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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2009:09/17/10:50  ++  首相会見の要旨、無駄遣い一掃急ぐ、家計刺激する政策優先、財源7兆円の確保に自信。

家計刺激する政策を優先
 16日の鳩山由紀夫首相の記者会見の要旨は次の通り。(1面参照)
 ◆冒頭発言
 首相に選出された瞬間に日本の歴史が変わるという身震いするような感激と、一方で大変重い責任を負った。本当の意味での国民主権の世の中に変えなければいけない。先頭を切って仕事する強い責任も感じた。
 社民党、国民新党とともに、民主党が中心的な役割を果たしながら、連立政権で国民の期待に応える仕事を何としてもしなければならない。強い使命感を持って仕事に当たりたい。
 まだ歴史は本当の意味では変わっていない。本当の意味で変わるのは、これからの私たちの仕事いかんだ。今回の選挙で、国民の様々な怒り、不満、悲しみを全国各地でたくさんいただいた。その思いをしっかり受け止め、答えを出す大きな役割を担わねばならない。
 脱・官僚依存の政治を今こそ世の中に問い、実践しなければならない。政治家が主導権を握り、官僚の優秀な頭脳を使う政治をしていきたい。国民の心と接しているのは政治家だ。その気概を持ち、国民の様々な思いを受け止め、大きな船出をしたい。国民もただ一票を投じればよいという発想ではなく、政権にものを言い、参画をしてほしい。
 子ども手当の問題、ボロボロになった年金を正していくなどのテーマで財源をどうするかというと、まずは無駄遣いを一掃すべきだ。行政刷新会議をつくり、国家戦略局をつくり上げていきたい。国家的な大きな指針を見いだしながら国民の期待に応えたい。
 いろいろな試行錯誤の中で失敗をすることもあると思う。国民には寛容をいただきたい。まだ未知との遭遇で経験のない世界に飛び込んでいく。政治主導、国民主権、真の意味での地域主権の世の中をつくっていくために様々な試行実験を繰り返していかなければならない。国民が辛抱強く新しい政権を育ててくれれば幸いだ。
 国民の期待に応えられるような新しい政治をつくりたい。その思い一つで連立政権を樹立した。みんなでかみしめながらスタートしていきたいので、国民にも辛抱の中で指導、支援をいただきたい。
 【政権の優先課題】
 ――最重要視する政策課題は。
 「連立政権の合意をしっかりと実現していく。民主党としては子ども手当、(揮発油税の)暫定税率撤廃など、国民の家計を刺激する施策を真っ先に行う」
 【財源問題】
 ――子ども手当などの財源は。
 「行政刷新会議をすぐに稼働させ、各省庁に徹底的に無駄をなくす方向で努力を願いたい。初年度分7兆円余りは十分メドが立つと確信している」
 【補正予算の執行停止】
 ――補正予算の執行停止などで景気の腰折れも懸念される。
 「補正予算は徹底的に見直さなければいけない。予算の執行停止を求める部分も出てくる。しかし、地方の活性のために使っているものは続けて執行してほしい。既に地方で仕事しているものを止めれば相当大きな影響が出てきかねないので配慮する」
 【脱官僚政治】
 ――どのように脱官僚政治を実現させるか。
 「政治家が主導し意思決定を行うシステムをつくり上げる。いくつかの役所にまたがるプロジェクトは閣僚委員会で意思決定を行い、閣議で最終決定する。国家戦略局、行政刷新会議も政治主導だ。副大臣クラスにも、行政刷新会議の中で役割を担ってほしい」
 【来年度予算】
 ――概算要求基準(シーリング)を見直すのか。来年度予算は年内に編成するのか。
 「財務相、国家戦略局の菅直人担当相を中心に早急に議論を詰めていくのが基本的なスタンスだ。今までの手法はゼロベースで考え直していくので、シーリングのやり方なども基本的に考え直していきたい。年内編成ができるようなスケジュール感で臨んでいきたい」
 【日米関係】
 ――今月下旬の国連総会での日米首脳会談はどのような方針で臨むか。日米地位協定の改定は提案するのか。
 「オバマ大統領と信頼関係を構築することが第一歩。お互いに率直な意見交換をすることで信頼感を高めることが一番重要だ。地位協定などの問題の基本的な方針は変えるつもりはない。ただ、日米間の様々な懸案、安全保障関係の問題は包括的なレビューを少し時間をかけて行うことが重要ではないか」
 「(これまでは)日本が受け身的な日米関係になりつつあったが、能動的な立場で考えていることを率直に話し合える関係をつくり上げていき、その中で結論を導いていくように努力したい」
 【拉致問題】
 ――政府の北朝鮮による拉致問題への姿勢は。
 「拉致問題を現実的に解決に向けて進めていくことが肝要。拉致問題担当相を命じている。拉致問題をうまく展開させていくために努力を惜しまない」
 【国家戦略局】
 ――予算編成の司令塔は国家戦略局なのか、財務省なのか。
 「国家戦略局は予算の詳細な設計ではなく骨格の設計をする。その骨組みから精緻(せいち)な内容に仕立てあげるのが財務相、財務省の役割だ。ただ双方が無駄遣いを刷新する行政刷新会議とからんでくるので、3者が一体的に議論を進めながら役割分担をすべきだ」
 【西松建設巨額献金事件】
 ――首相は幹事長時代、西松建設巨額献金事件を巡り「国策捜査」と言ったが。
 「国策捜査という言葉を1度使ったが、2度は使わなかった。1度使ったことに対する反省の思いを含めてその言葉を遠慮している」
 【東アジア共同体構想】
 ――首相が提唱する東アジア共同体はどうやって国際社会に提起するのか。米国離れを懸念する声もある。
 「友愛の精神がスタートライン。特に東アジアでの共同体を中長期的に構想することは正しい道のりだ。その発想は米ドルや米国を除外するものではない。むしろその構想の先にアジア太平洋の共同体を構想すべきだ。構想は早い時期に国連などの場で頭出しくらいしたい」
 【故人献金問題】
 ――自身の政治資金虚偽記載問題が政権運営に与える影響は。
 「(自らの説明が)国民に理解をいただけていないことは事実だ。私なりの思いを国民にできるだけ正確に正直に伝えて、理解を深めてもらうよう努力したい」
【図・写真】就任後、初の記者会見に臨む鳩山首相(16日、首相官邸)
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:2009:09/17/10:43  ++  序列重視で摩擦回避、ベテランを要所に、論客抜てき、突破力期待(鳩山政権始動)

16日に発足した鳩山新内閣の顔ぶれは民間人や若手の抜てきなどの「サプライズ人事」はほとんどなく、ベテランの政策通を主要閣僚に配置する手堅い布陣となった。16年ぶりに誕生した非自民政権として、円滑な政権移行の実現を最優先した結果だ。ただ、党内の序列や勢力のバランスへの配慮もうかがえ、自民党時代と変わらぬ旧来型人事の色彩がにじんでいる。(1面参照)
 ■旧社会・民社系に配慮 今回の人事でのキーワードの一つが党内の序列とバランスの重視だ。小沢一郎幹事長と距離がある野田佳彦氏を中心とした中堅・若手グループを例外とすれば、すべてのグループから閣僚を起用し、挙党態勢への気遣いが見て取れる。
 党内のグループ別の入閣者をみると、鳩山、前原、旧民社党系、旧社会党系で2つずつポストを分け合った。旧民社党系と旧社会党系は今年5月の党代表選で事実上、まとまって鳩山由紀夫氏を支援しており、その論功との受け止めが大勢だ。一方で「非小沢」勢力の前原誠司国土交通相のグループも同様に処遇し、党内融和に目配りした。
 さらに川端達夫文部科学相、赤松広隆農相はそれぞれ旧民社党系と旧社会党系のリーダー格。両氏を閣僚に起用したのは「グループ内の序列への配慮もあった」との見方がある。
 自民党政権の平均に比べると、参院からの入閣者も多い。福島瑞穂社民党党首を含めると4人で、2007年の参院選で政権交代のきっかけをつくったことを考慮したとみられる。
 ■省庁は戦々恐々 バランスを重視する一方で、新政権がめざす「脱官僚」の鍵を握る閣僚ポストには中堅を抜てきするなど、民主党色を発揮しようとした。
 その典型例が「ミスター年金」の異名を持つ長妻昭厚生労働相。消えた年金問題をはじめ、「居酒屋タクシー」など官僚不祥事を追及する急先鋒(せんぽう)だった。厚労相ポストは長妻氏本人が希望していたとされる。「これからが大変」。厚労省幹部からは対決を警戒する声が漏れている。
 情報分野に詳しい中堅の原口一博氏の総務相への起用も、同様の流れに沿った人事といえる。
 菅直人氏の国家戦略担当相への就任は、中央官庁との“戦闘能力”を期待された結果だ。菅氏はかねて国家戦略局に関する制度設計を側近議員らと検討し、入念に準備を進めてきた。まずは来年度予算編成に向けた基本方針の策定が課題となるが、各省庁は戦々恐々だ。
 ■平均年齢、麻生内閣上回る 自民党の小泉純一郎内閣での竹中平蔵氏など歴代の内閣では民間人を目玉人事として入閣させることが多かったが、今回はゼロ。平均年齢も60・7歳で、麻生内閣発足時の58・2歳を上回った。最年長は77歳の藤井裕久財務相、最年少は前原氏の47歳で、30代からの登用はなかった。
 衆院出身閣僚の平均当選回数は7・2回と自民党政権時代に「入閣適齢期」とされた当選5回を大きく上回った。当選11回の中井洽国家公安委員長、10回の菅氏らが引き上げており、ベテラン議員の経験を重視したことがうかがえる。
 もっとも来年には参院選を控えており、1年以内には内閣改造があるとの見方が大勢。党内では早くも「本格的な民主党内閣は参院選後になる」(民主党ベテラン議員)との見方も出ている。

