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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:12/19/09:13  ++  ケータイVB最前線1億総ユーザー時代(下)主役交代めまぐるしく。

十日、携帯向け情報配信ベンチャーの間に動揺が走った。増田寛也総務相が携帯電話から有害サイトを閲覧できなくするフィルタリングサービスの利用を十八歳未満に原則適用するよう携帯各社に要請したためだ。
 翌十一日、人気の携帯交流サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の株価はストップ安を付けた。成長を支えたのは会員八百十三万人(十一月末時点)のうち四割強を占める十代。閲覧制限の強化は収益基盤を直撃しかねない。
 情報配信を手掛けるケータイベンチャーの勝ち組とされるDeNAが突き当たった試練。事業環境がめまぐるしく変わるケータイビジネスを象徴する。
 業界団体モバイル・コンテンツ・フォーラム(東京・渋谷)によると、二〇〇六年の携帯電話向け情報配信市場の規模は前の年比一六%増の三千六百六十一億円だった。
 二ケタ成長の陰で、主戦場はNTTドコモなどの携帯各社が料金回収を代行する「公式サイト」から、掲載した広告で稼ぐ「一般サイト」に移った。「検索機能の普及で一般サイトも簡単に閲覧できるようになった」(ナノ・メディアの藤野千明社長)ためだ。
 DeNAより先に上場したケータイコンテンツベンチャーの第一世代。上場組の直近の決算では、本業のサイト事業の売上高が比較できる九社合計で前期比六%増にとどまった。着メロなど公式サイト頼みから抜け出せないでいる。
 公式サイト依存への危機感は株式市場からの退場さえ決意させた。MBO(経営陣が参加する買収)を目指すサイバードホールディングスは「二割のサイトで八割の収益を稼いでおり放っておくといつかだめになる」(堀主知ロバート社長)。一般サイトとメール広告に、今後五年間で年間営業利益の五・四倍強の六十五億円を投じ、再起を期す。
 ケータイ関連ビジネスは陳腐化が早く、過去の成功体験は足かせに変わる。ダイナミズムが挑戦者を次々と呼び込む。
 サイト監視のイー・ガーディアン(東京・港)。地下鉄麻布十番駅前の本社ビルは二十四時間明かりが消えない。一人で四台のモニターを同時にチェック、問題のある書き込みがないか目を光らせる。売上高の八割が携帯サイト向けだ。
 ゲーム開発のアンカーエンターテイメント(東京・渋谷)が四月に始めた新サービス「あと何ヤードDX」。ゴルフ場でグリーンまでの距離をGPS(全地球測位システム)対応の携帯電話で測定できる。格闘ゲームの受託開発が主力事業だが「携帯向けはまだ成長余地が大きい」と開発責任者の小野口正浩氏は話す。
 危うさを抱えつつ、ベンチャーの新陳代謝を原動力に成長するケータイ関連市場。一億総ユーザー時代の攻防が激しさを増している。
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:2007:12/19/09:12  ++  松下・キヤノン・日立が連合、有機EL・液晶パネル、共同会社で生産。

松下電器産業、キヤノン、日立製作所はテレビなどに使う薄型パネルで包括提携する方向で最終調整に入った。まず日立のパネル子会社に松下とキヤノンが出資し、次世代パネルの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を共同で事業化。さらに松下が日立の液晶パネル製造子会社を傘下に収め、三千億円規模を投じ工場を新設する。日本のパネルメーカーは同連合、シャープ、ソニーの三陣営にほぼ集約され、韓国や台湾勢を含めた世界的再編の引き金になりそうだ。(有機ELは3面「きょうのことば」参照)=関連記事3面に
 日立は全額出資子会社の日立ディスプレイズ(東京・千代田)で中小型液晶パネルを製造し、有機ELを開発している。松下とキヤノンは日立から保有株を買い取って日立ディスプレイズに出資する。株式の五〇%強を日立が握り、残りを松下とキヤノンで各半分保有する案が有力。出資額は検討中だが、それぞれ千億円を超える見通しだ。
 出資後、日立とキヤノンが主導し、液晶より高画質の有機ELパネルを共同で開発・生産する。キヤノンはデジタルカメラなどの小型モニターとして利用。松下は次世代テレビ向けに活用する可能性を探るとみられる。
 一方、日立ディスプレイズ、松下、東芝の三社は現在、大型液晶パネルを製造するIPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)を共同運営、パネルを自社のテレビに搭載している。出資比率は日立ディスプレイズ五〇%、松下三二%、東芝一六%だが、松下は日立ディスプレイズへの出資を通じIPSへの影響力を拡大。さらに増資引き受けなどで出資比率を五〇%超に高める方針だ。取得額は今後詰める。
 IPSは茂原市にパネル工場を持つが生産量は年五百万台にとどまる。松下はIPSを子会社化した後に工場を新設して液晶パネルに本格参入する。世界的に需要が拡大する40型台パネルを効率生産できる「第八世代」(現在は六世代)という工場になる見通し。松下は薄型テレビではプラズマを主軸に据えてきたが、今後は液晶にも力を入れ、40型後半以上はプラズマ、それ未満は液晶というすみ分けを進める。
 キヤノンは有機EL技術を持つ日立ディスプレイズへの出資で、小型ELを事業化して自社製品に組み込む。将来は大型ELを搭載したテレビを商品化する道も開ける。
 日立はIPSの経営主導権を松下に譲り、価格競争が激化している液晶パネルの製造から段階的に縮小する。東芝もテレビ事業を続けるがIPSには追加出資せずパネル投資を絞る。
 電機業界ではシャープと、ソニー=韓国サムスン電子の合弁がそれぞれ液晶パネルを生産している。松下がプラズマに続き液晶に本格参入、独自路線のキヤノンも松下・日立と組むことでパネルメーカーがほぼ三陣営になり、今後は生き残り競争が一段と加速する。

:2007:12/19/08:39  ++  インターネット広告市場の2006年と2007年

今回は、2006年のインターネット広告市場の総括と、2007年直近の事業者動向について報告する。

 まず、2006年のインターネット広告市場の動向であるが、電通「日本の広告費」によると、2006年のインターネット広告費は3630億円で、成長率は+29.3%であったとしている。2005年の成長率+54.8%と比較すると落ち着いたものの、引き続き極めて高い成長を遂げている。

 シード・プランニングでは、2006年の市場規模結果をいくつかの要因に分けて以下のように推定した。要因は、以下の通りである。

○プラス要因
  • 他媒体広告費のインターネット広告費への振替が進行
  • 新しい業種がインターネット広告の利用を開始、幅広い業種でインターネット広告の利用がなされる
  • リスティング広告が2005年に引き続き高い成長を達成した
  • SNS、ブログサイトなどWeb 2.0メディアが成長、普及し、新たな広告市場を形成
  • インターネットCM、フラッシュバナー広告等のブランディング効果が見直され、ナショナルクライアントの出稿が拡大
  • 人材、住宅・不動産業等のインターネット広告との親和性の高い業種が広告出稿を大幅に拡大
○マイナス要因
  • 2006年半ば頃より、消費者金融を中心とした金融業の広告出稿抑制の影響を受ける。

 以上の要因からインターネット広告費業種別構成比において最も大きい割合を占める金融業の出稿抑制は影響を与えたものの、市場全体としてはそれを補う他業種からの出稿拡大により高い成長を遂げた。

 次に、事業者動向から見た2007年上半期の状況についてであるが、2007年の1-6月の総合広告代理店大手3社、及びネット専業広告代理店大手3社の売上げ動向を見ると、2006年とは異なるトレンドを見て取ることができる。

 総合広告代理店及びネット専業広告代理店各大手3社合計のインターネット広告代理事業の1-6月売上げ動向を以下に示す。総合広告代理店大手3社として電通、博報堂DY、アサツーディー・ケイ(以下ADK)、ネット専業代理店大手3社としてサイバーエージェント、オプト、セプテーニ・ホールディングス(以下セプテーニHD)を対象企業とする。

 参照データは、総合広告代理店については各企業単体のインターネット広告関連事業部門の売上データ、ネット専業広告代理店は各社連結のインターネット広告代理事業売上データ(各社開示資料)とする。総合代理店各社が開示しているインターネット広告関連事業の売上データの中には、一部サイト制作費が含まれているものもあり、各社によって定義が若干異なるが、トレンドとして把握する上においては、特に問題はないため、これら数値を併記して採用する。

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071218_seedplanning2.jpg「総合・ネット専業広告代理店大手各社 2007年1-6月期売上動向」

 まず、総合・ネット専業大手6社2007年1-6月売上合計額であるが、対2006年で前年比・増収額とも減少していることが分かる。2006年の実績を見ると、2005年対比において、154.6%と高い伸びを示しており、210億円の増収額となっている。2007年の2006年対比は114.6%で、増収額は87億円である。

 次に、総合大手3社2007年1-6月売上合計額であるが、251億円とほぼ前年並みの実績である。

 各社の状況をみると、博報堂DY、ADKは前年を上回ったものの、増収率は2桁割れ(博報堂DY106.0%、ADK105.4%)となった。電通は、前年実績を割り込んでいる。しかし電通はその後7-9月期に盛り返しており、1-9月売上合計額では前年比101.7%となっている。

 総合代理店各社は、ナショナルクライアントといわれる有力広告主企業を多く顧客に持っており、この実績を見る限りでは2007年上半期において、ナショナルクライアントのこれまでのインターネット広告利用の拡大基調が落ち着いたことが想定される。業界関係者からは、「ナショナルクライアントのキャンペーンが全体的に増えていない」、あるいは「キャンペーンのスタートが例年より遅い」という声が聞かれ、その傾向は「他の広告媒体と比較して特にインターネット広告が当てはまる」という声もあった。

 最後に、ネット専業大手3社についてであるが、2007年1-6月売上合計額は428億円である。2007年の2006年対比は125.5%であり、増収額87億円である。

 2006年の2005年対比(前年比154.6%、増収額209億円)と比較すると、ネット専業大手3社は、引続き高い成長を遂げているものの、成長スピードはやや緩やかになったということが見て取れる。ネット専業代理店大手3社各社を見てみると、最も高い前年比であるのはセプテーニHDの前年比136.7%であり、以降サイバーエージェント(前年比124.1%)、オプト(前年比120.1%)である。

 このように引き続き高い成長スピードを維持しているものの、前年比、増収額ともに減少しており、2006年と比較すると各社の成長スピードもやや緩やかになっている。

 2006年において、インターネット広告市場における、上記6社合計の市場シェアは3割を超えており、その動向は今後の市場全体のトレンドを占う上で、大いに参考となる。

 大手6社の成長トレンドの変化は、インターネット広告市場全体のトレンドシフトの兆候として見て取るに値する。(シード・プランニング担当:野下智之)

