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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2009:02/25/09:54  ++  日経平均、一時バブル後安値――世界の株価、動揺再び(景気がわかる)

世界の株式市場が再び動揺している。米ダウ工業株三十種平均が二十三日に約十二年ぶりの安値水準まで下落したのに続き、二十四日の東京市場では日経平均株価が昨年十月二十七日につけたバブル経済崩壊後の安値(七一六二円)を一時、下回った。米金融不安の再燃で世界的な景気後退が長期化するとの懸念が一段と強まった。米ドルへの資金回帰で二十四日のニューヨーク市場では円相場が約三カ月ぶりに一ドル=九六円台にまで下落、マネーのリスク回避姿勢が強まっている。
 二十四日の日経平均の終値は前日比一〇七円六〇銭(一・四六%)安の七二六八円五六銭。午前中には一時七一五五円一六銭まで下落した。
 この日は不動産や小売りなど内需関連に昨年来安値を更新する銘柄が相次いだ。昨年十―十二月期の国内総生産(GDP)が第一次石油危機以来の減少率となったことで国内景気の冷え込みが顕著になり、「日本はサブプライム問題の影響が小さいと考えていた外国人の失望売り」(メリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジスト)が続いている。
 ねじれ国会などで景気対策が一向に進まないことも嫌気されている。市場では日本の景気後退を「官製不況」(新光証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)とみる向きもある。国内年金とみられる買いなどで日経平均は終値での安値更新こそ回避したものの、先安懸念は強い。
 このところの相場下落が、「リーマン・ショック」を引き金にした昨年秋の急落局面と異なるのは、株安が静かに進行している点だ。昨年秋のように売りが売りを呼ぶようなパニック的な大量の売りは出ず、海外の年金などが少しずつ持ち高を減らしている。
 昨年秋は日経平均が一日に五〇〇円以上乱高下する局面が度々あった。二月以降は最も大きい下落でも二四〇円安(十二日)にとどまる。
欧米で安値更新
 欧米の株式相場は昨年秋の急落場面でつけた安値をすでに下回っている。米株式市場ではオバマ政権の金融安定化策の全容が不明確なため「政権発足時の期待感がはげ落ちた」(ユナイテッド投信投資顧問の高塚孝一シニアファンドマネジャー)。景気悪化懸念と金融システム不安の負の連鎖への懸念が強く、二十四日は反発して始まったものの、積極的な買いは少ない。
 欧州では二十三日にドイツ、フランス、イタリアの代表的な株価指数がそろって昨年来安値を更新。二十四日も続落し、ドイツ株は約四年四カ月ぶりの安値に沈んだ。景気悪化に加え「中・東欧がアキレスけんとして意識され始めた」(大和総研の山崎加津子シニアストラテジスト)ことも影を落としている。
中国は唯一堅調
 中・東欧では欧州域内の景気悪化で輸出が急減。海外からの投資マネーの流出が加速している。中・東欧への融資を拡大してきた西欧の金融機関の経営不安が高まり、金融株などの下落につながっている。ポーランドやチェコの年初からの株価下落率は二五%前後と先進国を上回る。
 一方、唯一といっていいほど堅調なのが中国。上海総合指数は年初からの上昇率が二割を超えている。大規模な景気対策をいち早く打ち出しており、景気の立ち直りが最も早いとの期待がある。
 ただ中国が「世界の景気浮揚のけん引役になるには力不足」(クレディ・スイス証券の市川真一チーフ・ストラテジスト)。世界同時不況が長期化しかねないとの市場の懸念は強まっている。
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:2009:02/24/13:03  ++  日経平均、一時バブル後最安値を下回る 午前終値は7184円

24日午前の東京株式市場は、前日の米株式市場での大幅下落の流れを受けて続落、日経平均株価は一時、昨年10月27日につけた終値のバブル後最安値(7162円)を下回った。

 平均株価の午前終値は、前日終値比191円66銭安の7184円50銭だった。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も一時、終値のバブル後最安値を割り、13・41ポイント安の721・87で午前の取引を終えた。

 ニューヨーク市場では、景気後退の長期化懸念からダウ工業株30種平均が約11年9カ月ぶりの安値水準に下落。金融システム不安がくすぶるほか、米自動車大手の再建にも不透明感が根強く、世界的な株安連鎖の様相をみせている。

 東京市場も朝方から売りが先行、「安値を探る展開」(大手証券)が続いている。外国為替市場では円高が一服しているが、景気後退懸念から、自動車や電機といった輸出関連株の買いにはつながっていない。

:2009:02/24/11:48  ++  電機8社、自己資本13%減、社債など調達コスト上昇、リストラ難しく。

今3月期赤字響く 自動車4社は4%減
 電機・自動車大手の財務体力が低下している。二〇〇九年三月期に巨額の連結最終赤字を計上する企業が相次ぎ、株主から預かったおカネである自己資本が減少する。赤字の影響だけで、大手電機八社は一三%、赤字予想の自動車四社でも四%の自己資本が期初比で減少する計算だ。財務が傷むと社債発行などの資金調達が難しくなり、構造改革に必要な体力も乏しくなる。収益力の早期回復に加え資本増強へ向けた手だてが必要になる。
 電機八社の自己資本は期初時点で約十四兆六千億円あった。半導体市況の悪化やデジタル家電の販売不振などで業績が悪化し、今期は七社が最終赤字になる見通しだ。日立製作所が七千億円、パナソニックが三千八百億円など、赤字額が大きく膨らむことが響く。
 株安と円高が財務悪化に追い打ちを掛ける。保有株の価値減少や円高による海外資産の目減りをバランスシート(貸借対照表)に反映するためだ。期初に一兆円強あった東芝の自己資本は、二千八百億円の最終赤字などで期末には五千億円強とほぼ半分になりそうだ。
 最終赤字額の自己資本への影響度を企業ごとに比べると、半導体事業が大幅赤字にある日立、東芝、NECの三社の落ち込みが目立った。特に日立は、赤字が自己資本に占める割合を示す赤字影響度が三二%に達し、〇九年三月期に最終赤字に転落する自動車・電機十一社中、最も大きかった。
 半導体は巨額の設備投資が必要。好況時には大きな利益を稼げるが、不況時は赤字が膨らみやすい。IT(情報技術)不況時の〇二年三月期にも半導体の赤字で自己資本を減らしており、今期も財務悪化の主因となる。
 日立は千五百億円の構造改革費用を計上し、今期の最終赤字は七千億円となる見通し。前期末に二兆一千億円あった自己資本は昨年十二月末で一兆七千億円まで減少している。仮に来期、再来期も今期並みの赤字が継続すれば、自己資本を食いつぶしかねない。
 自己資本の減少は経営の足かせとなる。最も影響が大きいのは資金調達だ。日立や東芝は赤字発表後に格付けを引き下げられた。格付けが下がると発行する社債などの信用が低下する。利率を高くするなど魅力を高めないと投資家は社債を購入しないため、調達コストが重くなる。銀行から資金を借り入れる際にも金利が上昇しやすい。
 収益改善策も打ち出しにくくなる。人員削減や生産拠点の廃止などの構造改革を進めると、割増退職金の支払いや製造設備の廃棄などで多額の費用が発生する。電機、自動車は収益環境が来期に大幅に改善することは見込みにくくなっている。費用を吸収するだけの体力が無ければ抜本的な改革に踏み出せない。
 例えば、東芝が今期に計上を計画している構造改革費用は百五十億円で、パナソニックの三千四百五十億円などに比べて少ない。「資本増強へあらゆる手段を検討していく」(村岡富美雄専務)ことも必要になる。
 自己資本がマイナスになれば債務超過だ。保有資産をすべて売却しても負債が残ってしまう状態で、企業の存続が危うくなる。株式の上場廃止や銀行融資の引き揚げにつながりかねず、資金繰り悪化で経営が行き詰まる可能性が高くなる。