:2009:09/17/10:34  ++  検証鳩山一郎政権(上)「小沢蜜月」どこまで――4度の会談人事動かす。

野党第1党からの政権交代を果たした民主党の鳩山由紀夫政権が16日、始動した。8月30日の衆院選圧勝後から、鳩山氏の人事を巡る発言は揺れ動いた。節目となったのは小沢一郎幹事長との4度の会談で、小沢氏と連携する参院民主党も影響力を行使した。「鳩山・一郎政権」の17日間を検証する。
 「一気に首相指名後に決めるのが閣僚人事だ」 8月31日未明の記者会見。鳩山氏は政権発足まで閣僚人事は確定させないと断言した。すでにこの時点で火種はくすぶっていた。
 「何のための幹部会だ。まず幹事長から決めろ」。会見の数時間前、鳩山氏と党執行部との幹部会で、輿石東参院議員会長は迫った。巨大勢力となった民主党を差配するのは幹事長ポスト。輿石氏の発言は、政権交代の原動力となった小沢氏の幹事長起用を早めに発表すべきだとの催促だった。
 だが鳩山氏は幹事長を発表しない。党内には「岡田克也氏の留任か」との憶測も飛び交った。「閣僚にかわりはいるが、幹事長ができるのは一人しかいない。小沢幹事長だ」。再び、輿石氏は鳩山氏に促した。9月3日夜、鳩山氏は小沢氏に幹事長就任を要請した。会談は予定から2時間遅れ、10分間で終わった。「これでいいですか」と鳩山氏は輿石氏に電話した。
 「党務は幹事長にしっかりやってもらいますと申し上げた」「一任するのではなくて、案を任せたいということだ」
 5日。2度目の小沢氏との会談後、鳩山氏は記者団に語った。だが小沢氏はその2時間前、記者団に「国会や党のことについては、人事も含めて幹事長に任せるからしっかりやってくれ、という結論だ」と表明していた。2人の発言は微妙に食い違った。
 国会の常任委員長や党の役職は内閣の人事と切り離せない。国会・党の人事一任は、閣僚人事の主導権も事実上、小沢氏が握ると党内の多数が受け止めた。菅直人国家戦略担当相、岡田外相は内定したが、藤井裕久財務相は確定しなかった。「小沢氏側が難色を示しているのでは」との疑心暗鬼がうず巻いた。
 当の小沢氏が7日、連合幹部との会合で話したのは、選挙のことばかりだった。
 「15日になってしまう」 10日、鳩山氏は3たび小沢氏と会談した後、12日までに固めるとしてきた人事が遅れると発言した。この直前、自らを支持するグループとの会合では「小沢さん、菅さん、岡田さんの人事以外は伝えていない」「皆さんには我慢してほしい」と胸のうちを明かした。小沢氏の意向を忖度(そんたく)したのか、調整は遅々として進まなかった。
 「一部、話を申し上げて理解をいただいた」 組閣が翌々日に迫った14日、鳩山氏は小沢氏と4度目の会談に臨んだ。会談時間は12分。ようやく「藤井財務相」が確定した。
 翌15日夜。小沢氏は都内のホテルにある日本料理店で労組幹部と会食した。「内閣には好きなところをとっていいと言ったんだ」と人事を振り返った小沢氏は「いまだに国家戦略局が何をするのか分からない」とも語ったという。
 小沢氏と連携し、連合が基盤でもある参院は3人の閣僚を送り込んだ。労組幹部は「小沢さんが政策に関与しないとは、何も分かっていない人が言うことだ。法案の生殺与奪の権は、国会で小沢さんが握っている」とみる。
 「久しぶりだなあ」。16日、小沢氏は国会2階で民主党幹事長室になる予定の部屋に足を運び、つぶやいた。20年前、47歳で自民党幹事長に就任して「剛腕」と名をはせ、執務したのと同じ場所である。入り口には、まだ「自由民主党」の表札がかかっていた。

:2009:09/15/11:31  ++  携帯統合、海外に活路、NEC・カシオ・日立、新社設立発表―再編加速も。

NECとカシオ計算機、日立製作所の3社は14日、携帯電話事業を統合し、来年4月に共同出資会社「NECカシオ モバイルコミュニケーションズ」を設立すると発表した。国内市場の低迷が続くなか、3社は互いの強みを統合。海外進出に生き残りの活路を見いだす狙いだ。今回の3社による事業統合が端末メーカーの一層の再編を促す可能性もある。
 NECは今年末までに受け皿となる全額出資子会社を設立し同社の携帯電話事業を2010年4月に統合。その上でカシオと日立が04年4月に設立した端末開発の共同出資会社、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ(東京・東大和市)を吸収合併する。資本金50億円。出資比率はNEC70・74%、カシオ20%、日立9・26%。社長はNECが指名し、従業員は約1300人の見込み。
 新会社では携帯電話の商品企画から開発、生産、販売、保守までを手掛ける。NECは新会社の下に生産子会社のNEC埼玉を置くが、カシオと日立の生産子会社(山形カシオ、東海テック)でも当面は生産する方針。NEC、カシオ、日立の商品ブランドも残す。
 新会社では「国内シェア1位の早期実現を目指す」(NECの大武章人・取締役執行役員専務)。調査会社のMM総研(東京・港)によると、08年度出荷台数シェアは3位のNECと7位のカシオ日立モバイルの合計で19・3%と、首位のシャープに次ぐ勢力になる。
 NECは携帯の無線通信や薄型小型化技術、カシオは防水・耐衝撃技術やデジタルカメラ技術、日立は映像処理技術などで強みを持つ。3社の技術を組み合わせ、新たな付加価値を提案する。
 海外展開も大きな柱に据える。国内市場は出荷台数の大幅減で、早い回復を見込めないからだ。
 カシオは米携帯電話最大手のベライゾン・ワイヤレスや韓国のLGテレコム向けに端末を供給しており、特に北米で防水・耐衝撃性に優れた端末の販売が好調。これを足掛かりに北米への提供を強化し、現地の携帯電話会社ブランドで売る。現在160万~170万台程度の海外向け販売台数を12年度に500万台程度にまで増やす計画だ。
 ただ、新会社が「12年度に国内外で1200万台」の計画を実現しても世界シェアは1%程度。シェア40%弱のフィンランドのノキアや、急成長中の韓国メーカーに遠く及ばない。コスト競争力や商品企画力などの一段の強化が急務だ。

:2009:09/15/11:09  ++  基軸通貨ドルの信認問う金の最高値(社説)

金の国際価格が上昇している。指標となるニューヨーク先物は先週末の終値が昨年3月の水準を上回り、終値での史上最高値を更新した。金価格の上昇は、金融・経済危機の中で米国が財政規律にも気を配り、基軸通貨ドルの信認を維持できるかどうかを問う。
 米国がドルと金の交換をやめた1971年のニクソン・ショックから、金のドル建て価格はドルの信認と逆相関にある。金価格は1999年に1トロイオンス(約31グラム)252ドル台の安値を付けた。95年に就任したルービン米財務長官が強いドル政策を世界に浸透させ、ドルの信認が直近のピークに達したからだ。
 米国は2001年の同時テロで揺らいだ威信をいったん取り戻したが、金融・経済危機がドルの信認を低下させた。足元の金価格は一時1000ドルを超え、99年安値の4倍の水準にある。希少性や輝きに起因する金の安定した価値から見れば、ドルの価値は4分の1に落ちた。
 米国をはじめ世界各国は金融・経済危機を封じ込めるため、空前の金融緩和と財政出動に踏み切った。だが財政赤字の膨張は、将来のインフレ懸念や通貨不安を台頭させた。米当局は金融機関向けの緊急融資枠を縮小するなど緊急対策の縮小に動くものの、金融・財政政策を平時に戻す「出口戦略」は依然見えない。
 金価格の上昇は金融市場の緊張が緩み、ドルに回帰していた過剰マネーが国際商品や新興国市場に向かい始めた側面もある。ただ20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が5日、財政拡大や金融緩和の継続で合意すると金の値上がりは加速した。市場がドルの信認維持へ疑問を強めた証拠だ。
 欧米投資家は昨年から金や金価格に連動した上場投資信託(ETF)に資産を移動している。米国債の保有額で世界最大の中国人民銀行(中央銀行)も今年、自国で産出した金を外貨準備に組み入れ、金保有量を1054トンと8割近く増やした。
 ドルの対ユーロ相場は昨秋の1ユーロ=1・25ドル前後から1・45ドル台に下落したが、ユーロにもドルに代わる力はまだない。基軸通貨のドルが急落すれば、最悪期を脱しつつある世界経済に波乱要因となる。
 ドル安は石油需要が低迷する中でも原油価格を1バレル70ドル前後まで押し上げ、円相場は1ドル=90円台に上昇した。急速な円高懸念は14日の東京市場で株価を急落させた。金融・経済危機の克服は最大の課題だが、各国は財政規律と通貨の信認を維持する努力も欠かせない。

:2009:09/15/11:04  ++  麻生内閣、358日で幕へ、あす午前に総辞職、解散機会、何度も逃す。

 麻生太郎首相は16日午前に内閣を総辞職し、麻生内閣は358日で幕を閉じる。米リーマン・ショックから15日でちょうど1年。景気対策最優先にこだわるあまり、政権運営は終始攻めの姿勢を欠き衆院解散の機会を何度も逸した。景気回復の兆しは見え始めたが、自民党は衆院選惨敗で比較第1党の座から転落。政権復帰の戦略も見つからないまま、1993~94年以来の野党生活が始まる。
 当初は就任直後の内閣支持率の高いうちに衆院を解散しようと模索した首相。最大の誤算は、大規模な経済対策が支持率維持に結びつくとの自負から解散先送りを選んだことだ。解散を先送りするうちに失言が相次ぎ、施政者にとって大切な有権者からの共感を一気に失った。
 「政局より政策」の方針にこだわり、低迷する支持率を高める戦略もなかった。西松建設の巨額献金事件を巡り、当時の小沢一郎民主党代表が代表を辞任した時は景気対策に固執。解散直前には一度検討した党役員人事なども見送った。
 支持率低迷は小泉政権以来すっかり人気頼みになっていた自民党内を動揺させた。相次ぐ露骨な「麻生降ろし」が党内の一体感を損ねさせ、衆院選での世論の自民党離れの一因となった。
 皮肉なことに、首相がこだわった大規模な財政支出を伴う景気対策は今になって芽を出し始めた。2009年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は5四半期ぶりにプラスに転じた。「景気回復はこれからという時に政権を引き渡すのが残念だ」。選挙期間中、首相がつぶやくのを首相周辺は何度も聞いた。
 「昨秋に解散していれば衆院選でこれほど負けなかっただろうが、経済対策はできなかった」。首相が9日、首相官邸を訪れた海洋政策研究財団の秋山昌広会長に語った言葉には選挙で負けた後悔よりも「景気対策は必ず後世評価される」との思いがにじむ。
 ただ、そのために自民党が払った代償は大きい。93年の下野時には約10カ月で政権復帰したが、今回はすんなりとはいかなさそうだ。前回は野党とはいえ衆院で比較第1党だったが、今回は比較第2党に転落。党内には政権復帰の戦略を練る策士も見当たらない。

:2009:09/15/10:55  ++  リーマンショック1年(上)ウォール街薄れる教訓――危機再発の芽消えず。

世界経済を震え上がらせた米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻から1年がたつ。「100年に1度」の経済危機を経て、世界はどこに向かうのか。
ノルマ主義排す
 ウォール街で、社員230人の投資銀行「モエリス」が奮闘している。設立2年にもかかわらず、米企業へのM&A(合併・買収)助言で今年23位。上位をねらう位置に来た。
 同社には収益目標がない。欧州系投資銀行トップの座を投げ出して創業したケン・モエリス氏(51)が、目標達成度で社員報酬を決めるウォール街流のノルマ主義を排した。企業は経営環境に応じてM&Aを考える。賞与前の実績作りのために買収を強いる銀行家の姿は、身勝手と映った。
 「顧客への助言内容だけを評価する」と説く同氏が集めた社員はこの1年だけで100人。苦境のメリルリンチやシティグループからも幹部を採用した。「数年で社員はさらに倍増する」とモエリス氏は業界の意識変化に期待をつなぐ。
 世界最大の資本市場を担うウォール街。だが、金もうけ優先の風潮は暴走した。自己資本の30倍もの負債を背負って住宅投資に走ったリーマンの末路は、資本主義経済の心臓部に潜む暗部を浮かび上がらせた。
 リーマン破綻が「ショック」といわれるのは、瞬く間に地球規模で広がった危機の起点だからだ。長年膨らみ続けた信用バブルは、ついにはじけた。
 米国の負債総額は、1980年の国内総生産(GDP)比1・6倍から、昨年は3・7倍まで拡大した。リーマン破綻が招いた貸し渋りは、安易に借金をして消費してきた人たちに行動規範の是正を迫った。世界のGDPの2割近くを担う米個人消費が落ち込み、日本など対米輸出に頼る国々が危機のドミノに陥った。
 1年後の今も、危機の芽は消えていない。
 まず金融システム。「来年までに500以上の米地銀が破綻する」。破綻企業の買収と再生で「倒産王」の異名を持つ米投資家、ウィルバー・ロス氏(71)は断言する。5月には行き詰まったフロリダ最大手の地銀に投資したばかりだ。
新たな「爆弾」
 読みの背景には、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が「新たな爆弾」と警戒する1兆ドルを超す商業用不動産向け融資の不良化がある。地銀最大の収益源だった地元ショッピングセンターへの融資は年初から100近い地銀が行き詰まる爆弾に転じた。
 そして、米国の個人消費の低迷でけん引役を欠く世界経済。自動車販売世界一が視野に入ってきた中国の内需への期待もあるが、中国経済は資産バブル懸念など危うさもはらむ。
 再びウォール街。ダウ工業株30種平均は今年3月につけたリーマン破綻後の安値から5割上げ、危機感も薄れてきた。ゴールドマン・サックスは4~6月期に過去最高益を出し、今年前半の1人当たりの報酬が2年前の水準に回復した。
 政府傘下の金融機関の巨額報酬まで表面化、危機の元凶とされた複雑な金融商品の販売も再開した。モエリス氏は「報酬欲しさに昔の経営に戻りたい人々が頭をもたげてきた」という。
 ハイリスク・ハイリターンを好むウォール街の文化は良くも悪くも「アニマル・スピリット」と呼ばれてきた。将来の成長を見越して金融機関がリスクを承知で投融資を手がけるのは、資本主義経済にとって欠かせないことでもある。
 前向きな姿勢は凍り付いた経済が動き出すエンジンなのか、どん底の恐怖を忘れてうごめき始めた暴走の一歩なのか――。2つの顔をちらつかせながら再生に向けて歩き出したウォール街。その動向は世界経済の行方も左右する。

