかざせば、連携はきしむ。脱デフレでどう協力するか間合いを大切にするのが熟達した政治である。
 日本が失われた時代から抜け出せないのは、政治の混迷が大きな要因だ。グローバル経済の歴史的展開とはうらはらに政治はますます内向きになった。政治の軸を「政局」から「政策」に転換しない限り、政治の再生も日本の再生もない。

:2010:09/17/10:23  ++  政治は再生するか(中)「脱公約」で世界に目を。

本社コラムニスト 岡部直明
 リーマン・ショック後のグローバル経済の大きなうねりの中では、まるで「井の中の権力闘争」に見えた。民主党代表選で菅直人首相が圧勝し「四半期首相」を見ずにすんだ。財政ばらまきによる長期金利上昇や日米関係の冷却化という最悪の事態も避けられた。しかし、この3カ月の政治空白で菅政権が抱え込んだ課題はあまりに重い。
 代表選終了を待っていたかのように、政府、日銀は大規模なドル買い介入に動いた。円急騰に手をこまぬいたあげくの追い込まれた介入だった。政治主導にこだわるあまり、財務官僚ら「通貨マフィア」の判断を生かせなかった面もある。菅首相は「今後も断固たる措置をとる」というが、介入にはスマートさも必要だ。多極時代の通貨協調を模索するしかない。
 グローバル経済はいま冷戦終結を上回る歴史的な大転換期にある。米欧先進国から中国、インドなど新興国へのパワーシフトは鮮明だ。代表選のさなかに世界の視線が集まったのは、温家宝中国首相の「中国は今後も世界経済のけん引役を果たす」という夏季ダボス会議での演説だった。
介入は時間稼ぎ
 世界経済危機の震源地、米国の経済は二番底の懸念がある。マーチン・フェルドスタイン教授は「中小企業は低迷し家計が萎縮し失業が増加する」と米景気の先行きに悲観的だ。カギを握るのはオバマ大統領の輸出倍増戦略だろう。それは米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和と相まってドル安戦略に結びつく。
 ギリシャ危機で揺らぐユーロ圏は危機打開をユーロ安による輸出増に求めている。タカ派のウェーバー独連銀総裁も金融緩和の継続を主張しユーロ安を後押しする。
 世界中が輸出に活路を見いだそうとするから通貨安競争が起きる。そんななかで、小沢一郎氏が「輸出から内需へ」と主張したのには驚かされた。グローバル経済のうねりの中で選択すべきは、むしろ輸出依存度を高める戦略だ。内向きから脱して、世界を向いた経済戦略こそ求められる。
 為替介入はあくまで時間稼ぎである。政府の新成長戦略実現会議に参加する伊藤元重東大教授は「直球を真ん中に投げ込むときだ」と指摘する。
 第1球は法人税率引き下げだ。世界最高水準の法人税率は企業の国際競争力を奪い外資誘致を阻害し雇用を減らす。ほぼ各党が賛成だから来年度から実施できるはずだ。
 第2球は小沢氏も主張する自由貿易協定(FTA)である。それは農業改革を伴う。日中韓を中心にした東アジア自由貿易圏を実現し、それを日米FTAに結合するのが大きな目標である。政局より政策軸
 第3球は規制改革による成長力底上げだ。自民党やみんなの党と連携しやすい分野だろう。
 重要なのは、消費税率引き上げと社会保障制度改革のための超党派協議である。「増税の前にやることがある」という主張は増税先送りにつながる。先進国最悪の財政状況にある日本にそんな余裕はない。菅首相の要請に自民党もたちあがれ日本も応じられるはずだ。その大前提は財源の裏付けを欠くマニフェスト(政権公約)至上主義を見直すことだ。
 デフレ脱却に日銀との連携はますます重要になる。しかし日銀法改正やインフレ目標を振りかざせば、連携はきしむ。脱デフレでどう協力するか間合いを大切にするのが熟達した政治である。
 日本が失われた時代から抜け出せないのは、政治の混迷が大きな要因だ。グローバル経済の歴史的展開とはうらはらに政治はますます内向きになった。政治の軸を「政局」から「政策」に転換しない限り、政治の再生も日本の再生もない。

:2010:09/16/09:25  ++  高齢者の安否ネットで確認―価格やサービス、セコムなどと競争へ。

国内の高齢者向け安否確認サービスは警備保障最大手のセコムなども手掛けている。GEとフィリップスの参入により、価格やサービス面で競争が進む可能性がある。
 三菱総合研究所の試算によると、介護や娯楽などを含めた国内の高齢者向けサービス市場は2010年で74兆円。これが30年は142兆円に達する見通し。うち安否確認など生活環境関連は30年に9兆円と、この期間で1・5倍に成長する。高齢者宅も30年に約29%増の1286万世帯に上ると同研究所は予測する。
 政府は医療費を抑えようと、診療報酬改定により入院期間が長くなると病院の収入が減る仕組みを導入するなど、患者の入院期間の短縮を促している。安否確認サービスは退院後の患者の状態を把握するための有力手段となるため、結果的に入院の短縮にもつながる。
 国内ではセコムのほか、山武グループの安全センター(東京・大田)などがサービスを提供。価格は戸建て向けで月額5000~7000円程度だ。センサーやペンダント型の通報機器を使うなど、GEやフィリップスが計画するサービスと価格も内容も似ているだけに、競争が進めば消費者も利用しやすくなり、市場は活性化しそうだ。

:2010:09/16/09:23  ++  高齢者の安否ネットで確認、GEやフィリップス参入、来年から全国展開。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)と蘭フィリップスはそれぞれ、遠隔から高齢者の安否を確認するサービスを日本で展開する。ネット経由で在宅・施設内の高齢者や患者の状態を24時間把握する仕組みで、いずれも2011年から全国で始める。急速に高齢化が進む日本で需要が拡大すると判断、米国で手掛ける同サービスを導入する。医療機器の世界大手である両社は日本の同機器市場が飽和する中で、新しい収益源に育てる。
 GEは医療事業部門の日本法人、GEヘルスケア・ジャパン(東京・日野市)が有料老人ホーム向けに1部屋6000~7000円程度(月額)で提供する。3年間で1万人の顧客を見込む。
 ベッドやトイレの近くなどに居住者の動きを検知するセンサーを設置。GEヘルスケア・ジャパンのセンターがネット経由で送られた居住者情報をリアルタイムで把握する。急病など異変により動けなくなった場合や、転倒による意識不明、夜中のはいかいをいち早く検知し、老人ホームの担当者や家族に連絡する。
 GEは米国で約3000人に同じサービスを提供している。老人ホームでは担当者の巡回数を削減でき、入居者の転倒などの事故数を3分の1程度に減らす効果も確認できたという。
 フィリップスは日本法人のフィリップスエレクトロニクスジャパン(東京・港)が11年夏をメドに全国で開始する。専用の通信機器を部屋に置き、利用者がセンサー機能付きのペンダント型の通報機器を携帯する。
 利用者が転倒したり、ペンダントを放置したりするなど、異常を検知すると通信機器経由で同社のセンターに自動通知する。ペンダントのボタンを自ら押して、センターに異常を知らせることもできる。
 料金は1部屋5000~6000円程度(月額)を予定。有料老人ホームに加え、高齢者宅にも販売する。国内の在宅医療機器の営業拠点や人員を活用し、サービス開始から約5年で25万人の利用を目指す。フィリップスも米国とカナダでサービスを先行実施し、約70万人の顧客を抱える。
 GEとフィリップスは国内でコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などの医療機器を販売してきたが、主要な医療機関への導入が一巡し市場は頭打ち。両社は同様に医療機器市場が飽和する米国で、安否確認サービスを手掛けていた企業をそれぞれ買収した。日本市場参入を機にノウハウの蓄積を進め、欧州や中国などで同じサービス展開につなげる考え。