:2007:12/18/10:38  ++  ティーカップがソフト、仮想空間「セカンドライフ」、「街」の施設、自動作成。

建物や道路 パーツ200点
外注不要 低コスト
 インターネット掲示板大手のティーカップ・コミュニケーション(東京・渋谷、石川智之社長)は、仮想空間「セカンドライフ」内の土地で建物などの施設を自動作成できるソフトを開発した。一つ一つの施設を手作業でデザインする必要はなく、マンションや道路、家屋などをマウス操作で自由に組み合わせて簡単に「街」を設計・建設できる。制作会社への委託に比べ大幅に低コスト化でき、企業が仮想空間をビジネスに活用しやすくなる。
 「アイランド・ビルダー」の名称で、ソフトの期間貸し(ASP)方式で提供する。ホームページ作成ソフトのように、パソコン上で設計する。一般家屋やマンション、店舗など建物のほか、道路や歩道、街灯など公共物のパーツをまず二百点用意した。このパーツを平面図にコピー&ペースト(複写&はり付け)して街のレイアウトを作成する。
 パーツにはそれぞれ、セカンドライフ内で建物などが自動で構築されるようプログラムが組み込まれている。セカンドライフには3D(三次元)アイテムを作成する専用画面があり、そこに平面図のデータを(ソースコード)を入力すれば街の施設がまるごと自動作成される仕組み。データ入力後、三十―六十分で街ができあがる。
 基本料金は設定サービス費用を含め、初期費用は八十万円。保守・管理費用は月額五万円にした。パーツのオーダーメードは別途、料金が必要。大手企業がセカンドライフに専用島を開設する際、専門制作会社への外注費は数百万円が相場とされ、大幅に低価格が可能。このソフト利用中は街の設計変更や建物の建て替えも自由にでき、外注する必要はない。
 セカンドライフ内では、「リンデンスクリプト」と呼ぶプログラミング言語を使い一般利用者が自由に建物やアイテムを作成できる。ただ、一つの街を制作するには手作業で様々なアイテムをデザインする必要があり、ノウハウが求められるほか、専門制作業者に委託するにもコストや時間がかかる課題がある。
 ティーカップは主力のネット掲示板サービスのほか、セカンドライフ関連事業も手がけており、同社の専用島「ジャパンリゾート」は、日本人利用者が大勢集まる人気エリアとして知られる。今後日本でもセカンドライフの普及が進むと見て、新ソフトを売り込む。

:2007:12/18/10:29  ++  【正論】「ネット」と新聞 多摩大学情報社会学研究所所長・公文俊平

■「宅配」「広告」の経営モデルを脱せ

 ≪プロの仕事は変わらないが≫

 日本の新聞産業は、いますぐではないにしても、存亡の危機にある。媒体(紙)の面でも、宅配と広告に依存しているビジネスモデルの面でもだ。

 日本人は近年、1人あたり世界平均の5倍、年間250キロ近くもの紙を消費するようになったが、その2割ほどが新聞紙だ。そのさらに2割ほどが、いわゆる宅配の「押し紙」であって、消費者の手元に届くことなしにリサイクルにまわされている。これほど大量の紙の消費、いや浪費を、いつまでも続けていくわけにはいかないだろう。

 日本の若者は、数が減るだけでなく新聞を読まなくなっている。宅配への需要は、このままだと減少の一途をたどる。広告のあり方も変わりつつある。ネット広告の比重が拡大しているだけでなく、不特定多数の消費者に一方的に広告を流すという仕方自体が見直されている。

 しかし、信頼できるニュースやその背景分析への需要までなくなるわけではあるまい。よく、記事は筆者の名前や肩書でなく内容で判断されるべきだという。しかしそれは容易なことではない。だからこそ、プロのジャーナリスト集団が、きちんとした取材やしっかりした調査をもとにして、組織の名誉をかけて提供する記事に、読者は信頼をおいてきた。新聞社と読者の間のこのような関係は、記事が電子的に提供される時代になっても、変わりはすまい。

 問題はビジネスモデルだ。新聞が存続するためには、いや、さらに発展していくためには、宅配と広告に依存してきたこれまでのビジネスモデル自体を捨て去るしかなかろう。

 ≪感動への感謝に1クリック≫

 ではそれに代わる新しいモデルはありうるのか。その答えは、記事自体の価値を通じて結びついた、新聞社と読者の「コミュニティー」作りにあると思われる。新聞社は、価値ある記事を読者に提供する。読者は、記事の有用性や記事が与える感動に感謝して、なにがしかの謝礼を払う。それは、梅棹忠夫氏のいう「お布施」、ひつじ書房の松本功氏が提唱した「投げ銭」、やさしい情報社会化を推進する関根千佳氏が考案した「感謝券」などと似た仕組みになる。

 たとえば、記事推奨システムが配信するどれかの記事を読んだ読者が、感謝の印として1クリックすれば、若干の謝金(1クリックあたり10円くらいが妥当か)が新聞社に送られる。感動が大きければ、さらにクリック数を増やすもよい。その一部は、「砂漠を緑に」などのような新聞社のキャンペーン基金に繰り入れられてもよい。

 さらに、感動した読者は、自分のブログやメールを通じて、仲間たちにその記事を推薦したくなる。仲間たちは、それぞれ個別化された記事推奨システムからの配信を受けているので、同じ記事を目にしているとは限らない。推薦を受けた仲間がその記事を読んで1クリックすると、感謝の印として送られた10円は、たとえば7対3の割合で、新聞社と推薦者に配分される。もちろん、この場合も、感動の程度に応じて、クリック数は自由に増やしてよい。

 ≪社外からの参加も排除せず≫

 そればかりではない。読者は、自分が書いた記事を新聞社に送って、その配信システムに載せてもらうこともできる。その選別は新聞社が自らの責任で行えばよい。この場合の「読者」には、個人だけでなく組織、とりわけ企業も含まれてよいとすれば、その中にはこれまでなら「広告」とみなされた記事も含まれうることになる。

 このような仕組みが実現しうるためには、大量の少額送金が安全・確実に、そして低コストでできるプラットフォームの構築が不可欠となるが、今日の情報技術をもってすれば、技術的にはさほどむずかしいことではなかろう。しかしそのようなプラットフォームを各新聞社が個別に作るのでは効率が悪すぎる。ここは業界が共同で立ち上がるべきところだ。少額課金や送金の技術をもつ携帯電話業界やネット銀行などの協力がえられると、なおよかろう。

 それぞれの新聞社は、そうした共通のプラットフォームの上で、自社を核とする読者とのコミュニティー作りに秘術を尽くせばよい。私は、産経のコミュニティーに喜んで加入するだろう。そうはいってももちろん、そのようなコミュニティーは、読者を囲い込む排他的な形のものではなく、複数のコミュニティーへの同時加入や、コミュニティー間の移動が自由でオープンにできるものとなることが望ましい。21世紀の日本の新聞産業の興廃は、それにかかっているとわたしは思う。

(くもん しゅんぺい)

:2007:12/17/09:50  ++  【正論】「ネット」と新聞 東京大学教授・坂村健 新聞界の常識が崩れ去った

■デジタル化で「形式」すべて自由に

 ≪従来の枠組みバラバラに≫

 産経新聞がインターネット上に新しいニュースサイトを立ち上げ、朝日、読売、日経の3社が販売店網の提携とネット配信の共同化を発表した。いま「新聞の未来」が大きく変わろうとしている。

 この問題を語ろうとするとき気をつけなければならないのは、この主題が1つの主題ではなくなってしまった、ということだ。それを無視しあくまで一体として情緒的議論をすれば、混乱するだけで建設的な議論にはならない。

 「新聞の未来」はいま、新聞「記者」の未来、新聞「社」の未来、新聞「レイアウト」の未来、新聞「広告」の未来、新聞「紙」の未来、新聞「販売店」の未来、新聞「折り込みチラシ」の未来--ざっと考えてもこれだけの未来に分裂してしまった。

 そして、この分裂を招いたのが社会のデジタル化・ネットワーク化である。

 従来の社会が物理的だった時代、新聞は紙に印刷し配達するしかなかった。

 新聞が「紙」だからこそ、多くの「記者」と日単位の印刷のための高速輪転機という資本を抱えた「社」と、配達のために「販売店」が必要だった。また「紙」を前提とした長年の工夫が、現在の見出しと本文配置の妙で短時間のうちに読める「レイアウト」を確立し、限られた面積だからこそ新聞「広告」は高い広告料を取れた。新聞と一緒に配るからこそ「チラシ」は特権的な配布物であり、「販売店」はそれで潤った。

 ≪文字情報の読者は残るが…≫

 しかし、社会のデジタル化・ネットワーク化により状況は変わる。大量の文字ニュースを秒単位の新鮮さで、しかも必要に応じて地球の裏側からでも配布も取り寄せもできる時代になった。しかも、基本的にコストは限りなくゼロに近い。

 この変化により、文字ニュースは「紙」の縛りを離れ、いままで「新聞」という名のもとに運命共同体だったさまざまな要素を、バラバラに運命を語れるものにしてしまった。「新聞の未来」について私に確実に言えることは「新聞」という概念がバラバラになること。文字ニュースの「読者」は存在しつづける。その2つだけだ。

 世界中にちらばったフリーのルポライターのような記者が独立して記事を書く。それを各種検索エンジンが収集し読者の関心属性にあわせて見出しの大きさやレイアウトを個別調整し、大判の電子ペーパーに自動配信。読者の関心を引いた率に応じて、記事の原稿料が自動的に分けられ記者の収入となる--そういう過激な「新聞の未来」にも十分な可能性がある。

 この未来には、新聞「紙」は、タブロイド紙大の柔らかで極めて軽く電子的に書き換え可能な電子ペーパーとして進化し、新聞「記者」は立場を変え、新聞「レイアウト」は生き残るが、新聞「社」も新聞「販売店」もいない。

 他にも、最近はやりの読者がそのままニュース発信者となるモデルで、それを集めて選別し編集する機関として新聞「社」が変化し、プロの「記者」がいなくなる未来も考えられる。

 ≪技術より社会変える勇気≫

 ここで未来を決めるのは実は技術ではない。技術が未来を決めるなら、技術屋が言ったとおりに未来はなるだろう。しかし、実際はそんなことはない。私が言えるのはせいぜい先に上げたようなさまざまな未来の可能性だけだ。そのどれが実現するかはわからない。

 社会のデジタル化・ネットワーク化が引き起こしたのは、実は本来は必要がないのに事業者・社会プロセス・形式・ニーズといったものにはめられた枷(かせ)からの単なる「自由」であって、そこに方向性はないからだ。

 その「自由」を、どう生かし「未来」をデザインするか。それを決めるのは、技術ではなくあくまでも社会だ。おそらく、その制度設計の最大課題となるのは著作権という社会制度の再設計だろう。