:2009:09/14/16:01  ++  【狙われる日本の水】(上)見えない敵から守れ 新たなビジネス

 「よく分からないんですが…」。東京・霞が関の林野庁。幹部は首をひねりながら話し始めた。「中国人らしき人物が、山奥の山林の値段を聞きに来たというんですよ」

 林野庁には昨年から、こうした類の話が寄せられている。三重県など各地の山奥で、中国系企業が森林の高値買収に動いているというのだ。

 山林は都市開発ができず、国産木材の価格も長期的に低迷しているため、買収のメリットは薄い。考えられるのは「水」だという。森林の地下には地下水脈がある。それが海外資本のターゲットになっている可能性が指摘されている。

 「水が豊かな日本にいたら気づきにくいが、現代は世界各国が水を求めて争う時代。日本の水をくみ上げ、大型船で海外へ大量に輸出するということも、ビジネスになる時代だ」

 ある商社幹部はこう話す。実際に日本のミネラルウオーターを中国の富裕層向けに販売するビジネスは、一部の日本企業で始まっている。そこに中国系企業が参入しても、まったく不思議ではない。

 林野庁は調査に乗り出したが、結局その実態は分からなかった。「中国系企業は土地をブローカーに買収させるから、企業本体は姿を見せない。見えない相手が、いま『日本の水』を狙っている」。商社幹部はこう警鐘を鳴らす。

                   ◇

 標高2967メートルの甲斐駒ケ岳がそびえ、山々が連なる南アルプス。山すその鬱蒼(うっそう)とした森の中に、サントリーのナチュラルミネラルウオーター「天然水 南アルプス」を生産する白州水工場はある。毎分350~700本のペースで、ペットボトルに水が詰められていく。ボトルはベルトコンベヤー上を流れていくうちに、次々とラベルが張られ、箱詰めにされていく。

 「この“おいしい”水は、山と森が育てているのです」。高林正道工場長は、そう話す。

 「天然水」は、地上にわき出る水や川から取るのではなく、地中約100メートルからくみ上げられる。森の柔らかい土に、山に降った雪や雨がしみ込み、土の下の花崗岩(かこうがん)に浸透していく。岩に含まれるマグネシウムやカリウムといったミネラルの成分が溶け込んだ水が地下水脈を作るのだ。まさに山と森林が水を生んでいる。

 地下水脈を生む山林は「水源林」「水源涵養(かんよう)林」と呼ばれる。ペットボトルで販売されている「名水」にはさまざまあるが、「ナチュラルミネラルウオーター」は、こうした地下水脈を純粋にくみ取りった水でなければならない。

 地上の空気に触れた水は、水中の成分が腐りやすくなるため塩素消毒が必要となる。そうした水は水道水と同じ「ボトルドウオーター」に分類される。人工的にミネラルを加えれば、「ナチュラル-」ではなく、それはただの「ミネラルウオーター」だ。

                   ◇

 実はこの水源林と地下水脈は常に荒廃の危機にさらされている。

 「法律上、水源林の所有者は際限なく水をくみあげられるし、水源林を保護する義務もない」

 サントリーの工場がある山梨県北杜(ほくと)市の担当者は、こう問題点を指摘する。同市ではサントリーを含め、5業者がこうした水を使って飲料水や食品を生産しているが、もし悪質な業者が、過度に水をくみ上げれば地下の空洞化と地盤沈下につながる。水源林が荒廃すれば、水は枯渇する。

 「水源林と水を守っているのは、自治体と業者の自主的な努力。しかし、協力しない業者が出てきたら、どうするべきか」。北杜市の担当者は不安を口にした。市では、独自条例で井戸採掘を許可制にしているほか、サントリーなど業者側もくみ上げ量を自主規制し、森林保護に取り組むなどしているが、協力しない業者が現れた場合、対策はいまのところないのが現状だ。「水源林を買い取ろうとする業者には注意が必要。日本の環境やルールに関心が薄い外国企業が現れることにも目を光らせないといけない。ただ、自主努力には限界もある。国の法整備が必要な時期に来ているかもしれない」

 北杜市の担当者はこう話した。(菅原慎太郎)

                   ◇

 地球上には14億立方キロメートルの水があるとされる。だが、その大半は海水や氷河で、人間が利用できるのはわずか0・3%に過ぎない。人口増大に伴い、いま世界では水需要が飛躍的に拡大している。昔から水の豊かな国として知られてきた日本。その貴重な資源が狙われている。

:2009:09/08/10:32  ++  【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】自民党再生への提言(下)健全な保守政党に

第2に外交・安全保障政策に大きな影響を与える「歴史認識」の見直しです。たとえば先の大戦について「侵略」と断定し、「おわびの気持ち」を表明した平成7年の「村山談話」と、従軍慰安婦問題について「数多くの慰安婦が存在した」と断じた平成5年の「河野談話」の問題があります。

 私はこの2つの談話には大いに問題があると思うのですが、自民党の歴代内閣は「継承する」と表明し、政府見解となっています。これに不満を持っている保守層は多いのですが、自民党政権は見直すことはせず、今回のマニフェストでも全く言及しませんでした。

 第3に将来の日本のために重要な「教育」です。マニフェストには「道徳教育や伝統文化教育の強化」という文言がかろうじて書いてあるだけで、とても保守層が満足する内容にはなっていません。政権担当時も、日教組の影響が依然として強い教育現場や、教育界の官僚主義化などの改革に、本気で取り組んできたとはいえません。

 自民党が「保守政党」に生まれ変わるためのポイントはまだまだありますが、今回は重要だと思うこの3点にとどめておきます。私は日本国民の多くは「健全な保守層」になってきていると思っています。そうした人々が「やはり支持できるのは自民党だ」という政党になることこそ、自民党再生の道だと思うのです。

 最後に提言したいのは「候補者公募制の徹底と予備選の導入」です。自民党は候補者選定にあたって、「現職優先」の方針をとり、世襲も容認、わずかな空白区に限って候補者公募を実施してきましたが、その結果、有権者から見て「魅力ある候補者」が少なくなってしまいました。それも今回の大きな敗因だと思います。

 現職がいようと、候補者になりたいという人を広く公募し、厳格に審査して何人かに絞り、予備選を実施して最終的に候補者を決めれば、強くて魅力ある候補者が選ばれるはずです。その結果、現職が候補者になれなくてもやむをえません。そういう現職は実際の選挙でも勝てないでしょうから。

 私はこの「候補者公募制と予備選の導入」をやれた政党が今後、強くなると思います。おそらく民主党はまだこれを徹底することはできないと思うので、自民党にとってはチャンスです。総裁選に出馬する候補者は、これをぜひ掲げてほしいと思います。

 私が自民党の再生を願うのは、「政権交代可能な政治」を実現し、国会に緊張感を生むとともに、政権与党が失政を行った場合は、いつでも有権者の一票で政権を代えることができるようにするためです。

 自民党は党の再生に取り組まなければ今後、単なる「批判野党」に堕してしまう恐れがあります。健全な保守の立場からの批判ならば評価されるでしょうが、批判のための批判を繰り返していては、民主党政権に多少のダメージは与えられても、政権奪回はできないでしょう。

 時には自民党が保守の立場から法案を出し、民主党政権にのませて成立させるということも必要でしょう。民主党内にも保守系の議員が多くいますから、必要な法案なら成立するでしょう。こうした建設的な行動は自民党の再評価につながります。

 民主党は衆院で308議席を獲得、参院でも来年夏の参院選によっては単独過半数を占める可能性があります。そうなれば政権奪回は容易なことではありません。10年、20年、もっとかかるかもしれません。だからこそ、自民党は腰をすえて本質的な党再生に踏み出す必要があるのです。

:2009:09/08/10:27  ++  【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】自民党再生への提言(上)首相指名の前に総裁選出を

衆院選が歴史的な民主党の圧勝、自民党の惨敗に終わったことで、政権を失うことになった自民党内には、落胆ムードが漂っています。しかし、こういう結果が出た今こそ、自民党は真摯(しんし)に反省して、伝統ある党としての誇りを取り戻し、再生に向けて早くスタートを切ってほしいものです。

 日本に必要なのは、今回のように「政権交代可能な緊張感のある政治」です。そのためにも、自民党は民主党と政権をかけて対抗しうる政党であり続ける必要があります。偉そうに言うつもりはありませんが、その願いを込めて、自民党再生に向けた私なりの提言を書いてみたいと思います。

 まず最初に言いたいことは、自民党は首相指名選挙の前に総裁を決めるべきだということです。自民党執行部は、総裁選を首相指名選挙後の18日に告示、28日に投開票とする日程を決めました。これは大いに問題があります。現に自民党内では首相指名選挙をめぐって、「麻生太郎」と書くのか、白紙で投票するのかなど、さまざまなことが言われ、混乱しています。

 しかし、麻生総裁は衆院選敗北の責任をとって辞任することを表明しており、その人の名前を書くことは政治的に筋が通らない話で、自民党議員の多くも「今さら麻生とは書けない」という声がほとんどです。一方、白紙で投票するのは、首相指名選挙を放棄したことになります。議院内閣制において、国会議員は有権者を代表して首相を指名する責任をもっており、それを放棄することは衆院選で自民党に投票してくれた有権者への背信行為になります。

 「『自民党総裁』と書けばいい」などという“奇策”も言われたりしていますが、いずれにしても国会議員としての責任を果たしたことになりません。ここは首相指名選挙に先立って、総裁を国会議員の判断で選ぶべきです。

 「党員の声も聞かなければならない」という意見もありますが、先に述べたように国会議員には有権者を代表して首相を選ぶ責任があるのですから、国会議員の投票で次期総裁を決めればいいと思います。

 もし首相指名選挙で自民党内がばらばらな行動をとったら、最初から党の再生はつまずきます。場合によっては「鳩山由紀夫」と書く議員が出るかもしれません。その後に総裁選を行ったとしても、再生への道は遠いでしょう。