:2010:09/16/09:18  ++  リーマンショック2年(2)マネーは変わったか―陰り出した株式信仰。

米ノースカロライナ州シャーロット。米銀大手バンク・オブ・アメリカが本社を構える金融都市の郊外で11日土曜朝、毎月恒例の投資勉強会が開かれた。
リスクに二の足
 「株式市場の不安定さが増しています。当面の投資先としておすすめするのは債券の投資信託。現金で持っているのもいいでしょう」。会場となった教会に、地元で有名な金融アドバイザーの言葉が響く。
 参加者は約50人。ほとんどが50~60代の中高年層だ。「資産を減らすことがないように、安全第一の運用を心がけているよ」。1年前に退職したばかりというジョー・シガーラさん(65)にギラギラした様子はない。「僕だけじゃない。同じ世代の米国人の多くがそう思っているはずだ」
 世界的な金融危機をもたらしたリーマン・ショックから15日で2年。金融・資本市場でリスクを果敢に取ってきたはずの米欧の投資家に変化の兆しがある。
 ヘッジファンドの世界では「伝説のファンドマネジャー」が退場した。かつて著名投資家ジョージ・ソロス氏の右腕として活躍したスタンレー・ドラッケンミラー氏。8月に自ら運用するファンドを閉鎖し、引退することを明らかにした。
 2008年の危機はうまく乗り切った。だが、欧州の財政不安が新たな危機をもたらした今年に入って、運用成績が悪化した。「30年にわたり顧客のお金の運用に責任を負ってきたが、もう限界だ」
 米株式市場では、取引のにぎわい度合いを示す売買高が低迷から抜け出せない。年初から米国でも欧州でも、自国や地域を投資対象にした株式投信から個人マネーが流出し続けている。
 家計は危機後の株安で痛手を負った。さらに先進国は戦後生まれのベビーブーマー世代が退職期を迎えつつある。給与収入が見込めないから「運用はおのずと慎重にならざるを得ない」(米金融アナリスト)。
 投資家の構造的な変化を映し、市場には異変がが生じている。ダウ工業株30種平均の配当利回りが8月、米10年物国債利回りの水準を上回ったのだ。株価低迷で、1株あたりの配当金を株価で割って算出する配当利回りが上昇。一方、景気減速懸念から長期金利が急低下した結果だ。
大型起債相次ぐ
 この逆転現象が起きたのは1990年以降では、2年前の金融危機の直後と今回しかない。
 「株式信仰の終わり」(英紙フィナンシャル・タイムズ)――。米国では1950年代から株式は値上がり益が期待できる分、「配当利回りは長期金利より低くなる」という論理が通用してきた。それが今、「景気低迷↓企業の業績鈍化↓株価を下押し」というシナリオが幅をきかせる。逆転現象の根底には、長期的な株価上昇への期待が大幅に後退した現実がある。
 債券市場では金利低下を追い風に、米欧の大企業による大型の起債が続いている。株式から債券へ。マネーの流れの変化は依然としてリスクを取り切れずにいる投資家の心理を映し出す。米企業の間では、起債で調達した資金を自社株買いに回し、低迷する株価のテコ入れを狙う動きもみられる。
 企業と市場を覆う先行き不透明感と連動したリスクマネーの収縮。行き先に見えてきたのは先進国経済の低成長の長期化である。

:2010:09/16/09:13  ++  元米国務副長官、中国、尖閣領有権試す、「日米安保対象」とけん制。

来日中のアーミテージ元米国務副長官は15日、日本記者クラブで会見し尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺での中国漁船衝突事件について「日米関係が冷え込むなか、中国は(領有権問題で)どこまで許されるのか試そうとしている」と語った。そのうえで「いかなる領土も日米安保条約の対象になることを中国は認識すべきだ」と語り、中国政府をけん制した。
 民主党代表選で再選された菅直人首相に対しては「日米関係の将来的な戦略的ビジョンを、オバマ米大統領とともに共同声明などで打ち出すべきだ」と指摘。さらに「日米合同軍事訓練をパラオなどで行えば、効果的なメッセージを中国に送ることができる」と述べ、軍事上でも日米関係の強化を示すことが有効だとの認識を示した。北朝鮮については「私だったら(北朝鮮の)テロ支援国家指定解除はしなかった」としたうえで「6カ国協議の再開を急ぐべきではない」と強調した。