 そのとき、社会系の学問の門外漢として私が危惧(きぐ)するのは日本の技術力ではない。「枠のない自由」に挑戦して新しい社会を再構築することに、安定志向のわれわれ日本人は不得意ではないかということだ。

 情報通信技術がらみの分野で日本が世界でイニシアチブを取れない歯がゆさは前から感じていることだ。「新聞」のような伝統的な社会要素すら解体されつつある今、すべての社会分野の再構築で日本が取り残される--そんなことにならないでほしい。未来を決めるのは技術力ではない。それは社会を変える勇気なのである。

(さかむら けん)

:2007:12/17/09:44  ++  携帯通販、女性けん引、急拡大。

ケータイ通販は移動中や外出先などでも商品を買える手軽さが最大の利点。表示速度など携帯端末の性能が向上したこともあり、市場規模は年三〇―四〇%増の勢いで急伸している。けん引役の二十―三十四歳は「F1層」と呼ばれ、洋服など商品情報を熟知している。こうした層が手元の端末からためらいなく物品を買うスタイルが、新しい消費の流れを生んでいる。
 調査会社の富士経済(東京・中央)によると、二〇〇七年のケータイ通販市場は二千七百十五億円の見込み。五年前のざっと十二倍だ。端末性能の向上やパケット定額制の普及に加え、自宅でも携帯をネット端末として利用する層が増えたことで急速に拡大した。
 市場を支えるのがF1層を中心とする女性。パソコン通販に比べて衣料品や化粧品、アクセサリーなどの売れ行きが突出している。ネット通販大手も携帯サイトの強化に躍起になっている。ヤフーは十一月末に商品画像を多く掲載できるようにしたほか、楽天も項目の細分化を進めるなどで検索性を向上させた。
 一方でパソコン通販に比べると、ケータイ通販の購買単価は楽天など大手でも数千円は低いという。薄型テレビや家具のように大型で値が張る商品を買う人もいるが、まだまだ少数派。購入頻度や単価をいかに引き上げるかが、今後の成長のカギを握っている。
 商品特性をわかりやすく伝える点でケータイ通販はなお見劣りする。幅広い層の消費者を取り込むには、動画配信を導入するなど一層の工夫も求められそうだ。

:2007:12/14/10:38  ++  企業とIT問われる投資効果(中)IT投資に12兆円、中堅中小、重い負担。

調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)によると、二〇〇六年の国内IT(情報技術)投資額は官公庁などを含め十二兆円弱。一一年まで年率平均一・八%で成長すると予測する。なかでも従業員一千人未満の中堅・中小企業の投資が年率三・七%と高い伸びを続けるとみている。
 中堅・中小企業にとって自前でシステムを構築、維持するための費用負担は重い。こうした企業に「SaaS」などのシステム貸し出しの需要が今後増えるとみられている。

:2007:12/14/10:35  ++  システム中堅2社統合、TISとインテック、来年4月、専業2位に。

システム開発専業六位のTISと十一位のインテックホールディングス(HD)は十三日、来年四月に共同持ち株会社を設立し経営統合すると発表した。統合後の売上高は約三千三百億円となり、専業ではNTTデータに次ぐ二位グループに浮上する。受注競争激化などを背景に、中堅・中小のシステム会社の経営環境は厳しくなっている。規模拡大による生き残りを目指し、業界再編が加速する可能性がある。
 TISとインテックHDは株式移転により、来年四月一日付で共同持ち株会社「ITホールディングス」を設立、両社が傘下に入る。TISの普通株式一株に対し共同持ち株会社の普通株式一株を、インテックHDの普通株式一株に対し共同持ち株会社の普通株式〇・七九株を割り当てる。
 共同持ち株会社の会長には中尾哲雄インテックHD会長兼社長、社長には岡本晋TIS社長が就任する予定。両社の二〇〇七年度の業績見通しを単純合計すると、売上高が三千二百五十億円、営業利益は百八十億円。

:2007:12/14/10:30  ++  税制大綱、「改革の停滞」象徴、法人税率競争、世界で刻々―日本の出遅れ深刻。

与党が十三日決定した二〇〇八年度の税制改正大綱は、消費税や所得税などの見直しを軒並み先送りした。参院での与野党逆転もあり、将来を見据えた本格的な改革論議は結局深まらなかった。(1面参照)
 「改革の停滞」を象徴する文書といっていい。与党が十三日決めた二〇〇八年度税制改正大綱は、野党の反対と選挙に身をすくめ、小粒改正と問題先送りの集大成となった。政治の現実といえばそれまでだが、グローバル競争の中で生きる日本の出遅れは深刻だ。
 大綱自体は大きな衝突もなくまとまった。目立った役者は地方の税収格差是正による三千億円近い減収に抵抗した東京都の石原慎太郎知事くらい。それも一種の「儀式」にすぎない。「泣く子と地頭と政府には勝てぬ」という妥協の弁が印象に残った程度だ。
 野党との正面衝突も避けた。〇九年度から基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるが、与党は消費税率の引き上げについての詳述を見送った。「消費税」の上げ時期を書けば、参院の野党多数で否決されるのが間違いないからだ。
 「消費税が動かねば、どの税も動かせない」。これが霞が関や永田町、そして大手町(日本経団連)の税制専門家の常識となっている。財政事情を考えれば大幅な減税は難しい。社会保障費をまかなう名目で消費税増税を求めてから、はじめて主要税目である法人税や所得税にようやく手が付くというのだ。
 悠長とは言えまいか。刻々と競争は進んでいる。企業誘致を競うアジアの近隣国の法人税率は二〇%台が当たり前。欧州諸国も日本並みの四〇%近い法人実効税率を三〇%以下にまで下げている。日本では「消費税増税の代わりに企業を楽にするのか」という批判に政治が尻込みする。
 税制は旧来構造を変えて経済に活力を与える役割を担っている。所得税、法人税、消費税の基幹税制をきちんと見渡す税制改革が重要なのに、政治は短期的な思惑に振り回されるばかり。三つの基幹税は一九九九年度以来、税率構造を含めた再設計をしていない。
 福田康夫首相の出番は最後まで来なかった。税制改正は自民党税制調査会、財務・総務両省という特定集団の手に逆戻りした感がある。
 衆院選での政権交代を狙う民主党も展望は描いていない。地方向けの財源を転用し、歳出削減の根拠も乏しい試算をもとに「年金は守り、増税はしない」の一点張りだ。
 不完全燃焼の先送りリスト。これがいまの日本の「改革力」なのだろうか。来年の通常国会では揮発油税の暫定税率の維持や租税特別措置を巡り、与野党が神経戦を繰り広げるだろう。政治のドラマにはなるが、経済や財政の明日を考えれば、やるせなさが残る。
 近づくと消える蜃気楼(しんきろう)のように、抜本税制改革の先送りが続く。もう旧態依然の税制を抱えて時間を空費する余裕はない。

:2007:12/14/10:19  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(10)「うんと早く地雷探せる」

紛争後の平和構築に気を吐いている日本人は少なくない。

 その1人が東北大学東北アジア研究センターの佐藤源之教授(49)だ。彼が開発した地雷検知器はこれまでよりぐんと早く、確実に地雷を発見することができる。しかも使いやすい。試用段階だが、世界から早く実用化してほしいとの要望が殺到している。

 地中探査技術の専門家である佐藤教授が、地雷除去に取り組む契機になったのは2002年、東京で開催されたアフガニスタン復興支援会議だった。それを伝えるテレビは、残存する地雷で多くの犠牲者が出ていることを紹介した。佐藤教授はその姿にこう決意した。

 「日本の先端産業技術を地雷除去を通じた平和構築になんとしても生かしたい」

 地雷や不発弾の除去には大体、金属探知機が多用されている。だが、金属に反応して音を出すだけの装置では、10円硬貨や空薬莢(やっきょう)などの金属片と地雷の区別がつかない。「1000回反応があっても、本物の地雷は1個ぐらいしかない」(佐藤教授)のに、そのつど土を掘って確かめねばならず、きわめて効率が悪い。

 レーダー利用で地下水脈を探査してきた佐藤教授が思い付いたのは、レーダー波の波長と信号処理を工夫し、対象物を3次元画像にする方法だった。

 カギは最小限の研修で操作できる簡便性や、市販のパソコンで動くソフト開発であった。地雷除去に従事する現地の人々は決して技術の専門家ではないからである。

 研究室スタッフの協力で完成した地雷検知器はエイリス(ALIS、先進型地雷イメージ化システム)と名づけられた。

 今年10月、16年前の内戦の傷跡が今も残るクロアチア国内のベンコバツ市で、エイリスの実証試験が行われた。荒れ地に実物のプラスチック地雷を埋めて、検知性能を確かめる。クロアチア政府の招請で、佐藤教授のチームが現地職員らに指導して実験を重ねた。

 1・2メートルほどの掃除機に似たセンサーの重さは約1・5キロ。クロアチア人の男性職員ひとりで楽に操作できる。「ピーポー」と金属反応音が出たあたりをもう一度、ゆっくりとスキャンすると、「あったぞ」。小型パソコンのモニターに赤みをおびた丸い地雷の姿がくっきりと描かれた。

 レーダーによるスキャン作業に2分間。モニターに画像が描かれるまでの時間は15秒だ。

 「これなら、慣れればうんと早く地雷を探せる」と、クロアチア人職員たちも驚くほどの性能だった。

 金属探知機と地中レーダーを組み合わせた二重検知方式を開発したのは他に米、英2カ国だけ。だが、いずれも画像化技術はない。音源で知らせるため、検知効率の差は圧倒的だ。

 外務省などの支援で04年からアフガニスタン、エジプト、カンボジアで実証試験を重ねるたびに実用化を求める声が相次ぐ。クロアチアでは早ければ来年後半にも実用化の方向だ。

 世界に残存する地雷の総数は1億個といわれる。昨年1年間の地雷による死傷者は5751人だ。その7割以上は市民で、3割が子供という。

 佐藤教授は紛争地を訪ねるたびに地雷除去作業がいかに大変な労苦を伴うかを痛感する。

 一方で日本はインド洋でのテロとの戦いから脱落、平和構築への政府レベルの取り組みは手足が縛られた状況が続く。

 それだけに佐藤教授は「日本の平和構築への努力が失われたわけではないことを自分たちの行動を通じてぜひとも示していきたい」と決意を新たにしている。

                   ◇

 ■「自分の技術を役立たせたい」

 「専門の医療技術を人助けに生かせないか」。東大勤務の外科医の中川崇さん(32)がイラクのテロ被害者への医療支援を思い立ったのは今年春だった。

 友人の外科医から「国境なき医師団」(MSF)の存在を知り、東京・高田馬場の日本事務局を訪ねた。

 混乱が続くイラクでは、人命を救うはずの医師や看護師はもちろん、病院までテロに狙われ、これまで少なくとも2000人の医師が殺された。医療関係者の国外流出も相次ぎ、国内で満足な治療は望めない。