 まだ間に合います。自民党は首相指名選挙の前に総裁を決めるべきです。党内では「総裁選挙とは別に首相指名選挙で投票する候補を決めよう」という動きが出ています。それも本当は邪道ですが、この際はやむをえません。少なくともそうすべきでしょう。
 次に言いたいことは、自民党が本来の支持基盤としてきた「保守層」に評価される「真の保守政党」に生まれ変わるということです。今回の衆院選の最大の敗因は、自民党から「保守層」が離れたことです。産経新聞社が8月30日に行った出口調査によると、過去4回の衆院選選挙区で全勝してきた自民党候補70人のうち、選挙区で敗れた40人の多くは、自民党支持者の3割以上を民主党など他党の候補に奪われていたことが分かりました。

 従来の自民党支持者、つまり「保守層」から愛想をつかされたことが、敗北につながったわけです。もちろん無党派層の政権交代願望が、選挙結果を大きく左右したのは間違いありませんが、無党派層の票の行方はその時々の選挙で変わります。まずは自らの政党の基盤を固めておくことが重要なのです。

 しかし、現在の自民党は、残念ながら「保守層」に期待される政党ではなくなってしまっています。具体的に指摘すると、第1に安全保障面では「集団的自衛権の解釈の見直し」です。この必要性は保守層から長らく指摘されてきましたが、自民党政権は手をつけずに来ました。衆院選のマニフェストでも「米艦船の防護が可能となるよう、安全保障上の必要な手当て行う」との抽象的な表現にとどまってしまいました。

:2009:08/31/10:34  ++  あえて言う「消えるな!自民」 政治部長・乾正人

 8・30総選挙は、凄(すさ)まじい、という表現が陳腐に感じられる結末となった。

 民主党などの刺客候補が、元首相を含む自民党や公明党の幹部をバッタバッタと斬(き)っていくさまは、民主党に一票をいれた有権者には痛快時代劇を見るようだったろう。政権交代を掲げた民主が善玉で、既得権益にまみれた与党が悪玉というわけだ。

 「何の政治経験もない若造になぜオレが負けたのか」と納得いかないベテラン候補も数多いだろう。確かに刺客の多くは、今年に入ってから擁立され、公示日の3週間前に決まった候補さえいる。何人かの演説を聞いたが、拍手もまばらで「政権交代」以外に心に響いてくるものがなかった。

 実は、それこそが、良くも悪くも候補より政党が主役の小選挙区制の特性なのである。4年前の郵政選挙で「小泉チルドレン」と呼ばれる新人議員が大量に生まれたのと同じ現象が起こっただけの話である。

 果たしてそれが良いことかどうかの議論はひとまず置く。

 客観的にいえば、昭和63年に明るみに出たリクルート事件に端を発した政治改革運動のひとつの到達点である二大政党による「政権交代」が、20年の歳月を経て実現したといえる。

 政治改革運動の主柱である小選挙区比例代表並立制導入の立役者だった小沢一郎氏が、民主党代表代行として政権交代の原動力となったのは偶然ではない。一方で、小沢氏が自民党幹事長として支え、小選挙区制導入に熱心だった海部俊樹元首相が民主党候補に大敗した事実には、歴史の皮肉と政治の酷薄さを感じざるを得ない。

 自民党がなぜ歴史的敗北を喫したかは、7月の都議選大敗以来、折に触れて書いてきた通りである。「100年に1度」の経済危機への対応が十分でないと多くの有権者が感じ、年金・医療への不安を解消できなかった。

 郵政民営化をはじめとする「小泉改革」を推進するのか、大幅に見直すかも党として結論を出せず、中途半端なままだった。

 しかも麻生太郎首相は、古くからの自民党支持者の心をつなぎ留めることもできなかった。これまた何度も書くが、靖国神社を終戦記念日に参拝しなかったことへの保守層の失望は大きい。出口調査では、自民党支持者の約3割が民主党に投票している。つまり、時々の風に流されやすい無党派層だけではなく、自民党の常連まで愛想を尽かしたというわけだ。

 自民党は負けるべくして負けた。それより問題なのは、かつてない敗北を喫した自民党の行く末である。

 党の理念にではなく、商売上の利益をもたらしてくれるだろうとの期待感で物心両面から自民党を支持してきた業界団体は、早晩、民主党に走るだろう。既にその兆候は顕著に出ている。

 人材面での課題も深刻だ。辛うじて徳俵で残ったのは、ほとんどがベテランで、小泉チルドレンは多くが落選、新人もほとんどいない。よほど抜本的な党改革を断行し、新人候補を発掘しない限り、恐らくは4年後になる次回総選挙での巻き返しは絶望的だ。

 政治改革運動は、民主党政権樹立で終わりであってはならない。

 むろん、有権者から圧倒的な支持を得た民主党には、しっかりと国政にあたってほしい。ただ、残念ながら、政党の背骨ともいえる党綱領を持たず、安全保障政策も定かでない民主党がつまずく可能性はかなり高い、と私は思う。

 その際に政権交代可能な政党がないと、日本の議会制民主主義は大きな危機を迎える。民主党が緊張感を持って政権運営にあたるためにも、あえて「消えるな! 自民党」とエールを送りたい。

:2009:08/31/10:30  ++  【自公落城】(上)奈落の底に漂う虚脱感

歴史的な大勝を果たした郵政選挙から4年、自民党は一転して奈落に突き落とされた。小泉純一郎元首相の「自民党をぶっつぶす」との言葉は8年を経て現実となったが、あまりの惨敗に党執行部は茫然(ぼうぜん)自失の状態となっており、党再生に動き出すにはまだ時間がかかりそうだ。半世紀にわたり、ほぼ政権の座を独占してきた巨大政党がこれほどもろく崩れるのか-。

 30日の自民党本部は不気味な静けさに包まれた。4階の記者会見場は投開票日用に改装され、自民党公認候補の名前を書いた真っ白な開票ボードが掲げられたが、国会議員の出入りはほとんどなく、党職員らが足早に出入りするだけ。午後になり、マスコミ各社の出口調査の途中経過が漏れ伝わるとますます重い空気が広がった。

 午後7時、細田博之幹事長が険しい表情で党本部に入った。記者団に「結果が分かるまで何も言えない」とだけ語り、幹事長室にこもった。45分後、細田氏は裏口からひそかに党本部を抜け、首相公邸に入った。辞意を伝えるためだった。

 午後8時、投票が締め切られたが、記者会見場に現れたのは菅義偉選対副委員長1人のみ。テレビ各社が自民党惨敗の出口調査結果を次々に報じると「まさかと思っていたが、これが現実なのか。目に見えない地殻変動が起きていたのではないか。私たちは国民目線から遠くなっていたのか」と絶句した。
 細田氏が首相公邸から党本部に戻ってきたのは午後8時半すぎ。厳しい表情で記者会見場に入り、おもむろに開票ボードに赤いバラを付け始めた。党職員がパラパラと拍手し、後は再び「お通夜」のような沈黙が続いた。

 首相が党本部入りしたのは午後10時。1階エントランスで記者が「この結果をどう受け止めますか」と声をかけたが、厳しい表情を崩さず、右手を軽く挙げて職員らにあいさつすると、4階の総裁室に入った。

 「国民のみなさまの声を真摯(しんし)に受け止め、反省にたって出直さなければならない。各候補者は極限まで頑張ったが、このような結果になり、自分の力不足を感じている。経済対策は道半ば、断腸の思いだ…」

 午後10時14分、記者会見場に現れた首相はこう語った後、「速やかに総裁選を行い、決めなければならない。私は今後一党員として自民党再生に力をそそぎたい」と辞意を表明した。

 首相は意外なほどそのさばさばした表情だった。敗因については「自民党に対する積年の不信や不満をぬぐい去ることができなかった」と分析した。ただ、昨秋に解散を引き延ばしたことが惨敗の遠因になったとの指摘には「経済危機を迎え、政局より政策を優先させたのは間違っていなかった。私ども国民の暮らしを守るためにやった経済対策は決して間違っていなかった」と頑として譲らなかった。
 自民党は、首相経験者や幹事長経験者や各派領袖ら大物議員が続々と落選し、党再生の筋道をつけるどころか、今後の党運営のメドさえつかない状況に追い込まれた。

 首相は辞意を表明したが、党総裁の任期を9月末に控え、大がかりな総裁選を実施する余裕はない。特別国会までに総裁選を実施できなければ、特別国会の首相指名選挙で自民党議員は辞意表明した首相の名を書かなければならない事態も十分想定される。次期総裁についても「ポスト麻生」は絞り込まれておらず、さらなる混乱も予想される。

 なぜ自民党はこれほど凋落(ちょうらく)したのか。「政権交代」の風は予想以上に強かったが、突然吹き始めたわけではない。むしろ自民党は長い年月をかけてむしばまれてきたのだ。

 小泉純一郎元首相の登場で息を吹き返し、郵政解散でピークを迎えたが、その後は支持率の長期低迷状態を総裁をすげ替えることでしのいできた。だが、「国民政党」「改革政党」を目指すあまり、各議員の思想信条は右から左までバラバラ。内政・外交とあらゆる政策で足並みがそろわず、混乱を繰り返してきた。

 そんな自民党の体質に国民は嫌気がさし、「NO」を突きつけたのが平成19年夏の参院選だった。にもかかわらず、その後も党の体質を改善できなかったことが今回の惨敗の要因になったことは否定できない。

 首相は党再生への道筋を問われ、こう答えた。

 「自民党は保守政党だ。守るべきものは守るために変えるべきものは変える。家族であり、地域であり、国を守る。日本の寄って立つ基盤は保守的なものだ。これを肝に銘じなければならない」