:2010:09/16/09:06  ++  経団連会長、新成長戦略前倒し実施を、超党派の議論望む

日本経団連の米倉弘昌会長は15日、日本経済新聞のインタビューで、菅直人首相が民主党代表に再選されたことに対し、「まずは新成長戦略をできるだけ前倒しで実施してほしい」と述べ、日本経済の活性化に向けて早期の実行が欠かせないとの見解を示した。菅政権が掲げる税・財政・社会保障の一体改革については「早急に超党派的な協議の場を作り、実現に向けて議論してほしい」と語った。
 政府・日銀が15日、6年半ぶりに円売り・ドル買い介入に踏み切ったことには、「良いタイミングで、市場に良い警告を出した」と評価した。今後も相場動向によっては追加的な介入などの措置を取るべきだとの考えだ。円高による影響が大きい中小企業については、「優良企業には融資面などの支援策が必要だ。銀行にも、中小企業の経営を下支えする機能を発揮してほしい」と求めた。
 米倉会長は政府が6月に閣議決定した成長戦略を早期に実行する必要があるとの考えも強調した。国内景気は2009年春以降、回復局面にあるものの、最近は円高・株安や米景気の先行き懸念から不透明感が増している。
 経団連が要望している法人実効税率の引き下げは政府の成長戦略にも盛り込まれた。菅政権が課税ベースの拡大を条件に税率を引き下げる方針を打ち出していることには、「企業負担が全体で軽くなるなら、(政府と)取捨選択の議論をしたい」と歩み寄る姿勢を示した。
 成長戦略関連ではこのほか、経団連が計画する先端技術のモデル都市構想に触れたうえで、「規制改革にもどんどん取り組んでもらわないといけない」と強調。産業界が活力を高めるうえで、規制緩和の推進が不可欠との認識を示した。
 消費税率の引き上げ構想をめぐっては「年々増加する社会保障費を賄うには消費税しかない。菅首相はその重要性を十分に理解している」として、実現に期待を寄せた。
 一方、政府が検討する環境税の導入には、「世界各国が経済の立て直しに最優先に取り組んでいるのに、元々環境対応が進んでいる日本だけが突出した取り組みを進めるのはふに落ちない」として、異を唱えた。
 今後の政権運営については「これまでは意思決定の過程が見えにくい面があった。これからはどういう理由で、こういう政策を選択したということを国会ではっきり説明できるようにしてもらいたい」と注文をつけた。
 経団連と距離を置いた鳩山由紀夫政権に比べ、菅政権とは密接な関係を築きつつあるが「政治献金への関与をやめた以上、政党とはあくまで政策本位で対話する。政権与党だけでなく、政策が合えば与野党問わず支援していきたい」と語った。
 政府が「強い経済」の実現に向けて策定した行動計画で、6月に閣議決定した。2020年までの平均で名目成長率3%、実質成長率2%を上回ることを目標に、需要の発掘や雇用の創出を目指す。戦略分野として「環境・エネルギー」「健康」など7分野をあげ、鉄道や原子力発電所といったインフラ輸出の推進や、再生可能エネルギーの普及、規制改革を盛り込んだ。企業の競争力強化に向けて法人税の実効税率を「主要国並みに引き下げる」ことも明記した。

:2010:09/16/09:00  ++  単独介入ひとまず効果、円高是正、持久戦に、米欧の協調は不透明。

政府・日銀は15日、6年半ぶりの円売り・ドル買い介入を実施した。同日朝に1ドル=82円台と約15年ぶりの円高水準に急騰していた円相場は、午後には1ドル=85円台まで急落。介入はひとまず効果を発揮した。ただ、欧米のみならずアジア諸国からの積極的な支持があるわけではない。介入で一息つく間に実効性のある成長戦略を打ち出せるかがポイントで、日本政府は円高圧力との持久戦を強いられそうだ。(1面参照)
 「相場の過度な変動を抑制するため、為替介入を実施した」。15日朝、野田佳彦財務相は、わざわざ記者団を集めて為替介入を表明。日銀の白川方明総裁も「財務省の行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを期待する」との談話を発表した。菅直人首相は同日夜記者団に「あ、どうも。今回は色々為替のこともあって遅くなりました」と自ら切り出した。相次ぐ異例の「介入宣言」は、当局の強い姿勢を印象づけるためのパフォーマンスの色彩が濃い。
無策批判が背景
 背景には政府・日銀が加速する円高に無策との批判が強まっていたことがある。日銀が先月、追加金融緩和を決めた後もドル、ユーロなど主要通貨に対して円高が進行。民主党が真夏の代表選で事実上の政治空白に入ったことで、政府も動きにくくなった。市場には「民主党代表選が終わるまでは介入ができない」との観測が広がった。
 代表選の過程では小沢一郎氏が介入に積極姿勢を示す一方、菅直人首相はやや消極的との見方が定着。為替市場の読みに菅首相は神経をとがらせていた。民主党代表選が開かれた14日。会場のホテルで最後の演説に向かう前、首相は周辺に「為替はどうなっている」と問いただした。
 財務省幹部らは今月初めから、欧米諸国などの為替当局に対して仮に日本が円売り介入に踏み切った場合、少なくとも批判をしないよう、根回しに奔走していた。ただ、理解を取り付けるのは容易ではなく、ある財務省幹部は「欧米はそんなに甘くない」と漏らした。
 財務省は代表選の結果が出た14日夜からは臨戦態勢に入る。菅氏が再選され、1ドル=82円80銭台まで円が急騰したところで実際に介入し、市場にサプライズを与えることには一応成功した。
「微妙な情勢」
 企業は歓迎している。昭和電工の高橋恭平社長は「日本企業は海外生産シフトを進めているが、依然として中国やアジア向けの輸出に依存している」と指摘、今後も「政策を総動員して対応してほしい」とした。
 スイッチを製造するメトロール(東京都立川市)の松橋卓司社長は「1ドル=85円を超えると経営は厳しくなる」とし、「円高是正の姿勢は継続しなければ意味がない」と注文をつける。ローソンの新浪剛史社長は「輸出産業の比重が大きい日本経済にとって、円高阻止は国内消費にとっても良いこと」と話す。
 今回の円売り介入は過去の例とは大きく異なる。1995年の急速な円高時は日米欧の協調体制が、2003~04年の介入時は当時の小泉首相―ブッシュ大統領の盟友関係が後ろ盾だった。今回は「協調介入はおろか、日本による円売り介入をどこまで容認するかさえ微妙な情勢」(政府関係者)という。
 単独介入に踏み切った日本政府。市場の円高圧力に対抗するには、さらに介入規模を大きくせざるを得なくなる持久戦になる可能性もある。