 MSFは2006年からイラク支援を再開、隣国ヨルダンの首都アンマンを拠点に、イラク人のテロ被害者を搬送して医療援助を行っている。中川さんは5月から1カ月間、アンマン市内の病院に派遣され、次々に送られてくる患者22人の治療にあたった。

 「患者の多くはX線写真を撮ると体中に白い斑点(爆弾の破片やがれきなど)が散っていた。日本では見たこともない強烈な写真だった」と中川さん。隣国で起きている惨状に衝撃を受けた。

 爆弾で右あごの骨がふっとび、顔の構造が崩れた女児は話もできず、食事もできない。右目を失った少女。上半身やけどで皮膚がひきつり、両腕が上がらなくなった母親。右足の下半分の傷口がパックリと割れたままの男性-。手術台で向き合う患者たちの今後を思うと、心が痛んだ。

 中川さんは徳島県の出身。東大医学部を卒業、形成外科医として複数の病院で経験を積んだ。

 「外科医は一種の職人。自分の技術が人の役に立つのが一番うれしい」。専門性の高い外傷治療に携わってきた中川さんにとって、平和な日本とは違うイラクの重傷患者を助けることのやりがいを語った。

 MSFは武力紛争や貧困などで苦しむ人々を救うために1971年に創設され、日本での活動開始は92年から。国内の登録者(物資調達など非医療従事者を含む)は現在約200人。03年から、それまでフランスで行っていた派遣候補者の面接を国内で行うよう改め、派遣者数が約5倍に急増した。06年には50人が派遣されている。

 「現地の仕事は地味で泥臭い。ヒーローになれるような仕事じゃない」

 そう話すのは、武力衝突が続くスーダンなどで02年から3度にわたって活動した福岡市の内科勤務医、岡本文宏さん(45)だ。

 手術が多い外科医と違い、内科医は診療所建設のための人集めや薬の手配など医療以外の仕事も多い。それでも「子供の命を救うことなどを通じて、自分の力が役に立つのを実感できた。医療の原点に近づけた感じがする」と話す。

 今年4~10月にウガンダで物資調達に携わった埼玉県のコンピューターエンジニア、笠原修さん(29)は「困っている人を助けることは非常にやりがいがある。現地では雑用も多いが、私はよく飲み会で幹事を任されるキャラなので、苦にならなかった」と屈託なく笑う。

 外科医の中川さんはアンマンでの1カ月をこう回想する。「テロ被害者の総数からみれば、私が救えたのは一部にすぎない。でも、帰国間際に患者たちから『ナカガワ、今度いつ来てくれるか』と聞かれたのが心に残っている。機会があればまた行きたい」(高畑昭男、鵜野光博)

:2007:12/13/09:13  ++  中小含む全産業、マイナスの見方、原燃料や人件費の高騰響く。

日本経済新聞社のボーナス調査では主要企業の伸び率が〇・七一%増になったが、「中小企業を含めた全産業の今年冬ボーナスは前年比マイナスになる」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎シニアエコノミスト)との見方が広がっている。原燃料費上昇分の価格転嫁が進んでいないうえに人件費の高騰も響いており、中小企業の支払い余力は低下している。
 昨年冬のボーナスは日経調査が一・八二%増だったのに対し、従業員五人以上の全事業所の伸び率(厚生労働省調べ)は〇・一%増にとどまった。今夏のボーナスではすでに、全事業所ベースの伸び率が一・一%減とマイナスに転じている。
 中小企業の間では景気回復を受け新卒・中途採用を拡大したものの、原燃料費高騰などで業績改善に急ブレーキがかかる例が増えている。
 人件費など固定費増に苦しむ中小企業にとっては厳しい状況が続きそうだ。

:2007:12/13/09:06  ++  今冬ボーナス5年連続増、伸びは0.7%に鈍化、82万9865円、本社最終集計。

日本経済新聞社が十二日まとめた二〇〇七年冬のボーナス最終集計(十一月三十日現在、集計企業七百三十五社)によると、一人あたりの税込み支給額(加重平均)は前年比〇・七一%増の八十二万九千八百六十五円になった。過去最高を更新したが、伸び率は前年冬の一・八二%に比べて大幅に鈍化。受取額が多かった団塊世代の大量退職に加え、原燃料高による素材企業などの業績伸び悩みが響き、全体の四割弱の企業が前年比マイナスとなった。(関連記事13面、詳細を13日付日経産業新聞に)
 支給額は五年連続で前年を上回った。企業別では国内外で家庭用ゲーム機が好調な任天堂が百四十七万円と四年連続でトップ。原燃料高の影響を受ける鉄鋼、紙・パルプ、食品などで支給額が減る企業が多い。
 トヨタ自動車の今年冬の支給額は昨年冬と同じ「三・二カ月分」だが、総支給額は〇・八六%減。団塊退職と新卒採用増で従業員平均年齢が低下した。

:2007:12/13/09:00  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(9)「失敗しても格好いい」

男は1枚の写真を凝視した。ユニホームを着た少年が写っている。スペインから届いたメール。「何か、ひと回り大きくなったみたいだ」。そして続けた。「10歳でプロ契約。不安だったけど、この姿を見ていると行かせてよかった…」

 少年は宮川類。山梨県南アルプス市に住む小学4年生は、6月下旬にスペインの名門サッカーチーム、アトレチコ・マドリードのセレクションに参加した。欧州を中心に集まった約250人の中から素質が認められ、“プロ”として異例の5年契約を結んだ。

 その間の滞在費、食費、授業料などすべてクラブが負担する。12歳以下のカテゴリーでチーム構成は約40人。日本人は類だけ。“金の卵”のためのエリート養成所、そして海外移籍だった。男は山梨に残った類の父、学さん(42)である。

 スペインは世界のトップクラスの選手が集結するサッカー王国だ。日本ではレアル・マドリードが有名で、かつてジダン、ベッカムらが在籍していた。類を支援するスペイン留学館、マドリード事務所代表の堀田正人氏は、中田英寿の代理人でもあったから事情をよく知る。

 「サッカーがうまいやつってのは、世界にゴマンといる。類だって日本なら“お山の大将”さ。けど、それでは伸びなくなっちゃう。危機感がないからソコで終わる。こっちはサッカーに命を懸けている。生き残るために必死だね」

 世界標準という言葉がある。ボーダーレスの時代、「世界と戦う」ことは日常化している。陸続きの欧州では、夢を求めて国境を越える挑戦は日常だ。

 そこに高度な競争が生まれ、レベルが上がる。四方を海に囲まれる日本は、いまだに孤立することが多い。

 類の世界。早いうちから“世界に触れる”ことで世界標準の人間育成を目指す大きな意味を持つ。これまでになかった“移籍”である。

 マドリード市郊外の新興住宅地の中にある練習場。類は往復2時間をかけて日本人学校に通いながらのサッカー漬け生活だ。「みんなうまい。こんな世界があったのかと。僕も、もっともっとうまくならなきゃ」。10歳の人生観さえ変えた。12歳以下といえ、ボールを奪うボディーコンタクトは激しく、そして類の体はアザだらけ…。

 「コラッ笑うな!」。堀田氏が怒鳴った。日本人の優しさか、ボールを奪われたとき、テレ笑いした。「甘っちょろいよ。他のやつは目つきも鋭く、エゴが強い。類は目立つ意識も薄いよ。けどね、3カ月でずいぶん、たくましくなった」

 言葉の壁がある。子供の脳は吸収が早い。日常会話なら問題なくこなしている。14チームで構成されるリーグ、毎週末、試合がある。40人から16人選抜されるが、類はレギュラーに成長、先月末には1試合、4点を奪った。入場料は5ユーロ(約820円)、ちゃんと“プロ”をみせている。先日、類はいまの心境を俳句でこう表現した。

 赤とんぼ 飛んで幸せ おれみたい

 頑張れば 失敗しても 格好いい

 「サッカーをするのに最高な環境。5年後には絶対、立派な選手になります」。類の目が輝いた。スペインでは親が子の学校への送迎を義務付けている。だから母、あゆみさん(40)も同行した。「この言葉だけでも、ここに来たかいがありました」。旅に出す不安は杞憂(きゆう)に終わった。

                   ◇

 ■世界で鍛える「幼き才能」

 1年前の昨年12月、類は横浜で行われたFIFA世界クラブ選手権を見た。ロナウジーニョ(バルセロナ)の生のプレーに圧倒された。

 「絶対にスペインに行く!」。素質に加え強い意志に加え環境…。類の叔父、元清水FC・高田修氏は、知人のスペイン留学館代表の原田康行氏に相談を持ちかけた。原田氏は島根県松江市に本拠を置き、海外に通用する人間育成の手助けをしている。

 「日本の教育行政は、帰国子女の対応など国際環境の中で遅れている。世界の学校とのネットワークは日本以外では常識です。素質ある子を留学させるにも、類の場合は何とかなったが、現地邦人学校の問題が壁になったりする。でも、そんな島国根性を打ち破らなければ、日本はますます世界に遅れます」

 ある意味、日本の既成教育への挑戦である。

 「お金を出せば留学はできますよ。でも類はスカウトされた。そんな人間を発掘するのもわれわれの役目…」。原田氏はサッカー以外でも、あらゆるジャンルでのボーダーレス対応を訴えている。

 小さな井戸の中では、その容積は結局、小さなまま。たとえば、今季、野球のメジャーで14選手が活躍した。しかし、ドミニカ共和国98人、ベネズエラ51人、プエルトリコ28人など米国外で野球が盛んな国の中では少ない。

 四半世紀前、三浦知良はブラジルに単身で渡り、海外経験を糧にJリーグ発足時の日本サッカー界を隆起させた。高原直泰(フランクフルト)、稲本潤一(同)らも若い世代での国際舞台で世界へ飛び出したが、いま完全レギュラーは中村俊輔(セルティック)くらい…。盛んな割には“壁”がある。

 だから組織も憂う。Jリーグでは各クラブの15歳以下世代の選抜チームで海外遠征を始めた。昨年はブラジルだけだったが、今年はドイツも加えた。

 鬼武健二チェアマンは、「小さいときから海外に飛び出し、違うサッカーや文化を感じれば、外国への抵抗感やひるむ気持ちがなくなる。それが将来につながる」と話した。

 さらに今年から『日中韓の交流』も始めた。17歳以下、14歳以下、12歳以下の3つの年代で大会を組織し、各国がそれぞれ1つの年代の大会を運営、国際経験をより多くの選手に積ませる試みである。「今後はさらに予算をかけて若い子が国境を越えていく環境を整えたい」。チェアマンの国際化プランである。

 選手育成に定評があるメキシコ、アルゼンチンなどは、「年に50回以上遠征するチームもある」(Jリーグ・中西大介マネジャー)だけに、極東の島国のハンディはまだまだ大きいが、危機感を肌で感じ、前に進んだ意義は大きい。