:2009:02/24/11:45  ++  Q&A(1)賃金改善とベア――重点配分か全体底上げか(雇用賃金)

二〇〇九年春の労使交渉が始まった。大幅な賃上げを求める労働組合と固定費の削減を急ぐ経営側の間で、ベースアップ(ベア)や賃金改善を巡る攻防は例年になく厳しさを増している。「雇用」も大きなテーマに浮上してきた。春の労使交渉を理解するためのキーワードを解説する。一回目は「賃金改善とベア」。
 Q 賃金改善とベアの違いは。
 A ベアは物価上昇や生産性向上などを理由に企業が従業員全体の賃金水準を引き上げることを指す。これに代わる概念として〇六年春の交渉から登場したのが賃金改善だ。各社の人事戦略に合わせ、賃上げ原資を特定の年齢層や職種に重点配分したり、生活手当に充てたりするなど柔軟に使うことができる。
 Q 今春の交渉からベア要求が復活した。
 A 物価上昇で実質賃金が目減りし、家計負担が増えることを防ぐ狙いがある。バブル崩壊後の景気低迷やデフレなどでベアは見送りが続いてきたが、〇八年は資源価格の高騰で食費やガソリン代などの出費が増えたとの声が組合員から相次いだ。連合は一%台半ばの物価上昇があったとし、〇一年以来八年ぶりにベア要求方針を掲げた。
 Q 電機大手の労組の賃金改善要求額は月額四千五百円で昨春を大幅に上回った。算出の基準は。
 A 電機連合は物価上昇を含め一・五%分の賃金改善が必要と判断した。代表的な職種である開発・設計職の三十歳のモデル賃金は月三十万円で、その一・五%相当分が四千五百円。そのほかの職種もこれに準じた。自動車の各労組の月四千円の要求額もほぼ同様の考え方に基づく。
 Q 労組は定期昇給(定昇)維持も要求している。
 A 労組はベア要求を見送った景気低迷期も定昇維持を要求し続けてきた。定昇は年齢や勤続年数、能力向上に伴って資格や評価が上がると会社の「賃金表」に基づいて賃金が増える仕組みで、賃金カーブとも呼ばれる。ベアや賃金改善は賃金表を書き換えて賃金カーブ全体を底上げすることだが、賃上げ要求の前提として賃金カーブ維持が欠かせないと主張している。
 Q 経営側の一部は定昇見直しに言及している。
 A 成果主義の導入で賃金に占める成果反映分が増え、定昇の実質金額は低下傾向にあるとされる。中小企業には定昇そのものがない場合も多い。主要企業では緊急措置として期間を区切り定昇が凍結されたケースはあるが、春の労使交渉で定昇が見直された例は極めて少ない。異例の言及はそれほど経営側の危機感が強いということだろう。
 定昇見直しは賃金制度自体の修正につながり、生活設計にも影響を与えるだけに抵抗感は強い。定昇凍結や幅の削減は実質的な賃下げになるとの見方もある。賃上げの行方に加え、定昇が今春の労使交渉の焦点に浮上する公算が大きい。

:2009:02/24/11:39  ++  広告費5年ぶり減、昨年4.7%、電通調べ、ネット、全体の1割超に。

電通は二十三日、二〇〇八年の国内広告費が前年比四・七%減の六兆六千九百二十六億円になったと発表した。北京五輪などの増加要因もあったが、景気悪化で企業が広告を減らし、五年ぶりに前年を下回った。新聞、雑誌、テレビ、ラジオの「マスコミ四媒体」が軒並み減る一方で、インターネット広告は増えて全体に占める割合が一〇・四%と初めて一〇%を突破した。
 ネット広告は一六・三%増の六千九百八十三億円と二ケタの伸びを維持。検索キーワードに関連して広告を表示する検索連動型広告が二二・九%増の千五百七十五億円、携帯電話向けモバイル広告が四七・〇%増の九百十三億円だった。
 マスコミ四媒体の全体は七・六%減の三兆二千九百九十五億円。広告費全体に占める割合は四九・三%と初めて五〇%を割った。昨年十―十二月の減少率は一〇・七%と、同七―九月(八・二%減)から拡大した。
 〇八年を個別に見ると新聞は一二・五%減の八千二百七十六億円、雑誌は一一・一%減の四千七十八億円。テレビは四・四%減の一兆九千九十二億円、ラジオは七・三%減の千五百四十九億円。新聞と雑誌は過去最大のマイナスとなった。

:2009:02/24/11:37  ++  深まる日本の危機――輸出依存裏目、政治の怠慢も(海外論調)

日本の景気の落ち込みが深刻になるなか、迷走が続く麻生政権は効果的なテコ入れ策を打ち出せない状況が続く。海外メディアの日本を見る目は一段と厳しくなっている。
 英フィナンシャル・タイムズ社説(18日付)は「昨年第四四半期に輸入国の生産が急減し輸出国は痛手を被った。日本は一〇%もの円相場上昇でさらに問題が悪化した」と指摘。「日本の政治家は改革に臆病で、会社主義や輸出依存体質を変えることを怖がってきた。いまや自国を救うために内需拡大に努めなければならないが、麻生内閣はこの課題に目を向けていない。九月までには総選挙実施が求められているが、それ以前でも以後でもこの困難からの出口を見いだすのは難しい」と述べた。
 ウォールストリート・ジャーナル・アジア社説(18日付)は「日本は輸出の落ち込みで一九七〇年代以来、最悪の景気後退にあるが、企業のリストラ不足とやっかいな労働規制で、厳しい経済情勢への適応能力が失われている。麻生内閣は減税などで成長を促す代わりに、一連のばらまき的な景気対策を打ち出した。内閣の存在理由は定額給付金を含む予算を通すことだけになった」と論評した。
 シンガポールのストレーツ・タイムズ社説(18日付)は「九〇年代に日本が景気後退から抜け出すのに時間がかかったひとつの理由は、当時の政府が優柔不断で行動が遅れたことにある。麻生内閣についてそうはいえないが、確実に景気に勢いをもたらす財政支出が何よりも重要だ」と効果的な景気対策を求めた。

:2009:02/24/11:34  ++  旧商工ファンド、SFCGが再生法申請、ノンバンク、淘汰の波。

中小・零細向け融資、先細り
 ノンバンクを取り巻く経営環境が厳しさを増している。商工ローン大手のSFCG(旧商工ファンド)が二十三日、民事再生法の適用を申請。負債総額は三千三百八十億円に上った。二〇〇七年に経営破綻した消費者金融クレディアと同様に、資金繰りが行き詰まったのが原因だ。規制強化と資金調達環境の悪化で貸金業者は減少の一途。中小・零細企業への融資も先細りしている。
厳しい資金繰り
 SFCGは大島健伸会長が一九七八年に創業。銀行から融資を受けにくい中小企業や自営業者向けの貸し出しで急成長したが、強引な取り立てが社会問題となり、九九年には大島会長が参院の証人喚問を受けた。
 最近も利息制限法の上限(年一五―二〇%)を超える「過払い金」の返還などを巡りトラブルが相次ぎ、国内の大手銀は社内規定などに基づき距離を置いていた。「新規融資はほとんど受けられなくなっていた」(大島会長)という。
 資金調達に苦労するノンバンクはSFCGだけではない。昨秋以降の金融危機で、海外金融機関からの借り入れは困難になった。社債発行も難しい。「資金面で不安がないのはメガバンク傘下の業者くらい」(消費者金融大手)との声もある。
 債務者から回収した資金を別の融資に振り向けるのではなく運転資金に充てる貸金業者もある。実質的な自転車操業は「順調に資金が回っている間はいいが、何らかの事情で多額の資金が必要になったり回収が滞ったりすれば対応できない」(別の大手消費者金融幹部)という不安もある。
減少する会員数
 逆風下で貸金業者は減少の一途。日本貸金業協会の会員数は〇七年十二月に四千六十三だったが、〇八年十二月は三千三百十三と一年間で一八%も減った。
 市場は急速に縮小している。〇八年十二月末の消費者向け無担保ローンは前年同月比一二・四%減。事業者向けは同二二・二%減だった。一〇年中に改正貸金業法が全面施行されるのを控えて、貸金業者が融資を絞っているからだ。大手ノンバンク幹部は「資金に余裕のない今、貸し倒れリスクの高い中小・零細企業には融資できない。できるだけ貸し出しを抑えている」と明かす。