 保守政党として再出発できるか。自民党は岐路にさしかかっている。

:2009:08/31/09:55  ++  元首相・閣僚ら試練、女性の新人が活躍、「刺客」は構図逆転。

 自民党の歴史的惨敗は閣僚や党幹部を歴任した大物議員の落選が象徴している。党三役のうち群馬2区の笹川尭総務会長が落選。麻生太郎首相の側近だった北海道11区の中川昭一元財務相や、福岡2区の山崎派会長の山崎拓前党副総裁も涙をのんだ。
 愛知9区では17回目の当選を目指した海部俊樹氏が民主党の岡本充功氏に敗れた。自民党の首相経験者の落選は極めて異例で、1963年の衆院選の石橋湛山氏以来だ。石川2区の森喜朗、群馬4区の福田康夫の両氏は民主党の新人女性候補の猛追を退け、辛くも逃げ切った。
■かろうじて復活
 現職閣僚も苦戦を強いられた。小選挙区では麻生政権の経済政策を取り仕切った東京1区の与謝野馨財務・金融相が競り負けたのをはじめ、千葉10区の林幹雄防災担当相、神奈川13区の甘利明行政改革担当相、栃木4区の佐藤勉総務相、静岡8区の塩谷立文部科学相、岐阜1区の野田聖子消費者相の6閣僚が敗北。神奈川1区では松本純官房副長官も敗れた。いずれも比例代表で復活し、議席は維持した。
 派閥会長では北海道5区の町村信孝前官房長官、京都1区の伊吹文明元財務相が小選挙区で敗れ、比例で復活。「麻生おろし」の中心的存在だった広島4区の中川秀直元幹事長、北海道12区の武部勤元幹事長もかろうじて比例で復活した。
 ベテラン議員の落選も相次いだ。「保守王国」と言われた群馬では2区の笹川氏のほか、1区の尾身幸次元財務相、3区の谷津義男元農相の3氏が落選。大阪では1区の中馬弘毅元行政改革担当相、18区の中山太郎元外相が敗北した。
 宮崎1区では引退宣言を撤回して無所属で出馬した中山成彬前国交相も落選。保守分裂で自民党系候補2人と、民主党系無所属が争う構図となったが、民主党などの推薦を受けた川村秀三郎氏が勝利した。
■ベテランに土
 民主党は自民党ベテランに女性新人をぶつける作戦も実を結んだ。長崎2区では久間章生元防衛相が元薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子氏に敗北。茨城6区では丹羽雄哉元厚相に地元医師会が反旗を翻し、民主党が擁立した厚生官僚出身の大泉博子氏が制した。
 東京10区では昨年の自民党総裁選にも立候補した小池百合子元防衛相と、民主党の江端貴子氏が対決。投票日前日夜の「最後のお願い」に自民、民主両党のトップが顔をそろえた激戦区だったが、江端氏が勝利。小池氏は比例で復活した。
■世襲は明暗
 世襲候補は明暗が分かれた。神奈川11区では小泉純一郎元首相の次男、進次郎氏が強固な地盤を引き継ぎ当選を果たしたが、千葉1区では臼井日出男元法相の長男・正一氏が敗れた。
 青森1区の津島淳氏も民主党の横山北斗氏に退けられた。淳氏は元厚相・津島雄二氏の長男。党本部が公認せず、無所属で出馬したため、比例復活の道も断たれた。
■小泉チルドレン苦戦
 静岡7区では05年の郵政選挙と構図が逆転した。前回選挙では自民党の片山さつき氏が郵政造反組の城内実氏を破ったが、今回は城内氏が雪辱した。岐阜1区の野田聖子氏の「刺客」だった佐藤ゆかり氏も東京5区に国替えしたが、民主党の手塚仁雄氏に競り負けた。
 山梨2区の長崎幸太郎氏は自民党公認が得られずに離党、かつて郵政造反組だった堀内光雄氏と共に無所属で立候補して争ったが、民主党の坂口岳洋氏が勝利した。
 05年の郵政選挙で初当選した「小泉チルドレン」83人のうち今回、自民党公認で小選挙区から立候補したのは65人。勝ったのは福井1区の稲田朋美、鳥取2区の赤沢亮正、鹿児島4区の小里泰弘の3氏だけだった。

:2009:08/31/09:48  ++  自民離れ岩盤砕ける、大物、相次ぎ敗れる、党立て直し道険しく、総裁選も波乱含み。

30日投開票の衆院選で、自民党は歴史的敗北を喫した。小選挙区では閣僚や党幹部を歴任した「大物議員」が相次ぎ敗北。比例代表の獲得議席も55議席と過去最低となった。所属議員の激減で崩壊の瀬戸際に立たされる派閥も出る見通しで、麻生太郎首相の後継を争う党総裁選も波乱含みの展開になりそうだ。業界団体などに依存した伝統的な「ビジネスモデル」の限界も露呈、来年夏の参院選に向けた党再建への道のりは険しい。
 「自民党への積年の不満をぬぐい去ることはできなかった。その責任を負う宿命と思って甘受せねばならない」。首相は30日夜のNHK番組で、悔しさをあらわにした。
 首相は経済対策による景気底入れなど政権の実績を強調したが、小泉内閣から続いた歳出削減路線で建設業界や医療団体などかつての自民党の支持基盤は相次ぎ離反。安倍晋三、福田康夫両首相の2代続いた「政権投げ出し」への批判も強かった。鳥取、島根、高知で議席を独占するなど中国、四国ブロックで民主党と五分の戦いを繰り広げる一方、群馬などで独占が崩れた。
 衆院選での惨敗は党内の構図を激変させる公算が大きい。町村派の町村信孝前官房長官、伊吹派の伊吹文明元財務相、山崎派の山崎拓前党副総裁ら各派閥の会長は地元選挙区に張りつく「どぶ板選挙」を展開したが町村、伊吹両氏は小選挙区で敗北。山崎氏は議席を失った。派閥の運営に深刻な支障を来すのは間違いなく、衆院選前の8派閥体制の再編も視野に入ってきた。
 9月の党総裁選は来年夏の参院選に向けた解党的出直しの第一歩となる。「ポスト麻生」候補としては、石原伸晃幹事長代理や舛添要一厚生労働相、谷垣禎一元財務相、石破茂農相らの名が上がっている。ただ、惨敗のショックを引きずる中で、総裁選に立候補するための国会議員20人の推薦人集めも難航する可能性がある。
路線対立加速か
 「歴史的敗北」の総括や今後の方向性をめぐり、党内の路線対立が加速する可能性もある。参院選を前に業界団体の自民党支援の見直しも取りざたされる。
 総裁選の時期や手法を巡っても意見が分かれている。細田博之幹事長は「地方の党員の意見も反映する必要がある」と指摘。都道府県連代表を交えた総裁選を9月下旬に実施する方向で調整し、それまでは麻生氏が総裁を続投せざるを得ないとの認識を示した。
 党内からは「首相指名選挙で麻生氏の名前を書くのは抵抗がある」として、特別国会召集前に党所属国会議員で構成する両院議員総会を開き、早期決着を目指すべきだとの声もあがっている。
【図・写真】開票速報を受けテレビ中継の質問に答える麻生首相ら自民党役員(30日夜、自民党本部)
 公明党は公示前の31議席を大きく割り込む21議席にとどまり、1967年の衆院選(25議席)を下回る過去最低を記録した。全国8小選挙区で擁立した太田昭宏代表や北側一雄幹事長、冬柴鉄三前幹事長ら党独自候補が全滅する歴史的大敗を受け、「党存亡の危機」(幹部)に直面している。
 67年の衆院初進出以来、同党トップの落選は初めて。執行部の刷新を含め来夏の参院選に向けた党の立て直しが急務だ。
 公明党の歴代トップは支持母体の創価学会とも協議して決まるのが慣例。神崎武法前代表は98年から約8年間、代表職を務めた。06年の代表選には太田氏だけが出馬しており、落選は想定外の事態だった。
 太田代表は31日未明、党本部で記者団に「選挙結果の責任を痛感している」としながらも「党再建に責任がある。そこに全力を尽くすためどうするかは執行部と相談したい」と述べ、代表職の辞任については明言を避けた。党内や創価学会では後継に山口那津男政調会長や井上義久副代表、斉藤鉄夫環境相らの名前が挙がっているが、「太田氏に代わる人材がいない」(中堅議員)との声もあり、後継選出は難航しそうだ。
 太田代表は「(投票が)第1党と第2党にどうしても偏る。選挙制度からいっても厳しい」と指摘。中堅議員は「代表だけでも比例と重複立候補すべきだった」と嘆いた。党内や支持母体の創価学会で今後、小選挙区での候補擁立を見送る意見が強まる可能性もある。
 99年から続いた自公連立政権が終焉(しゅうえん)を迎え、今後は自民党との距離感を探る動きが出てきそうだ。太田代表は自公協力について「自公の信頼関係は大事にしたい」と語った。ただ、公明党は参院で21議席を持っており、参院で単独過半数に足りない民主党との連携が検討課題にのぼる可能性も浮上している。
 太田代表は「ねじれ国会では政策協議をしっかりやらないといけないと思っていた。その辺を含め、政権運営を見守って対応する」と民主党との連携に含みを持たせた。
【図・写真】インタビューに答える公明党の太田代表。小選挙区の当選者はいなかった(31日未明、公明党本部)
 民主党の圧勝を受け、共産、社民、国民新などの各党は埋没に危機感を抱いている。選挙後に与野党の勢力が接近すれば存在感を発揮できるというもくろみは吹き飛んだ。
 共産党は公示前の9議席の確保にとどまった。小選挙区の候補を152人に絞り込み、比例代表での議席増に全力を挙げてきたが、民主党の勢いにのみ込まれた。志位和夫委員長は30日夜、自民、公明両党の連立政権が倒れ、民主党中心の政権に交代することについて「日本の政治にとって大きな前向きの一歩」と評価した上で「間違った方向にはストップをかける」と述べた。
 社民党は公示前と同じ7議席を確保した。福島瑞穂党首は「自民党政治が終わることは歴史的なことだ。大歓迎する」と語った。国民新党は公示前の4議席に届かなかった。綿貫民輔代表、亀井久興幹事長が落選した。
 衆院選初挑戦のみんなの党は5議席を獲得し、政党要件を満たした。改革クラブは唯一の公認候補である西村真悟氏が落選した。新党日本は田中康夫代表、新党大地は鈴木宗男代表が当選した。大量に候補者を擁立した幸福実現党は議席獲得はならなかった。
 国民新党の綿貫民輔代表は31日未明、都内で記者会見し、比例北陸信越ブロックでの落選を受け、次の衆院選には出馬せず、事実上政界を引退する意向を示した。綿貫氏は今後の党運営について「議席のある人にやってもらった方がいい」と述べ、代表を退く考えも示した。島根2区で落選した亀井久興幹事長も政界引退の意向を示した。

:2009:08/31/09:47  ++  変化求め民意は鳩山民主政権に賭けた(社説)