 「身震いします…」と静岡の加藤学園暁秀・内田将志(18)が言った。この夏のスペイン留学館経由でセレクションに参加、アトレチコとプロ契約した。来年早々の渡欧。日本の高卒ルーキーで、Jリーグを経ないで海外プロ契約するのは異例である。

 いま世界で活躍するトップ選手は、幼いころから世界標準の中で鍛えられた。

 今月3日付産経新聞に寄稿した石原慎太郎氏の「日本よ」の中にこんな引用があった。

 「幼い頃肉体的な苦痛を味わったことのない者は長じて不幸な人間にしかならない」。動物行動学者コンラート・ローレンツの言葉であるが、類もしかり。“向上ある苦痛”を求めて飛び出そうとしている日本人も、いる。()

:2007:12/13/08:57  ++  【正論】帝京大学教授・志方俊之 防衛省の全てを見直す好機

■守屋問題では「政治不在」の責任も

 ≪3年間で防衛大臣が6人≫

 テロ特措法の期限切れで酷暑のインド洋で6年近く給油活動に当たった海上自衛隊が帰国を命ぜられた。わが国がおろそかにしてきた防衛政策が今、その欠陥である曖昧(あいまい)さを曝(さら)け出したのである。

 政治的に微妙で外交的に急ぐ必要があったから当初、特措法で切り抜けたのは分かる。しかし、それから何年たっても、しっかりとした恒久法を作らず、最近3年間で6人の防衛大臣(長官)が代わるという状況が続いたのだ。政局が動いて内閣が代わっても外務大臣と防衛大臣だけは頻繁に代えてはならないのだ。

 二言目には「文民統制」と言うが、政治不在のままでは、防衛官僚にその真意を明確に自覚させることは難しい。

 政軍関係について外国では政治優先(Political Leadership)という表現を使っている。これは政治が軍事に優先するということで、わが国ではなぜかこれを文民統制(Civilian Control)と呼んでいるから、その意味を誤解する者が出てくる。

 ≪文民統制を誤解する職員≫

 そうなると、防衛官僚の中に、文民統制とは背広を着た官僚が制服を着た自衛官を統制することだと思い込む者が出てくる。しばしば制服組と内局官僚間の確執を問題視する向きもあるが、現実には、マスコミが興味本位に取りざたするほどではない。

 制服組はこれを仕事を進める上での「秩序」と受け止め極めて冷静に対応している。

 制服自衛官には激しい異動があり、しかも中央を離れることが多い。第一線部隊での教育訓練、災害派遣、海外での活動に忙しく、政治に対して細部まで説明するほどの余裕はない。

 したがって、背広組の防衛官僚が政治との接点に立ち、予算を取り、装備を取得し、施設を整備し、これらを維持・管理するのが当然なのである。

 守屋問題を契機に3日始動した「防衛省改革会議」は、文民統制の徹底、防衛装備品調達の透明化、情報保全体制の厳格化を3本柱として、基本に立ち返り抜本的な改革を行う、としている。現内閣は官房長、外務・防衛両大臣を実務型の人材で固めており、防衛省も人事を刷新したばかりだから、改革のタイミングはこの機を逃してはならない。

 徹底的に膿(うみ)を出しきらなければ、当分そのチャンスは巡ってこない、との意気込みで取り組んでもらいたい。

 防衛官僚と制服自衛官との関係であるが、トップレベルの調整の場である防衛参事官会議の制度を見直すとき、制服組と文民官僚との役職分担のサンドイッチ構造を防衛省の各局レベルまで拡大して両者の接触面積を大きくすることが必要だ。

 ≪幹部候補生に現場体験を≫

 国家公務員の上級試験に合格すると、現場を知らないまま出世の階段をのぼる。その弊害をなくすため、まず幹部候補生学校に3カ月ないし半年程度の体験課程を新設し、両者の相互理解を深めるシステムを構築することを考えてもよい。

 さらに、地方協力本部だけでなく、第一線部隊の何らかの職場、例えば業務隊などを若い文民官僚にも開放し、若いころから制服組と接触させることが重要だろう。防衛装備品の調達見直しでは、現在商社に任せている仕事(情報収集と分析、製造者との折衝、資料整備、アフターケアなど)を省内部に持つとなれば、多くの専門的識見を持つ人材を省内に抱え込む必要がある。

 総定員を一定として組織を組み替えると、結局その「しわ寄せ」は第一線部隊に集まる。そうなれば、ただでさえ低い部隊の充足率はさらに低下して訓練することさえ難しくなる。

 また、若年定年制を採っている自衛隊は、いま識見を必要とする分野に限って定年後も雇用を続けるケースがあるが、その数は限られている。

 特定の装備に関する識見しかない自衛官は、民間では全く「つぶし」が利かないから、定年後に装備を扱う商社勤めをすることは本人にも商社にも一石二鳥である。このほか、地方自治体における国民保護訓練の助言者としても活躍の場は広がっている。

 要は癒着体質は監視し、かつ官民協働の実をあげる知恵を出さなければならない。

 これを「天下り」と指弾するのは簡単だ。だが、若年定年制をやめれば自衛隊員の超高齢化が進む。もちろん自衛隊といえども公務員ではあるが、第一線部隊の充足を減らすことは何としても避けたい。改革会議が生み出す国家としての知恵に期待する。(しかた としゆき)

:2007:12/13/08:50  ++  ニコニコ動画に学ぶ、人気サービス開発の極意

ちょうどいまから1年前の2006年12月12日、1つのネットサービスがひっそりと公開された。そのサービスは11カ月後、会員数が400万人を突破。2007年10月時点で1日の平均訪問者数は143万人、ユーザーの平均滞在時間は1日約1時間と、圧倒的な人気を誇る。

 これはドワンゴと子会社のニワンゴが共同で運営している「ニコニコ動画」の現状だ。1日の動画再生回数は1567万回、コメント回数は320万件にものぼる。短期間でこれほどの人気を集めるサービスを開発する秘けつとは何なのか、ニコニコ動画の開発者たちに話を聞いた。

開発スピードの速さがユーザーを惹きつける

 ニコニコ動画の特徴の1つとして挙げられるのが、開発スピードの速さだ。直近では、動画を視聴し終わると動画右のコメント一覧部分に、「この動画を見た人は、こんな動画も見ています」というリコメンド機能が12月5日に実装された。プレスリリースや開発者ブログなどで公開されたものもあるが、細かい機能追加、変更も常に行われている。

ニコニコ動画の「この動画を見た人は、こんな動画も見ています」 12月5日以降、動画の視聴が終わると右側におすすめの動画が表示されるようになった(赤枠部分、枠は編集部が追加)

 そもそも、2006年12月12日の時点では、YouTube、AmebaVisionの動画上にコメントを書き込む機能しかなかった。それがYouTubeからのアクセス拒否を受けて2007年3月には動画投稿サービス「SMILEVIDEO」を1週間で構築。5月にはモバイル版を公開(当初テスト版として公開し、8月に一般開放)、7月にはアフィリエイト広告「ニコニコ市場」、10月には台湾版を開始。11月にはユーザーが書き込んだコメントが動画の動きに影響を与える「ニコスクリプト」を実装するなど、急スピードでサービスを拡張している。

 このスピード感がユーザーを惹きつけ、「ここに来れば常に面白いことがある」と思わせる一因になっている。

 では、どのようにしてこの開発体制を実現しているのだろうか。

リリース当初はあえて機能を絞る

 まず押さえておくべき点は、最初の「ニコニコ動画(仮)」の時点では「YouTube、AmebaVisionの動画上にコメントを書き込む機能しかなかった」という点だ。

 実は当初、いろいろな機能を盛り込んだほうが面白いのではないかというアイデアは、開発陣の中でもあったのだという。

ニコニコ動画のプロトタイプ第1号を作ったドワンゴ ニコニコ事業部第一セクション セクションマネージャーの中野真氏 ドワンゴ ニコニコ事業部第一セクション セクションマネージャーの中野真氏

 「単純にコメントが流れるだけじゃなく、もっといろんなエフェクトを付けたら面白いんじゃないかとか、絵が流れたら面白いんじゃないかとかいう話があったんですが、それらはあえて省いています。もっと高度なことをやれたんですが、機能はあえて厳選しました」とニコニコ動画の最初のプロトタイプを作成し、現在は企画運営に携わるドワンゴ ニコニコ事業部第一セクション セクションマネージャーの中野真氏は話す。

 機能を複雑にしなかったのは、ユーザーが何をしていいか分からなくなって使うのをやめてしまう、という事態を避けるためだ。

 「ユーザー側の行動の選択肢が増えると、『そのどれも選択しない』という選択肢まで増えてしまうんです。そうするとユーザーが逃げてしまうので、誰が見てもすぐに使い方が分かるように、できることをまず絞るということに注意しました」(ニコニコ動画の現在の基本システムを作ったドワンゴ 研究開発部 技術支援セクションの戀塚昭彦氏。なお現在戀塚氏はニコニコ動画の技術サポートを中心に手がけている)

 これは同時に、「動画の上にユーザーがコメントを載せあう」という、ニコニコ動画ならではの機能をわかりやすく伝えることにもなった。

ユーザーの使い方に合わせて進化

 サービス開始後は、ユーザーの動向を見ながら機能を追加したり、逆に使われない機能については削除したりしている。サービス開始当初からサイトデザインを担当しているデザイナー自身がその変化の早さに驚くほどだ。

 「ユーザーの使い方に合わせて動的にどんどん変えていく作り方をしていくことで、より受け入れられる形に軌道修正していくことができました」(戀塚氏)

 「数週間から1、2カ月単位、早いときには即日で、ユーザーの動きを見ながら、こういうふうにしたらユーザーが喜ぶんじゃないかとか、当社としてメリットがあるんじゃないかということをかじ取りしています」(中野氏)

 ニコニコ動画は、ユーザーが投稿したりコメントしたりしたものがサイトのキラーコンテンツになる、いわゆる「ユーザージェネレイテッドメディア(UGM)」だ。このため、ユーザーに機能を押し付けるのではなく、反応を見ながら改善を加えていく。

 「完成品を届けるということをあまり意識しないようにしています。素材を提供して、それをどう活用するのかはユーザーに委ねています」(ニワンゴ 代表取締役 兼 ドワンゴ ニコニコ事業部 部長の杉本誠司氏)

 そこには当然、開発者の想定していない使われ方も出てくる。「弾幕」と呼ばれるコメントの書き込みはその1つだ。ユーザーが動画画面を埋め尽くすようにコメントを書き込む手法のことで、楽曲のサビの部分にあわせて歌詞を書き込むといった使われ方が多い。