:2009:02/24/11:16  ++  米アカデミー賞、「おくりびと」「つみきのいえ」、「世界の邦画」高まる期待。

海外市場開拓、商機広がる
 二十二日開かれた米アカデミー賞の発表・授賞式で「おくりびと」(滝田洋二郎監督=53)が外国語映画賞を、「つみきのいえ」(加藤久仁生監督=31)が短編アニメ賞をそれぞれ受賞した。ここ数年、日本国内で着実に売り上げを増やしてきた邦画が「内向き」を脱して世界に市場を広げることができるか。今回の受賞は国内映画産業のグローバル化の行方を占う試金石ともなりそうだ。(関連記事を社会面、文化面に)
松竹の株価急騰
 二十三日の東京株式市場では国内配給元である松竹の株価が急騰。終値は前週末比九十八円(一五・二%)高の七百四十四円とこの日の高値で取引を終えた。「おくりびと」はTBSが主幹事となり松竹、電通、小学館などが出資する製作委員会が製作費を拠出、著作権などの権利を保有する。今回の受賞で松竹だけでなく、他の参加企業にも収益拡大のチャンスが広がることになる。
 この作品は今回の授賞式前にすでに米国、カナダ、フランス、オーストラリアなど三十六カ国での劇場公開が決まっていた。受賞により海外での商機がさらに広がるのはほぼ確実。このため劇場公開やDVD販売などの事業展開について「製作委関係者が帰国後に改めて計画を練り直す」(TBS関係者)という。
 日本映画は古くからカンヌ、ベルリン、ベネチアの三大国際映画祭での常連となってきた。
 国内外の映画作品を手掛ける市山尚三プロデューサーは「日本映画の出来が良いのは当たり前と見られている」と指摘。海外と映画の共同製作を長年続けている井関惺プロデューサーも「黒沢明監督らの映画を見て育った映画人が世界中に多く、日本映画に対する尊敬の念がある。アジアでの国際共同製作も増えている」と話す。
 日本映画の攻勢を支えるのが国内市場の活況だ。二〇〇八年の邦画の国内興行収入は前年比二二%増の千百五十八億円と過去最高を記録。全興収に占める邦画の割合は約六割と洋画を圧倒、需要増をにらんだ企業の製作投資の拡大が優良作品の増加につながる好循環を生んでいるといえる。
 ただ、海外での高評価が商業的な成功を約束するわけではない。
外需の比率2%
 〇七年の国内コンテンツ産業の市場規模は前年比〇・三%増の約十三兆九千億円、そのうち映像産業は四兆八千億円だった。外需の割合は二%程度。〇八年の映画の輸出額(各種権利販売を含む)も七十億円程度と国内邦画興行収入の六%程度にとどまる。一八%を海外売り上げで稼ぐ米国コンテンツ産業と対照的に日本は典型的な「内需産業」に甘んじてきた。
 大きな壁の一つが文化の違い。「リング」などでジャパニーズ・ホラーのブームを作った一瀬隆重プロデューサーは「米国の人たちは字幕を見ない。会話劇が多い日本映画はなかなか大衆に届かない」と指摘する。
 「世界の映画界では米ハリウッド企業が圧倒的な支配力を持ち、日本企業の意向を反映した契約条件がなかなか実現しない」(国内映画大手首脳)という声も多い。
 それでも海外での評価の高まりを背景に国内映画業界の意識は変わり始めた。三、四年前から欧米の主要映画祭に日本映画業界のブースを出展して新作邦画を世界の業界関係者に紹介。ハリウッドの大手映画会社を製作委員会に加えて当初から世界興行をめざす試みも増えている。
 金融危機で企業の投資意欲がしぼむ恐れもあり、邦画ブームがどこまで続くかは不透明。「おくりびと」の受賞で強まる世界への追い風を一過性で終わらせないための知恵が求められている。

:2009:02/23/11:45  ++  【雇用】昭文社、初の希望退職募集 正社員を1割削減

地図の「マップル」などを発行する出版社の昭文社は20日、50歳以上の社員を対象に
希望退職者を募集すると発表した。
景気悪化でレジャー需要が落ち込み地図やガイドブックの売り上げが減少しているため、
正社員の1割にあたる50人を削減する。

同社は出版不況に対応してカーナビなど電子事業への転換を急いでいる。
希望退職の募集は初めてで、正社員496人のうち出版部門を中心に人員を絞り込む。

募集期間は3月9―13日。応募者には退職金と特別加算金を支給し、再就職支援を行う。
削減に伴う特別損失を2009年3月期決算に計上するが金額は未定としている。

:2009:02/23/11:16  ++  米の「日本厚遇」、裏に資金協力要請 米国債増発にドル基軸維持

オバマ米大統領麻生太郎首相を外国首脳として初めて米国に招きクリントン米国務長官が最初の外遊先に日本を選ぶなど、米国の日本に対する「厚遇ぶり」が目立っている。背景には「米国は日本に資金協力を求めてくる」との見方が市場関係者の間で強まっている。米国では一連の景気対策に加え、大手銀行に国有化の観測も出ており、原資を賄う米国債の大幅な増発は避けられそうにない。このため日本に対しては米国債の購入に加え、ドルを基軸とした国際通貨体制の堅持が求められそうだ。(藤沢志穂子)

 米国の日本に対する厚遇ぶりについて、外務省幹部は「世界同時不況の解決に向け世界経済で1、2位の米国と日本が結束して欧州を牽制(けんせい)する狙いがある」と指摘する。米国では民主党のクリントン政権時代に日本を回避して中国と接近する動きもあったが、今回のオバマ政権は「日本との関係を重視せざるを得ない」(同)とみている。

 その背景には、米国債の発行が今後、急増する中で有力な買い手として日本が注目されているからだ。米ゴールドマン・サックスの試算によると、米国が一連の景気対策で必要になる国債発行額は2兆5000億ドル(約230兆円)、財政赤字は1兆4250億ドル(約130兆円)に達する見通しだ。このため、同社では「米国政府は入札をさらに増やすか、7年ものなど新たな国債の導入が必要になる」と予測する。
 

 

 米財務省がまとめた2008年末の米国債保有状況では中国が前年比45・8%増の6962億ドル(約64兆円)と年末ベースで初の首位となり、日本は同0・3%減の5783億ドル(約53兆円)で2位だった。今月10日から12日まで実施された定期入札の発行額は、合計で670億ドル(約6兆1640億円)と過去最大級だったが、市場では「今回も中国と日本が主要な買い手だった」とみている。

 クリントン長官は、先の訪日で具体的な購入要請はしなかったが、中国を訪問した際には中国による米国債保有を高く評価してみせた。ただ、世界経済が激動してドルの信認が揺らぐ事態になれば、保有する米国債の評価は大幅に下がることになる。このため、今後も日本と中国は、ドルを基軸とした国際通貨体制を維持する取り組みが必要になりそうだ。

:2009:02/23/11:09  ++  【朝鮮半島ウオッチ】北朝鮮、やせこける兵士たち 金総書記の健康問題、「変化」に期待する住民

核、ミサイル、海上軍事衝突予告-脅威を総動員して緊張をあおる北朝鮮だが、国内では一体、何が起きているのか。金正日総書記の異変情報に住民のなかには『やった!』と歓喜する人が大勢いる一方で、食糧偏在のため100万人「無産階級」である軍人はやせ細り、軍用米の収奪で農村は疲弊しているという。北朝鮮内に記者を募り育て、内部情報誌「リムジンガン」を編集・発行してきたアジアプレスの日本人ジャーナリスト、石丸次郎氏(46)に最新事情を聞いた。(久保田るり子