政権交代の是非が最大の焦点となった第45回衆院選は、民主党が圧勝した。来月中旬にも召集される次期特別国会で鳩山由紀夫民主党代表が新首相に選ばれる。有権者は「変化」に賭け、民主を中心とする新政権に国政のかじ取りをゆだねた。
 1955年の結党以来、ほぼ一貫して政権の座にあった自民党は、衆院でも第2党に転落し、下野する。2005年の前回衆院選と立場が逆転する歴史的な惨敗を喫し、議席数は過去最低となった。麻生太郎首相は党総裁を辞任する意向を表明した。自民と連立を組んできた公明党も大幅に議席を減らした。
初の本格的な政権交代
 93年に細川非自民連立政権が誕生した時とは異なり、今回の衆院選は第1党と第2党が入れ替わる形の本格的な政権交代である。現行憲法下で選挙による本格的な政権交代は初めてのことだ。
 選挙戦は野党の民主が終始、優勢を保つ異例の展開になった。事前の情勢調査で「民主圧勝」の予測が出ていたとはいえ、結果は衝撃的である。小選挙区、比例代表のいずれも民主が自民を圧倒した。小選挙区では民主の新人や元職が自民の大物を破り、続々と勝ち名乗りを上げた。有権者の関心は高く、投票率は前回(67・51%)を上回る見通しだ。
 自民は4年前の郵政選挙で圧勝したが、党則を理由に小泉純一郎首相が1年で退任し、後を継いだ安倍晋三、福田康夫両首相はともに1年で政権を投げ出した。07年の参院選で大敗し、参院第1党の座を民主に明け渡した。その後は衆参ねじれ国会の運営に苦しめられた。
 昨年9月の総裁選で「選挙の顔」として選ばれた麻生首相は、リーマン・ショックを契機とする経済・金融危機への対応を最優先し、景気対策に取り組んできた。だが自らの失言や政策決定の迷走で内閣支持率は低迷し、党勢回復のきっかけをつかめぬまま、衆院議員の任期満了直前に解散に追い込まれた。
 半世紀余り続いた自民党政治への飽きとともに、前回の衆院選以降に顕著となった自民の統治能力の劣化が有権者の離反を招いたといえる。年金の記録漏れ問題などの行政の不祥事が相次いで表面化した。前回選挙では小泉首相の郵政民営化への執念が有権者の共感を呼んだが、小泉氏の退任後は、なし崩し的に構造改革路線の転換が進んだ。
 民主は現状に不満を持つ層を広く吸収して、政権交代への期待を高めるのに成功した。マニフェスト(政権公約)では「官僚丸投げの政治」からの転換を掲げ、政治主導を前面に打ち出した。行政刷新会議を新設して予算の無駄を徹底的に排除するなどの、既得権益に切り込もうとする姿勢が支持されたとみられる。
 民主は政府と与党の二元的な政策決定の仕組みを改め、内閣の下に一元化する方針を打ち出している。政権の司令塔となる国家戦略局をはじめ法改正が必要な構想も多く、軌道に乗せるための現実的な工程表が要る。統治機構の改革への有権者の期待にこたえるには、鳩山氏が強い指導力を発揮して政権の課題を明確にし、閣僚や副大臣に能力のある政治家を配することが不可欠だ。
 新政権は発足後直ちに来年度予算編成に取り組まねばならず、政権公約を実現する力が試される。政権公約には月額2万6000円の子ども手当などの目玉政策を列挙したが、財源の裏づけははっきりしないままだ。鳩山氏は民主の政策に欠けている日本経済の成長戦略や財政再建目標などの中・長期ビジョンについても、所信表明演説などできちんと説明する責任を負っている。
 民主は社民、国民新両党との連立政権を目指す方針だ。外交・安全保障政策では社民と大きな溝がある。連立を優先するあまり、政策面で安易な妥協をせぬよう求めたい。
自民は解党的出直しを
 来月下旬には国連総会などの重要な外交日程が目白押しだ。それまでに新内閣を発足させなければならず、政権移行の時間は極めて限られている。鳩山氏は記者会見で、首相指名後に閣僚人事を決める考えを示したが、官房長官などの主要閣僚は速やかに内定し、準備を急ぐ必要がある。自民も政権交代が円滑に進むよう協力しなければならない。
 かつてない敗北となった自民の今後はいばらの道だろう。党の有力者の落選が相次ぎ、人材難は深刻である。政党助成金が大幅に減るのは避けられず、党財政にも甚大な影響が及ぶのは必至だ。
 この機会に党組織や候補者選考方法などを抜本的に見直し、新たな党の姿を探るしかない。麻生氏の後継を選ぶ総裁選で党の再建策を徹底的に議論し、有権者の信頼を取り戻すよう努めるべきだ。政権交代可能な二大政党制を定着させるために、自民は文字通りの「解党的出直し」に取り組む覚悟が求められている。

:2009:08/31/09:39  ++  民主308議席、政権交代、鳩山内閣来月中旬にも、自民119、歴史的惨敗。

政権選択が争点となった第45回衆院選は30日投票、即日開票された。民主党の獲得議席は定数480のうち308に達する圧勝で、政権交代を果たすことになった。民主党の鳩山由紀夫代表は9月中旬に召集を予定する特別国会での首相指名選挙で首相に選出され、社民、国民新両党との連立政権を発足させる。自民党は1955年の結党以来、初めて第1党の座を明け渡す歴史的敗北を喫した。(首相指名選挙は3面「きょうのことば」参照)
 野党第1党が選挙で過半数を獲得し、政権を奪取するのは戦後初めて。1993年の非自民連立による細川護熙内閣の誕生から数えても16年ぶりの政権交代で日本の政治は新たな時代を迎えた。
 鳩山代表は30日夜、衆院選の勝利宣言とともに、参院で過半数がないことを踏まえ「社民党、国民新党と連立を組みたい」と、31日から政権協議を開始すると表明した。小沢一郎代表代行の処遇については「選挙を大勝利に導いた功績もある。来年夏の参院選も見据えながら仕事をしてもらう」と、選挙担当ポストを念頭に調整を進める考えを示唆した。
 民主党の獲得議席は国会運営で完全に主導権を握る絶対安定多数の269議席も超えた。社民、国民新両党などと連立すれば、衆院3分の2に迫る勢力となる。民主党は北海道や愛知などで圧倒的な強さをみせ、前回衆院選でふるわなかった東京で自民党を抑えた。民主党の勢いは300小選挙区、180の比例代表双方で全国に及んだ。
 自民党は小渕優子少子化担当相、石破茂農相らが小選挙区で早々に当選を決めたが、閣僚経験者や派閥領袖クラスの大物が軒並み強い逆風にさらされた。過去最低の獲得議席だった93年の223議席を下回り、300あった公示前勢力が半減以下となる惨敗となった。10年間にわたって自民党と連立を組んだ公明党も後退し、太田昭宏代表、北側一雄幹事長が落選。小選挙区は全敗した。
 共産党は9議席、社民党が7議席、みんなの党は5議席、国民新党が3議席、新党日本が1議席を獲得した。
当群 馬4区 福田 康夫(自)
当石 川2区 森  喜朗(自)
落愛 知9区 海部 俊樹(自)
比北海道5区 町村 信孝(自)
落北海道11区 中川 昭一(自)
比北海道12区 武部  勤(自)
落茨 城6区 丹羽 雄哉(自)
落群 馬2区 笹川  尭(自)
比東 京1区 与謝野 馨(自)
比東 京10区 小池百合子(自)
落東 京12区 太田 昭宏(公)
落      綿貫 民輔(国)
比岐 阜1区 野田 聖子(自)
落大 阪16区 北側 一雄(公)
落兵 庫8区 冬柴 鉄三(公)
比広 島4区 中川 秀直(自)
落福 岡2区 山崎  拓(自)
落長 崎2区 久間 章生(自)

:2009:08/31/09:38  ++  未知なる与党に託すもの。

1955年の保守合同以来、形を変えては命脈を保ってきた自民党政治に終止符が打たれた。劇的な政権交代にもかかわらず、世間はどこか冷めている。冷戦構造が崩れて20年。戦後日本の成長モデルそのものといえた自民党政治に、有権者は強烈な「ノー」を突きつけ、次の4年を、巨大民主党という未知なる「非自民」に委ねた。
熱狂の後に
 衝撃的な選挙結果が、比較的平静に受け止められているのは、4年前の郵政選挙の経験があるからだろう。当時の小泉純一郎首相は自民党を郵政民営化に賛成する改革派と、これに反対する勢力に分類することで、「自民対民主」ではなく、「自民対自民」の選挙構図を作り出し、圧勝した。
 小泉氏の独り舞台でもあった疑似政権交代に世論は熱狂したが、熱から冷めてみれば、普段と変わらない自民党政治が待っていた。小泉氏を継いだ3代の御曹司内閣は、特定の指弾されるべき失政があったというわけではない。
 ただ、景気は悪く、雇用が目に見えて悪化し、日々の生活への不安も募るのに、どこか浮世離れしていて、一向に国の行く先を示さない。このままではこの国もろとも「売り家と唐様で書く三代目」の巻き添えにされるのではないか、と思われたのである。
 90年代前半、自民党を分裂に追い込んだ政治改革論議は、96年の総選挙から導入された今日の小選挙区比例代表並立制となって決着した。今回の選挙で、民主党の小沢一郎代表代行がかねて主張した「個人中心から政党中心」の選挙が定着したともいえる。
 2つの問題が残る。小選挙区制は「政権交代可能な二大政党制」の基盤になるとされたが、今後、民意が民主党から離れた時、自民党は健全な野党として受け皿になることができるだろうか。巨大与党に与えられる「迅速な意思決定」を、世論の納得が得られるように実現できるかどうかへの疑問もある。
 後者は国会審議の簡略化と同義だが、数の力に頼りすぎれば、権力の乱用と立法府の形骸化につながりかねない。
大きな将来図を
 そもそも、「迅速な意思決定」は、ベルリンの壁が崩壊した後の国際環境の激変に、日本の政治が応えられないとの批判から唱えられたものである。確かに、この20年間の世界の変化を、誰が想像できただろう。
 米国に比肩する欧州連合(EU)が出現し、その中心の一つである統一ドイツでは旧東独出身の女性首相が人気を博している。米国には黒人大統領が誕生し、中国、インド、ブラジルなどの新興国が世界経済のけん引車になった。
 日本は確実に小さく、頼りない存在になっているのに、20世紀後半の成功体験から抜け出せず、斬新な手を講じることができないままだ。
 新政権に託されたのは、まさにこの点である。高速道路の無料化も、子ども手当も、約束したことは守らなくてはならない。しかし、政権交代の原動力となったのは誰もが喜ぶバラマキばかりではなく、もっと大きな将来図への期待だ。来年の参院選に次の照準を合わせるだけでは、今回の記録的な得票が泣く。

:2009:08/28/17:24  ++  失業率、最悪5.7%、7月、求人倍率最低、0.42倍――完全失業者103万人増。

 国内の雇用情勢が一段と悪化してきた。総務省が28日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は5・7%と前月から0・3ポイント上昇し、過去最悪を更新した。失業率が過去最悪を記録するのは2003年4月以来6年3カ月ぶり。一方、厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(同)は前月を0・01ポイント下回る0・42倍と、3カ月連続で過去最低を更新した。国内経済は昨秋以降の景気後退から持ち直しの動きがあるが、なお生産能力などに余剰を抱える企業も多く、雇用調整がさらに進む恐れがある。(関連記事3面、社会面に)
 7月の失業率は02年6、8月と03年4月に記録した5・5%を上回り、1953年の統計開始以来過去最悪となった。失業率は7月まで6カ月連続で上昇しており、昨年7月からの1年間では1・7ポイントもの大幅な悪化となる。
 就業者数は前年同月と比べ136万人減で、6270万人だった。製造業や建設業で引き続き減少が続く。製造業は106万人と大幅に減少した。一方、完全失業者数は359万人と前年同月と比べ103万人増えた。増加幅は過去最大で初めて100万人を超えた。理由別にみると、定年などと比べ勤め先都合の失業者が121万人と最も多かった。勤め先都合による失業者の増加数は65万人と過去最大で、企業のリストラの影響は色濃く反映している。男女別では男性が6・1%と初めて6%台に乗せた。女性は5・1%。
 63年の統計開始以来、過去最低を更新した有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)で職を探している人1人あたりに何件の求人があるかを示す。7月は職探しをしている有効求職者が前月と比べ1・8%増えた一方、有効求人数が0・5%落ち込んだことが倍率低下につながった。
 地域別にみると、最も高いのは香川県の0・64倍、最も低いのが青森県と沖縄県の0・27倍だった。生産には一部で改善の兆しがみえているが、「失業率は生産から1年程度遅れて改善する傾向がある。引き続き雇用情勢は厳しくなる」(厚労省)とみられる。景気の先行指標といわれる新規求人数はすべての産業が前年同月を下回った。