:2010:09/16/08:54  ++  政治は再生するか(上)閉塞打破へ指導力を。

菅直人首相の圧勝だった。民主党代表選は3カ月前に政治とカネの問題で幹事長を辞任したばかりの小沢一郎氏に関して「イエス」か「ノー」かを問うものだった。世論の後押しも手伝って「ノー」の審判が下ったが、菅政権を取り巻く状況は依然厳しく、ねじれ国会では立ち往生の場面も続出するだろう。まずは幹事長ポストをはじめとした人事での菅首相の力量が試される。
まず脱トロイカ
 菅首相勝利の最大の要因は「脱小沢」路線が幅広く世論に支持されたということだろう。人事で「挙党一致」の名の下にこの路線を変更すれば、たちまち支持率は下がるだろう。さりとて、小沢氏を支持した人々。とりわけ小沢氏自身を処遇しなければ、党内運営もままならない恐れもある。
 だが、小沢氏は菅首相の政治手法を厳しく批判、菅首相は「カネまみれの政治からの脱却」と激しい言葉を小沢氏に投げつけた。こうした経緯からみても小沢氏は請われても要職に就くことはないのではないか。
 菅首相206、小沢氏200という国会議員の投票者数を見て思わず考え込んでしまう。その差はわずか6人なのだ。代表選が終わればノーサイドと両陣営は口をそろえるが、政策運営に関する双方の差は、民主党と自民党の差よりも大きいかもしれない。
 人事で注文をつけておきたいのは、いわゆる3頭立ての馬車、トロイカ体制の“美名”の下に世代交代に反するような人事をすべきではないということだ。とりわけ首相を退陣し、次の総選挙には出馬しないと断言していた鳩山由紀夫氏の「外相就任説」が流れているが、普天間基地移設問題での失敗を考えれば、とんでもない話である。
 野党自民党の谷垣禎一総裁は菅政権と対峙し、解散・総選挙に追い込むとしている。これに対し菅首相は政策の部分連合で野党の協力を得ようという姿勢だが、容易なことではない。予算は衆院通過だけで成立するが、関連法案はねじれの参院で可決しないと成立しない。巨額の赤字国債を発行するためには毎年度公債発行の特例法を成立させなければならない。
 倒閣を決意した野党がねじれの参院で特例法否決で足並みをそろえれば、政権は立ち往生する。そこでは解散か、総辞職かという深刻な事態が待ち受けている。かつて民主党が自民党政権にした同じことをこんどはされる立場なのである。
 経済運営も厳しい。代表選勝利の菅首相を見舞ったのは15年ぶりの円高だった。15日の円売り介入はとりあえず奏功したが、効果の持続性には疑問符も付く。
 普天間問題は、沖縄説得はもはや不可能なレベルまで近づいている。日米合意のまま力で建設を急ごうとすれば、不測の事態を招きかねない。沖縄の人々は、プライドがずたずたにされたことで怒っているのだ。カネさえ出せばどうにかなるという状況ではない。
「小沢問題」なお
 日米関係のぎくしゃくぶりは、日中関係にも跳ね返っている。中国は明らかにわが国の足元を見て強硬姿勢をとっているのである。政治や経済の閉塞(へいそく)状況と、国際社会での孤立、あるいは社会の秩序、道徳の乱れなどは連鎖している。政治の明確な意思とリーダーシップがなければ、この状況から抜け出すことは難しい。
 今回敗れた小沢氏は決してあきらめていないだろう。「一兵卒」という言葉を口にするときは、何か行動を起こす前兆だ。幹事長辞任のあいさつでも一兵卒といっている。菅首相が行き詰まれば、再び小沢コールがおこる可能性が高い。勝者の菅首相の前に立ちはだかるのは、依然、「小沢問題」なのである。

:2010:09/16/08:45  ++  政府・日銀、米欧でも円売り介入、2兆円、過去最大の規模―邦銀通じ24時間体制

政府・日銀は15日午前の東京外国為替市場で6年半ぶりの為替介入を実施したのに続き、同日夕からはロンドン、ニューヨーク市場でも相次ぎ円売り・ドル買いの単独介入に踏み切った。介入額は1日当たりでは過去最大規模となる2兆円超に達したもようだ。16日以降も介入を続ける方針。日銀は介入で市場に出される円資金を放置し事実上の金融緩和につなげる。円高阻止に向けて、政府・日銀がさらに協調を進められるかが今後の焦点となる。(外国為替市場介入は3面「きょうのことば」参照)=関連記事2、3、4、5面に
 円相場は15日午後も、政府・日銀の断続的な円売り介入を受けて下落を続けた。為替介入を受け、円相場は対ユーロでも下がった。アジアの主要通貨をめぐっては、日本に続いて各国の通貨当局が同様な自国通貨安に向けた介入に踏み切るとの連想が働き、対米ドルで下落している。
 円売りを急ぐ欧州のファンドなどの間には、日銀が介入資金を金融市場に放置する姿勢を示したことで「日銀の金融緩和が強まる」との思惑も広がっているという。
 関係筋によると、介入の効果を高めるため、15日夜時点で、政府・日銀はニューヨーク市場でも単独介入を継続している。16日以降も介入を続ける見通しだ。
 ただ、日本の介入に慎重とみられる米欧との関係を考えれば円相場を対ドルで大幅に引き下げる形での一方的な円売り介入は難しい。円相場は15日夜には1ドル=85円台後半まで下落したが、見通しは不透明な面が多い。
 15日の介入で政府・日銀は、基本的に海外の中央銀行に実務を委ねる委託介入は使わず、日銀が邦銀などを通じて介入する方式を活用した。委託方式よりも効率的に売買注文を出せる利点があり、事実上、24時間体制で介入を行う。海外市場も含めると、15日の介入規模は2兆円超に膨らんだ可能性がある。
 過去の実績をみても、1日当たりの介入額が2兆円を超えるのは異例の事態といえる。過去最大の介入は1998年4月に行った約2兆6000億円だが、このときは円安是正のための円買い・ドル売りの介入だった。
 円売り・ドル買い介入としては、2000年春から02年春まで、1日に1兆円を超える円売り介入が数回にわたって実施されたことがある。当時は日本経済の回復期待などから円高が進んだ。
 次いで、米国の「強いドル」政策の転換を受けた03年春からの円高局面でも、政府は大規模な円売り介入に踏み切った。その後もイラク戦争の開戦などの不安材料から円高傾向に歯止めがかからなくなるなどして、1兆円規模の円売り介入を実行している。

:2010:09/15/10:17  ++  菅首相は捨て身で政策の実現めざせ(社説)