ニコニコ動画「【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」の弾幕 動画上をコメントが埋め尽くす「弾幕」。ニコニコ動画の「建国1周年」を記念し、12月12日午前0時過ぎには、多くの人気動画でこの弾幕が起きた

 戀塚氏は「最初の段階の設計では、コメントが集まりすぎて画面が破綻することは想定していなかった」というが、これを逆手にとって「大群衆がいるような感じを見せるためにあえてコメントを散らすなどの工夫を加えた」という。逆に、ニコニコ動画(仮)の段階ではコメントに自分の名前を書き込む欄を設けていたが、あまり使われていなかったことから廃止した。

 ここでも、サービス開始時に機能を絞り込んだことが効いたようだ。

 「機能が少ないと考えなきゃいけないことが減るんで、より深く既存の機能に対して改善の検討ができるんですね。機能が増えれば増えるほどそれは難しくなるので、初期は特に機能を少なくすることを意識していました」(戀塚氏)

優先度は「簡単にできて効果の高いもの」が上

 ニコニコ動画の開発エンジニアは10名ほど。それぞれが新機能のアイデアを持ち寄り、優先順位をつけて機能を実装していく。

 「やりたいことはたくさんあるんですが、やる順番にはすごく気を使っています」(中野氏)

 優先するのは、開発期間が短く、サービスへの影響力が大きく、ユーザーに使ってもらえるような面白いもの。「すごく面白いと思っても開発に時間がかかるものは、いまのニコニコ動画のスピード感に合わない」(中野氏)という理由で見送っている。

 このスピード感自体は、ニコニコ動画の開発初期から変わっていないようだ。中野氏は最初のプロトタイプを作ったとき、「期待されている感覚が、『明日動いているものが見られるよね』という感じだった」と話す。また、戀塚氏が現在のニコニコ動画の原型を作ったときにも、「来週には動いてるよね」と言われて、実際には3営業日でシステムを完成させたというエピソードを明かしている。その後も社内のリクエストに合わせて機能を追加、改善し、約1カ月でサービス開始にこぎつけた。

ニコニコ動画の原型を作り上げたドワンゴ 研究開発部 技術支援セクションの戀塚昭彦氏 ドワンゴ 研究開発部 技術支援セクションの戀塚昭彦氏

 「すぐに結果が見えないものは、リクエストした時点では面白そうだと思ってもその後状況が変わっていることもあるし、気が変わっていることもある。時間をかけて大変な作業をして、やっとできたと思ったときにはもう使えない物になっているということがあるので、すぐに結果が分かるものをとにかく選んでどんどん実装していきました。例えば、見せ方をちょっと工夫すると一気に変わるというようなものは、作業に対してコストパフォーマンスがいい。逆に、裏方の管理系システムは、すごい手間がかかるのに見た目ではほとんど分からない。そういうのは、やらなくて済むならやらない、というように、できるだけ、コストパフォーマンスのいいやり方を選びました」(戀塚氏)

開発者こそがユーザー

 まずはシンプルなサービスを提供し、ユーザーに受け入れられたところで動向を見ながら機能を改善、追加していく。それも簡単にできて、ユーザーが楽しんでもらえるものを優先してどんどん提供していくことで、ユーザーを飽きさせずに惹きつけ続ける。

 その底辺にあるのは、開発者自身がニコニコ動画の一番のユーザーであり、ファンであるという事実だ。ドワンゴ 第二開発部 ポータル機能開発セクション セクションマネージャーの鈴木慎之介氏が「『ニコニコな人』が社内で集まってニコニコ動画を作っている」と話すように、自分たちがユーザーとして楽しめるものを作りたい、という気持ちを開発者が共通して持っている。

 「自分が面白い、って思うものを作りたい。ドワンゴはもともとネットワークゲームの開発キット(SDK)などを提供するゲーム会社だったので、面白いものを作りたいというのは第一にあります」(中野氏)

 「フィードバックサイクルと言いますが、何か要求が発生してからそれを作り手に伝えて、実際に作業するまでの経路が短ければ短いほど的確に伝わるし、結果も早く得られます。その最大の形が、自分自身がユーザーであり作り手であること。自分のためのソフトをつくるのが最高のものだということになります。ですから、(自分の開発したサービスを)自分自身も使うというのはかなり重要なところですね」(戀塚氏)

:2007:12/12/10:14  ++  ダブルクリック、動画広告配信サービス強化。

インターネット広告のダブルクリックは動画広告の配信サービスを強化する。同じ料金で配信可能なファイルの大きさを従来の四倍に拡大。広告を出稿する際の手間も軽減する。ヤフーがサイトの広告表示枠を広げ動画を流しやすくするなど、ネット広告では表現力の高い動画の普及が加速しており、対応を急ぐ。
 主力の広告配信サービス「DART」の動画配信機能を十二日に拡充する。新機能は十メガ(一メガは百万)バイトの動画ファイルまで配信可能で、これまで最大一分程度だった放映時間が四―五分に拡大。広告以外のショートムービーなどの配信の需要も見込む。

:2007:12/12/10:14  ++  内部告発もう隠せない(下)血の通わない社内通報制―実効に不信、窓口素通り。

高速道路橋の工事に使う型枠の強度を約四十年にわたり偽装していた栗本鉄工所。実は二重に社内の不正を吸い上げる仕組みがあった。水道管カルテルの摘発を機に発足したコンプライアンス(法令順守)の社内組織に二〇〇四年、通報の受付窓口を設置。これと同時に、通報者の抵抗感を薄めるよう外部企業に委託する形でホットラインも敷いていた。
 だが、発覚のきっかけは十一月六日、あるマスコミによる偽装疑惑の取材申し入れだった。検査方法など「OBか社員しか分からない」(同社)内容に、急きょ始めた調査の結果は「クロ」と判明。「通報で明らかになる方が良かった。制度への信頼が薄かったのかもしれない」と斉藤弘幸法務部長は悔しがる。
 消費期限切れの原料を使用していた不二家も発覚当時の今年一月、内部通報の窓口を設けていたが、いきなり社外に不正情報がもたらされた。社内調査で問題を把握していたものの、「公表すべきだとの認識がなかった」(広報室)。一気に看板は地に落ちた。
 政府は通報者が不当な扱いを受けないよう昨年四月に「公益通報者保護法」を施行、産業界に通報制度の整備・利用を促した。内閣府が一―二月に実施した調査(三千社強)では、窓口を設置したのは上場企業の約八割に対し、非上場は約三割。中堅・中小企業の多くは制度そのものもない。
 だが、より深刻なのは制度の形骸化だ。調査では過去一年間の通報「ゼロ」が全体の半分近くに達した。保護法は違反しても罰則はない。「保護されるのか社員の不信感は根強い」「通報への抵抗感がある」――。調査結果からは、制度を運用する立場の社員でさえ実効性を疑う社内の空気が見て取れる。
 それは社内を素通りしてマスコミや役所に駆け込む告発者たちの実態と裏腹だ。社外にはんらんする言いたい放題の匿名情報にはいきおい、誹謗(ひぼう)やウソも多く混在することになる。
 NEC、三菱地所など約五百社の通報窓口を代行するインテグレックス(東京・渋谷)は「匿名でも連絡先は教えてもらう」などの条件を設定。通報をふるいにかけ、その後の企業の対応も本人に報告する。一方、企業側には通報者の名前を明かさない「ファイアウオール」を徹底。「誰なのか教えてほしいと迫る大手企業もあるが、そうした企業とは契約しない」と西森仁志・最高経営責任者(CEO)は言う。
 「社長の接待費は不正支出ではないか」。電子部品大手の太陽誘電は上層部への社内通報を機に昨年二月、小林富次社長(当時)が辞任に追い込まれた。自浄作用が機能したポイントは、監査役会が第三者の立場で調査に乗り出し、不正を確認できたことだった。
 自ら不正をあぶり出せなかった企業は教訓を糧に再出発の道程に立つ。「マイナス情報は宝物」。三菱自動車はリコール(無償回収・修理)隠しを機に通報の仕組みや保護ルールを明確にした。
 「法令違反の起きそうな業務は」「違反防止の策は」。牛肉偽装の反省からグループ各社・職場ごとにコンプライアンス組織の神経を張り巡らせた日本ハム。パート、アルバイトを含めて全従業員向けに社長直通メールを設けた不二家。
 不正があれば、誰もが社内でその事実を言える。血の通った通報制度はもちろん、日ごろから風通しの良い組織・文化をどうつくるか。一社一社が問われている。
 ▼公益通報者保護法 企業の法令違反を通報する社員や派遣社員、取引先らを「公益通報者」と定義し、解雇や降格、減給といった不利益な扱いを禁止する。通報先は主に社内を想定しているが、報道機関や役所など社外の場合、裏付け資料などが必要。いずれも中傷目的や金品を要求する通報は対象外となる。

:2007:12/12/10:02  ++  半導体メーカー、設備投資が収益圧迫、新方式、業界地図に影響も。

半導体産業は回路線幅が微細化される最先端技術に移行するごとに設備投資が増大しており、半導体メーカー各社の収益を圧迫している。次世代の三十二ナノ(ナノは十億分の一)メートル以降の技術では他社への生産委託などの形で自社生産を断念するメーカーが増えるとの見方も強い。大日本印刷などが開発する新しい生産方式が実用化できれば、こうした半導体業界の競争の構図ががらりと塗り替わる可能性もある。
 世界半導体市場統計(WSTS)の予測によると半導体の世界市場は二〇〇六年から〇九年まで年平均で六・三%の成長が続く。にもかかわらず国内の半導体メーカーの多くは低収益に苦しんでいる。背景には技術の世代交代ごとに設備投資額が大きく膨らんでいることがあり、一定以上の規模を確保できないメーカーは生産を維持するのが難しくなるとの見方が強まっている。
 すでにソニーがゲーム機用高性能半導体「セル」の生産設備を東芝に売却することを決断。NECエレクトロニクスも先端品の一部で外部への生産委託を検討し始めている。二〇一〇年ごろから市場に投入される三十二ナノのシステムLSIでは自社生産を維持できるメーカーは限られてくる可能性が強い。この世代の製造技術は現在の露光を応用し、二回に分けて回路を形成する方法が見込まれているほか波長の短い極紫外線を使う研究も進んでいるが、コストが膨らむのは確実。ナノインプリントはこれに代わる第三の技術と位置づけられてきた。採用が可能になれば、設備投資費が縮小し、採算も改善できる可能性が出てくる。