:2009:08/27/16:11  ++  視界不良の企業年金(上)減額で労使綱引き――「痛み分け」問われる覚悟。

企業年金が試練を迎えている。株式相場はここにきて持ち直しているが、昨秋以降の金融危機を受け運用成績は大幅に悪化。企業収益の本格回復の道筋がみえないなか、年金の給付減額を検討する企業が増え始めた。公的年金も制度疲労でぐらついており、「老後の安心」は視界不良だ。
「半分以下」も
 「大切な年金について減額をお願いせざるを得ない……」。終身雇用と年金が大きな支えとなってきた日本株式会社。だが、こんな通知が会社からいつきても不思議ではなくなっている。
 この文面は日本航空の西松遥社長が5月上旬に同社の年金受給者らへ実際に送った手紙の一部。年金給付額が予定の半分以下に減る可能性があると伝えた。2年前に早期退職制度に応募した元管理職のOBは「経営陣に『年金を守るため』と言われ退職したのに、まるで後出しジャンケンだ」と憤慨する。
 西松社長は「会社存続のためには避けて通れない」として今年度中の実施を目指す。計画通り年金を減額しないと今期の最終赤字は期初予想の630億円から1500億円超に膨らむ可能性があり、財務は一段と悪化する。銀行の追加融資を受けるためにも年金減額は至上命令との立場だ。
 「給付減額をしたいがどうすればいいのか」。大手信託銀行の年金部門には大手電機など約20社から相談が舞い込んだ。各社はJALの動向をOBの年金減額の試金石とみている。「JALが踏み切れば雪崩を打ったように追随する可能性がある」(同行幹部)。
 近畿日本ツーリストはJALの決着を待たず、11日に減額計画を表明。「費用の抜本的見直しが必要」(馬越俊司専務)と、OBを含む年金減額を再建策の柱のひとつと位置付ける。
 上場企業が将来の年金拠出に備えて積み立てる必要がある資金の不足額は、2009年3月末時点で13兆円超と1年前からほぼ倍増した。このところの株価回復で積み立て不足額は減少しているとみられるが、楽観できない。
 会社の存続をかけ、年金減額の検討に入った多くの日本企業。ただ、実施へのハードルは高い。一般に年金は賃金の後払いと考えられ、生活への影響が大きいOBの減額は欧米ではご法度。日本でも大手企業の前例は少ない。NTTはOB減額を巡り国と最高裁で係争中だ。
 厚生労働省が例外的にOB減額を認めるのは「母体企業の経営状況の著しい悪化」など、「年金存続のため真にやむを得ないと認められる場合」。その上で受給者の3分の2以上が同意することなどが要件だ。
 JALではOBの反対署名が受給者の4割に迫る勢い。ただ給付減額は同社が9月中にも発表する経営改善計画の柱として国土交通省も求めており、会社側はOBの納得が得られるよう粘り強く交渉する考えだ。
現役世代は複雑
 一方、現役世代の心境は複雑だ。「2度の賃金カットや退職金改定で組合員の生活は大変厳しい」(JAL労働組合の下口拓也本部書記長)としつつも、「会社が存続の危機にあるのは十分認識しており慎重に対応する」という。OBの年金だけ保護されれば不公平感が強まりかねない。
 会社、OB、現役の思惑が三者三様で着地点がみえない中、反面教師となるのが米ゼネラル・モーターズ。労組が国際競争の現実を直視せず譲歩を拒み、年金負担などレガシーコスト(負の遺産)が経営破綻を招いた。フィデリティ投信の小泉徹也執行役は「レガシーコストが軽いアジア企業と競いながら現状の年金制度を維持できる日本企業はほんの一握り」という。
 産業競争力を保つために労使が痛みを分かち合うことができるかどうか。覚悟が問われている。

:2009:08/27/16:06  ++  三越、正社員2割削減へ、1000人規模、年度内めど、百貨店不振止まらず

三越伊勢丹ホールディングスは傘下の三越で大規模な人員削減に踏み切る。退職金の割り増しなど既存の早期退職制度を拡充することが対策の柱で、三越単体の正社員の約2割にあたる1000人規模を想定しているもよう。2009年度中に完了する見通し。厳しさが増す百貨店市場は今後も縮小に向かうとみられ、人件費を大幅に抑える。昨秋の金融危機以降に小売企業が人員削減を伴う大規模リストラに乗り出す初のケースとなる。(関連記事15面に)
 9月上旬にも労組側に正式に提示し、早ければ同月中にも募集を始める。三越の早期退職制度は40歳以上59歳以下の従業員が対象だが、年代に応じて割増退職金を現在よりも厚くする方向で調整している。また対象年齢を40歳未満にも広げるほか、退職後に契約社員として再雇用することも検討している。
 三越単体の従業員数は09年3月末現在で約6200人。三越伊勢丹は退職勧奨はしないが、拡充した割増退職金の申請は期間限定となる見通し。複数の三越伊勢丹幹部によると、目標人数は設定しないが、最終的には1000人規模を念頭に置いているとみられる。人員削減にかかる費用は、5月に閉店した三越池袋店(東京・豊島)の売却資金でまかなう。
 三越が大規模な人員削減に踏み切るのは希望退職を募集した1999年、05年に続く3度目。1000人規模の人員削減幅は経営破綻した百貨店を除くと過去最大級となる。
 同社は富裕層を中心に多くの固定客を抱える日本橋本店(東京・中央)、銀座店(同)を持つ半面、販売力が弱い中・小型店が多い。業績不振も続き、08年4月に伊勢丹と経営統合し、国内最大の百貨店グループとして生き残りを狙った。
 だが、昨秋以降の消費不振は主導権を握る伊勢丹にも波及し、統合効果は薄れた。三越単体の09年3月期売上高は前の期比9%減の6571億円、売上高営業利益率は0・1%と低水準だった。10年3月期も厳しく、営業赤字に陥る見込み。このため縮む国内市場に応じた経営のスリム化に着手した。
 今年に入り、池袋のほか、鹿児島店(鹿児島市)など4店を閉鎖する一方、10年4月には地方7店を分社化する。国内市場は収益回復を優先、成長分野は中国など海外市場に活路を求める戦略にカジを切り始めている。

:2009:08/26/12:46  ++  人件費2割削減公約にうたうが…、公務員改革、民主に難題。

 ■下げ幅拡大に含み 「基本的には1人当たりの給与水準ダウンと(公務員の)数を減らす」。民主党の岡田克也幹事長は25日、大阪府八尾市内で記者団に強調した。そのうえで政府が25日に閣議決定した2009年度人事院勧告の完全実施にも「選挙で国民の審判が下れば、もう一度吟味する」と述べ、下げ幅拡大に含みを残した。
 公務員の人件費削減は、05年衆院選の当時、代表だった岡田氏が組合依存のイメージ脱却を狙って決断。新規採用の抑制と給与水準の見直しでそれぞれ5千億円ずつ減らす具体策を示した。支持団体の自治労が猛反発したが、その後、地方公務員は対象外とする方針を明確化。25日に熊本市で始まった自治労定期大会では異論は出なかった。
 ■社民党は反対 削減の道筋は容易ではない。マニフェストに新規政策に必要な16兆8000億円のうち人件費削減で1兆1000億円捻出(ねんしゅつ)すると明記。列挙した具体策は(1)地方分権推進に伴う地方移管(2)各種手当、退職金の水準や定員の見直し(3)労使交渉を通じた給与改定――の3つ。最初の難題は労使交渉を可能とする労働基本権の付与だ。
 現状では国家公務員は労働基本権の一部が制約されており、労使交渉で給与水準を決めることはできない。基本権制約の代わりに人事院の勧告制度があるため、基本権付与は人事院の存在意義にかかわる。年内に党内議論をまとめ、10年度予算編成に間に合わせるのは至難の業だ。
 国から地方への公務員移管も簡単ではない。地方に人件費増加分の財源を渡せば、国の予算削減効果は消える。財源を移譲しなければ、地方から「余剰人員の押し付け」と批判が出る。
 連立相手と見込む社民党も「簡単に2割、3割減という話ではない」(幹部)と安易な人件費削減に反対の立場。連立協議では火種となる可能性がある。 >

:2009:08/26/12:44  ++  09衆院選政策を問う――郵政改革の後退がもたらす損失に目を(社説)

4年前の衆院選で国民の支持を得た郵政民営化が、今回の選挙後に大きく軌道修正される可能性が出ている。改革が後退し巨大な「官製金融」が温存されると、少子高齢化やグローバル競争の試練を抱える日本経済の体質を強くするのは一段と難しくなる。
 小泉純一郎元首相は郵政民営化に争点を絞った前回の衆院選で大勝。それを受けて2007年10月に持ち株会社の日本郵政に郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険がぶら下がる4分社体制で民営郵政が始動した。ところが今回の衆院選に向け与野党は程度の差こそあれ、ともに従来路線の修正をうたう。
 政権交代を狙う民主党はマニフェスト(政権公約)で「郵政事業の抜本的見直し」を掲げた。10年度にも始まるゆうちょ銀、かんぽ生命の株式上場や、両社と日本郵政の株式売却を凍結し、郵便局での「郵便、貯金、保険の一体的なサービスを保障する」という。
 郵便局の廃止や郵便配達のサービス低下に対する批判を受けた議論だが、反民営化を掲げる国民新党との選挙協力による郵政票の獲得や、社民党も加えた3党連立を優先したのは明らかだ。民主党内では郵政民営化に積極的な意見を持つ勢力もおり同党幹部は「国営や公社には戻さない」というが、見直し後の事業形態は明確にしていない。
 民主党中心の政権になり金融株の売却を凍結、17年9月末までに終える計画だった市中売却を遅らせれば政府の関与がそれだけ長く残る。「資金の流れを官から民へ変える」という郵政改革の根幹を揺るがす。
 自民党も4分社維持を明記しながら「郵便、貯金、保険の一体的なサービスを確保する」と路線の修正をにじませる。佐藤勉総務相が4分社化の見直しに触れるなど郵政票の離反を意識した動きもある。自民の民営化の筋書きも極めて不鮮明だ。
 着実な郵政の民営化は経済の持続的な成長に不可欠である。政府の信用を後ろ盾に巨額の資金を集め、非効率な事業や公共投資などにつぎ込んだ官製金融の限界は明らかだ。地方の利用者への目配りは必要だが、郵政事業を効率化しなければ国民全体が負担するコストは減らない。
 巨額の郵貯、簡保資金の大半が国債に回る現状も徐々に変えなければ日本経済の構造は改まらない。自民民主とも郵政改革の後退が将来の日本にとって大きな損失になるということを忘れないでほしい。