民主党代表選で菅直人首相(党代表)が小沢一郎前幹事長を破り、再選を果たした。国会議員票はほぼ互角だったが、党員・サポーター票で大差をつけた。代表選は何とか乗り切ったものの、今後の首相の政権運営はいばらの道だ。首相は捨て身で政策の実現を目指す覚悟が要る。
 国会議員、党員・サポーター、地方議員の票を合計した点数を争った代表選の結果は、菅首相が721ポイント、小沢氏は491ポイントだった。
結果は小沢氏不信任
 2週間にわたって党内を二分した首相と小沢氏の争いは過熱し、深刻な亀裂が残った。
 与党第1党の民主党の代表選は首相選びに直結する。民主党の代表の任期は2年間だが、政権を安定させるためには、与党の間は代表任期を設けないなどの工夫が必要だろう。在日外国人に投票を認めていることも、事実上首相を選ぶ選挙だけに疑問だ。選挙期間を含めて代表選規則を見直す必要がある。
 世論調査では首相の続投を望む声が多数派だった。世論を反映し、党員・サポーター票は首相249ポイント、小沢氏51ポイントと、首相が圧勝した。
 ただ国会議員を含め、首相を支持する理由では「3カ月で首相を代えるのはよくない」という声が多かった。「政治とカネ」の問題を抱える小沢氏が首相に就任することへの抵抗感も、菅首相に支持が流れた一因だ。いずれも消極的な支持である。首相の勝利ではなく、小沢氏が負けた代表選というのが実態だろう。
 国会議員票は首相412ポイント、小沢氏400ポイントと拮抗(きっこう)した。国会議員票は小沢氏が有利という予想を覆したが、首相は党内に強力な「野党勢力」を抱えた格好だ。
 当面の焦点は内閣改造・党役員人事。小沢氏やその支持グループの処遇が焦点となる。首相は14日の記者会見で人事について「全くの白紙」と強調した。「脱小沢」の政治姿勢が支持されてきただけに、首相が挙党態勢に配慮しすぎれば、求心力は一気に低下しかねない。
 国会は衆参両院の多数派が異なる「ねじれ国会」になっている。法案を成立させるには、自民党など野党各党の協力を得ることが不可欠だ。国会運営で政権が行き詰まる可能性があり、その巧拙は内閣の死命を制しかねない。首相は真剣に政策実現への協力を呼びかけてほしい。
 首相が代表に再選された結果、経済路線の基本は維持されよう。円高やデフレに対応した当面の経済対策や今後の新成長戦略を、着実で迅速に実行してもらいたい。
 目前の懸案は円高である。首相再選の一報を受けて外国為替市場で円高・ドル安が進むなど、菅政権が円高阻止にどこまで真剣かを市場は瀬踏みしている。急な円高には果断な円売り介入など強力な対抗策を準備しておくべきだ。金融政策を担う日銀との緊密な協力も欠かせない。
 次の試練は2011年度の予算編成だ。約40%と主要国で最も高い法人実効税率の引き下げをはじめ、日本経済を強い成長に戻す税制と予算の詰めに全力を挙げてほしい。一律10%削減の予算要求で政治主導の予算が組めるのかという小沢氏の批判には一理ある。メリハリと財政規律の両立が問われる。
 09年衆院選の民主党マニフェスト(政権公約)の着実な実施を訴えた小沢氏が敗れたのは、財源を明示できずに子ども手当の満額支給など給付増を訴える手法の限界が表れたといえる。財源に応じて公約の内容を柔軟に修正する現実路線を首相は追求すべきだろう。
雇用増は経済の強化で
 第三の課題は経済の足腰を強くする改革である。首相は「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と繰り返すが、職業紹介の強化などは一時的な失業の対策にとどまる。民間投資を促す規制改革、環境技術や医療など成長産業の育成を通じ、経済の規模を大きくするのが王道だ。
 主要国の中で突出して高水準の債務を抱える財政の立て直しも急がなくてはならない。首相は代表選で、年金や医療制度の改革に触れていない。負担論を避けていれば社会保障制度の設計もできない。消費税率引き上げを含めた税制・社会保障の改革にいち早く着手すべきである。
 日米関係の修復も優先順位が高い。6月に就任して以来、懸案の米軍普天間基地の移設問題は全くといっていいほど、進んでいない。11月にはオバマ米大統領の来日を控えている。普天間問題のあおりで停滞している日米同盟深化の作業を加速するためにも、首脳間で改めて安保の認識を共有してもらいたい。
 日本を取り巻く安保環境は厳しさを増している。海軍力の増強を背景に中国は南シナ海での行動を活発にし、尖閣諸島周辺の海域でも強気の姿勢に出ている。こうした火種に対応するためにも、日米同盟の強化とアジア諸国との連携は欠かせない。

:2010:09/15/10:11  ++  菅首相民主代表に再選―夢を語る祭りは終わった。

素朴な疑問が残る。果たして何のための代表選だったのだろう。政権交代から1年余りがたった。しかし、民主党による新しい政治は、まだ何の成果も上げていない。党内の多数派工作に終始したこの代表選で、新しいものが始まるかもしれないという高揚感もない。
 結果的には大差がついたが、党員・サポーター票を入れない議員だけの代表選びだったなら、「小沢一郎政権」が生まれていたかもしれない。
 小沢氏は昨年の衆院総選挙を前に、政治資金問題が取りざたされて代表を退き、後を継いだ鳩山由紀夫氏が政権交代を実現した。その鳩山政権は迷走に迷走を重ね、最後は「政治とカネ」を理由に、幹事長の小沢氏とともに政権を投げ出した。
「反小沢」で判断
 わずか3カ月後、当の小沢、鳩山両氏が手を携えて政治の表舞台に立ち、菅首相に主役交代を迫った構図には、違和感を覚えざるをえない。
 この違和感が菅首相にとって、唯一の追い風となった。実のところ、首相はこの3カ月、代表再選しか念頭にないかのようだった。鳩山政権から引き継いだ負の遺産ともいうべき内政、外交の停滞に手をつけることもなく、デフレ下の円高・株安問題にも背を向け、代表選に影響しそうな困難な政治決断はすべて先送りしてきた。
 にもかかわらず、世論が菅氏を支持し、これに敏感な党員票が圧倒的な勢いで菅氏に流れたのは「反小沢」という判断基準があったからである。
 振り返ってみれば、昨年の政権交代は、民主党への期待というよりも、長く政権にあった自民党への嫌悪の要素が濃かった。今度もまた、「小沢か反小沢か」の選択になった構図は、永田町の見飽きた風景というほかはない。
 小沢氏は「首相になろうと思えば、あの時、なれた」が口癖だそうだ。19年前、1991年の「ポスト海部」選びで、当時の最高実力者だった金丸信氏が派閥ごと小沢氏にすべてを譲ろうとした時のことである。
 そのころは「首相になろうと思えばいつでもなれる」と思っていたかもしれない小沢氏が、次に政権取りを目指すには、いくつもの破壊と創造が必要だった。
 この繰り返しは今回で終わるのだろうか。選挙戦では「最後のご奉公」といい、「たいまつを次の世代に引き継ぐ」とケネディ米元大統領の名演説を借用して決意を述べた。
問われる実行力
 代表再選によって菅政権が安定する保証はない。むしろ、国会でも政策でも立ち往生する場面が容易に想像できる。所属議員の過半に近い支持を得た小沢氏が、もう一度、権力の中枢に戻るのかどうかは、菅政権の行方にかかっている。
 14日の最終スピーチ。菅、小沢両氏が同様に語ったのは「私には夢がある」のフレーズだった。米国の黒人公民権運動の指導者、キング牧師の歴史的な演説を想起させる。
 政治家が夢を語るのは大切なことだ。が、「夢物語」とか「夢想」のたぐいにくくられる夢もある。さめてみれば、はかないだけの夢もある。
 両氏、とりわけこの困難な時期の国政を担う菅首相が問われているのは、「夢」の中身と、その実行力だ。
 有権者も政治に「夢」をもちたい。だからこそ、民主党に政権を託したのに、寝ざめの悪い朝が明けつつある。

:2010:09/13/09:12  ++  菅氏・小沢氏、どちらが当選でも…、秋の日程波乱含み(民主代表選)