 

 

密貿易、収奪、利権

 

 異変説以降、昨秋は毎月のように中朝国境周辺で情報収集してきた石丸氏だが、1400キロに及ぶ国境は統制が極端に強化され、親戚(しんせき)訪問など合法の人の出入りも制限を受け、北朝鮮側では盛んに中国製携帯電話狩りが行われていたという。

 北朝鮮は盧武鉉前政権下で年間約40-50万トンあった韓国の食糧支援を昨年来、李明博政権の対北政策を理由に拒否。その影響で次第に深刻な状況が進んでいる。

 「国境では北朝鮮の貿易会社が食糧確保のため中国の密輸業者と取引を始めた。中国は食糧輸入国となり対北食糧支援や正規の輸出が減った。特に北朝鮮軍の食糧難は深刻だ。内部で撮影された写真やビデオでみると若い兵士がひどくやせているのが目につく。軍用米を収奪されている農村の疲弊がひどい。北朝鮮は90年代後半のような飢餓ではないが、いまは市場経済の広がりで金を出せば食糧に誰でもアクセスできる。ところが政府が食べさせなければならない軍隊に対しては、経済破綻(はたん)のため食糧配給を満足にできなくなった。このままでは春以降に農村から食糧危機が起きるかもしれない」
 

 

 配給制度の崩壊で、北朝鮮全土にできた闇市場は2003年に数百とも推定される公設市場に整理統合されて合法化された。市場は現金とモノの動く実体経済となり、計画経済を飲み込む勢いで利権構造も生んだ。

 「配給制度で手に入れることのできない薄型テレビを、地方の末端党幹部が市場での商売でもうけて手に入れるケースが珍しくなくなっている。市場活動で生み出される権力が従来の権力構造を浸食する現象が起きている。この動きは止められないだろう」

 

 

「変化」への渇望

 

 昨秋9月、建国60周年式典を欠席したことで一気に真実味を帯びた金正日総書記の健康異変説。石丸氏はこの時期、国境の中国側、鴨緑江沿いで越境してきた北朝鮮住民を取材し、敏感な反応ぶりを直接聞いた。

 「彼らには大きな衝撃だったようだ。絶望のなか待ちに待った社会変化がついに訪れるかもしれないとの期待だ。金総書記の健康異変を『やった!』と露骨に喜ぶ人も少なくなかった。仲間内では露骨に話すが、密告が恐ろしくて公には話せない。しかし、外国人の私には興奮を隠せない口ぶりで『次の時代』への関心を話す人もいた」(同氏)。だがその後、金総書記の写真公開など官制メディアによる「健在キャンペーン」が効果を奏し、いまや「興奮」や「期待」はしぼみつつあるようだともいう。
 

 

 一方、北朝鮮当局は市場に対して昨夏から再編・統制を開始。市場の場所や商売人の年齢制限、商品の量や種類を限定などで制約を増やすなど取り締まり強化に乗り出している。政治的な内部引き締めと市場からの経済利権を独占しようという奪取が目的とみられる。

 石丸氏によると、北朝鮮住民の多くが「戦争でも起きればいい」と話す。金日成主席の死後15年を経てますます疲弊する北朝鮮社会は、「戦争でも起きない限り変わらない」という絶望からの心情吐露だ。

 

 

北朝鮮ジャーナリストたち

 

 石丸氏は90年代前半から朝鮮半島取材を開始し中朝国境での50回を超える取材で北朝鮮を逃れた脱北者、難民600人以上にインタビューしてきた。そのなかから「北の内情を世界に伝えたい。世界の情報を北内部に伝えたい」と考えていた李準(リ・ジュン)氏と出合ったことが、北の内部情報誌「リムジンガン」(アジアプレス出版部刊 季刊誌、2008年創刊)のきっかけとなった。

 北朝鮮内へのアクセス・ルートを開拓し、現在は北朝鮮の記者8人が「北朝鮮からの通信」を石丸氏にあらゆる方法で届けている。

 取材は隠し撮りのビデオ撮影、インタビューの秘密録音、記者リポートなど生素材が中心だ。韓国語、日本語版があり、英語版も計画している。北朝鮮国内にも50部ほど持ち込んでいるほか、日本から郵送で金総書記にも送っている。
 

 「日本で北朝鮮は金総書記がすべてを支配しているという理解が支配的だが、現実は金政権の弱体化は著しく、社会も人々の意識もどんどん変化している。そんな北朝鮮の実像を伝えようとする記者たちは生命をかけての仕事だが、活動はどんどん活発になっている」(石丸氏

 韓国には北朝鮮専門メディアがあるが、「北朝鮮からのリポート」だけで編集している専門誌は同誌だけだ。3号となる「リムジンガン」最新号(20日発行、日本語版)は「金正日異変発生』後の北朝鮮」を特集している。

:2009:02/23/10:47  ++  先が見えない企業決算―「横並び」今度こそ脱却を(経営の視点)

米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営問題と日本企業の決算。同列に比較するのはやや乱暴だが、少なくとも「着地点が見えない」という点では共通する。
 GMは先週、再建策を公表した。米国民が驚いたのは同社が政府に求めた追加の公的融資だった。当初受けることが決まったのは一兆六千億円。だがGMが今回求めた金額は、それより一兆円以上も積み増した規模になっていた。
 ワゴナー会長は「最近の車を見てもらったら将来ある企業と考えてもらえる」と訴えた。だが米国民の何割がその言葉に納得したか。爆発的に売れそうな車やビジネスが本当にあれば別だが、過去数十年、車開発や経営の方向性を見誤ったとされるGMに突破口は簡単には見つからない。
 一方、日本の大手企業の決算。こちらも投資家には衝撃だった。二〇〇九年三月期の最終損益は自動車大手七社が合計六千億円超の赤字。電機は九社合計の赤字が二兆円に迫り、「もう一段の下方修正もありうる」(大手メーカー幹部)状況だ。
 先が見えない原因は景気の悪化か構造問題か。GMは間違いなく後者だが、もしかすると日本企業も後者の懸念がある。
 例えば日立製作所やパナソニックが数千億円規模の最終赤字になる電機。野村証券の山崎雅也アナリストは業績悪化のドミノ現象を「横並び的な経営体質が変わらなかったのが原因」と指摘する。選択と集中が進んだとされる電機大手も、実際はテレビや携帯電話などでプレーヤー過剰が続いた。その結果が恒常的な家電事業の赤字体質だ。
 誤算は自動車事業にもあった。自動車向けビジネスは成長性が高い。そう読んだ電機大手はここでも横一線で突き進んだ。だが最大の米国自動車市場から景気悪化が広がると、部品需要が一斉に冷え込み、総崩れになってしまった。
 昨年十―十二月の国内総生産(GDP)は一二・七%の大幅なマイナス。その原因を「電機も機械も素材も自動車事業に一斉に殺到した反動が出た」と自動車大手の首脳は見る。右にならえの単一文化(モノカルチャー)が景気の谷を深くしてはいまいか。
 もちろん最終損益の悪化には構造改革の影響もある。ウミを出し切る「良い赤字」は財務体質がしっかりしていないとできない側面もあるが、それも程度問題。日本の産業界が一斉に良い赤字を追求し始めたら、消費も雇用も低迷に歯止めがかからなくなる恐れがある。
 今後十年を見据えれば最大の問題は次の成長ストーリーを打ち出せずにいる点だ。電機の勝ち組は十年前も今も変わらない。ハードからサービスへカジを切った米IBMは不況知らず。新興国戦略が奏功した韓国サムスン電子も家電・半導体でシェアを上げている。日本はなぜ両社を凌駕できなかったのか。横並びを脱せず、突き抜けた戦略を打ち出せなかった体質に原因があったのではないのか。
 次の十年にどう巻き返すか。その問いは日本の産業すべてに向けられる。モノカルチャーから脱皮し、世界で勝てる戦略をどう練り直すか。すべてはまたそこから始まる。