:2009:08/26/12:40  ++  第5部ビッグディール号砲(4)未来へ創業家の決断(大転換)終

■■■一国一城」捨て経営拓く
 「このディールは“日本株式会社”を変えるかもしれない」。キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合交渉が明らかになった7月、英経済誌のエコノミストはこう書いた。
 非上場で創業家出身者が社長のサントリーが、好業績にもかかわらず統合を目指す。その動きは「身売り」「乗っ取り」などM&A(合併・買収)にまつわる否定的なイメージを消し「オーナー経営が多い中堅企業でも再編が本格化する」と予測する。
カルビーに外資
 すでに予兆はある。6月下旬、非上場で創業家が筆頭株主のスナック菓子大手のカルビーが、米飲料大手ペプシコから20%の出資を受け入れることを決めた。創業家出身者は経営陣を外れ、7人の取締役の5人を社外取締役にした。
 カルビーは2008年度も黒字。スナック菓子の国内シェアは約4割に及ぶ。人気商品のポテトチップスでは国内のジャガイモ生産者を囲い込み、他社の追随を許さない。
 だが松尾雅彦相談役ら創業家は、その先を見る。国内の菓子市場は少子高齢化で縮小が続く。ジャガイモ生産者も高齢化が進み、これ以上、国内調達を増やすのは難しい。
 数年前から海外展開に力を入れるが、米欧の食品メジャーが農家を押さえ、ジャガイモの調達がままならない。「ならば」。売り上げ規模で約30倍のペプシコと組んだ。創業家は未来を拓(ひら)くため設立60年で居心地のいい「一国一城のあるじ」の座を捨てた。
 同じ6月、染毛剤最大手のホーユーは、クラシエホールディングス(旧カネボウ)の買収で、クラシエの大株主である国内投資ファンド3社と基本合意した。
 非上場のホーユーは白髪染めの「ビゲン」などで国内染毛剤市場の4割を押さえ、実質無借金経営。だが高齢化で安定成長が見込める白髪染め剤には花王も攻勢をかける。いずれは人口減で市場も縮む。創業者の孫にあたる水野新平社長は将来を見据え、リスク覚悟で買収に乗り出した。
 中堅・中小企業のM&Aを仲介する日本M&Aセンターは、3月に単月で過去最高の15件を成約、9月も約15件を見込む。昨年までは月平均5~6件だった。「コスト削減や営業強化といった従来の企業努力では生き残れないとの危機感がある」と分林保弘会長は指摘する。
 キリンとの統合が報じられた翌日の7月14日。サントリーの佐治信忠社長は本社で投資銀行ロスチャイルド・ジャパン会長のフィリップ・ド・ニコライ氏と会っていた。ロスチャイルドは欧州のM&A助言でトップクラス。2世紀以上にわたって企業の合従連衡を仲介してきた「M&Aの番人」である。
 トップ企業同士の統合となるキリンとの交渉に話しが及ぶとニコライ氏は言った。「当然の流れだ」
 7月末時点の世界企業の時価総額を業種別ランキングにすると、日本企業が首位なのは自動車(トヨタ自動車)など38業種中3業種だけ。米国は19業種、中国(香港上場を含む)は6業種だ。伸びない国内市場を多くの企業で分け合う日本の弱点が浮かぶ。新興国企業に押し出されてベスト5に日本が1社も入らない業種が24もある。
中小企業も走る
 「新興国企業を甘く見てはいけない。トヨタも数十年前には新興国の新興企業だった」。ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の水越豊氏はこう警鐘を鳴らす。
 日本が新興国だった時代と違い、今は資本がグローバル化している。その分だけ資金調達は容易で、政府の後押しもある。新興国企業は、技術力がなくても「価格勝負」と割り切って、猛烈にシェアを取りに来る。日本企業も成長を目指して新興国市場を目指すが、そこで勝つにはさらなる規模と資本力が必要だ。
 「キリン・サントリーに触発されて他業界も動く」。投資銀行業界では今、日本発のビッグディール(大型再編)への予感が高まる。大企業も中堅・中小も、経済危機後の新しい競争に備え、姿を変え始めた。日本株式会社の再編である。

:2009:08/18/15:11  ++  特集――6党党首討論の要旨、民主鳩山代表、米との信頼関係築く。

▼財源問題
 首相 民主党の政策は財源なきバラマキに見える。予算を組み替えると何兆円も出てくるというのは夢物語だ。「子ども手当」の財源として配偶者控除などを挙げるが、子どものいない家庭には増税になるということか。
 鳩山氏 65歳未満の人で、子どもがいない(専業主婦の)家庭は増税になると予想される。大体4%程度と試算している。社会で子どもをはぐくんでもらうという発想で理解を求めたい。
 首相 補助金50兆円から6兆円カットするというが、具体的には。
 鳩山氏 補助金改革で事務費や人件費など削減を十分できる。「事業仕分け」をサンプル的に行い、2割以上削減できるという数字になった。6・1兆円削減できると試算している。
 ▼政治とカネ
 太田氏 秘書が法律違反をした場合、国会議員も公民権停止、政界退場だ。その法改正を与党共通マニフェストに入れた。賛成か、反対か。
 鳩山氏 前向きに民主党として対処すべきだ。基本的にはその方向でいいのではないか。
 ――鳩山氏の個人献金問題で、税法違反と贈与税問題も指摘されているが。
 鳩山氏 元秘書が保身の思いでやった。やましいことはない。いわゆる税額控除を図った事実は、少なくとも弁護士を通じて一件も報告されてない。私はなかったと思っている。
 ▼日米FTA
 志位氏 日米FTAが締結されれば、日本の農業、特にコメは壊滅的な打撃だ。
 鳩山氏 米国との付き合い方は今まで防衛問題に偏っていたが、むしろ軸足を経済の密な関係をつくる方向にシフトさせるべきだ。コメや麦などの主要作物は、しっかり国益を守りながらFTA交渉を進める。
 ▼景気対策
 ――政権を取った場合、追加の景気対策の必要性は。予算の組み替えだけでいいのか。
 鳩山氏 景気を刺激することにならない予算は組み直す必要がある。子ども手当などもっと家計に直接刺激を与えるような政策をできれば前倒ししたい。
 ――家計への直接支援だけで国内需要が喚起されて景気が良くなるのか。
 鳩山氏 内需を刺激すれば済むわけではない。米国よりも中国圏、アジアに日本の経済力を見いだすのは大変重要だ。
 ▼超党派の協議
 ――社会保障改革について超党派の協議機関で合意を得る努力をするのか。
 鳩山氏 当然、与野党できちんと協議をすることは重要だ。
 ▼消費税
 ――消費税の議論は封印するのか。
 鳩山氏 勇気を持って言うときは当然ある。無駄遣いをなくして政治の信頼性を取り戻した時、大いに消費税の議論はされるべきだ。
 ▼外交・安全保障
 ――北朝鮮など東アジアの緊張要因はむしろ高まっている。米軍基地見直しなどを提起して大丈夫か。
 鳩山氏 一番必要なのは対話と協調で世界の様々な脅威に答えを出すことだ。いたずらに戦力的なものを高めることで解決を促すことではない。政権を取ったらオバマ米大統領との信頼関係の構築が大事だ。信頼がないまま、日米地位協定を早く見直してくれ、基地を撤退してくれと言っても解決は難しい。
 ――米軍普天間飛行場の県外移設方針は。
 鳩山氏 海外への移転が望ましいが、最低でも県外移設が期待される。すぐ解決できるものでもないが、沖縄県民の思いを十分理解しないといけない。
 ――インド洋の海上自衛隊の給油活動について、民主党の政策がはっきりしない。
 鳩山氏 すぐに撤退しようなどと簡単に言えないのは理解している。だが、アフガンへの協力を考えれば、はるかに喜ばれる別の道を十分準備できる。(期限切れの来年1月以降は)単純に延長するつもりは一切ない。
 ▼外務省密約問題
 ――外務省密約問題はどう明らかにするのか。
 鳩山氏 調査をしっかりして、事実が明らかになれば国民に公開することを考える。半年、1年で結論を出さなければいけない。
 ▼政権構想
 ――政権交代後の主要3閣僚の構想は。
 鳩山氏 具体的な名前を言うべきではないし、まだ構想もしていない。ただ、一番重要な官房長官、財務相、外相はやはり政治家を起用したい。
 ――小沢一郎代表代行の処遇は。
 鳩山氏 小沢氏の力で今日まで民主党が団結力を高めてきたのも間違いない。団結力を維持するために小沢氏には枢要なポジションで頑張ってもらいたい。
 ▼非核三原則
 福島氏 非核三原則の堅持と法制化が必要だ。新しい政治の中で核廃絶の先頭に立とうではないか。
 鳩山氏 核廃絶の先頭に立つという心構えを持っている。三原則の法制化を検討したい。
 ▼外国人参政権問題
 綿貫氏 外国人の地方参政権付与は国家の存在を脅かしかねず反対だ。
 鳩山氏 議論している最中だ。将来を考えたときに、もっと前向きに考えるべき時が来ている。
 ▼鹿児島県での民主党集会
 首相 8月8日、鹿児島県内での民主党の集会で、壇上に大きな民主党の党旗が掲げられていた。日本の国旗を切り刻んで、上下につなぎ合わせていた。正直、信じたくはない。とても悲しく、許し難い行為だ。
 鳩山氏 そんなけしからんことをやった人間がいるとすれば、大変申し訳ない。

:2009:08/18/15:10  ++  特集――6党党首討論の要旨、自民麻生首相、景気対策、なお最優先。

▼景気・消費税
 鳩山氏 景気回復の兆しが出てきたというが、国民の実感から外れている。
 首相 この10カ月弱で4回の予算編成をし、経済対策に集中した。17日の経済指標の発表をみても間違いなく1年3カ月ぶりに指標は上がった。しかし、数字上の話で、国民が肌で景気回復を実感するまでには至っていない。就任時に全治3年と言ったが、まだ道半ばだ。引き続き景気対策を最優先でやっていかなければならない。
 鳩山氏 景気が回復すれば消費税を増税するのか。
 首相 初期の目的に達し、景気回復が国民の間に浸透した段階にどうするのかが最大の問題だ。消費税はその段階で、ということはすでに法律の付則に書いてある。
 ▼年金記録問題
 鳩山氏 記録の統合を1年でやるといってから2年以上たつが、4000万件残っている。なぜ解決できなかったのか。
 首相 目標の年次に解決できなかったのは事実だ。「ねんきん特別便」などを出しても返事が返ってこないという部分もあるが、最大限努力し、年内をめどに解決するという話をしている。
 ▼小泉改革
 福島氏 小泉改革のひずみや負の部分とはどこか。
 首相 一連の規制改革でインターネットなどの分野は大きく進展し、最先端といわれるまでになったことは良かったが、地方に疲弊が生じているのが大きな問題だ。タクシーの規制を緩めた結果、便利になった面もあるが、運転手の給与が激減している部分もある。社会保障費の(自然増の毎年)2200億円抑制も限界にきたので今年度からやめている。
 綿貫氏 郵政民営化の総括を。
 首相 利便性は民間になって向上しているのも確かだが、簡易郵便局の閉鎖が一時期増加したのは確かだ。利便性に十分に配慮してやっていかなければならない。
 綿貫氏 鳩山邦夫前総務相を解任し、日本郵政の西川善文社長を守ったのはなぜか。
 首相 取締役会で決めた後の役員人事に政府が介入するのはいかがなものか、というのが一番の問題だった。業務改善命令などを着実に佐藤勉総務相のもとで実行してもらうのが一番肝心だ。
 ▼安全保障
 福島氏 集団的自衛権の行使を憲法解釈で認めるのは看過できない。自衛隊の海外派兵はすべきではない。
 首相 核実験を2回やり、我々の子どもを拉致する国が隣にある現実を踏まえ、日本を守ることを考えるべきだ。同盟国である米国の船が攻撃を受けた際、日本の自衛艦が防護するのを可能にすることは考えるべきだ。
 ――イラク戦争を支持した総括は。
 首相 日本から陸上自衛隊、航空自衛隊を派遣し、極めて高い国際的評価を得た。自衛隊員で銃弾を浴びたこともなく、撤収できた。評価されてしかるべきだ。
 ――イラク戦争自体の評価は。
 首相 フセイン元大統領がいまだに存命で、権力を振るい続けていたらという前提もある程度考えておかなければならない。国際平和に、より大きな危険が起きていたかもしれない。戦争は後になってどちらでも理屈がつくので何とも答えることはできない。しかし、私どもの対応としては間違っていなかった。
 ▼政権運営
 ――政治力とは何か。
 首相 昨年、金融危機で世界中がパニックになったとき、日本が先頭を切って10兆円の融資を決断した際、国際社会への根回しも含めて政治力が要求された。一連の自民党内の結束の乱れに関しては自分の政治力というか、統率力の欠如が招いた。
 ――漢字の誤読問題が自民党の人気に影響した面もあるのでは。
 首相 単なる読み間違えだったり、眼鏡をかけずに読むと間違えたりするので軽率ということになるだろう。一連の発言が不必要な政治不信を招いた点は大いに反省している。
 ▼超党派の協議
 ――社会保障改革で選挙後に超党派の協議機関をつくる考えは。
 首相 自民党が勝とうと負けようと、きちっとそういった話はすべきだ。