14日投開票の民主党代表選で菅直人首相、小沢一郎前幹事長のどちらが勝利しても、秋の政治日程は波乱含みだ。外交日程は立て込んでおり、臨時国会も今年度補正予算案の有無で召集日は変わる。参院での過半数割れ対策もメドは立っていない。国会運営のカギを握る自民党との話し合いも、民主党内の火種となる可能性がある。(1面参照)
 両氏ともに代表選出が決まれば20日ごろまでに内閣・党役員人事を終えて米国を訪問し、ニューヨークで開く国連総会に出席する段取りを描いている。オバマ米大統領との首脳会談にも臨む。
 菅氏再選なら国会での首相指名選挙は必要なく、21日から25日まで訪米する方向だ。小沢陣営も、幹部が「持論である国連中心外交を訴える好機だ」とみており、代表選出後、17日に臨時国会を召集して、首相指名選挙を実施。直ちに組閣する訪米最優先の日程を想定している。
 訪米後は10月4、5両日にベルギーでアジア欧州会議(ASEM)首脳会合、11月中旬からは横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、韓国での20カ国・地域(G20)首脳会議と切れ目なく首脳外交が続く。外交日程は国会召集時期に密接に絡む。
■国 会
 秋の本格的な臨時国会には郵政改革法案、政治主導確立法案などが重要法案として想定されているが、補正の扱いが焦点となる。
 菅氏は「年内の補正予算も視野に」と発言し、小沢氏も「景気が非常に悪くなれば財政出動」と表明した。仮に補正を編成する場合、準備には約1カ月かかるため、代表選直後に着手しても国会への提出は10月中下旬になる。菅陣営には「補正を組むなら、国会召集は10月中旬以降」との考えもある。小沢陣営でも「首相指名の国会は短期間で閉じ、補正に合わせて本格的な国会を」との声が出ている。
■野党戦略
 国会を召集すれば野党との連携問題が待ち構える。参院は与党が過半数割れし、野党の協力が得られなければ法案は一本も通らないためだ。
 菅氏は11日の街頭演説で「与野党でしっかり話をする。熟議の民主主義だ」と強調した。菅陣営の念頭にあるのは執行部を刷新した自民党だ。
 自民党の石原伸晃幹事長は12年前の金融国会で仙谷由人官房長官、民主党の枝野幸男幹事長らと気脈を通じて以来の仲だ。新進党に所属したことがある小池百合子総務会長、石破茂政調会長も「反小沢」色が濃い。
 一方の小沢陣営は公明党とのパイプに自信を示す。自民党とはベテラン世代が中心で、石原氏ら新執行部との関係は希薄だ。
 石原氏は「政策的には菅さんに近い」と、菅氏再選の場合には協力する可能性をあげる。自民党の出方は、代表選後の民主党の対応を大きく左右する。

:2010:09/13/09:02  ++  GPS衛星、「みちびき」打ち上げ成功、位置測定精度、10倍以上

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は11日午後8時17分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から日本の主力ロケット「H2A」18号機を打ち上げた。搭載した日本版測位衛星(準天頂衛星)の「みちびき」を28分後に分離し、打ち上げは成功した。カーナビゲーションシステムなどの位置精度を10倍以上高められる日本版全地球測位システム(GPS)の構築に向け一歩を踏み出した。(関連記事を社会面に)
 H2Aの打ち上げ成功は12回連続。成功率は94・1%から94・4%に上昇し、欧州や中国などのロケット並みの高率を維持した。菅直人首相は11日夜、「(打ち上げの成功は)宇宙技術の信頼性の高さを証明するもの。宇宙開発利用が一層進展し、経済成長の一助となることを期待する」とのコメントを発表した。
 「みちびき」は米国防総省が運営するGPS衛星と組み合わせて使うことで、建物の谷間など従来のGPS衛星では電波が届きにくい地域での位置精度の向上が期待されている。年明け以降に、日立製作所やNTTデータなど101の企業・大学が「みちびき」を使って実験を始め、子どもの見守りや災害情報の即時案内など新サービスに活用できるか試す予定だ。
 「みちびき」が順調に稼働した場合、日本上空をカバーできるのは1日のうち8時間だけ。高精度の位置情報サービスを24時間提供するには3基以上必要になる。ただ、現段階では2基目以降の打ち上げは未定だ。衛星1基の製造・打ち上げ費用は約400億円。政府は宇宙開発戦略本部(本部長・菅直人首相)が中心となり、来年夏までに2基目以降の打ち上げについて結論を出す。

:2010:09/10/11:34  ++  日印EPA大筋合意、車・鉄鋼輸出増に期待、「韓国勢に条件近づく」。

日本がインドとの経済連携協定(EPA)の締結で大筋合意した。日本の主要輸出品目の関税も撤廃されるため、自動車・鉄鋼業界は輸出の拡大に期待している。韓国はインドと自由貿易協定(FTA)を締結ずみで、ライバルと同じ競争条件を維持できるとの声も出ている。ただインドが要求した後発医薬品(ジェネリック医薬品)の迅速な認可やインド人の就労機会の拡大には課題を残した。(1面参照)
 韓国は今年1月、日本よりもひと足早くインドとのFTAを発効させた。「ほかの国のメーカーと競争するのにハンディが出てしまう」(スズキの鈴木修会長兼社長)との懸念が広がっていただけに、日本の自動車・家電メーカーは韓国との競争条件が改善すると期待している。
 インドの乗用車は100万円以下が売れ筋で、価格競争が激しい。日本メーカーはインド製部品の調達でコストを引き下げているが、現地調達が難しい制御部品や精密加工部品などは日本から輸入している。このため「関税引き下げのメリットは大きい」(電装部品メーカー)とみている。
 後発医薬品の認可手続きの迅速化では、日本側が歩み寄ったようだ。しかし日本国内でのインド人の就労機会拡大については、今後も議論を継続することを確認するだけで終わった。東南アジア諸国連合(ASEAN)などともFTAを締結しているインドにとっては、不満の残る内容になったといえる。
 後発医薬品最大手の日医工は「インドの製薬会社が日本で製品の販売を拡大するのは難しい」と話す。日本の医師や患者は医薬品の品質に対する要求が厳しいからだ。一方、インドの製薬会社が日本の製薬会社を買収するケースが増えるとの見方も出ている。
 日本はEPA戦略でまだ韓国に後れをとっている。日本がEPAを結んだ国・地域との貿易額が全体に占める割合は16・5%。交渉中の案件を含めても36・5%にとどまる。韓国は米国や欧州連合(EU)などとのFTAに署名しており、交渉中の分も含めると6割を超える。
 日本が近く合意できそうなのは交渉中のペルーくらい。岡田克也外相は9日午後、インドとの合意を受け、EUや韓国などと「早く交渉に持ち込んで締結していきたい」と語ったが、今後の戦略は不透明だ。
 日本がEPAで出遅れているのは、農業分野での市場開放に踏み切れていないためだ。今回の合意でも、コメなどの主要農産品を関税撤廃の対象から除外した。
 だが11月までにまとめるEPAの基本方針で、米中豪など農業大国との締結を目標に掲げるなら、農産品の関税引き下げが避けて通れない。最近は製品の安全基準の共通化など、非関税障壁分野での自由化を求められるケースも目立つ。こうした分野でも民主党政権がリーダーシップを発揮し、利害関係者を説得できるかどうかが問われる。