:2009:02/20/10:22  ++  尖閣・南沙、中国が強硬姿勢、調査船派遣・抗議、主権を主張、周辺国との摩擦強まる。

中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)や南沙(英語名・スプラトリー)諸島を巡り、中国と周辺国の摩擦が高まっている。尖閣諸島では中国の海洋調査船が昨年末に日本領海に侵入。これを受け警備強化をした日本に逆に中国が抗議した。南沙諸島を自国領とする法律を可決したフィリピンにも中国はクレームを付けた。景気減速も絡み、中国で対外強硬論が広がっているもようだ。
 「実際の行動で中国の立場を示した」。中国国家海洋局の孫志輝局長は十六日、北京で開いた幹部会議で、昨年十二月に同局所属の海洋調査船二隻が尖閣諸島付近の日本領海に侵入したことについて、中国の主権を主張する意図があったことを明らかにした。
 孫局長は「中国の主権があるすべての海域を巡航した」と語り、東シナ海や南シナ海などで警戒監視を強化したことを強調。昨年一年間に延べ二百隻余りの船舶、百四十機余りの航空機を派遣したという。
 領海侵入を受けて日本政府は尖閣諸島の警備を強化。海上保安庁が周辺にヘリコプター搭載の巡視船を常時配置したとの情報もある。中国外務省アジア局の責任者は十日、北京の日本大使館員を呼び付け「日本が行動をエスカレートすれば、中国は強硬な反応を示さざるを得ない」と伝えた。
 一方、フィリピン国会は十七日、南シナ海の黄岩島と南沙諸島の一部島しょを同国領とする「領海基線法」を可決。これを受けて中国外務省は十八日、「中国は黄岩島や南沙諸島などに主権を有する。他国の領有権主張は無効だ」と抗議する声明を発表した。王光亜外務次官は在中国フィリピン大使館の臨時代理大使を呼び厳重に抗議した。
 中国政府が毅然(きぜん)とした対応を誇示する背後には、インターネットなどで噴出する強硬論がある。景気停滞で国民が内向き志向を強めている傾向は否めない。「弱い姿勢を見せるな」「実質的な行動を中国政府に要求する」などの書き込みが相次ぎ、中国外務省も座視できない。
 中国は周辺国と陸上の国境問題を相次ぎ解決しているが、海底油田・ガス田が絡む海上の領土問題は解決の糸口を見いだせていない。東シナ海などでの作戦展開能力を高める軍の影響力が強まっているとの見方もある。

:2009:02/20/09:45  ++  収益悪化企業は変革急ぐ(上)円高を超えて―製造業、世界で生産再編。

企業収益の悪化が急だ。二〇〇九年三月期は製造業が初の連結最終赤字に転落、非製造業を合わせても九割弱の最終減益に落ち込む見通しだ。足元の採算改善と成長に向けた事業の再構築を同時に進める。しかも急いで。難題克服に向け、企業の格闘が始まった。
90円時代に対応
 「コスト競争力のある国々を最大限活用する」。今期に九期ぶりの最終赤字となる日産自動車。カルロス・ゴーン社長は一ドル=九〇円時代にも対応できる生産体制への転換を掲げた。
 柱となるのは小型低燃費車の中国やタイ、インドでの本格生産だ。主力小型車「マーチ」の国内生産を一〇年に打ち切りタイへ移管する。将来は新興五カ国から世界百五十カ国に年百万台を販売する体制を目指す。海外生産の拡大と現地調達の活用でコストを下げながら円高抵抗力を高め、再成長を実現する戦略だ。
 土砂降り決算に見舞われた製造業。今期の営業減益要因を自動車や電機、化学、機械など主要二十七社で調べたところ、需要減が五兆六千億円、円高が二兆六千億円。世界で同時進行した景気後退に円高が加わり、業績を直撃した。
 輸出企業はこれまでも円高対策を進めてきた。日本企業の海外生産比率は年々高まり、〇八年度は三一・四%と過去最高の見込み。だが、円高抵抗力は企業によってはむしろ低下している。
 典型例は自動車。停滞する内需を補おうと、世界市場に打って出たが、新興国などの需要増が想定以上で輸出に頼った。新車販売で昨年初の世界首位となったトヨタ自動車は、輸出比率が六四%と五年前の五二%から上昇。対ドルで一円の円高がもたらす減益要因は二百六十億円から四百億円程度に拡大した。
 取引通貨がドルからユーロに広がり、手を打ちにくくなった面もある。ソニーは北米やアジアで生産・部品調達を増やし対ドルの円高抵抗力を磨いた。ところが「(現地化が遅れていた)欧州では部品調達が進まず対応が難しい」(大根田伸行・最高財務責任者)。一円円高に傾いた場合の減益要因は、対ドルで四十億円だが対ユーロでは七十五億円となる。今期はユーロ安で千五百億円の利益が目減りする。
 海外需要を取り込んだ製造業をけん引役に、上場企業は前期に最高益を更新した。だが、一ドル=一二〇円前後、一ユーロ=一六〇円程度まで進んだ円安は、輸出企業の国際競争力を実力以上に底上げしていたのだ。今後は円高の定着を前提に、グローバルでの効率的な調達・生産体制をいかに速く確実に再構築できるかが成長のカギを握る。
モデルは二輪車
 「円高への抵抗力はせいぜい一ドル=一〇〇円程度」(福井威夫社長)というホンダは、国内外で自動車の生産体制の見直しに着手した。モデルはアジアでほぼ一〇〇%の現地生産を実現した二輪車だ。リコーの三浦善司・最高財務責任者は「一ドル=九〇円、一ユーロ=一二〇円を受け入れなければならない」と話す。
 製造業の生産海外移転は痛みを伴うが、日本経済全体で見れば円高には輸入コスト低下などの利点も多い。日本の主要メーカーは今、円高でも国内で可能な限りモノを作り続けるための革新に挑んでいる。自動車各社は国内工場で海外などからの安い部品調達を増やすことを検討し始めた。
 個々の企業がこの難関を突破できれば国際競争力を高められ、日本経済の構造転換にも道を開く。その時、ニッポン株式会社には再成長の軌道がぐっと近づく。

:2009:02/20/09:09  ++  【正論】衆議院議員、弁護士・稲田朋美 公務員改革論議に欠けるもの

≪事実無根の濡れ衣批判≫

 政治がポピュリズムに毒されていないか。政治家が世論に迎合し、マスコミからの批判を恐れて言うべきことを言わず、反論すべきことを反論しないようでは、国は危うい。

 いま話題の公務員の「天下り」(各府省による再就職のあっせん)「わたり」(2回目以降の天下り)について昨年末、限定的な条件で最長3年間だけ認めた政令がいわれなき非難をあびた。麻生総理は政令はあっても実際には承認しないと答弁し、さらに、今年中に政令上も禁止すると明言した。

 総理の判断をとやかく言うつもりはない。だが、その前提として、「法律で禁止された天下りやわたりをこっそり認める政令をつくった」などという全く事実無根の濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)は、きっぱりと晴らすべきである。

 安倍政権下の平成19年、改正国家公務員法が成立し、各府省のあっせんによる天下りなどを禁止した。あっせんは新設する「官民人材交流センター」に一本化する。ただし3年間(正確には3年以内で政令で定める日まで)の移行期間に限っては、各府省のあっせんをごく例外的な場合に認めることとした(改正国公法附則5条)。

 ≪天下り根絶の本質論は≫

 これはいわば車が急ブレーキをかけて止まるまでの“制動距離”のようなものである。なお、総理の承認権限は新設する監視委員会に委任する予定であったが、監視委員会の委員が野党の不同意で決まらなかった。委員会が設立されるまでの間は総理自身が承認することとされたが、これとて何の違法性もない。