:2007:12/12/09:59  ++  大日本印刷、半導体低コスト新製法、次世代32ナノ、装置費5分の1。

大日本印刷は新しい半導体生産技術の実用化に乗り出す。従来の露光技術ではなく石英ガラスでつくった型をハンコのように使う「型押し」方式で回路を描く。中核となる型の生産技術を二〇〇八年度中に確立して半導体メーカーへの試験出荷を始める。半導体工場の投資の多くを占める現在の露光装置に比べ装置費用を五分の一程度に抑えられる。採用されれば最先端半導体を低コストで生産できるようになり、IT(情報技術)製品の高性能化が加速する。
 半導体はシリコンウエハー上に露光装置を使って写真のように回路パターンを描いたうえで、そのパターンに沿って回路を掘り、洗浄や切断などの工程を経てICチップに仕上げる。そのICチップに配線を施してパッケージに組み込む。大日本印刷が実用化をめざすのは「ナノインプリント」と呼ばれる新技術で、回路微細化のカギを握る露光の工程を置き換える。
 同社はこのナノインプリントに使う石英ガラスの型を開発、回路線幅が三十二ナノ(ナノは十億分の一)メートルの次世代半導体の生産用として初めて商品化する。上福岡工場(埼玉県ふじみ野市)で〇八年度中に三十二ナノの型の生産技術を確立。半導体メーカーや関連材料メーカーに試験用として出荷する。実際の生産ラインでの使用が可能かどうかはユーザーとなる半導体メーカーが最終的に判断。採用が決まれば大日本印刷は〇九年度にも同工場で量産する。
 現在、半導体生産に使っている露光装置は最新のもので一台四十億円以上。ナノインプリントではレンズが不要になるため、装置は一台十億円未満で済む見込みだ。
 半導体工場建設に必要な投資額は世代が替わるごとに膨らんでいる。なかでも多額のコストがかかるのが露光装置。月二万枚のウエハー加工能力を持つ生産ラインを一つ新設するために、現行の回路線幅五十ナノ台の場合で一台二十億―四十億円の露光装置が二十台程度必要とされる。
 ▼ナノインプリント 半導体の基板材料であるシリコンウエハーに石英ガラスの型を押しつけて回路パターンを描く製法。現在の半導体製造方法である露光方式では回路の微細化を進めると回路パターンがぼやける欠点があり、技術面での課題になっている。ナノインプリントでは型に彫り込んだ回路をそのままシリコンウエハーに転写できるため、正確な回路パターンを描ける。
【図・写真】大日本印刷が開発中のナノインプリント用の型(溝の部分が回路パターンになる)

:2007:12/12/09:49  ++  第1部危うき奔流(4)墓場までは持って行けない(日本人とおカネ)

「こんなことなら、遺産など無ければよかった」。東京都港区の滝川真二郎(仮名、45)は困り果てた。今年九十九歳で亡くなった祖母の遺産を巡り、普段は行き来のない親せきが「取り分」を請求。「介護は任せきりだったのに」。分割してほしいと言われても遺産の多くは祖母と同居していた滝川たちの自宅。都心の土地の評価額は数億円に達するが、「それに見合う現金があるわけではない」。
 二〇〇六年の死亡者数は約百八万人。野村総合研究所によると〇六年の不動産を含めた相続財産は総額約七十五兆円だ。二〇年には百九兆円にふくれあがり、「大相続時代」が幕を開ける。このお金をどう回すのか。個人の問題であるとともに、日本経済の活力を左右する問題だ。
■「争族」に悩む
 「ギーッ」。東京・丸の内の三菱UFJ信託銀行の一室。厚さ十センチ超の鉄の扉の奥に金庫がある。ここで保管されているのは、個人の遺言信託約一万四千通。「自宅を確実に妻に残したい」「地元の町に財産を寄付したい」――。信託銀行に遺言書を預け遺産分割などを依頼する。信託業界の遺言信託の取扱件数は昨年度末に五万七千件と、十年前の三倍弱に増えた。
 「家」が絶対視されたころ、長子相続は田畑を細かく分ける「田分け」を防ぐ知恵だった。愚か者を意味する「たわけ」はそこから生まれたとの説もある。かつての常識は崩れ、“争族”も後を絶たない。
 神奈川の男性(65)は、かつて受け取るときにもめた経験から「不動産より換金しやすい株や投資信託で資産を持つ」という。長期保有される事が多い高齢者の資産。将来への不安や死後の争いで富が凍り付けば、結果として経済の活性化はますます遠ざかる。
 「手続きにこんなに時間がかかるとは。もっと気軽に寄付できる仕組みがあれば」。一代で上場企業を築いた北陸地方の井戸晴雄(仮名、65)はため息をつく。個人資産で奨学金などを賄う基金を設立する決意をした。文部科学省、財務省、厚生労働省……。税制上の優遇措置を得る認可や調整に一年以上かかった。
 五億円で設立した基金も、運用の規制が厳しいうえ低金利が続く。自己資金二千五百万円を毎年補充することにした。次世代に貢献する残し方をしたいが、「高齢者がお金を生かしにくい世の中だ」と痛感する。
■実感なき大国
 高級ホテル予約サイト、一休社長の森正文(45)の出張は意外と地味だ。格安航空券を使い、電車を乗り継ぐ。森は九年前に設立した会社を上場させ、今も株式の半数を持つ。創業時に資金調達で苦労した経験からも目立たぬ暮らしを意識する。「使い切れない。子どもに全部残すこともない」。自分にふさわしいお金の使い方は何か。私財を寄付した明治人の伝記を読みながら模索する。
 日本は実は米国に次ぐお金持ち大国だ。米メリルリンチなどの調べでは、資産(居住用不動産をのぞく)百万ドル(約一億一千万円)以上を持つ富裕層は日本で百四十七万人。計算上、百人に一人以上が「億万長者」だ。世界の富裕層の一五%を占める。
 だが富裕層は嫉妬(しっと)の目を意識し、どこか窮屈に暮らす。金持ち大国の実感は乏しい。富裕層に詳しい同志社大学教授の橘木俊詔は「日本では“清貧”を重んじた徒然草の昔から金持ちへの情念的な抵抗感がある」という。
 富裕層のお金を生かせないため「社会にお金を回すダイナミズムがない」。半導体ベンチャーのザインエレクトロニクス社長、飯塚哲哉(60)は言う。かつて働いた米シリコンバレーでは「起業家が資産家の支援を受けて成功すると、次は自身が資産家となって事業を起こす」。お金が社会を巡る仕組みがある。
 戦後「勤勉、貯蓄」で積み上げた日本の富。「どう殖やすか」のあとに問われる「どう残すか」そして「どう生かすか」。富の流れを後押しするモデルを築く時だ。(敬称略)

:2007:12/12/09:03  ++  【正論】再論・沖縄集団自決 現代史家・秦郁彦 (

■「大江裁判」の本人尋問を傍聴して

 ≪2年超の裁判に初出廷≫

 秋晴れの好日となった11月9日、大阪地裁の「沖縄集団自決訴訟」(出版停止等請求)を傍聴してきた。

 午前中は原告で座間味島の守備隊長だった梅沢裕元少佐(90歳)、午後は渡嘉敷島の守備隊長、赤松嘉次元少佐の遺族と、被告の作家、大江健三郎氏が出廷して証言した。別名を大江裁判と呼ばれているように、この日のハイライトは2年を超える裁判で初めて法廷に姿を見せた大江氏への尋問シーンだった。

 1945年3月の米軍侵攻に際し、沖縄本島沖の周囲十数キロメートルしかない2つの離島で起きた住民400余人の集団自決が守備隊長の命令(軍命)によるのか、米軍の無差別砲撃を浴びパニック状態となった住民が自死を選んだのかが裁判の主要な争点となっている。

 大江氏は著書『沖縄ノート』(初版は1970年、現在は第50刷)で、沖縄タイムス社が1950年に刊行した『鉄の暴風』などに依拠して、守備隊長が出した軍命によって集団自決が起きたと断じ、「イスラエル法廷におけるアイヒマンのように、沖縄法廷で裁かれてしかるべき」と論じた。アイヒマンとは、アウシュビッツで200万人のユダヤ人を殺害した責任者として絞首刑に処せられた男だが、守備隊長を「屠殺(とさつ)者」と呼んだ著者は同様の刑を望んだのであろう。

 しかし渡嘉敷で現地調査した結果をふまえて書かれた曽野綾子『ある神話の背景』(1973年)で、自決命令がなかったどころか、隊長は島民に「自決するな」と制止していたこと、座間味でも同様だった事実が明らかになるにつれ、『鉄の暴風』に依拠して書かれた『沖縄県史』も家永三郎『太平洋戦争』も、改訂版で軍命説を取り消す。沖縄戦の専門家である林博史教授さえ著書の『沖縄戦と民衆』(2001年)で「赤松隊長から自決せよという形の自決命令は出されていない」と、座間味でも「島の指導者たちが…忠魂碑の前で玉砕するので弾薬をくださいと頼んだが、部隊長(梅沢)は断った」と記述するようになった。
≪自説撤回の期待裏切る≫

 このように、軍命がなかったことはかなり前から専門家の間では定説となっていた。文部科学省が今年春の検定意見で軍命説を排し、教科書会社や執筆者も抗議ひとつせず従ったのもそのためだが、2人の「名誉回復」が遅れたのには秘められた事情があった。

 軍命があった形にすれば厚生省の援護法が適用され、自決者の遺族に年金(1人200万円)が支給されるので、村当局に頼み込まれた2人の隊長は世間の悪罵(あくば)に耐え沈黙を守ってきた。だが死の直前に名誉回復を訴えた赤松氏の遺志もあり、今回の訴訟となったのである。事情を知る両島の村民たちが、貧しい村の経済を助けてくれた2人の隊長を「恩人」として遇しているのも当然といえよう。

 こうした「美談」を知る大江氏が法廷で自説を撤回、原告の2人に謝罪するハプニングを私は予期しないでもなかったのだが、淡い期待は裏切られた。
≪まるで「異界人」の説話≫

 大江氏は提訴直後の朝日新聞紙上で「私自身、証言に立ち…その際、私は中学生たちにもよく理解してもらえる語り方を工夫するつもり」と述べていたが、当日の尋問の相当部分は日本語の語義解説に費やされた。「ペテンとは」と聞かれて「人をだますことです」とか、「罪の巨塊」とは「英語のミステリーから借用したが、語源は他殺死体のこと。ラテン語では…(聴きとれず)」といったぐあいで、私の知力を総動員しても理解不能に終わった。

 反対尋問での要点を翌日の新聞の見出しから拾うと「訂正の必要ない」(朝日)、「軍の構造体の命令」(毎日)、「論点すり替え」(読売、産経)といったところ。「構造体」とは大本営第32軍-守備隊というタテの系列を指し、その中で「すでに装置された時限爆弾としての〈命令〉」が実行されたのだという。

 さらに「隊長の持っていたはずの夢想、幻想を、私の想像力をつうじて描く小説の手法」だとか、曽野氏以下の大江批判はすべて「誤読」に起因する、と言い張ったときには国語の通じない「異界」の人から説話されている気がした。