:2010:09/10/11:34  ++  日印EPA大筋合意、車・鉄鋼輸出増に期待、「韓国勢に条件近づく」。

日本がインドとの経済連携協定(EPA)の締結で大筋合意した。日本の主要輸出品目の関税も撤廃されるため、自動車・鉄鋼業界は輸出の拡大に期待している。韓国はインドと自由貿易協定(FTA)を締結ずみで、ライバルと同じ競争条件を維持できるとの声も出ている。ただインドが要求した後発医薬品(ジェネリック医薬品)の迅速な認可やインド人の就労機会の拡大には課題を残した。(1面参照)
 韓国は今年1月、日本よりもひと足早くインドとのFTAを発効させた。「ほかの国のメーカーと競争するのにハンディが出てしまう」(スズキの鈴木修会長兼社長)との懸念が広がっていただけに、日本の自動車・家電メーカーは韓国との競争条件が改善すると期待している。
 インドの乗用車は100万円以下が売れ筋で、価格競争が激しい。日本メーカーはインド製部品の調達でコストを引き下げているが、現地調達が難しい制御部品や精密加工部品などは日本から輸入している。このため「関税引き下げのメリットは大きい」(電装部品メーカー)とみている。
 後発医薬品の認可手続きの迅速化では、日本側が歩み寄ったようだ。しかし日本国内でのインド人の就労機会拡大については、今後も議論を継続することを確認するだけで終わった。東南アジア諸国連合(ASEAN)などともFTAを締結しているインドにとっては、不満の残る内容になったといえる。
 後発医薬品最大手の日医工は「インドの製薬会社が日本で製品の販売を拡大するのは難しい」と話す。日本の医師や患者は医薬品の品質に対する要求が厳しいからだ。一方、インドの製薬会社が日本の製薬会社を買収するケースが増えるとの見方も出ている。
 日本はEPA戦略でまだ韓国に後れをとっている。日本がEPAを結んだ国・地域との貿易額が全体に占める割合は16・5%。交渉中の案件を含めても36・5%にとどまる。韓国は米国や欧州連合(EU)などとのFTAに署名しており、交渉中の分も含めると6割を超える。
 日本が近く合意できそうなのは交渉中のペルーくらい。岡田克也外相は9日午後、インドとの合意を受け、EUや韓国などと「早く交渉に持ち込んで締結していきたい」と語ったが、今後の戦略は不透明だ。
 日本がEPAで出遅れているのは、農業分野での市場開放に踏み切れていないためだ。今回の合意でも、コメなどの主要農産品を関税撤廃の対象から除外した。
 だが11月までにまとめるEPAの基本方針で、米中豪など農業大国との締結を目標に掲げるなら、農産品の関税引き下げが避けて通れない。最近は製品の安全基準の共通化など、非関税障壁分野での自由化を求められるケースも目立つ。こうした分野でも民主党政権がリーダーシップを発揮し、利害関係者を説得できるかどうかが問われる。

:2010:09/10/11:26  ++  車・家電モーター脱希土類進む、日立、酸化鉄で代替、帝人、鉄と窒素、中国の規制受け

家電・素材メーカー各社は電気自動車や家電品に不可欠なモーターを、従来の主力材料のレアアース(希土類)を使わずに作る技術を相次ぎ開発した。レアアースは主要生産国の中国が輸出規制しており、安定調達に懸念がある。代わりに入手しやすい材料を使うメドをつけた。日立製作所は酸化鉄で実用的なモーターを試作、2年後に製品化を目指す。帝人と東北大学などは鉄と窒素を使った新材料を開発、高性能モーターに応用する。
 モーターは磁石の力(磁力)で回転力を得る仕組みで、ハイブリッド車や電気自動車、冷蔵庫、エアコンなど様々な製品の性能を左右する中核部品。回転子と呼ばれる磁石部分に、大きな力を効率良く生み出せるネオジムやジスプロシウムなどのレアアース材料が使われている。調達難に備えて、各社は代替材料の開発を急いでいる。
 日立は調達が容易で安価な酸化鉄でできた永久磁石「フェライト磁石」を使ったモーターを開発した。そのままでは磁力はレアアースを使った場合の半分しかないため、回転部分に磁力が効率良く届くように構造を工夫し、取り出せる力を大きくすることに成功した。
 レアアース製に比べて約1割小さい電力で同じ力が得られる性能を確認。電気の無駄が少なく省エネになる。実用化のメドが得られたとして、今後2年程度でエアコンなどへの応用を目指す。大型化すれば電気自動車にも応用可能とみている。
 ダイキン工業と大阪府立大学の森本茂雄教授らのグループは単独では磁力が弱い鉄とフェライト磁石を組み合わせて、高出力モーターを開発した。鉄の回転子の中にフェライト磁石を埋め込む独自の構造を採用した。
 ハイブリッド車に使われているモーターの10分の1ほどの大きさで、出力が5キロワットの小型モーターを試作、車に使えるだけの回転数が得られた。来年度中に出力20キロワットの実用的な大型モーターを作り、製法も効率化して製品化につなげる。
 帝人と東北大学は鉄と窒素からなる新材料で、強力な磁石を作る技術を開発した。材料を約10ナノ(ナノは10億分の1)メートルの粒子状にすることに成功。磁石としての性能を高める工夫をしたうえで、粒子を樹脂に混ぜて成形すれば様々な形の永久磁石が作れるとみている。これまで加工の難しさが実用化へのネックの一つになっていた。
 鉄などの代替材料はレアアースに比べ産地が分散し、入手が容易で価格も安い。加工も含めたコストの分析はこれからだが、酸化鉄などに切り替えてもレアアース並みかそれ以下に抑えられる可能性があるという。レアアースは電気自動車1台あたり1~1・5キログラムが必要との試算もあり、しばらくは需要増は確実とみられる。
 ▼レアアース イットリウムやランタン、セリウムなど17元素の総称。埋蔵量は多いが鉱石から取り出すのが難しいものが多く、レアメタル(希少金属)の一種に分類される。中国には優良な鉱床が多い。
 磁石になりやすい、酸素とくっつきやすいなどの特徴を持つ。ネオジムは強い磁石に、ジスプロシウムはネオジム磁石の耐熱性を高めるのに利用される。レアアースの生産量は年間12万トン程度と見積もられる。