 なぜ、このいわれなき中傷に対し反論しないのか。野党ならともかく自民党内部で政令を批判し、世論迎合の意見ばかりが噴出していることに情けない気持ちでいっぱいになった。いったい、だれがあの改正国公法をつくったのだ、と。
 

 

 問題は、天下り根絶がなぜ必要なのかという本質論が欠けていることだ。それは官民の癒着や行政のゆがみ(業界偏重)をなくすことだ。

 許認可権限の及ぶ業界への再就職が念頭にあれば、どうしても業界に甘くなり、消費者保護、国民目線の行政が劣化する。それが、たとえば「消費者庁」という役所を新たにつくらなければならなくなった理由だろう。国民の行政不信、ひいては政治不信を払拭(ふっしょく)するには、行政の中立公正さを損なう天下りは根絶しなければならない。

 しかし、民主党が言うように、天下り根絶で12・6兆円の予算削減ができるというのは真っ赤な嘘(うそ)である。天下り職員のいる公益法人などの公的事業をすべて廃止するという絵空事を前提とした数字である。天下り職員の人件費はその1%ほどにすぎない。

 ただ、そのような嘘がまかり通るのも天下りがあるからだ。これを根絶することで、増えゆく社会保障費を賄う消費税増税など国民負担への拒絶反応は緩和されるはずだ。

 従来、退職後2年間は許認可の及ぶ営利企業への再就職は自粛とされた。今回、官民人材交流センターへの一元化で2年の縛りがなくなり、特殊技能をもつ官僚はセンターを通じていつでもあっせんを受けられる。とすれば、官民癒着によるゆがみを正すことはできない。

 ≪真の公僕集団をつくれ≫

 さらに、禁止される天下りには、あっせんによらない自分の才覚で見つける再就職は含まないから、その意味でも官民癒着はなくならない。やはり、在職期間の長さに応じた一定期間はいかなるルートであれ、許認可の及ぶ業界などへの再就職を禁止すべきである。
ただし、肩たたきで役所を追い出されながら、許認可の及ぶ先への再就職も事実上禁止され路頭に迷うということではいけない。そんな不安定な職場に有為の人材が集まることは期待し難く、それでは角を矯めて牛を殺す結果になる。定年までは働けることにし、ケースによって給料の据え置きや引き下げにより人件費を抑えることを考えるべきである。

 それでも、一時的には人件費の総額は増加するだろう。だが、しかし長期的視野で考えれば、これまで天下りを受け入れさせられた民間企業公益法人などの人件費は削減できる。国民トータルとしての負担は確実に軽減されるはずだ。

 いま一度、公務員制度改革の本旨は何かという原点に立ち戻るべきだ。国民の行政への信頼を回復するための議論をしなければ、国家の行く末を誤ることになる。国家有為の人材が集い、目を輝かせて国益と国民の幸福のために滅私奉公、切磋琢磨(せっさたくま)する公僕の集団をいかにつくるか。これができれば官民人材交流センターも消費者庁も基本的には必要ない。(いなだ ともみ)

:2009:02/19/13:40  ++  「かんぽの宿」税評価額79施設で856億円、簿価の7倍

 日本郵政の保養宿泊施設「かんぽの宿」のオリックスへの一括売却が白紙撤回された問題で、売却対象となっていた79施設の固定資産税評価額(2008年)の合計が、856億7600万円と、簿価(08年9月末で計123億7200万円)の約7倍となっていることが明らかになった。

 鳩山総務相は19日の衆院予算委員会の答弁で「私も驚いている。実勢価格の方が固定資産税評価額より高いというのが常識であるとすれば、極めて大きな疑問がある」と述べた。

 日本郵政が、民主党の松野頼久衆院議員に提出した資料によると、売却対象の固定資産税評価額は土地が計253億6500万円、建物が計603億1100万円だった。売却対象のうち固定資産税評価額が最も高かったのは「ラフレさいたま」(さいたま市)の85億3700万円で、簿価の15億5800万円の5倍超だった。

 日本郵政は、簿価は、地価下落や建物の老朽化に加え、赤字施設が多いことを考慮して、収益性の低下を反映させる減損処理を行ったもので、「政府の評価委員会の承認を得ているので、適正だ」と説明している。

 この問題では、オリックスへの売却価格約109億円に対し、鳩山総務相が「安すぎる」などと反対を表明したことがきっかけになって一括売却が白紙撤回された。

:2009:02/19/09:56  ++  「領土」打開で隔たり 日ロ首脳会談

【ユジノサハリンスク=犬童文良】麻生太郎首相とロシアのメドべージェフ大統領は18日の首脳会談で、懸案の北方領土問題解決に向け「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」で具体化を急ぐ方針で合意した。プーチン首相の5月来日など首脳レベルの対話を加速させる。ただ、領土問題を進展させたい日本と本音は経済協力のロシアの隔たりはなお大きい。

 麻生首相は首脳会談で大統領の前向きな姿勢を評価した。首相は記者団に「向こうが2島、こっちが4島では進展がない。役人に任せているだけでは駄目。政治家が決断する以外、方法がない」と主張した。

 大統領は首脳会談で「世界にある他の問題と同じように解決可能と思っている」と語っている。この言葉から連想されるのは、ロシアが中国との交渉で使った手法。国境河川のアムール川とウスリー川の合流点にある大ウスリー島など3島の国境画定を巡って両国は、「面積等分」という方式を使った。(18日 21:54)

:2009:02/19/09:55  ++  日ロ首脳会談 ロシア、経済協力前面に

【ユジノサハリンスク=坂井光】ロシア政府高官は今回の首脳会談について「サハリン2の液化天然ガス(LNG)工場稼働開始式典に合わせて開いたのは経済協力を日ロ関係の前面に据えようという戦略の一環だ」という。グルジア侵攻などで欧米との関係が冷え込み、中国も依然潜在的な脅威である中で、日本との関係改善を模索する思惑もある。

 ロシアの経済は金融危機と石油価格の下落で急速に悪化している。極東で予定するインフラ投資には日本の協力が欠かせない。プーチン首相は5月の訪日に際し日本企業と協力できる経済案件を提案する見通しだ。

 領土問題に対しては日ロ首脳が表向きは「独創的な手法」で解決を目指すことで一致したものの、ロシア側の強硬姿勢に変化はない。今年1月には日本の外務省職員のビザなし交流による北方四島への上陸に際し、出入国カードの提示を要求。4島の実効支配を見せつけたばかりだ。(18日 21:54)

:2009:02/18/09:39  ++  データセンター、日立が中国進出、まず上海で、初の海外展開。

日立製作所は企業の情報システムを代行運用するデータセンター事業で中国へ進出する。三月にも上海のデータセンター事業者から施設を借りてサービスを始め、年内に山東省に合弁会社を設けて自前施設を保有する。日本のIT(情報技術)投資が頭打ちとなるなか、年率一〇%程度の成長を続ける中国市場の開拓を急ぐ。
 上海で現地事業者が所有するデータセンターの一画を借り、主に中国に進出した日系企業からサーバーなどのIT機器を預かって運用を始める。
 山東省済南市に合弁会社「済南馳波タウンガステレコムデータサービス」を設け、年内に大規模データセンター(延べ床面積約一万平方メートル)を建設し二〇一〇年一月から稼働させる。新会社の資本金は六千八百万元(約九億一千万円)で、日立が約一五%、残りを香港のデータセンター事業者や中国企業が出資する。
 日系だけでなく中国企業からもIT機器を預かり、情報システムが安定稼働するよう代行運用する。日立は中国のデータセンター事業で〇九年度に約三億円、一一年度十億円の売り上げを狙う。
 日立はデータセンター事業を国内のみで実施し、海外では日系企業などの求めに応じて現地データセンターを紹介してきた。今回の中国市場参入が、初の海外進出となる。自前施設を現地に建設するのは珍しい。