 もしこうした語り口が法廷戦術の一環だとしても、これほど非常識で不誠実、一片の良心も感じとれない長広舌に接した経験は私にはない。

 梅沢氏は「死ぬなと言ったのに集団自決が起きた責任は米軍にある」と述べた。やや舌足らずではあるが、その通りだと私も思う。(はた いくひこ)

:2007:12/12/08:53  ++  東芝、ソリッドステートドライブの製品化を発表

東芝はフラッシュメモリチップの新たな需要源を開拓する目的で、フラッシュメモリによるノートPC向けのソリッドステートドライブ(SSD)の生産を開始する予定だ。

 世界第2位のNAND型フラッシュメモリのメーカーである東芝は12月10日、SSDの容量は32~128Gバイトであり、2008年5月に1.8インチと2.5インチのドライブの量産を開始する予定であると発表した。

 世界第1位のメモリチップメーカーであるサムスン電子、および東芝と提携しているSanDiskはすでにSSDを生産している。

 Micron Technologyは11月にSSD市場に参入することを表明しており、次の四半期に量産を開始するとしている。

 SSDはディスクドライブと比較して高速で静音性に優れ、起動も速いため、タブレットPCやウルトラモバイルPCのようなポータブル機器に使用されている。しかし、価格が高いため、これまでPC市場では主流になっていなかった。

:2007:12/12/08:50  ++  ウェブの「イノベーション」をもう一度考えてみようじゃないか

以前、ウェブの世界がどのように消化局面に入ったかを議論した。「消化局面」とはAlex Iskoldが作った用語で、彼はこれを「これまでのことを省み、統合し、最近の技術を理解してそれを組み合わせる期間」だと定義している。Tim O'Reilly氏もまた、どのようにイノベーションのスピードが落ち、整理統合が起こるのかを検討している

 しかし、反省と整理統合について話をしていると、わたしは何か腑に落ちないものを感じる。確かに反省も整理統合も起こっている。そして、最近のテクノロジー関係ニュースやブログの報道は、M&Aの話や、大手インターネット企業がどのようにウェブ2.0の機能を統合するかといった話題が多い。これ自体が問題ではないだろうか。これは、ウェブのイノベーションに比べたら取るに足りない話だ。最近のテクノロジー関連のブログ界にうんざりしているのはわたしだけではないはずだ。われわれが、ブロガーとして、そして起業家、ビジネスマンとして、再び実際のイノベーションと向き合うためにはどうすればよいのだろうか。

 ここ数カ月の間で刺激を感じたウェブ技術の多くは、モバイルウェブアプリケーションとウェブで開花しつつあるセマンティックアプリケーションだ。また、わたしもTim O'Reilly氏と同じように、中国やその他の国際市場から生まれているものに、だんだん興味を引かれてきている。シリコンバレーが依然として魅力的であることは言うまでもないが(GoogleのOpenSocialとAndroidの取り組みは、どちらも素晴らしい進歩だった)、シリコンバレーで起こっていることよりも、多くの意味ではるかに興味深い新しいイノベーションや市場がある。

 ブレイクスルーへの試みとして、わたしはウェブのイノベーションの「次の波」を調べるという課題を自らに課した。これは、Read/WriteWebの著者全員の関心事でもある。例えば、Marshall KirkpatrickのTwitterのエコシステムに関する優れた分析(そしてTwitterは確かに革新的で観察する価値がある)もしかり、Josh Catoneの顔画像認識プラットフォームの分析しかりだ。では、ウェブのイノベーションにはこれらの他に何があるだろうか。

ウェブのイノベーションはどこで起こっているか―世界中の、特定の分野で

 「China Web2.0 Review」のTangos Chan氏は、彼がOrange Labが主催したイベントで発表した「Web 2.0 in China:What's Next?」と題する非常に興味深いスライドを投稿している。彼はまず中国のウェブ界は模倣サイトだけでできているのではないと指摘する。模倣サイトは世界中で起こっている現象だという。次に、Tangos氏は中国で起こっているいくつかのイノベーションの分野を明らかにしている。

img 画像はTangos Chan氏提供

 考えてみれば、彼が挙げた現在起こっているウェブのイノベーションのリストは、米国を含む他のあらゆる国にも当てはまる。実時間あるいは近時間コミュニケーション技術(オンライン掲示板、IMなど)は、現在イノベーションが起こっている、活気のある分野だ。これについてはMarshallのTwitterに関する記事が参考になる。Rebecca MacKinnonの最近行われたChina Web 2.0イベントをとりあげたすぐれた要約記事の中で、Tangos氏が興味を持っているというAnothrJiwaiという2つの中国のIMサービスがコメントされている。AnothrはRSSフィードをユーザーのIMクライアントに配信するもので(当初はSkypeが対象だったが、今では他のIMもサポートされている)、JiwaiはTwitterに似たサービスを提供する。

img Jiwaiのウェブページ

 モバイルウェブは、だれもが長い間「次の目玉」に挙げているもののひとつだ。その(潜在的な)市場は紛れもなく大きい。有名なモバイルに関する書き手であるTomi T Ahonenは、2007年初めにブログの中で、世界には27億台の携帯電話があると記している。これを他のものと比較してみると、自動車は8億台、パソコンは8億5000万台、有線の固定電話は13億台、クレジットカードは14億枚、テレビは15億台だ。Tomiの記事は1月に書かれていてるので現在の値は変わっているはずだが、モバイルウェブはユーザーがいるところであり、多くのイノベーションが起こるところになるだろうという論点には変わりはない。中国、日本、韓国、その他のアジアの国々が非常によく携帯電話を使っており、多くの場合それによってPCが座を奪われていることもよく知られている。

 もちろん、現在のトレンドと将来のトレンドの混合物もできるだろう。例えば、Tomi T Ahonenは2007年10月に、モバイルソーシャルネットワーク市場は現在50億ドルの価値があると述べている。これは明らかに、現在ブラウザベースのソーシャルネットワークから生まれている収益よりも大きい。あるいは、Jason Grigsbyにいわせると「今日の目玉―ソーシャルネットワーク―は、すでにPC市場よりもモバイル市場の方が規模的に大きい」となる(たまたまMarshall KirkpatrickのTwitterストリームから直近のいくつかのリンクを受け取った)。

 わたしが最近記事で紹介した、革新的でうまくリンクを作っているモバイルウェブアプリケーションに、FringShozuの2つがある。Fringは無料のモバイルVoIPソフトウェアで、ユーザーのすべてのIMサービスと接続でき、3Gか無線LANに接続されている際には無料で通話することができる。Shozuは携帯電話からFlickrアカウントやYouTube、Facebookなどのウェブに動画や写真を送れるようにするものだ。さらに、欧米の大手インターネット企業がモバイル市場へ進出する準備を整えている。特にGoogleがそうだ

 Tangosはスライドの中で、mInfoに触れている。これは、WAPとSMSを通じて動作する自然言語によるモバイル検索サービスだ。

 これだけは言っておきたい。モバイルウェブ分野では現在多くのイノベーションが起こっている。この分野では消化も整理統合も起こっていない。モバイルウェブの人たちは発明しているのだ!

結論

 モバイル分野、セマンティックアプリケーションの分野のイノベーションについては、今後の記事で議論を続けていくが、1つ明確にしておきたいことがある。今起こっているウェブのイノベーションはいくらでもあるということだ。消化局面、整理統合、シリコンバレーの向こう側に。これらのことはすべて必要であり、興味深くもあるが、それ以上に刺激的なイノベーションが、例えばモバイル市場や中国、韓国のような場所、Twitterのような実時間コミュニケーションプラットフォームで起きている。

 2007年10月に参加したMobile 2.0カンファレンスの場では、発表者の1人が、彼らの1日で終わるイベントが同じ週の終わりに開かれるずっと大きなWeb 2.0 Summitに比べてどれだけ小さいかについて冗談を言った。発表者は、「10年も経てば逆になり、Mobile 2.0は大群衆を集めていて、Web 2.0 Summitはニッチな会議になるだろう」というようなことを言った(そのときはもっとウィットに富んだものに聞こえたのだが)。わたしには、これがモバイルウェブやその他の分野の熱気を表現しているように思えた。この熱気は、ウェブ技術の他の分野に欠けているものであり、少なくともテクノロジー関連のブログ(たまにはRWWもそのひとつとなる)の記事に欠けているものだ。テクノロジー関連ブログでは、新興企業Xが新しいソーシャルネットワーク機能を付けた(あくびが出る)、XがXドルの資金を調達した(誰が気にするんだろう)、XがYに買収された、あるいはもっと悪いのは、XがYに買収されるという噂があるといった記事ばかりだ。もううんざりだ。

 わたしは消化局面を止めようと呼びかけているわけではない。しかし、ウェブ技術者や起業家、ブロガー達に向けて、今こそウェブイノベーションの次のステージに焦点を合わせるべきときなのだと声を大にして言いたい。読者の一部は自分の事業を整理統合し、M&Aの機会を探り、統合し、反省するのに忙しいかもしれない。しかし、すぐ目と鼻の先の、この記事で触れたような技術分野では多くのチャンスがあることを忘れないでほしい。

:2007:12/12/08:43  ++  携帯フィルタリングサービス、未成年者は原則加入へ--総務省が携帯キャリア4社に要請

総務省は12月10日、出会い系サイトなど携帯電話の有害サイトの未成年者による閲覧を制限するフィルタリングサービスを対象者が原則加入することを求める要請を、携帯電話会社各社に対して行った。10日にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコムの4社の社長を総務省に招いて行われる懇談会で増田寛也総務相が要望を伝えた。

 未成年者の有害携帯サイトのアクセスをめぐっては、総務省は2006年11月にも、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話事業者3社と社団法人電気通信事業者協会に対して、自主的な取り組みを強化する要請を行っている。

 今回の要請では、未成年の新規契約者にはフィルタリングサービスを原則加入することを前提とした契約書を作成し、希望しない場合にのみ利用者の意思確認を行う仕組みにし、各社の取り組み強化を図る。また、既存の契約者に対してもフィルタリングサービスの利用を促すよう各社に要請する。

 総務省が2007年5月に公表したフィルタリングサービスの認知度についての調査では、18歳未満の子どもがいる保護者のうち、「利用している」と答えたのはわずか4.2%。20.8%が「子供が携帯電話を使用しているが、フィルタリングサービスは利用していない」と答えている。また、未成年者が出会い系サイトなどを通じて犯罪に巻き込まれるケースが依然続いており、総務省では携帯キャリアに対して再度協力を仰ぐことを決めた。

 フィルタリングサービスが原則適用されることになると、未成年を対象としたコミュニケーションサイトや「一般サイト」と呼ばれるキャリア非公認のサイトはアクセス制限がかかる場合があり、サイト運営に大きな影響がでそうだ。同日、モバイルソーシャルネットワーキングサービス「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーは、18歳未満のユーザーに対して利用制限する措置を決めている。