:2010:09/10/11:20  ++  党役員人事を決定、50代旗頭、自民再出発、国会・政局対応、経験不足の声。

自民党は9日、新役員の主要人事を正式に決めた。幹事長に石原伸晃組織運動本部長が就くなど50歳代が党三役ポストを占め、世代交代を印象づけた。ただ、党内には経験不足から国会や政局対応を不安視する声がある。三役級の起用がなかった町村派や参院で不満もくすぶり、党勢拡大の展望はまだ見えない。
 9日の総務会は石原幹事長のほか小池百合子総務会長の就任、石破茂政調会長の再任を了承。大島理森幹事長の副総裁昇格、逢沢一郎国会対策副委員長の委員長昇格も了承した。河村建夫選挙対策局長は再任された。
■大島氏「院政」説も
 谷垣禎一総裁は新三役の3氏を参院選の選挙対策本部長代理に就け、選挙直後から三役起用を検討した。女性議員の党三役起用は初めて。谷垣氏は9日の記者会見で「政権を奪還した際には明日を背負える次世代のリーダーだ」と力説した。
 石原氏は1998年の「金融国会」で民主党と協議し金融再生法の成立に尽くした「政策新人類」の代表格だ。枝野幸男民主党幹事長は9日、記者団に「一緒に仕事をした信頼関係をもとに議論ができれば」と強調。菅直人首相も北海道江別市内で記者団に「機会があれば与野党で話し合えればいい」と語った。
 ただ、新三役は政局の節目や国会対応を取り仕切った経験がほとんどないため「大島副総裁の発言力が増し『院政』を敷く」との説もある。大島氏は派閥会長級の支持も集めていたため「大島・ベテラン連合と新三役の主導権争いが起きかねない」(三役経験者)との懸念がささやかれる。
■起用なしに不満残る
 党内最大派閥の町村派は谷垣総裁就任直後の人事に続き三役起用ゼロ。同派を離れた小池氏が起用されただけに「勝手にやればいい」(同派幹部)と反発が出ている。
 参院でも議員会長選で谷川秀善氏を推した勢力に林芳正参院副会長の政調会長起用論があった。谷川支持派内には不満が残り「政界再編含みになれば党を出てもいいと考える人がいてもおかしくない」との声もある。
 古賀誠氏も自派に属する林氏の政調会長起用を望んだとされ、同派内にも「もっと幅広く党三役を起用すべきだった」と冷ややかな声がある。ある幹部は9日「民主党からの引っこ抜きをより注意しないといけないかもしれない」と漏らした。
 【副総裁】
 大島 理森氏(おおしま・ただもり)慶大卒。農相、党幹事長。青森3区、当選9回。64歳。
 【幹事長】
 石原 伸晃氏(いしはら・のぶてる)慶大卒。国土交通相、党組織運動本部長。東京8区、当選7回。53歳。
 【総務会長】
 小池 百合子氏(こいけ・ゆりこ)カイロ大卒。環境相、党広報本部長。比例東京、衆院当選6回、参院1回。58歳。
 【政調会長】
 石破 茂氏(いしば・しげる)慶大卒。防衛相、党政調会長。鳥取1区、当選8回。53歳。

:2010:09/10/11:16  ++  第5部売る力再興(4)設計図1枚の世界戦略(企業強さの条件)

日本の消費者 特別視せず
 「世界160カ国・地域で売る新型『マーチ』の設計図は1枚」。日産自動車で車両開発主管を務める小林毅(51)はこう強調する。
 先ごろ国内生産からの撤退を決めたマーチの車台は世界共通。新興4カ国の工場で生産し、部品の多くは現地で調達する。その上で欧州向けならディーゼル、ブラジル向けならバイオ燃料のエンジンを載せるなど味付けを変える。日本にはタイ工場から輸入する。
 「低価格車を日本で造り続けるのは難しい」。最高執行責任者の志賀俊之(56)にとって主力車の国内生産撤退は苦渋の決断だった。「日本でタイ製の自動車が売れるのか」。社内にはそんな不安もあった。
 しかし心配は杞憂(きゆう)に終わる。新型マーチは発売1カ月半で月間計画の5倍の2万台を受注した。前モデルより燃費を3割以上改善しつつ価格は120万円台を維持。値ごろ感に消費者は飛びついた。
変わる嗜好
 日本は最も消費者の目が厳しい市場――。そんな経験則から日本企業は国内向けに高付加価値品を作り、海外でも展開しようとする傾向が強い。だが長引くデフレで日本人の嗜好(しこう)は世界の普及価格帯と近づきつつある。
 米ウォルマート・ストアーズ傘下の西友が低価格路線で息を吹き返し、苦戦続きだった外資系流通の中から、会員制卸の「コストコ」や家具の「イケア」が台頭するなど地殻変動が起きている。世界を一つととらえ、コストを磨いた製品が国内でも海外でも潜在需要を掘り起こす。
 資生堂は日本の若年層とアジアの中間層の両方を狙った「二正面作戦」に出る。9月中旬に発売する日本・アジア共通ブランド「専科」。980円前後の化粧水など3ケタの値札の低価格帯に本格参入する。
 「日本とアジアを一つの商圏ととらえ直す」。社長の前田新造(63)は高価格品中心だったブランド戦略の転換に挑む。アジアの中間層は10年後に4億6000万世帯。ドラッグストアで化粧品を買う日本の若年層に支持されれば、その流行はアジア全域の中間層に広がると読む。
 ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正(61)は国内市場で成功のジレンマに直面する。日本で好調な定番衣料のデザインは海外では「地味で保守的」と映るケースがある。5年後に海外売上高5割という目標を達成するには、世界に通じるデザインを追求したいが、それは日本の顧客離れを招くリスクを伴う。それでも柳井は商品改革への決意を固める。「日本で売れる製品をワンパターンで展開すれば、いずれ日本でも売れなくなる」
 海外売上高比率92%。2010年3月期に東証1部上場の製造業で最も海外で稼ぐ比率が高かったのは、和歌山市に本社を置く島精機製作所だ。コンピューター制御のニット衣料編み機で世界シェア6割を誇る。
世界にない製品
 「創業から50年間、世界にない製品作りにこだわってきた」と社長の島正博(73)。1本の糸から縫い目のないセーターなどを編む最新鋭機は欧州高級ブランドがこぞって採用する。島にとっては最初から国内商品も海外商品もない。あるのは「世界一」を作るという執念だけだ。
 生産拠点は本社工場のみで海外販売はすべて輸出。「他社にまねできない技術があれば、円高は怖くない」。ネジ・クギ1本まで内製化する製造技術は模倣が難しい。中国では人件費高騰で手編み機から同社製の編み機への移行が進む。
 「日本の世帯数が減少に転じる2015年、世界では人口の半分を占める国々が1人当たりGDP(国内総生産)で3000ドルを超える」。野村総合研究所・上級コンサルタントの榊原渉(37)はこう分析する。もはや内需だけに安住するゆとりはない。国情に応じて製品の仕様や売り方を変える必要はあるが、日本の消費者を特別視して高コストに陥る設計思想は改めるべきだろう。それは決して日本を捨てるという選択ではない。(敬称略)