:2009:02/17/12:15  ++  GDPマイナス12.7%、外需依存の成長岐路、米欧上回る打撃(景気がわかる)

輸出急減 生産・設備投資の調整最速
 内閣府が十六日発表した二〇〇八年十―十二月期の国内総生産(GDP)は前期比年率で一二・七%減となり、第一次石油危機以来の大きなマイナスとなった。世界経済の急速な落ち込みを背景に、輸出に急ブレーキがかかったのが主因だ。民間エコノミストの間では今年一―三月期も一〇%前後のマイナス成長との予想が多い。外需に大きく依存した日本経済の成長モデルも岐路に立っている。
 「マイナス一二%ショック」ともいえる日本経済の記録的なマイナス成長の大半は、海外需要の低迷に伴う輸出の減少で説明がつく。〇八年十―十二月期の実質GDPの前期比減少率の三・三%のうち、外需の寄与度はマイナス三ポイントに達した。
 内閣府の判定では今回の景気後退が始まったのは〇七年十一月。その前の〇二年二月から〇七年十月までの景気回復局面は六十九カ月と戦後最長になった。成長率の水準は低いながらも息の長い景気拡大が続いたのは、米国の過剰ともいえる強い消費と新興国の急成長というグローバル経済の拡大にあわせて、日本は自動車、電機など競争力が強い製造業が輸出を伸ばすという成長モデルが出来上がったからだ。
アジア急減速
 〇二年から〇八年の七年間で、実質GDPは一〇・四%拡大したが、そのうち外需の寄与度はほぼ半分の四・七ポイント。米国の〇・一ポイント、ユーロ圏の〇・八ポイントに比べ突出している。
 外需頼みの成長モデルは世界経済が急成長している時はいいが、逆回転が始まった時は打撃も大きい。十―十二月期の成長率の落ち込みが金融危機の震源である米国(前期比年率で三・八%減)よりも大きく、日本が主要七カ国(G7)の中で最悪となったのはこのためだ。
 経済をけん引する輸出が一部の産業に偏っていたことも経済の急ブレーキと無縁ではない。〇八年十―十二月期の日本の輸出額は約十七兆円。このうち六割を輸送用機器、電気機器、一般機械が占める。今回の世界の景気後退局面では、日本の輸出を支えてきた自動車やデジタル家電などへの需要が急速に冷え込んだ。
 製造業による外需主導の成長モデルを志向していた日本以外のアジアの国の成長にも急ブレーキがかかっている。「世界の工場」とされる中国の十―十二月期のGDPは前年同期比では六・八%増だが「前期比年率ではゼロ成長の見方が多い」(日銀の門間一夫調査統計局長、九日の日本記者クラブでの講演)。韓国のGDPも日本より落ち込みが大きい。日本の輸出は米欧向けの減少に加え、半導体など部品輸出が多いアジア向けも急激に落ち込んだ。
 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は今回の日本のGDPの急激な落ち込みについて「低金利と円安が後押しする輸出拡大のメカニズムが壊れ、日本の製造業は一気に調整に入った」と分析。「グローバル化の逆襲」と命名した。
個人消費も不振
 外需の冷え込みに日本の製造業が従来にない速いスピードで生産や設備投資の調整を進めたこともGDPの落ち込みを増幅した。十―十二月期は鉱工業生産は前期比一二%減と過去最大の落ち込み、設備投資は前期比五・三%減と七年ぶりのマイナス幅となった。
 雇用不安から消費者も財布のヒモを締めた。十―十二月期の個人消費は前期比〇・四%減だが、耐久財消費は同三・二%の大幅マイナスとなった。冬のボーナスも伸び悩み、百貨店などの年末商戦も不発に終わった。
 外需・内需とも冷え込み需要不足が拡大している。三菱UFJ証券景気循環研究所によると、需要と供給の差を示す需給ギャップは昨年までのゼロ―マイナス一%程度から足元ではマイナス五%前後にまで広がり、デフレが深刻だった一九九九年の水準に近づいているという。新たな需要創出と輸出に過度に依存する経済構造の改革が迫られている。
第1次石油危機(1974年)
インフレが家計圧迫 景気後退期は16ヵ月
 二〇〇八年十―十二月期の実質GDPは、第一次石油危機の影響で経済が急速に落ち込んだ一九七四年一―三月期以来約三十五年ぶりの大きなマイナスとなった。
 マイナス幅は似ているが当時とは違う面も多い。GDP項目別にみると七四年一―三月期は、個人消費が前期比六%減と大幅に落ち込んだ。石油危機で消費者物価が二二%上昇するなどインフレが家計を圧迫した。今回は輸出の急減が大幅マイナスの主因だ。
 景気後退の深さも異なる。七四年の実質成長率は一―三月期にマイナス一三・一%(前期比年率)を記録した後、四―六月期にはプラス二・九%に転じた。第一次石油危機の景気後退期間も十六カ月にとどまった。〇七年十一月から始まった現在の景気後退は今月で十六カ月になるが、回復の見通しは立っていない。

:2009:02/17/12:08  ++  岩国基地軍民共用、12年度メド再開。

政府は十六日、二〇一二年度をメドに在日米軍岩国基地(山口県岩国市)の滑走路を軍民共用化する方針を決めた。民間機の就航に伴う施設は国土交通省主体に整備する。同基地は一九五二年から六四年まで軍民共用で利用。地元の山口県などが早期の軍民共用再開を求めていた。整備に必要な事業費の国と地元との分担割合などは今後詰める。河村建夫官房長官は十六日の記者会見で「地元の要望を聞き入れながら進めていく」と述べた。

:2009:02/17/12:07  ++  日本経済マイナス12%の警鐘(上)雇用・環境、骨太の策を。

危機脱出、政治の責任重い
 日本経済はだれも経験したことのない未踏の領域に入りつつある。実質経済成長率は昨年十―十二月期に石油ショック時以来のマイナス一二・七%(前期比年率)を記録したが、今年一―三月期も二ケタマイナスが続く可能性が出てきた。
10兆円単位必要
 米国の金融危機が深まった昨年秋は対岸の火事という反応が多かった。いま直面しているのは、先進国で最も大きな津波が襲っているのは日本という冷徹な現実だ。
 「蒸発」と表現されるような輸出の急減が設備投資や雇用の削減を招き、消費を抑え込む。金融も萎縮する一方で、企業は資金の確保に追われる。
 手をこまぬいていれば悪循環に歯止めがかからなくなる恐れもある。パニックは禁物だが、財政、金融の両面から迅速で大胆な政策対応が求められる。「需給ギャップの急激な拡大を勘案すれば追加的な財政刺激策の規模は十兆円単位にならざるをえない」(民間エコノミスト)との声も出ている。
 その際に重要なのは政策の照準を明確に定めることだ。まず第一に雇用崩壊の阻止に全力をあげる必要がある。
 「二年間で失業率が三ポイント近く上昇、失業者が約二百万人増える恐れもある」。日本総合研究所はこう予測、緊急対策として非正規労働者や長期失業者を対象に職業訓練や生活支援費を賄う二兆円基金の創設を提唱する。
 再就職支援策に加えて急激な売り上げの減少によって人員削減を迫られる中小企業には、雇用維持のための助成金や金融支援を拡大すべきだ。
 昨年末の緊急対策では雇用対策に一・一兆円を充てている。だが、その大半は雇用保険料の引き下げ分で、明らかに力不足だ。雇用の確保は人々の不安を和らげ、消費の萎縮を防ぐ意味で重要な需要の下支え策になる。
 二つ目の柱は日本版グリーン・ニューディール政策だ。
 今回の世界不況は、太陽光など再生可能なエネルギーが核となる時代に移っていく大転換期と重なった。産業や経済構造もこれに合わせて変わっていかざるをえない点では、限りない需要が生まれる好機とみるべきだ。
 ばらまきになりがちな旧来型の公共事業ではなく、新エネルギーの利用拡大につながる分野に集中投資したらどうか。
 「国の隅々まできれいな代替エネルギーを供給する」。オバマ米大統領は景気対策の柱の一つに、風力など新エネルギーの利用促進に不可欠な新しい「賢い送電網」の整備を盛り込んだ。
迅速な対応こそ
 新しい環境に即した技術開発やインフラ整備を各国が競う時代の始まりだ。太陽光パネルの設置補助の拡大から電気自動車用の充電インフラの整備、省エネ家電への思い切った買い替え促進まで候補はいくらでもある。需要の誘発効果が大きいものを優先し、税制優遇、財政支出や規制を組み合わせた積極的な後押し策を打ち出すときだ。
 「協調行動によって(政策の)効果は高められる」。先週末に開いた七カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は、長期的な成長力を高める投資など迅速な対策の実施を各国に求めた。
 米国の景気対策の効果を待つだけの姿勢では「日本は米経済の回復にただ乗りしている」という理屈で保護主義的な措置を誘発しかねない。無策のツケは、開かれた世界の市場から果実を享受してきた日本経済に跳ね返ってきかねない。
 問題は、危機の深化や世界の動きに対して政治の感度が鈍いことだ。
 麻生太郎政権が昨年十二月に発表した緊急対策は予算審議の遅れもあり、実質的にはまだ機能していない。来年度予算の成立時期もまだ不透明だ。「司令塔の不在」が景気の先行き不安をかきたてている面は否めない。
 戦後最大の経済危機からの脱出に向けて、政治は責任を果たすことができるのか。日本はいま大きな岐路に立っている。

:2009:02/10/10:15  ++  日産、成長戦略を一時中断、国内正社員4000人削減。

日産自動車は二〇〇九年三月期の連結最終損益が大幅な赤字の見通しとなったのを受け世界規模で業績改善策に乗り出す。九日、国内一万二千人(うち正社員四千人)を含む二万人削減による労務費圧縮のほか、新車開発や設備投資の縮小、企業スポーツ活動休止などの対応策を発表した。一二年までの中期経営計画も一時中断し、成長戦略からコスト抑制にかじを切る。一九九〇年代後半の経営危機以来となる大規模リストラで、深刻な販売不振と円高の逆風に対応する。(1面参照)
 〇九年度末までに世界のグループ従業員を約九%(二万人)減らし二十一万五千人にする計画。一九九九年の「リバイバル・プラン」で打ち出した約二万一千人削減とほぼ同規模。昨年来の自動車不況で正社員の大規模な削減に踏み込むのは国内メーカーでは初めてで、人員の新規採用抑制などを軸に進める。
 国内外でワークシェアリング(仕事の分かち合い)の導入も検討する。日米欧の労務費を〇九年度中に〇八年度比で千七百五十億円圧縮し、フリー・キャッシュフロー(純現金収支)をプラスにするのが目標だ。
 またインドとモロッコで予定していた仏ルノーとの共同生産プロジェクトを延期・中断する。〇八年度の設備投資額は〇七年度実績に比べ千五十億円減らし、〇九年度は〇八年度からさらに五百四十億円以上を削減。成長分野と位置付ける電気自動車や新興国向けの低燃費・小型車の開発は継続する方針だ。
 経営体制も変更する。日産とルノーの最高経営責任者(CEO)を務めるゴーン氏が今年一月、欧州自動車工業会の会長に就任したため、九日付で志賀俊之最高執行責任者(COO)を実質的な社長に格上げ。新設する「チーフ・リカバリー・オフィサー(CRO)」にコリン・ドッジ常務執行役員が就任し経営改善の全般を指揮する。
 日産は九〇年代後半、経営破綻に直面し、ルノーから派遣されたゴーン氏が強力なリーダーシップで再建した。会見でゴーン氏は、「九九年の危機では日産がミスを犯したが、今は自動車業界全体が共通の危機に直面している」と語り、今回の業績悪化は外部環境の急変が主因と強調した。
 当面の優先課題は資金繰り対策で、政府の融資制度などを積極活用する方向で「相談している」(志賀COO)という。
 日産はトヨタ自動車やホンダより格付けが低く資金調達コストが他社より高くなることが予想される。今回のリストラは市場の拡大余地があった九〇年代後半と異なり、支出抑制による財務基盤の強化で生き残りを模索する守りの色彩が濃い。

:2009:02/10/10:02  ++  日産、最終赤字2650億円、今期見通し、世界で2万人削減。

日産自動車は九日、二〇〇九年三月期の連結決算で最終的なもうけを示す最終損益が二千六百五十億円の赤字(前期は四千八百二十二億円の黒字)になる見通しだと発表した。従来予想は前期比六七%減の千六百億円の黒字。販売減や円高が直撃し九期ぶりの最終赤字となる。今期末配当はゼロとし通期配当は十一円(前期は四十円)に下げる。業績悪化を受け中期経営計画を一時中断し、世界で二万人の従業員を削減するなど緊急の業績改善策を発表した。(関連記事11面に)
 日産は今期の世界販売台数を前期比一〇%減の三百三十八万二千台と計画に比べ四十万台弱引き下げた。売上高は二三%減の八兆三千億円に急減する。カルロス・ゴーン社長は記者会見で、「需要急減に円高や金融危機が重なる三重苦は経験したことがない」と述べた。
 営業損益は千八百億円の赤字(前期は七千九百八億円の黒字)で、昨年十月末の予想から四千五百億円悪化する。販売の低迷は深刻で、米国では販売台数が八十四万七千台と前期比二割減少。採算の良い大型車不振など車種構成の変化も響く。日欧も二割近く減り新興国とカナダを除く四地域で前年を割り込む。
 通期の想定為替レートは一ドル=九九・七円と、従来より三円超の円高に変えた。新興国の通貨安も響き、円高で想定より六百九億円の減益要因になる見通しだ。
 ゴーン社長は一〇年三月期の動向について「世界の全体需要は五千万台(今期は六千二百万台)に落ち込む可能性もある」とし、過去の景気後退局面と比べ厳しい状況にあるとの認識を示した。

:2009:02/10/10:00  ++  民間債務、ロシア、繰り延べ要請へ、外国銀と交渉、最大36兆円。

モスクワ=坂井光】ロシアが民間債務の返済繰り延べ交渉を欧州をはじめとする外国銀行に要請することが九日、明らかになった。銀行業界幹部によると、対象となるのは最大四千億ドル(約三十六兆円)。既に繰り延べの案を政府に提出した。交渉を始めることについては一部外国銀行の賛同を得ているという。昨年秋に金融危機が広がった後、民間債務の繰り延べを一括して要請するのは初めて。(関連記事9面に)
 ロシア最大の金融業界団体であるロシア地域銀行協会のアクサコフ会長が日本経済新聞に明らかにした。ロシアでは、金融危機の影響で資本流出が加速。対外債務支払い能力が低下する金融機関や民間企業が急増していることから、繰り延べ交渉を一括して進める構想が浮上した。
 同会長は「ロシアの銀行と企業が保有する対外債務の総額は約四千億ドルで(繰り延べ)対象となるのは多い方がいい」との期待を示した。ただ、具体的な内容については「まだ決まっていない」と説明した。
 同会長は金融界を代表してシュワロフ第一副首相あてに債務繰り延べを提案、承認を求めている。政府が直接、債務を保証して交渉の窓口を務める可能性もある。会長は「英最大手HSBC、ドイツ銀行など一部債権銀行は交渉開始を求めている」と説明した。
 金融危機で欧米の金融機関では経営悪化が深刻化している。債務繰り延べの内容によっては、さらに経営に打撃を受ける銀行が出てくる懸念もある。日本の金融機関のロシア向け融資額は明らかではないが、数百億ドル規模とみられている。